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九郎田一馬のブログ一覧

2014年08月30日 イイね!

トヨタプログレ その3 ~20世紀の残り香と、残すべき味わい~

トヨタプログレ その3 ~20世紀の残り香と、残すべき味わい~また、随分と期間空いてしまいました。。。

・・・・・・・・・・


エンジンをかけると、
シュルルンとストレート6が目覚めさせ
助手席に局長を乗せ、そろりそろりと動かし始める。
いわゆる街中をソロソロと動き始める程度の速度だが
なかなか、緊張の一瞬。

ファーストインプレッションは、
全体に醸し出される、スムーズさ。
”非”直噴の直列6気筒は、音色自体はとても澄んでいて良いが、
トヨタ車らしくとても静か。
これならもっと聞かせる演出をしてくれても良いのに・・・
とも思いますが、
スローなステアリングギア比、
ロックアップをあまりさせず
滑らせてスムーズにつなげていくタイプの4速AT、
ボディ全体ではなく、足元から衝撃を取り除そうとする
柔らかめのブッシュ、バネ、、、
これが89年登場の初代セルシオ以来の
トヨタワールド。

けど、案外ダンパーはしっかり、しっとりしている。
それに、ボディも思っていたより堅牢だ。
詳しくい内容は、局長からお聞きしていないが
徹底的に行ったというリフレッシュが
相当良い方向に効いているのだろう。
とても、10万km目前の車とは思えない。

次第に速度を上げていく。
局長に促され、ATをパワーモードにする。
アクセルレスポンスがグッと向上し
4000回転~の滑らかさが際立つ。。。
しかし、ストレート6は、
何も飛ばさずとも、踏まずとも、
街中をゆったりと流すリズムでも
アクセルの開け閉めによる、回転の上がり下がり、
それだけでも気持ちいい。



しかし、それにしても、
この味の「濃さ」は、いったい何なんだろう。

おそらくは、21世紀にかけて
「燃費」や「環境」や「効率化」という言葉の元に
失われた味わいというものなのだと思う。
それが直列6気筒であり、油圧パワステであり…

ダウンサイジングが主流となった今、
ジャガーのように、2L4気筒ターボエンジンを搭載する
1000万円クラスだなんていう車も現れた。
ダウンサイジングの波に遅れた?とも言える国産勢は
そのおかげで、比較的6気筒が選びやすい状況、だったが
トヨタはレクサスNXで登場たターボエンジンを、
日産もダイムラー製のターボを横展開・・・
500万円以下では、6気筒エンジンを選ぶ事さえ
困難な状況になってきているのである。


ましてや、ストレート6は・・・
FR絶対主義でさえ諦めているBMWでも、
ドーピング(ターボ)しかない状況。
NAの6気筒エンジンをいい個体で味わえるのは、
いよいよこのあたりが最後かもしれない・・・。

今のシビックは、ホンダが誇る
NA最高峰のVTECを味わえる
最後の機会だと思い、手に入れた理由が大きい。

次は・・・マルチシリンダーか・・・?
このプログレとの出会いで
その気持ちが確実に大きくなっているのは、事実である。





Posted at 2014/08/31 00:22:41 | コメント(2) | トラックバック(0) | トヨタ | 日記
2014年06月30日 イイね!

トヨタプログレ 〜進歩という名の挑戦〜

トヨタプログレ 〜進歩という名の挑戦〜 プログレ…その名前を意識したのは、1997年の第38回東京モーターショウ。当時まだ9歳だった関西住みとしては、モーターショウなんて夢のまた夢…という印象で、この時期の自動車雑誌を、食い入るように何度も見返したものです。

確か当時…driver誌、まだ5日−20日と、2週間誌だった頃です。ちょうどNAロードスターがNBへとFMCされる直前の実車初公開の記事が載っていたような。それが東京モーターショウ特集号でした。

振り返ればこの年のトヨタのコンセプトカーは、ほぼ市販を前提にしたモデルが多かったのです。MR-Sも随分と現実味を増していましたし、その後ランクル100としてデビューするグランドクルーザーなんて市販姿そのもの。



またこの当時“クロカンRV”の帝王ランクルの新型モデルと同時に、この場97年のTMSで市販前提のコンセプトモデルとして登場したのが、成り立ちを乗用から発展させた凛々しい顔つきの新世代RV…そう、それがハリアーでした。この車が世界に与えた影響の大きさは、その後の欧州系メーカーの動きを見れば一目瞭然。ある意味でロードスターに次ぐ、日本が“自動車文化としての”エポックメイキングを果たしたそんな1台でした。

