
ご無沙汰の更新となってしまいました(汗)
就職活動の本格化、に加えて、先月末ついにあの「グランツーリスモ5」が登場したことで、クルマ大好き就活生にとっては時間がどれだけあっても足りない、という苦悩の年末進行を迎えています(苦笑)。
というわけで、今回の試乗記は、前回予告しました話題のフィットハイブリッドの徹底試乗レポートです。
テスト車両はハイブリッドのベースモデル(159万円)、カラーはハイブリッド専用色「フレッシュライムメタリック」。通称カエル色(笑)。しかし、デミオなどでも最近はエコをどことなく連想させる、緑系色が人気なのでしょうか。今回のテスト車はまだ走行1000kmちょっとという完全なフレッシュコンディション。これを相棒として2日間、途中いろいろあってなんと車中泊までした、48時間みっちり、計900kmを走った上でのインプレッションをお届けしたいと思います。
さて、そんな目立つボディーカラーを除けば、ハイブリッドである事の自己主張はかなり控えめ。グリル、前後ライト、ホイールキャップが専用タイプで(ちなみにアルミホイールはベース車と共通デザイン)、あとの判別材料はエンブレムだけ。個人的にはそろそろ「エコカー=クリアテール」という安直な差別化は辞めたほうがいい…もっともこれはハイブリッドに限らず、夕暮れ時の後方視認性の悪さが大問題のクリアタイプのテールランプを採用する車全般に言える事ではありますが。フロントライトとともに、すこーしだけブルーレンズになっていることが伺えます。RSはブラック基調で、他はシンプルなレッドのレンズになっています。
ちなみに、このリアテールの下部分はLEDで光ることもなく、完全なるダミー。これは初代前期のフィットでも同じで、ひょっとするとまた懐かしの「下部点灯」のDIYが流行るかもしれません。
マイナーチェンジで「おちょぼ口」気味になったフロントバンパー、その理由は空力対策。実はフロントフェンダーまで新規になっているあたり、ホンダのフィットへの意気込みが伝わってきます。
さてハイブリッドの特徴は、むしろインテリアの違いの方が明確かもしれません。基本はベース車と同じ3眼タイプ、ですがスピードメーターの照明がグリーン~ブルーに変化するこの常時点灯式のアンビエントメーターは、とても質感が高く視認性も○。これを見ると、インサイトやシビックの2段式メーターの意味不明さがさらに明確になります。個人的にはCR-Zのこだわりのメーターより、このフィットHVのほうがすっきりシンプルにまとまっており好感が持てます。
インパネのレイアウトはパッと見いろいろごちゃついているように見えてしまいますが、実際の操作性の良さや小物入れの豊富さはさすが。ただそのグロテスクなステアリングデザインとともに、もう少しシンプルにすっきりとまとまっていてほしいな・・・と個人的感想。
フィットの美点の1つとして挙げられるのが、視界の広さ。先代フィットの反省からAピラーを細くし、三角窓を大型化。低めのダッシュボードと相まって、ドライビング中の解放感の高さは圧倒的。これが実際よりも大きめのクルマに乗っている…ミニバン的な雰囲気を感じさせる1つかもしれません。その反面、改善されていないのは、フロントガラスへのダッシュボードの写り込み。先代よりは少しマシになっているものの、まだ抜本的解決にはなっていません。一度気になり始めるとかなり目障りになるので、試乗される時には是非確認を。
さて、今回フィットにハイブリッドが登場すると聞いた時、「なるほど、センタータンクレイアウトを生かしたパッケージングで、従来ガソリンタンクのあった場所にモーターを積むんだな・・・」と誰しもが思ったはずですが、ホンダはフィット独自のパッケージング・シートアレンジを「ほぼ」全く犠牲にすることなく、ハイブリッド化を遂行してきました。リアシートのサイズ、アレンジはベースモデルと全く同じ。ラゲッジルームのフロアがややかさ上げされて容量が減っていますが、むしろ開口部との段差がなくなって、ベースモデルよりも使いやすいくらい。大きな差は床下収納の有無であり、広大なベースモデルとは違いハイブリッドは床下ぎっしりで、申し訳程度に細長いスペースがあるだけ(三角表示板を収納するのにちょうどいいスペースです)。もちろん、減ったといってもこれで十分以上なスペース。容量的には先日登場したラクティスに負けてはいますが、使い勝手でいえばあちらの比ではなく、やはりいまだこのセグメントで断トツに優れています。
