• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2010年10月25日

M・T氏との逍遥 ~葛西でハイテンション・越中島でいとわびし・門前仲町で食道楽~


私とM・T氏との出会いは、偶然過ぎて天の計らいであるかのごとく劇的である。
詳しくは述べないが、その後、今に至るまで親しくしていただいている。
氏とは非定期的に都内をぶらり散歩を行う。最初は私が何気なく提案してみたのだけれど、一年前の今頃に初めて散歩を初めてから、はや四回になる。
非常に昔のことのように思われるが、まだ一年しか過ぎていないともいえる。
時間というのは非常に心理的なものなのだなと思う。

江戸川区の葛西駅にて待ち合わせ。天気はむろん晴れ。この季節にしては暑ささえ感じる陽気だった。
ちなみに、私はあっぱれなほどの晴れ男である(と思っている)。
葛西駅を待ち合わせ場所にした意味というのは、互いの便がいいというわけでもないし、それほど入念に考えたわけでもないが、なんとなくの直感で私が決めた。散歩のようなぶらりぶらりと弛緩させながら楽しむときには、何事も適当でいいのではないかと思うし、直感から織りなされた散歩行程のことごとくが楽しく、感傷深く、いわばいいことづくめであったのだ。
ちなみに、江戸川区は東京の最東南部で、区内東部を流れる江戸川を超えると、すぐに千葉県で、ディズニーランドを擁する千葉県浦安市も間近である。

「これは欲しいな」
M・T氏は本当に心から欲しいなというような調子で述べる。ただし、口調が穏やかなせいか、物欲しさというよりは、純粋無垢な童心さを氏は時折述べる。氏の感受性が非常に広くて豊かな証左でもあるが、氏は同時に丸の内に通うエリートのビジネスパーソンでもあり、私はどうも氏のエリートさと童心さが共存していることが面白く、また親しみを感じてしまうのである。
ところで、氏が欲しいと述べたものとは、地下鉄路線を運転するシミュレータ装置である。
葛西駅に隣した場所に地下鉄博物館という建物があり、そこでの一幕を私は述べている。私たちはそこをまず起点として散歩をすることにした。
地下鉄博物館は地下鉄愛好家以外にも楽しめる場所だと思う。狭苦しい場所でもなく広大な場所でもない。程々の場所に好事家よりも、子供が目立つ。そんな空間である。ただ、初期の地下鉄銀座線や丸ノ内線の車両が展示されていたり、
シミュレータではおそらく往年の運転士の方が、状況ごとの運転方法(坂道での加減速や駅に停車するときのコツなど)を教えてくれる。
非常に実りのいい穂のように、収穫が大となる場所で、おすすめである。
M・T氏の精神も心なしか高揚していて、沈着な氏にしては珍しい。
ちなみに、互いに鉄道に興味はあるが、鉄道に対してとことん入れ込んでいるというわけでもない。そんな程々の興味を持つ人間でも十分に楽しめるのだ。



葛西駅から歩を西へ進める。同じく東西線の西葛西駅を目指す。
「接骨院が多い」
氏は非常に鋭敏で独特なセンサーを備えているようである。葛西は都心にも近く非常に住み心地の良い街であるくらいに思っていた私は、この氏のセンサーに驚いた。たしかに、言われてみれば接骨院の数が多く、なぜこれほどに接骨院がたくさんあるのかが皆目見当がつかないので、
「ほねつぎの人たちが集って、街を形成したのかもしれませんね」と私も見当がつかないような受け答えをした。



西葛西駅からは都営バス(通称・都バス)に乗り、より都心に近い西側の江東区まで一挙に向かおうとした。発案は私なのだが、バスという小さい空間の中で同じ人たち(乗客)と乗っていて、会話などを聞いてみると、その土地ならではの話なんぞが出てきて面白いかなとも思ったのだ。
それにしても最近のバスは乗り心地が良い。昔の長く突き出たシフトノブで操作するバスはときどき、シフトのときにごりごりっという音をさせながら、よくノッキングのような挙動を示していたものだが、今はそういう場面も少なくとも都内では見なくなった。