そんな中登場した、こちらも市販を前提にしたトヨタの新型FRサルーン。見た目はちょっと着飾ったコンフォート?と思われがちながら、トヨタが本気になって“ポストクラウン”を考えた、小さな高級車としての“王者の挑戦”…。

全長4.5m、全幅1.7mは完全に5ナンバーサイズ。そこへ2.5L・3.0Lのストレート6を搭載…しかしながらホイールベースは当時の100系マークⅡより50㎜も長い。コロナサイズで直6のFR、けども室内…リアシートやトランクスペースはマークⅡを寄せ付けないほど広く、エクステリアやインテリアのクオリティは、それこそクラウンをも飛び越え、セルシオ…はたまたセンチュリークラスにまで手が届きそうなハイレベル。まだバブル前後のハイソカーブームの名残が残っていた日本のハードトップセダン群に対し、当時としては実に先進的・革命的な試みでした。



勿論、そこにはメルセデスCクラス(W202)やBMW3シリーズ(E36)の影響があったのは確実であり、ようやく時代遅れだった日本車が思想において追いついた…という言い方もできるかもしれませんが、その中に秘めた志は本当に高く、そこにあえてクラウンという絶対的な王者を率いるトヨタがあえてニッチに挑戦した事に、その挑戦の偉大さがうかがい知れます。まさにそれは、日本の“バンテンプラ・プリンセス”の生まれた瞬間だった…。



1998年5月、“NC250”は「ニューロン」という名前で登場予定だったが、その後市販前に再び変更となり、フランス語で“進歩”という意味の「プログレ」と名付けられて登場。フロントやリアはもちろんの事、お馴染みのトヨタマークがいっさいエンブレムとして用いられていなかった事からも、トヨタの本気度が感じられた。

しかし…このプログレ、決して大ヒットとはならなかった。振り返れば、理由は様々あるでしょう。このボディサイズでクラウン並に価格が高く(それでも、利益率は格段にこちらの方が少なかったと噂されている)、スタイリングも地味目で分かりやすいステイタス性には乏しかった。
今でも人気の高い、当時のトヨタセダンの中では本当に革命的にカッコよかった2代目のトヨタアリストがほぼ同時期の登場というのも、タイミングが悪かった一因かもしれません。



さらにはここからトヨタのセダンイノベーションは、やや迷走し始める事となる。1年後にAE86の再来と言われたアルテッツァ、2年後にはプログレをベースとした初代クラウンを彷彿とさせるオリジン…このあたりまではまだ良いとして、マークⅡはセダンボディとなり3兄弟制度を無くし、チェイサー・クレスタ後継といわれたトヨタ製イタリア風味?のヴェロッサ、直接的なプログレ後継と言われつつ晩年まで併売されたブレビス…ある意味でトヨタの焦りによる乱発があった事は否めない。

折しも、この21世紀初頭頃といえば、第2次ミニバンブーム。初代オデッセイから火がついたこのバトルは、この時期ちょうどオデッセイが2代目へ、イプサムが3ナンバー化、エスティマがFF化してガチンコ勝負を挑み、その下からはステップワゴン・セレナ・ノア、はたまたストリームにウィッシュ…市場を席巻するミニバンたちに、セダンがなんとか生き残ろうともがき苦しんでいた結果だったのかもしれない。



 そしてその後2003年、「保守の王様」だった肝心要のクラウン自体が、直6と別れを告げグッと若々しいスタイリングで大変身…そう、あの「ゼロクラウン」が登場する。いまでも振り返れば、トヨタセダンにおけるプログレの次の革命は、このクラウン自体の大変身だった。乱立したモデルが、少なからず、保守的クラウン思想への挑戦、アンチテーゼだったものが、その基準となったクラウン自体が大変身を遂げた時点で、その存在意義は限りなく薄まってしまった事となる。そして結果、このクラウンは当時大ヒット。そう、それこそ、現行型のように、見てくれだけの子供騙しのようなデカいグリルを張り付けたりピンク色に塗って話題を集めたりするようなものではなく、このゼロクラウンは本当に高級車としての立ち振る舞いを考えた、素晴らしい変革でした。
 (そう、今のクラウンも、中身は基本このゼロクラウンがベースになっている事こそが、この時の革新の進歩度合を物語っています)

