
ガレージに帰ってきたら、冷蔵庫におしそーなケーキが…
4.7初タイム計測は自己新の44秒でした。まだ上がりそうです。おそろしや…
…
「分かりました。それで行ってみます。分からなくなったらまた電話します。…ハイ、失礼します。」
Tは電話を切った。どうやら目的地はもうかなり近いようだ。シビックのエンジンをかけ、ゆっくりとクラッチをつなぐ。ここ最近のアイドリングが低い症状は消えてしまっていた。来た道を少し戻り、バス停を目印に細い路地に入る。言われた通り車一台がやっと通れるほどの狭い路地だ。途中原付のおばちゃんをやり過ごし、路地の行き止まりに車を止める。それにしても、京都の北までくるとすっかり田舎で、その分山々の紅葉の様子がよく見られた。市内から見ていた北の方の山々にそのままズームインした感じで、暖色のパッチワークが実際は一つ一つの枯れゆく葉であることを、当り前のことながら改めて思い出させる。天気もどんどん良くなっているし、今日は紅葉を楽しむには絶好の、そして時期としては最後の機会になりそうだ。
車を降りてしばらくあたりを探すも、それらしい建物、車が見当たらない。間違えたか、とも一瞬思ったが、電話の説明からするとやはりここしか考えられない。Tは物事を外堀から埋める癖があるので、今の段階でもう一度電話をするという選択肢は頭にない。もう少し範囲を広めて探してみる。しばらくして、最初民家の入口かと思った坂が、実は奥まで道が続いていることに気づく。ためらわずにTは坂を進む。そしてそこで彼は一台の車を目撃する…。
それは彼が見にきた目的の車で無いと一目で分かった。明らかに車格が小さい。見覚えのある、特徴的な(いわゆる)オタク系のマンガのカラーリング!そう、その車は、Tの趣味である車の競技のひとつ、「ラリー」の全日本大会チャンピオンマシンであった!Tの鼓動が明らかに速くなる。「ということは…」と思うや否や、次に目に入ってきたのは、車の競技のオフィシャル(お手伝い)で何度か見たことのある、某大学の自動車部の面々ではないか!!ここまでですでに、彼らの後ろからSが姿を現すより先に、Tは確信した。
「やっぱりあの人だったんだ…。」
最初の直観通り、Sとは、やはりラリーの地区選手権で今年チャンピオンをとったあのSだったのだ。確かにプレイドライブには、マンガカラーリングのマシンのサスペンションを移植した、と書いてあった。名前が違ったのは、プレイドライブのリザルトが彼の息子の名前だということだった。
ところで、目的の車は、予想通りしっかりと作られた車だった。Tはこのときばかりは横に置かれた黒いシビックの存在も忘れて、この車に乗る自分を想像したりしていた。しかし…残念ながら、Sが考えていた値段と、Tの予算には開きがあり、結局、試乗の後には二度とこの車に乗ることはなかった。
ただ、TがSの元を去ったのはあってから三時間も後である。車の買い手、売り手という以前に、彼らは車が大好きな、そして共に車の競技者である。すっかり話に花が咲き、帰る頃にはTは今日何をしに来たのか忘れているくらいだった。Sとも以前オフィシャルで会ったことがあったが、初めて親しくいろいろな話をすることができた。
…
Tは夕日に目を細めながら、名神高速を大阪方面に走らせていた。「交渉決裂」。簡単にいえばこうなるが、Tの心は負の要素が消えていた。Sととても有意義な話ができた、というのもあるかも知れない。でも、このなんだかほっとした感じ、安心感。やっぱり本当の理由はほかにあるかもしれない、と、シビックのハンドルを見つめながらTはぼんやり考えていた。
シビックは軽快に高速を駆け抜けていく…。
まぁ要するにランサーはぽしゃりました。金額に開きがある、というより、やっぱ入札して、と言われたので。そして、すぐにオク上で僕の予算を超えました泣
でもSさんには、ダートラの活性化、そのための学生の取り込み、など大切な話を聞かせていただきました。僕も生意気ながら学生の立場の考えもちょっと伝えることができました。
でも、最初あの人らが出品者だと分かった時、やっぱ世間ってせまいなって感じました笑
おわり
Posted at 2009/12/08 04:04:23 | |
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