大河ともいえる新中川と荒川(放水路)を渡る。荒川放水路とは人工で作られた河川で、昭和のはじめにこれほどの巨大な河川(放水路というよりはもう立派な河川の佇まいだ)が作られたということに驚きを感じる。軍艦が一隻購入できるほどの資本を投下したのだ。一大プロジェクトといっていい。
放水路建設の目的は隅田川の氾濫を防ぐためだとされるが、放水路完成以降、隅田川では川の氾濫は一度もないという。流域面積でいえば、都区内一だろうし、全国的に見ても屈指の規模なのではないか。

江東区に入った。江東区東部は城東地区と呼ばれ(江戸城の東という意味であろう)、往年は京浜工業地帯の中心で工場が密集していたが、工場の郊外移転以後はその広い立地を利用して、大規模な高層マンションやショッピングモールがあり、都区内としては異質な景観を見せてくれる。
境川というバス停で降り、草の群がる無機質な柵に向かって歩を進める。
越中島貨物線の線路である。
貨物輸送はとうに廃止されているが、運行自体は行われている。ただし、非電化区間のために、電車は入れずに主役となるのはディーゼル機関車となるが、そうそう走っているものではないので、走っていればいいななんて思っていたら、私たちの方向に向かって走る一大のディーゼル機関車が見え、反射的に二人してシャッターを切る。この光景を後から想像すると可笑しくて仕方ないのだが、それほどに貴重な瞬間を私たちは経験したといってよい。



越中島貨物線にはかつて小名木川駅という貨物駅があり、私はよく記憶に残っている。コンテナが無数に置かれ、いかにも貨物駅であるという風情であったが、いまはその痕跡はほぼ皆無で大規模ショッピングセンターに変化している。
私たちは旧小名木川駅より南にいまだ現存している越中島貨物駅を目指している。路線は単線で手入れもほどほどという感じである。そんな路線に、中途、交通量の多い道路に貨物線の踏切が直角していている。
道路は交通量の多さから分かるとおり、今でも繁茂している。一方で貨物線は実際には貨物輸送が廃止され、線路を通りゆく機関車も日に数度もあるかどうか。
これらが一つの空間に共存しているさまが非常に面白い。




これは必然なのかたまたまなのか、越中島貨物駅の隣には地下鉄東西線の車両基地があり、JR京葉線の路線も貨物駅傍を走っていて(これは貨物線と多少の関係があるのかもしれない)、一つの鉄道密集地帯を形成している。
この付近は埋め立て地帯で、少し前まで陸の孤島と呼ばれていたくらいだった。
したがって、車両基地や貨物駅を設置する空間的なゆとりがあったのだろう。
今は豊洲の高層マンションが間近に見えて、その空間的な様相はだいぶ大都市らしくなってきているといえるかもしれない。



貨物駅を高架から眺めた頃は、もう夜が暗くなっていた。
実は越中島貨物駅からさらに路線が伸びていた。
東京港湾鉄道と呼ばれ、晴海や豊洲方面まで伸びていた。
随分とまえに廃止されたが、長らく路線が残され、今でも一部線路が残されているという。今回の散歩で確認した限りでは、貨物駅から500メートルほどのところで、線路が寸断されており、これが東京港湾鉄道の線路だったのかどうかは定かではない。いつまで放置されているのかはわからないが、私は往年栄えていて、今は廃墟と化したような光景を眺めて、応時を想像するのが好きなので、できる限り放置されたままにしてもらいたいと思っている。



日がすっかり暮れた。
門前仲町の界隈で一杯やろうという話になり(というか、すでに私たちの散歩ではお約束になっている)、にぎやかな商店街のなかで、雰囲気や味が良さげな店を探す。
M・T氏は店探しの嗅覚も優れていて、氏の直感に委ねるとまず間違いなく、満足できるお店に遭遇できる。
そこで、今回も氏の直感に委ねることにした。
それにしても、直感の作動原理とは不思議である。
どのようにして閃きが生まれるのだろう。
直感が生じるきっかけを多少なりとも論理的に説明していただきたいと思っていたが、あっさり忘れていた。

