
ヴァルター・ロールさんとのことを書いたこの前のリポートについて、ポルシェ964カレラRSの標準タイヤサイズに関して 951and968 さんからコメントをいただきましたが、ちょっと誤解があるようなので訂正しておきますね。
951and968 さんは964RSのフロント、7.5Jマグホイールに225/45ZR17が純正標準サイズと書いています。
たしかにRSのホイールはC2のアフターマーケット用に使われているアルミの7Jカップスタイルホイールより0.5Jワイドな7.5Jマグネシウム製ですが、そこに履いたタイヤは225/45ZR17ではなく、205/50ZR17なんですね。
つまりポルシェは、ホイールハウスに余裕のないフロントタイヤをワイドにすることを好まず、その代わりホイールのリムだけ広くしてタイヤのサイドウォール剛性を上げ、205/50サイズから最大限のポテンシャルを引き出そうとしたのではないか、と考えられるわけです。
そこであらためて正確に表記すると、964カレラRSのホイールとタイヤ、フロントが7.5Jに205/50ZR17、リアが9Jに255/40ZR17ということになります。
上の写真は、世界的に有名なスイスの自動車カタログ年鑑『AUTOMOBIL REVUE』1992年版のポルシェ911の項をデジカメに収めたもので、向かって左がドイツ後、右がフランス語による表記ですが、右フランス語の下から8行目から「RS」のブレーキディスク径、タイヤサイズ、ホイールリム幅が順に明記してあり、pneus=タイヤ、AV=フロント、205/50ZR17、AR=リア、255/
40ZR17、jantes=ホイールリム幅、7.5/9J、とありますね。
さらに同年の964ターボ3.3も、フロントが7Jに205/50ZR17、リアが9Jに255/40ZR17と、フロントのリム幅はRSより狭いものの、標準タイヤサイズはRSと同じでした。
このように964RS、純正標準サイズのフロントとリアの幅と扁平率が明確に異なるからこそ、ヴァルター・ロールさんも僕も、最初は首をかしげることになったのでした。
ところが実際、1991年の夏にポルシェ本社で借りてイタリアのステルヴィオ峠まで往復したマリタイムブルーの964RS広報車も205/50ZR17と255/40ZR17の組み合わせで、メイクはわが日本のヨコハマA008Pでしたが、断じて過大なアンダーステアを示すことなく、オーストリアアルプスとイタリアアルプスのワインディングを、僕の意のままに駆け巡ってくれたのであります。
さらにその後、主に国内でも何台もの964RSを走らせましたが、標準サイズのタイヤでハンドリングに不満を感じたことは皆無でありました。
ちなみに僕が今、自分の964C2GTに履いているAutostrada Spread-M7鍛造ホイールとBS RE-050の組み合わせも、フロントが7.5Jに205/50R17、リアが9.0Jに255/40R17というRSサイズですが、すこぶる切れ味鋭く、しかもバランスのいいハンドリングを示してくれます。
さらにいうと、これは自分で試したわけではないので断定的なことはいえませんが、僕の信頼する某ポルシェ専門ワークショップのボス曰く、964に17インチを装着する際に、やはりフロントが205では細すぎると考えて225/45R17を選んだ走り屋のお客さんがいたそうですが、予想とは逆にアンダーステアが強くなって困っていた、とのことであります。
そこで結論めいたことをいえば、タイヤについてもポルシェ自身が設定した標準サイズの組み合わせにはそれなりの意味がある、ということではないでしょうか。
Posted at 2009/05/02 17:31:30 | |
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