 そんな背景の中、いまいちスタートダッシュに乗り切れずブームを生み出せなかったプログレですが、それら激動の時代の中でも、しぶとくしぶとく、売れ続けた。このサイズ、このクオリティ、プログレでしか味わえない魅力。プログレからプログレへ乗り換える方もかなり多かったとか。落ち着いたそのスタイリングも、ある意味でモデルライフが長くなっても鮮度が落ちにくい事も幸いしたからかもしれない。

そして登場からなんと9年(!!)…2007年まで延命し続け、プログレは3年も後に登場したブレビスと共に生産を終了する。大きなヒットに恵まれはしなかったものの、利益率で言えばあまり孝行されるモデルでないにも関わらずこれだけ長く作られ販売されてきたという事は、ある意味でマスは小さいけれども固定的でプログレファンが存在し、 “プログレだけじゃダメ!”という層を生み出し、長く愛され続けられていた証拠といえるかもしれない。

少し乱暴に言うと、初代プリウスが登場した少し後にデビュー、当時まだ軽自動車は旧規格。レクサスが日本導入本格化されセルシオがLSへと変わってもまだ売られ続け、IS-Fがデビューした時にようやく生産終了…。

日産で言えば、R34スカイラインがデュアリス登場まで売られていた。

ホンダで言えば、ロゴベースのキャパが2代目フィット登場まで売られていた。

マツダで言えば、NBロードスターがさらに2年延命して売られていた。

こう書くと、このプログレの過ごしてきた9年間が、激動の自動車マーケットの中いかに凄い事かが、お分かり頂けるだろうか。

そんなプログレを、この2014年に試せる時がきた。オーナーはあの元ベスモの正岡局長、NC300のiRバージョンである。雑誌を食い入るように何度も読み返していたクルマバカの9歳の少年は、時が経ち26歳に。…クルマバカだという事に、寸分の狂いもなくそのまま成長したところが、よかったのか悪かったのか。苦笑

字数が多くなってきたので、次の更新でその印象をより詳細にお伝えしていきたい。
Posted at 2014/06/30 20:22:53 | コメント(5) | トラックバック(0) | トヨタ | 日記
2012年02月22日 イイね!

【試乗記】 トヨタG’sシリーズ(プリウス、ヴィッツ)

【試乗記】 トヨタG’sシリーズ(プリウス、ヴィッツ)さて、以前もお伝えしたちょっと気になる新型車チェック。こうやってメガウェブのような場所で新車を試す機会を与えてくれるトヨタさんには本当に毎度、感謝感謝。というわけで今回は最近積極的に展開しているG‘s仕様の2台をピックアップしてショートインプレッションしてみたいと思います。







○プリウスG‘s
正式名称は「プリウスSツーリングセレクションG‘s」。そこからも分かる通りベースモデルはSツーリング。252万円。対するG‘sは284万円。その価格差+32万円。ちなみに装備充実の上級グレードGツーリングだと+20万円の272万円となります。前回のレポートでアクアが高い高いと言ってましたが、やっぱりプリウスでも装備を追加していくと立派な高級車…もっとも、普段乗りならS(232万円)が装備内容も十分で最もお買い得な賢い選択といえるでしょう。

…と、ここで「32万円差」と言いつつ、いわゆる「トヨタの商売上手」な戦略をしっかり読み解いておきしょう。わざわざ「SツーリングセレクションG‘s」なんてネーミングにしたのだから、そりゃベースとなったグレードに装備を追加して…っと思うところでしょう。しかし、それをすんなり信じると重大な落とし穴が。実はプリウスのツーリングセレクション系には装備される「LEDヘッドライト」が、実はこのG‘sでは省かれているのです。おそらくはヘッドライトウォッシャーがこのエアロに装着できないが為のものなのでしょう。MC後のプリウスにはHIDヘッドライト仕様が追加されたのでまだ行燈のように暗いハロゲンヘッドで怖い思いをせずに済みますが、それでもしっかりと価格差を考慮しておくべき。アクアのLEDヘッドライトパッケージはフォグランプがセットで11万超えと決して安いアイテムではありません。HIDである事も考えて、ここは252万円から-8万円分していると考えましょう。というわけで、「G’s分の実質価格差」は「40万円」とするのが妥当だと判断します。