テーブルに七輪が載せられる。サザエや焼き鳥などを自分で焼くというシステムだ。
特にサザエは海の匂いというか、海の家のような匂いが漂うようで非常においしかった。つまり、味も抜群で氏の直感はまたしても正常に賢明に作動したということである。その他ほっけや刺身など様々なものをほおばったが、どれもおいしかった。
きんきんに冷えたビールも運動をしてきた身にはたまらなく、極楽浄土はかくあるべきやなんて思ったものである。まあ、冗談だが。

M・T氏は気前がいいというのか、私はいつもご馳走になっている。
万事が人の喜びを見るのが自分の喜びでもあると感じる性質の人なのかなとも思う。
というわけで、私は焼酎もいただき(氏も焼酎好きだが今回はビール飲み)、遠慮なくご馳走に預かることにした。
こういうときに無用な遠慮は必要ないと思っている。遠慮は謙譲の美徳だが、過度な遠慮というのは好みではない。
従って、ただ感謝すればいいのだと思う。

門前仲町の駅で解散し、各々帰路へ。
帰路に氏からメールがあり、今日の散歩で一番最初に訪れた地下鉄博物館で、地下鉄の車両運転をシミュレータしている私の写真を画像添付して送ってきてくださった。
こういう点は非常にマメで、いつも感心するのだが、うっかりと人の名前を間違えてしまう点などもあり、茶目っ気もある。
まあ、人物評はともかく、大いに楽しめた。
M・T氏には心から感謝申し上げたい。

フォトギャラリー→https://minkara.carview.co.jp/userid/730895/car/643437/2296586/photo.aspx
ブログ一覧 | 散歩 | 旅行/地域
Posted at 2010/10/25 13:49:32

イイね!0件



タグ

今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

俄か雨レジスタンスやランドセル
CSDJPさん

今日のランチは、町中華〜♪
シロだもんさん

「関東セリカday2025in渋川 ...
鏑木モータースさん

雨に唄えば(哀歌)
きリぎリすさん

ロータスヨーロッパお仲間が増えた件 ...
ヒロ桜井さん

【シェアスタイル】カーサイドオーニ ...
株式会社シェアスタイルさん

この記事へのコメント

2010年10月25日 17:05
こんにちは~。
地下鉄博物館行ってみたいですね~♪
電化されてない線路はスッキリしていて好きです。
DE10は地元の駅や真岡鐵道で活躍してます。
自分としてはDD51のほうが形のバランスが取れていて好きなんですけどね(^^;
コメントへの返答
2010年10月25日 23:34
こんばんは^^
地下鉄博物館はお勧めです。葛西ならば近隣にたくさんのコインパーキングもありますので、自動車での来館も可能でしょう。

実は先々週に真岡に行き、真岡鐡道の列車を初めてみました。気動車でしたね。これもブログで書いた散策と同様に突然に眼前に現われました。気づいたらシャッター(携帯電話のカメラのボタン)を押していました^^

DE10とDD51ですが、画像検索してみると確かに形が異なりますね。私は凸型ディーゼル機関車がみんな同じ形に見えていたので、新鮮でした^^
DE10はボンネットの長さが片寄ってますかね~
いろいろと比較してみると面白いですね!
2010年10月25日 21:44
昔葛西住んでましたw
2枚目の画像~葛西中央通りですね。東西線高架下ですね。
の黄色い塀のところの東西線高架下はコインランドリーでしてねぇ~
それもドライクリーニングが安価にできる優れものでして~~~
スーツを頻繁に洗いに行っていた記憶があります(笑)
小名木川も住んでた頃は貨物駅として現役でしたが、廃止になって跡地がアリオになって、次代の流れを感じます。越中島のレールセンターのDE10のレール輸送のみで寂しい限りですが、貨物が現役の頃は結構DD51のコンテナ貨物が発着しているのを見かけた思い出があります。
コメントへの返答
2010年10月25日 23:49
え?(笑)以前、お聞きしたような気もいたしますが、びっくりです(^^;;
さすがにお詳しいですね。あの辺りは臨海地区でも変化していないほうだとは思うのですが、それでもちょっとだけ迷ってしまいました(笑)
コインランドリーって、同じく高架下に自動車の駐車場があったりしません?だとすれば、まだ営業していて繁盛していますよ^^

