キヤノンと言えば…
AE-1でしょ。
と思う人が多いと思いますが、AE-1が出るずっと前に、キヤノンはこんな画期的なカメラを世に出していたのですね。
1965年に登場したペリックスと言うこのカメラ…
形は普通の一眼レフの格好をしていますが、ちょっと違う…
一眼レフカメラの構造的な特徴として、フイルム面の前に設置されたミラーがレンズから入った光を上方に反射させ、ペンタプリズムを経て接眼レンズに導くようになっています。
シャッターを切ると、このミラーが跳ね上がり、設定値まで絞りが絞り込まれ、そこをシャッター幕が開いて、フイルムを感光させます。
シャッター幕が閉じて露光が終わると、絞りが解放されるのと同時に、ミラーがもとの位置に戻ります。
ファインダーを覗いている撮影者からすると、フイルムが露光する僅かな時間、ファインダー像はブラックアウトしてしまうわけで、言うなれば、フイルムが感光する瞬間を、撮影者は見ることができないと…
これがM型ライカのようなレンジファインダー機だと、レンズを通る光とファインダーが全くの別系統になっているので、ブラックアウトはない…
カメラのカシャッというシャッター音は、実はこのミラーが跳ね上がって落ちる音なんですよね。
だから、モータードライブでパシャパシャと連射している時と言うのは、このミラーもパチパチと忙しくまばたきしていると言うことなのです。
ところが、このペリックスと言うカメラ…
見てのとおりミラーはあるのですが、これが動かないように固定されちゃっています。
んじゃあどうなのかと言うと、このミラー、ペリクルミラーと言う特殊なハーフミラーになっていて、常時ファインダーとフイルム面に光を振り分けているのですよ。
レンズから入った光の八割はミラーをそのまま透過してフイルム面に届き、二割はミラーで反射して向きを変え、ファインダーへと導かれる…
ファインダーに光を送るためにフイルム面に当たる光の量が減っちゃうので、実絞りにして1/2段暗くなってしまうデメリットはあるものの、ミラーが動くことによってどうしても発生してしまう、一眼レフの宿命とも言えるミラーショックから解放されると言う、画期的なカメラだったのですね。
(後半へ続く)
Posted at 2020/07/04 23:04:09 | |
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