さて、そのG‘s分の32万円…もとい「40万円」分の内容は?まずはエクステリア。一番目につくのはその派手なエアロ。レクサスのスピンドルグリルを彷彿とさせるフロントバンパーは、好き嫌いは別としてインパクト大。下部には流行りのLEDイルミネーションも装備。ウインカーとフォグランプも丸型仕様。リアテールもクリア調からブラック調になってグッと引き締まって見えます。ヘッドライトも同じくブラック調に、マフラーも大径タイプ。ウインカーがオレンジ色丸出しだったり、リアがスモーク調だったり、いわゆるエコカー=クリア調テイストという雰囲気は完全に払拭されています。

足元は、45扁平17インチから40扁平18インチへさらにインチアップ。タイア銘柄もダンロップディレッツァDZ101の指定。ホイールデザインもなかなかカッコよし。ちなみに、デモカーなどで見かける専用のG‘sのボディストライプ(レッドorシルバー)とホイールのレッドラインデコはそれぞれオプション。せっかくG‘sを買うなら是非装着したいところ…というのがオーナーの心境ですが、ボディストライプの約18.000円はいいとして、ホイールのデコレーションは約28.000円!けどこの細かなところながら、見た目の雰囲気がかなり変わるので、これは実際買われるユーザーの方は悩むところでしょう。

インテリアはブラック基調で、赤ステッチ入りの革巻きステアリング、シルバー塗装のドアノブやカップホルダーまわり、レッドのパワースイッチ、アルミペダルなどがアクセントに。問題はいたるところに貼り巡されたカーボン調パネル。インパネも、シフトノブも、パワーウインドーのスイッチベースも、カーボン。好きな人にはたまらないのでしょうが…ちょっと個人的には目につき過ぎてやり過ぎの印象でした。反面よかったのはステアリングと同じ赤ステッチ入りの専用スポーツシート。スエード生地の質感も良く、ホールド性も◎。このシートは値打ちアリです。



そんな見た目の雰囲気だけじゃなく、見えない部分にもしっかり手が入っているのがG‘sのいいところ。専用サスペンションで15mmローダウン、フロアにはフロントからリアまでビッシリ5点の剛性アップパーツ。加えて、マイナーチェンジでベース車両にも追加されたスポット増し溶接のポイントを、G’sではさらに追加。これだけ盛りだくさんの内容で実質「40万円高」を、どう捉えるか…

そもそもエコカーにスポーツ仕様?ということでカタログを見る限りちょっとばかり疑問視していたのですが、今回実際に乗ってみて、あららビックリ。その派手なエアロやでかいホイールの雰囲気とは裏腹に、走りはスポーティというよりもプレミアム。上質な雰囲気の方が強い印象。まずは40扁平18インチだというのに、乗り心地に全く不快感なし。当然硬めではあるのですが、15mmダウンしておきながら足は微領域でもしっかりと足が動き始め、大き目の入力でもしっかりと1発でスタッと衝撃が収まる。もちろんロール・ピッチはベース車に比べてはっきり減っており、クルマが1サイズ小さくなったような軽快かつ安定した動きを見せてくれます。

そして驚きはステアリングフィール。操舵力自体は若干重めになっているのですが、中立付近から切り込んだ時の滑らなタッチ、操舵に対する挙動のナチュラルさ、格段に増した路面からのインフォメーション性などなど…ベースのものとは丸っきり別モノ。激変。ここまで変わるのか…。今回は速度も上げず、時間も僅かで、走りこんではいませんが、逆に言えばそれだけの短時間で、全然飛ばしていない状況でも、「乗り心地の上質さ」と「ステアフィールの向上」という変化をすぐ感じる事ができるくらいに変わっている、と言えます。

もっともこれは、G‘sによる効果…はもちろんあるのですが、今回のベースとなったプリウスのマイナーチェンジによるポテンシャルアップによる相乗効果とも言えます。同じく確認したところ、ボディのスポット増しの増加、EPSのリセッティング、従来仕様の15インチ+ソーラールーフ仕様の分離式ダンパーの全車採用などで、初期モデルから確実に良くなっている事も実感できました。アクアが出た事で、価格だけでなく走りもキチンとアップグレードされ、よりしっかりと「車格感」の違いが明確化されたなぁという印象です。もちろん、G‘sはさらに良い。大雑把に例えるなら、初期プリウスを100とすると、MC後のプリウスは150、そしてG‘sプリウスは200…いや、220~230といったところでしょうか。もっともこの基準でいえば、ゴルフは300くらいですが…苦笑



