
本屋で見つけてしまった「Motor Fan illustrated VOL.6 4WD最新テクノロジー」(三栄書房)。カラーで各社4WDメカの解説をしてくれているので、つい買ってしまった。ここに書かれた解説によれば、“トルク配分”という概念は、一般によく言われているものは少し間違っている部分があるということらしい。
“トルク配分”があらかじめ決まるのは、いわゆる「センターデフ」方式の機械式トルク分割機構だけで、多板クラッチ機構などを用いたトルクスプリット式の機構では、直結~空転の間で「トルク配分」を決めているのではなく、クラッチの結合度に応じたトルク容量までの「最大の駆動伝達力」を決めていることになるのだそうだ。
スバルACT-4の場合、60:40 というトルク配分が基本だと書かれるが、これは、前後重量配分とほぼ同じであるから、クラッチを完全結合した状態、すなわち「直結4WD状態」にした場合の“駆動力”の配分であることがわかる。この状態で加速をすれば、荷重は当然リアに寄るから、駆動力の配分もそれに応じて変化する(リア側が増える)。いずれにせよ「直結4WD状態」だから、“トルク配分”というものは存在しない。
一方、クラッチが少し緩められ、後輪駆動軸があるレベル以上のトルクで「すべる」状態になれば、前後輪が同一速度で回っている時は事実上「直結4WD状態」となっているが、回転差が発生すると「すべる」ことで駆動力が調整される。すべっている最中は一応“トルク配分”というものを考えることができるが、これは時々刻々のタイヤに掛かる荷重にも依存するため、クラッチの結合状態だけでは決まらない。結合状態が決めるのは、あくまでも「最大の伝達トルク」だということである。
イメージがしにくければ、最初から「すべっている」状態で考えてみるといいかもしれない。前輪の方が後輪よりわずかに速く(あるいは遅く)回っている場合(直進走行時は概ねそんな状態であろう)は、クラッチの結合状態に応じたほぼ最大の伝達トルクが伝わるであろう。通常“トルク配分”と言っているものは、おそらくこの状態の前後トルク比と考えられる。
以前に測定したACT-4制御ソレノイドの電圧は、定常走行時にフルデューティーの半分程度の電圧が掛かっていた。このときの制御油圧はフルの4割程度であるから、クラッチの結合度もそんなものと考えていいだろう。この時の「最大伝達トルク」がどの程度になるのかはわからないものの、ハイギア(3,4速)が紡ぎ出すトルクの1~3割程度に当たるのではないかと推測する。ローギア(1速)での加速時にデューティーがめいっぱいまで上がるのは、出力トルクが増大するために伝達すべき後輪へのトルク容量も増大しなければならないからであって、決して「加速に必要だから」という訳ではないのであろう。むろん、加速時は後輪軸に荷重がかかるので、直結状態にして最大限のトルク伝達を行うことで、力を発揮することができるのには違いないのだが。
4WD(AWD)メカニズムは、思っていた以上に奥が深いようである。
余談だが、同ムックシリーズの「サスペンション」の特集では、レガシィの3・4代目採用のマルチリンクサスペンション(後輪側)はかなり渋い評価(いわく「難しい脚」だそうだ)がなされていた。初代、2代目のマクファーソン・ストラットが良かったのに・・みたいな雰囲気が匂わせてあった。ビル脚のようなガス封入型の単筒ダンパーに対しても、デメリットが強調されていて“どんな状況でもいい訳じゃない”みたいな書かれ方をしていた。
レガシィ脚の世代間の違いを乗り比べてないのでなんとも言えないが、前車は前後ともマクファーソンだった経験から言うと、荷室の広さからいえばマルチリンクに軍配が上がるし、応答の良し悪しで言えば、やっぱりセッティングに強く依存するんじゃないかなぁと思う。私としては、前車は少し荒れたオンロードの中速セクションにベストマッチで、現車は純オンロード高速セクションにベストマッチな感じはした。ダンパーの善し悪しを評価できるほど感性も腕もないけれど、前車のフニャ脚よりは現車のよりツッパり気味な脚の方が好みではある。荒れた路面では、路面からの入力がちょっとキツいかもしれないけれど。(笑)
Posted at 2008/03/05 01:35:29 | |
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