さてフィットに関してよく言われる「収納を優先して、肝心のシート自体の造りが…」云々言われる事がよくありますが、現行型に関してはかなり改善されていることを改めて声高に主張しておきたいと思います。クッション性もほどほどにあり、178cmの自分が座るには十分な空間とシートサイズ。とは言っても、先日かなり絶賛したスイフトと比べてしまうと、簡素に感じるかもしれません。もちろん、スペースユーティリティ的にはフィットの圧勝。
ちなみに、巷で大絶賛されている(されすぎ?)VWポロのリアシートに目を向けると、スイフトはもちろんのことフィットにも全く届きません。嘘だぁ!と思われる方は一度、ポロのリアシート座面を跳ね上げて実際確認してみることをお勧めします。「欧州車はシートがいい」という神話はここまで崩壊してきたか…という現実を、まざまざと実感させられる事かと思います。「そんな、コンパクトカーだし、リアシートの使用頻度はそんな多くないんだから…」と言うならば、これもESPと同じくしょっちゅう主張される「リアシート中央席のヘッドレスト&3点式シートベルト」の存在意義は?となるわけです。ただ目に見える装備が付いていればいい、というわけでは全くもってありません。というわけで決して「輸入車アンチ」でも「輸入車信仰者」というわけでもなく、公平な立場として、フィットにはセンターヘッドレストと3点式ベルトの装着を是非!とホンダにお願いしたいと思います。ホント、パッケージング上での欠点と言えば、これくらいしか思いつきませんから。
2012年からESP装着義務化が施行されるそうですが、「これで事故率が下がる!」「安全に鈍感な日本車ユーザー&メーカーがやっと動き出す!」…と諸手を挙げて喜ぶような状況になると考えるのは早とちり。個人的にはもちろんESP装着推進派ではありますが、サプライヤーメーカーの誇張的な自社商品宣伝にまんまと乗せられて、過度な信頼を置くわけにもいかない…と、常々思っています。
このネタに関しては、自動車ジャーナリストの方のブログで取り上げられる度に、炎上気味にコメント欄が盛り上がりますが、個人的にはどちらの言い分も分かります。確かにESPの効果は絶大で、しかし全車標準装着義務化となれば、無知なユーザーが全てをメカニズムに頼り、定期的な点検をさらに怠る可能性もあるわけです。某方のブログで今「おじいちゃんが朝孫を送っていくときに直線で凍結によりスリップ→川へ転落という悲劇がありましたが、ああしたものもかなり防げると思います。」との記述がある通り、プロのジャーナリストの方がこんな事をブログに堂々と書いてしまうと、さもESPがあればどんな道路でもノーマルタイヤで魔法のように走れる…と取られてしまってもおかしくはないわけです。凍結路面でタイヤグリップの限界を超えれば、ABSもESPもへったくれもありません。装着された、よしそれでいい。果たして本当にそうでしょうか?
安全運転してりゃいいんだよ、じゃぁなんで速度リミッターを100キロにしないんだよ?という主張はやや行き過ぎだとは思いますが、確かに一理あるわけです。かたや一部では、トヨタのVSCは過剰制御すぎる・・・また制御の仕方がナチュラルではない…OFFできないのは物足りない、等々の相反するコメントも渦巻いているわけですしね。
もう一度繰り返しますが、個人的にはもう完全にESP標準推進派ではあります。しかし、闇雲にとにかくESPESPESP…を繰り返すのは、ちょっと違うんじゃないかな?と。もちろん車の安全性に関してESPは欠かせない1つの重要なデバイスではありますが、それが完全なる必要十分条件であるという思考は、これもこれでいわゆる今の「安全意識の低い日本車ユーザー」と同じくらいの危険を孕んでいるのでは…
と、全く話が脱線してしまいました(苦笑)。フィットハイブリッドの走りのインプレッションは、次回後編で。同時にまたこの「ESP」「サイドエアバッグ」「後席中央ヘッドレスト&3点式ベルト」の安全議論3神具、に関しても、何かの形で取り上げられたらな…と思います。
ブログ一覧 |
ホンダ | 日記
Posted at
2010/12/11 15:07:30