とは言え、ハイブリッドなのにG‘s…?といった最初の疑問、しかしいざ実際乗ってみると、ハイブリッドでより上質な走りを組み合わせるの、大いにアリ!トヨタだってやればちゃんとできるやん!というのが率直な感想。これだけやってここまで効果があって+40万円なら、決して高くはない。もっとも、これは、裏返せば「やればできるのにあえてやっていない」という事の表明だとも…見た目とは裏腹に、極端にスポーティ路線ではない…あくまで純正然としているその仕上がりに触れてみると、そういった疑念を抱かずにはいられません。「コスト」との兼ね合いで、どのようなものが失われているか。例えばこういった事を別に自慢したりグレードに仕立て上げたりすることなく、フツーの仕様からちゃんとやっているメーカーは他にいくらでもあります。ここがトヨタのズル賢いところであり、「どうせここまでやったって素人には分からんよ」という見切りの潔さであり…まぁこれこそが企業として成長するトヨタの賢く凄いところであり、クルマ好きとしては興ざめしてしまうものなのではあるのですが…。でも、クルマ好きという観点を除けば、このトヨタのしたたかさは、素直に尊敬の念を抱く部分だったり。もっとも、このG‘sを通してトヨタが変わり始めたというのは事実ですし、率直に応援したいと思います。

是非この活動は、続けて欲しい。例えばエアロや内装だけ仕立てて、中身はベース車そのまんま…な「見た目だけG‘s」なんて事で落ち着いて欲しくないところです。(ノア・ヴォクシーにはそれ仕立てもありますが)むしろそれの逆…見た目や内装はベース車そのまんま、ボディと足とシートだけの「通好みな中身だけG‘s」を、ベース車+20万円くらいで出してくれないかな…なんて考えたりもします。笑 もっともそれじゃぁ、おそらく商売にはなりませんが…。

○ヴィッツG‘s
そしてもうひとつ大事な事を言うために、このクルマをピックアップしてみましょう。ヴィッツのG‘sです。価格は5MT、CVT共に189万円。ベースのRSがMT172万円、CVT179万円なので、CVTなら僅か+10万円でG‘sが手に入る…!…と思うのは早とちりで、案の上先ほどのプリウスと同じく、RSと比べてスマートキーやオートエアコンなどが省略されており、実質的に装備内容はRS・Cパッケージ(160万円)が基準になっています。もっともオプションの選択幅があり、HIDが標準装着されているので、これでも実質的な差は25万円程度でしょうか。これに攻撃的な見た目のエアロパーツ、205/45R17のタイア&ホイール、マフラー、LEDライト、室内ではアルミペダルにこれまたカーボン風のパネル、フロアの剛性アップパーツにローダウンサス、空力パーツまで装着されているので、プリウスよりお買い得感アリ?オプションでブレーキパッドを選べたりするのもヴィッツG‘sの特徴です。



そして走りですが、これも確かにベース車よりも良くなっており、足は明確に硬くてちょっとやり過ぎ?とも思いつつ、16インチなのにエコピアを履くというベースのRSの不可解さよりは、17インチのポテンザRE050を履くこちらの方がよりハッキリとしたキャラクターで分かりやすいと言えます。

ベース車からの進化はしっかり感じとれて、G‘s分のお買い得感も強い。しかし、それでもこちらの方に魅力をあまり感じられない…それはやはり、ベースモデルの「それなりの出来」が最後まで足を引っ張っているのです。ヒップポイントが高めなのは仕方ないとしても、ステアリングのテレスコ調整がなくポジションが合わない。エンジンはノーマルなので柔軟性はあるけどもレスポンスはイマイチで、シフトフィールやギア比含めてあくまで実用車。プリウスはプリウスでしか味わえない唯我独尊の魅力が「G‘sであろうとなかろうと」存在しますが、ヴィッツはベース車自体を積極的に選びたいと思う要素が少ない。そして何よりも、より本格的で出来の良いスイフトスポーツが168万円で買えてしまうという事実が、とてもとても大きく感じられる…。



つまりは、あくまでG‘sというのは、あくまで「味付け」であり「ベースモデルのポテンシャルの底上げ」でしかない。確かに価値のある有用な手段の1つではありますが、それでもともとのクルマの魅力の意義さえ塗り替えてしまうという魔法まではかけられないという事実、現実を、このヴィッツG‘sによって教えられたような気がします。ノア・ヴォクシーやヴィッツより、プリウスのG‘sに魅力を感じたのはそこ。

安い肉に、手間暇と金をかけて美味しく食べようとするよりも、良質なお肉をシンプルに塩こしょうだけで味わう方が、より美味しいし結果安上がりになる…とでもいいましょうか。もちろん、世の中には、良質なお肉に手間暇と金をかけたとんでもない絶品な仕上がりをもつ…そんなクルマの世界もあるわけで。

何度も言いますが、これ自体の取り組みは素晴らしいと思いますし、積極的に応援したい気持ちです。これらの活動を通じて、これから登場するトヨタのクルマたちが「フツーの標準モデルから」ポテンシャルアップし魅力あるモデルになる事を願って、今回のインプレッションを終わりにしたいと思います。
Posted at 2012/02/22 23:25:54 | コメント(4) | トラックバック(0) | トヨタ | 日記
2012年02月11日 イイね!