小名木川駅からまっつぐ行った箇所に住んでいました(笑)アリオというショッピングモールになってびっくりしましたが、夏に確認したところ信号機には「小名木川駅前」という標記が残されています。今はT字の交差点ではなく、十字の交差点に変わっています。
ところで、
小名木川駅フェスタでしたっけ?
当時の小名木川駅のお祭りにもよく行きましたし、亀戸にも縁があったので、今思えば、DE10もDD51も頻繁に見たのだなと思います。永代通りの踏切で足止めされたこともありました(笑)
そう思うと非常に貴重な経験をしたのだなと思いますが、今になってわかるんですよね^^
2010年10月26日 0:28
>慮は謙譲の美徳だが、過度な遠慮というのは好みではない。
>従って、ただ感謝すればいいのだと思う。

ココにヒットしました(・-・*)ヌフ
私もそう思います。

それにしてもいいなぁ地下鉄博物館。
こういうのを見てると、楽しいです。
ハッ∑(゚ロ゚〃)・・・もしかしたら、私が同世代の女性のお友達と会話が噛み合ないのって、地下鉄博物館をいいなぁ。って思うから?なんでしょうか?
コメントへの返答
2010年10月26日 1:05
こんばんは^^
「頂けるものはありがたく頂く」という考えが私の好みです。一番、自然な感じが私にはします。
もちろん、人はそれぞれなので、あくまで私の考えにすぎません。が、それでも、ちあきさんの脳にヒットしたのであれば、光栄ですよ^-^

どの世代でも、男性でも女性でも、
同じ趣味の人たちって必ずいると思います。
身近にいすぎて気づいていないだけかもしれませんしね^^b

地下鉄博物館はお勧めです。女性の方も多かったように思えました。
駅から徒歩0分です。実際に行ってみてください♪
2010年10月31日 20:29
こんばんは
詳細レポありがとうございます。

原寸大地下鉄シュミレーターが欲しくてたまらないのでヤフオクで探してみたのですがなかったです。
コメントへの返答
2010年10月31日 23:23
こんばんは^^
今回もまた空間を認識する視座が広がったような気がします。そして、こうして文章に書き起こすと、散歩したときとは、また違った視座が生じるんですよ。
これが面白いところです。

ヤフオクで探されるとは流石に常人離れしておりますね~^^
「欲しいものは無心に探す」
とてもいいことだと思います。
私と似ています(笑)
そのうち、何らかの結果が付随してくると思いますよ♪


プロフィール

「@ひらめんたいこ ご来館されたことがありましたか。なかなか考えさせられる問題であることを再認識しました。一概に誰が良い悪いとは言えないと思いますし。
勉強になりました。昨日はその後、ギリギリ東京都にある洒落た喫茶店に行ってきました(^^)」
何シテル?   06/30 16:51
帝都東京の地を根城とし、四方八方と旅する行動力の塊がワタクシ、ワルめーらでございます。 東京から大阪くらいまで(往復で1000キロ程度)なら日帰りで行き帰りす...

ハイタッチ!drive

みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/7 >>

  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

リンク・クリップ

トライアルC25さんのスズキ スイフトスポーツ 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/10/16 23:35:54
April 6th,2024 エンジンオイル交換(エレメント○) 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/07/31 22:58:43
子連れ向きの海水浴場 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2023/05/23 09:42:28

愛車一覧

スバル インプレッサ WRX STI 涙目だけれど笑顔号 (スバル インプレッサ WRX STI)
36万キロエンジンオーバーホール歴無しの全国周遊マシン👍 黄色くラッピングされた給油口 ...
スズキ スイフトスポーツ スズキ スイフトスポーツ
2025年5月26日納車🌸 赤黒2トーンのファイナルエディションです。Dオプを付けま ...
スズキ スイフトスポーツ 鈴木の運動車 (スズキ スイフトスポーツ)
ノーマルのスイフトに加えて、二代目のスイフトスポーツを購入。 5速マニュアルのチャンピオ ...
その他 なんでしょ その他 なんでしょ
令和のクルマも手に入れたので、時計の針を戻して、今度は久し振りに昭和を偲ぼうかとも思って ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation