
GWに取付けたスプリング(ID66)にプラスして
リヤのみRG(レーシングギヤ)ZXダンパーを取付ました。
ガレージKM1 緒方代表にALTまで赴いて頂き
急遽テストを行いましたので
「市街地編」に続き所感を列記します。
毎度毎度のド素人ウンチク満載&スーパー長文です。
興味ある方は気合を入れてお読みください
途中退室は禁止します(笑)
日付:2011年5月31日
場所:ALT(オートランド作手)
天候:曇天微風
ALT気温:18~22℃
ALT路温:19.1~26.4℃
ALT路面:ドライ
F:BESTEX ID66-203-120(内径φ66 自由長203mm 定数12kg)
RG JTC-N1ダンパー(複筒、減衰固定、全長調整)
R:BESTEX ID66-203-100(内径φ66 自由長203mm 定数10kg)
RG ZXダンパー(単筒、倒立、減衰調整、全長調整)ロッドショート化
車両:SF5B改
重量:1290kg(推定重量、アタック状態、ガソリン50~30L、ドラ60kg含む)
アタックタイヤ:Z1☆255/40/17(2009年40週)
◆ALTを走ってみる
Z1☆255/40/17でテスト
車高、アライメント、内圧は前回と同一
減衰は 最弱(1)→中間(8)→最強(16)→徐々に下げる・・・という手順でテスト
あくまでも観察とセットを目的とするため90~95%を心掛けて出来るだけ一定に走行
タイムは結果として見るにとどめ、気温が高めの時間を狙って行う
各セット毎にチェックと所感をメモして自分なりに検討し
緒方代表の評価、アドバイスを元にベストなセットを探り出す
テスト&経緯
①減衰最弱(1)
・ブレーキングはややオーバーアクションながらID66のお陰もあり「ググッ」という制動
・1コーナーアプローチ、3コーナーアプローチにてストロークがやや速く
リヤが大目のロールを示すが破綻するほどではなくロールを維持
・トップターン~最終コーナーまではストロークして接地感は良好
・最終コーナーでロールが多めのため旋回が大きく フル加速するまで時間がかかる
・トラクション抜け、バタつきは特に出ないが 全体にモーションが大きく遠回り
②減衰中間(9)
・適正にブレーキが出来 前後輪をグッと沈ませて制動
・1コーナー、3コーナーのストロークも適正で自然なロールとなり
向きを早めに変えられるので加速もやや早く出来る
・トップターン~最終コーナーまではストロークもよく接地感は良好 グイグイ曲げられる
・最終コーナーでまだロールが多めのため旋回が大きく早く加速に持込めない
・トラクション抜け、バタつきは特になく全体的には良い印象
③減衰最強(16)
・不安を持ちながらもブレーキング姿勢は良く 適正な制動ができる
・1コーナー、3コーナーのストロークはやや踏ん張りが強い感じながら
ロールは初期から素直に起きて旋回速度も充分に速い
しかしやや大回りしてしまうのは前後のアンバランスなのか?
