今回は1977年製 フェラーリ308 GTB 本国仕様 ドライサンプモデルのエンジン出力試験の結果をレポート致します。対象の車は、私のチャンネル動画をご覧になっているご視聴者様のお車になります。フェラーリ308は1975年発売から約10年間販売されたロングセラーのモデルでありその間に数々のモデルチェンジを経ていますが今回対象のフェラーリ308 GTBは1977年製の初期型でエンジンはF106ABという2927cc V8 DOHCの2バルブヘッドでウェーバー40DCNFのキャブレターで制御されるユニットになります。更にこの初期型GTBのみにドライサンプ潤滑システムが与えられます。1977年からはタルガトップモデルのGTSがラインナップに加わりますがエンジンは同型であるものの潤滑方式はウェットサンプでありそれ以降の308シリーズ及び更に328に至るまで潤滑方式はウェットサンプになる事からこの初期型のドライサンプ潤滑方式を搭載するモデルはは大変希少性が高いと言う事になります。メーカー公表の最大トルク、最高出力はそれぞれ29.0kgfm@5000rpm、255PS@7700rpmとなっています。これに対して上述のウェットサンプモデルのエンジンは公表される最高出力が250PSに留まっておりドライサンプのモデルには5PSのアドバンテッジがあるという事になります。ドライサンプは一般的にエンジン下部に設けられたオイルパンにエンジンオイルを貯蔵するウェットサンプとは異なり、オイルポンプとは別のポンプでエンジンから落下するオイルを吸い取り別途設けられたオイルタンクにエンジンオイルを貯蔵します。これによりクランクケース内のブローバイガスや空気も同時に吸い込まれ、レシプロ系に対する空気抵抗が低減し機関損失が低減します。また、ブローバイの処理もより的確に行えるメリットがあります。エンジンオイルが別体のタンクに貯蔵されることにより、旋回時や急減速/加速時のオイルパン中でも油面の暴れがなく、またオイルパンがない事によりエンジン高さを低く設計でき、エンジン搭載レイアウトを下げコーナリング特性を向上させるメリットもあります。このようにドライサンプはスーパーカー必須のかつステータスのようなアイテムと言う事になります。今回のお客様は、このお車を28年前に自ら本国に出向いて購入されておれり、現在では滅多に出てこないこの初期型GTBドライサンプ仕様を現在でも大変大切に所持され、メンテナンスもご自身でやられ、現在は走行距離9.5万kmに達します。このお客様はメーカー公表出力255PSに対して、現在、実際にどれだけ出力が出ているか大変興味を持たれており、この度このお車が私のガレージに持ち込まれたと言う運びになります。50年近く前に設計されたこのイタリア製スーパーカーのエンジンはどんなパフォーマンスを見せてくれるのか?大変楽しみです。また、その13年後に販売が開始された同じ3.0L ミッドシップレイアウトのNA1型 ホンダNSX 3.0Lのエンジン性能とを比較し、技術の進化の大きさを実感していきたいと思います。フェラーリ308 GTB パワーチェック:初期型GTBのみに与えられた特権ドライサンプの魅力の浸ってみる【Hirota Engineering】51 #ferrari308 #フェラーリ (youtube.com)