
もう3日前のこと、あまり自慢できることじゃないけど、試乗会を3つハシゴしました。
まず三浦半島の観音崎でフェイスリフトしたBMW3シリーズの試乗会に参加、325iと320iの2台に乗ったところで自分のポルシェ964C2GTのコクピットに収まり、横浜横須賀道路から横浜の首都高に合流して、みなと未来の近くを会場とするニュー日産キューブの試乗会へ。
そこでキューブに試乗し、その後に商品説明のプレゼンテーションを受けたら、再び964C2GTで首都高横羽線を北上、東京湾岸の品川区天王洲アイルで開かれていた新型ホンダ・アコードの試乗会に滑り込みました。
そこでは、ツアラーなる車名を授かったニューアコードのステーションワゴンに乗って首都高湾岸線で横浜の大黒PAまで往復、それを終えて天王洲アイルのクリスタルヨットクラブに戻ったら、短い冬の日はとっくに落ちて、あたりは闇に包まれていましたっけ。
BMW3シリーズはメカニズム的には従来型とほとんど変わっていないので、走った印象も特に明確な変化はなし、といったところ。実は微細なスペックが一ヶ所だけ変わっているんですが、それをドライビング感覚の違いとして認識できるほど本気でコーナリングできる場所が、三浦半島先端部を中心とするテストルートにはなかったのでした。
その一方、最後に乗ったアコードは、これでもアコードなのか、というほど大きくなったボディと、そのボディの剛性感の高さというか「硬さ」が最も印象に残るクルマでした。しかしその代わり、2.4リッター直4エンジンに特別な気持ちよさや存在感を見出すのは難しく、かつての 「エンジンのホンダ」 はどこへいった、というのが正直な実感でありますね。
つまり昨今のホンダのクルマ、車体はヤワだけどエンジンはとにかく気持ちよく回った昔と比べると、エンジンの存在感とボディの存在感が逆転している印象がありますな。
さて、上の写真は、キューブの運転席から横浜の景色を撮ったものですが、ぐぐっと下が太くて、しかも独特のカーブを描いたAピラーの形状が面白い。しかもサイドウィンドーも角が丸いので、Aピラーが切り取った外の景色は独特のものになります。それでもAピラーは現代のクルマとしては異例に角度が立っているので、太い割りには視界の邪魔にならないのがいいです。
もうひとつキューブに乗って感心したのは、全幅1695㎜という5ナンバーサイズのボディとしては、室内の幅にずいぶん余裕が感じられることでした。サイドウィンドーが上すぼまりになっていない、スクエアなキャビン形状の恩恵なのはいうまでもありませんが、デザイン次第では5ナンバーサイズでも充分に広い室内を生み出せることを、キューブは証明しているといえます。
ところで、近頃は自動車がシロモノ家電化しているとされ、キューブのようなクルマはその典型のようにいわれたりしますが、僕は必ずしもそうは思いませんね。わざわざいうまでもないことですが、クルマは僕らドライバーにとって、あくまで自分で運転して走らせてナンボという、家電製品にはない特質を持っているからです。
で、今回の新型キューブですが、プレゼンで開発担当者が力説していたとおり、街中のペースでもそれなりの運転をすれば、曲がりたい方向にスッと向きを変えるクルマに仕上がっていると実感しました。それに、少なくとも1人乗車の状態では動力性能も充分に軽快だったので、ファン・トゥ・ドライブだとはいわないまでも、運転することが苦痛だったり退屈だったりするするクルマでないのは間違いありません。
僕的には、たとえそれが実用車であっても、クルマはすべてファン・トゥ・ドライブであるべきだと思っています。クルマを運転してそれを意のままに走らせるという行為は、クルマの種類にかかわらず、基本的に面白いんですね、クルマ好きにとっては。だからベーシックには、ドライバーの意味ままに走ってくれるクルマは、ファン・トゥ・ドライブの素質があるといっていいでしょう。
でも、スポーツカーはそれだけじゃ駄目です。スポーツカーは、ドライビングを愉しむために生み出されたクルマだから、単に意のままに走る程度のことじゃあ、真のスポーツカーを名乗る資格はありませんね。ま、長くなるので、それについてはまた別の機会に。
ここでいいたかったのは、新型キューブ、運転しても退屈なクルマではなかったですよ、ということであります。だから、他に硬派なスポーツカーを持っている好き者が、無理なく4人乗れる気負いのない足に使うなんていう用途も、意外や悪くないんじゃないかと・・・。とはいえ、こういう脱力系が嫌いじゃないという人に話は限られますが。
ただしスタイリング的には、先代の方がキューブ=CUBEという車名の語感にストレートなカタチだったような気がするのは、僕だけでしょうか。
Posted at 2008/12/14 00:51:40 | |
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