・トップターン~最終コーナーまではリヤの引掛りを感じロールが少なく接地が希薄
・最終コーナーも同様に接地がやや希薄で上手く旋回できず加速時バタつきが少々発生
トラクションが横に逃げやすく、前に出ない
・リヤは軽いこともありフロントとのバランスが今ひとつ
④減衰中のやや上(11)
減衰最強(16)から徐々に弱めて全体的に良好な姿勢と旋回、トラクションが得られた
トップターン頂部のみアンダーを感じるが
「3コーナーが速くコンパクトな旋回になった」
↓
「早目に加速できる」
↓
「トップターン進入ややオーバースピード(人間が制御できていない)」
という状況で発生したと考えた
・良好であった減衰 9 と比較して最終コーナーで適正な姿勢を作り出すことができるため
コンパクトに速く旋回
無理をしなくても過去に絶対出来なかった理想に近いラインで速い脱出が出来
ストレートの車速を稼ぐことで最もタイムに反映されたと思われる
・最終コーナーはトップターンから連動していることもあり
ブレーキング~コーナリング~加速の荷重移動がきちんとできた事で
無理のない進入角度、姿勢を作り出せた事も見逃せないと思う
・全体的に初期から姿勢が作りやすく、ロール速度も適正に制御することで
ムダも少なく、トラクション抜け、バタつきもなく 当日最も良いセットに感じた
⑥結果
上記のように段階を追いながらフィーリング、タイヤ観察、データに基づいてセットを行った
結果的に3月5日のタイム29.710を超えることはできなかったが
・気温、路温が随分異なる
・テスト走行のため動き観察を最重視しており、特攻モードの90~95%走行
・足周り激変のために人間が慣れていない、まだ遠慮しながら踏んでいる
・時間切れのため今回はここまでだが もう少し細かく減衰セットする余地がある
・減衰調整を理解するためそれしか行っていない
今後は車高、アライメント、内圧など総合的にセットして真価を出す
ポン付けした状態で上記の事を考慮すれば非常に良いアブソーバーと評価したい
またどのセットでも剛性は向上しておりスムーズな動きを確認できた
⑦セット順タイム推移
set1:30.209(減衰1)
set2:30.042(減衰9)
set3:29.986(減衰9 緒方代表運転)
set4:30.181(減衰16)
set5:29.995(減衰14)
set6:29.929(減衰12)
set7:29.828(減衰11 当日ベスト 時間切れ)
⑧比較
リヤN1ダンパーがまだ生きており
テスト当日に近い条件の2010年10月23日の動画と比較
実際この2つを並べて再生すると
3コーナー以降が全て速く、姿勢も良好になり
縦→横→縦の荷重もスムーズに移動
ラインのブレ具合、ステア舵角、修正舵、マスコットの動きなどを比較すれば差は歴然としている
尚 内圧、車高、アライメント、タイヤは全て同一である
↓(JTC-N1+ID60)と(ZX+ID66)比較動画 ALT走行編
◆総評
JTC-N1ダンパー+ID66スプリングでも充分と思われたが
リヤのみZXダンパーを装着しただけでこれほど良い状態になるとは思わなかった
勿論抜けてしまったリヤからの変更のため比較する事は酷であるが
まだ抜けていなかった当時の動画(2010年10月)や記憶と比較しても歴然
ミニサーキット~ミドルサーキットではN1ダンパーに匹敵または凌駕できる性能であると感じる
これはSF5のリヤストラットがバタつきやトラクション抜けを起しやすく
僕の運転では制御できないため効果が大きいとも考えられる
緒方社長が仰る「しなやかさ」「懐深いダンピング」「剛性の向上」が
特に不安定なSF5と低いスキルの僕には良くマッチして助けてくれる
フロントはリヤに比べて不満は少ないがヘタリを期にOHの替わりにZXへスイッチしたいと考える
テスト&セットを主目的とする場合
ある領域までガツンと踏まなければ本当のところが見えないが
真剣なアタックモードだけで走ると観察したいことを見失いそうになる
結果として最も良い所を見逃すことは極力避けたい
そしてテスト走行とはリスクを背負って踏込む事でもあり
今までのテストでは間違いなくコースアウト及び小破損をしていたが
前回のバネ交換に引き続き今回もスピンさえなく行えた
それどころか今まで欲しかった動きが手に入りマシンがグイグイ曲がるため アタックしたい欲望が強かったが
それを抑えての走行を行うことで
何とか冷静にZXダンパーの性能の片鱗を確認することが出来た
速さと直接関係ないかもしれないが
テストでは休む暇が一切なく ピットで各種測定、データ記入、セットを行ってまた即全開・・・
N1ダンパーの時は相当な疲労感をともない 噛み締めた奥歯と顎の筋肉が痛む事が多かったが
ZXダンパーは疲労も少なく筋肉痛も少ない、奥歯も痛まず顎の筋肉痛もない
つまり緊張度や気合がN1より優しい事を発見した
くどいようだが
JTC-N1+ID60が駄目ではない
鋭さでは上と感じるが 中級の僕には少し神経質で生かせる幅がやや狭いと感じる
実際にTC2000、FSW、SUGOでは殆ど不満を感じなかったが
それはALTより速度が高く、路面グリップも高く、荷重も大きいので
「生かせる幅」に入っていたと考えている
そしてALTという小さなコースで 上手く乗せられた時にベストを刻んでいると考える
この少しだけ気難しい足を使いこなすことにも面白みがあり
上級のドライバーはそこがきちんと出来るので速く
それは走りとタイムで実証している
ZX+ID66にすることで
・単筒倒立が持ちうる剛性とダンピングでバネにマッチさせ
・しなやかなバネにより積極的に足を動かせて姿勢を作ることができ
・ボディの弱さや低い運動性能からくる旋回、トラクションを良好にして
不安定なSF5とスキルの低い僕を助けてタイムアップするという考え方で取組みたい
注意したいのは付けただけでは絶対真価を発揮できない
足も人もセッティングしなければ意味がない「セッティングパーツ」であるという事は
いかなる足でも同じであると考えている
これはあくまでも20万kmの緩んだボディに極端な軽量化を施し、Eg出力を高めたチューンドSF5でのテストであり
一般的な車両とは異なる面が多い事や、評価する僕がスキルの低い素人でもあるため
参考程度に見ていただきたいと思う
したがって人によっても評価は変わると思われるし、車両状態や車種によっても同じ傾向とは限らないため
導入を検討される場合は
ガレージKM1 緒方代表に問い合わせていただきたい
そのうえで
「今の足の限界を感じる」「足がヘタッてきたのでリフレッシュ」「車高調整を新調したい」
などの時に検討されることが良いと思う
◆さいごに・・・
タイムを求める、走りの質を求める、見た目と乗り心地を求める・・・
様々な理由で車高調整を使われると思います。
車高調整が世に出て随分経ちましたが
規制緩和で車高調整が車検OKになり
ネット情報やメーカーのデータ開示が盛んな現在
良く言えば情報が入りやすく、ユーザーは選びやすいと言えますが
逆に情報が多すぎて惑わされ、どれが本当に求める足なのかわからないと聞く事もあります。
僕はカンが鈍く、知識も乏しいため、ショップから説明を頂き、現物を見せて頂き
出来るのであれば試乗まで行ってパーツを選びます。
ショップまで何度も足を運んでガソリンと高速代を払い
ネットより高い商品を買う事は金銭面ではムダのように思えますが
何よりも欲しい「生の情報」「実戦で使った者の評価」が得られ、結果が得られる対価と考えると
決して高いものではないと思っています。
RG(レーシングギア)は僕にとって初めての車高調整であり
調整が可能な足はそれこそ「魔法のパーツ」と思えました。
そしてタイムを出すうえで重要な「セッティングパーツ」として捉え
何度もテスト→調整→テスト・・・を続けて成果が挙げられるものだと思っています。
これは足そのもの と 人間も行います。
その時に現象を把握し対策案を立てる能力が必要になります。
マシンが悪いのか?人間が悪いのか?
具体的にどう悪いのか?
そしてどう対処する事が良いのか?
これは何度も経験して知識も深め
体のセンサーに磨きをかけていく事が必要になり
その過程さえも楽しめる度量があれば誰でも出来ると思いますし
サーキットでも、一般道の法定速度走行でも出来ると思います。
「細く長く続けましょう」
緒方代表がいつも仰る言葉はこういった意味も含まれると思います。
そしてそれが事実である事は何度も体験しました。
足は車を楽しむためにも、タイムを出すためにも重要なものであり
しかし高額なものでもあります。
選定から始まり成果を挙げるまで
じっくり取組めばこれほど面白く奥深い世界はありません。
これから車高調整を導入される方
交換される方
模索されている方まで
足の世界を存分に楽しまれて
手塩に掛けた「速い足」「自慢の足」「楽しい足」になる事を願っています。