【試乗記】 トヨタアクア 1000㎞ロングランテスト

【試乗記】 トヨタアクア 1000㎞ロングランテストさて、今回の試乗レポートは、トヨタのアクアをピックアップ。1カ月受注12万台、納車は早くも夏以降という早速今年2012年のベストセラーカーの様相さえ見せる大ヒットとなっているアクア。今回はそんな中この早いタイミングでロングランテストを行う事ができました。走りに走って、その距離1000km!そんな中で見えてきた内外装、走り、燃費などなど徹底的にレポートします。

まずは成り立ちから。分かりやすく言えば「ミニプリウス」であり「ヴィッツHV」とも言えるアクア。このアクアというネーミングは日本だけで、海外輸出分は「プリウスc」を名乗ります。そして欧州には別にノーマルのヴィッツHV仕様も。これはトヨタが欧州では「プリウス」と「オーリスHV」を併売しているように、戦略上の関係によるものでしょう。

アクアの中身は、1.5Lエンジン+THSという組み合わせからも分かる通り、2代目プリウスからの流用。とは言っても、このディメンションにそっくりそのまま搭載…という話ではなく、パッケージングを犠牲にせず押し込む事は相当に大変だったそうで、バッテリーやエンジンにも大幅な改良が加えられています。そして忘れてはいけないのが、このアクアが東日本大震災の被災地でもある東北・岩手工場が生産拠点となる事。この理不尽で猛烈な円高、そして日本国の冷たすぎる無策な状況下で、日本国内でモノづくりをするのはもうすでに我慢・忍耐の我慢比べ、チキンレースの模様を見せていますが、そんな中でのこの「10年先の基準車」を目指したアクアが東北の地からローンチされる事実は、もっと注目されていい事象だと思います。



さぁまずはエクステリアから。まず特徴的なのはやはり全高の低さでしょう。全長3995mm全幅1695mmは一般的なサイズながら、1445mmというのは昨今のアップライトなコンパクトカーのパッケージングからすれば相当に低め。どのくらいかと言えば、ヴィッツに近い(1500mm)というよりも、そのヴィッツの先祖である最終5代目スターレット(1400mm)のほうに近いと言えば、その低さがお伝えできるかと思います。

顔付きは今話題の86にもどこか通じる?全体のボディラインや細部など、空力処理に余念がない事も窺えます。例えばすぐに気付くドアミラーやテールライト付近、そして写真では伝わりませんが、ヘッドランプのカバー形状もとても複雑な形状をしています。カモメルーフの存在感もかなりのもの。でも格段にエアロコーナーの処理は巧みになりましたね。最近ようやく始めた他社のクルマよりもこのあたりはリードしているでしょう。もちろん好みはあるかもしれませんが、このクラスの国産コンパクトにしてはかなり褒められるアグレッシブなデザインではないでしょうか。見てガックリ、触ってガックリ、乗ってガックリ、な3拍子の現行ヴィッツなんかよりも遥かに・・・。



いわゆる「トライアングルシルエット」はプリウスほど極端ではなく、その分Cd値では0.28と、0.25のプリウスに差はありますが、その分得られたシンプルなハッチバックスタイルは、後方視界という点で大きなメリットに。2代目プリウスに採用されその後2代目インサイトがモロパクリ…なんて言ったら初代インサイトやCR-Xの時代からもともとはホンダが…ってそれを言い始めたら元祖は三菱ミニカスキッパーが本家…なんて話は横に置いといて、あの「分割窓」が嫌だった人には朗報。さほど気にしていない人でも、比べればこのアクアの方が本来正しい姿だと思うはず。もっとも、アクア単体で見れば太いCピラーのせいであまり後方視界はいい方に分類されませんが…。



個人的には、ボディラインに合わせてかなり大きめとなったリアテールランプが、後ろにギョロッと睨みを効かせているようでちょっと苦手。いい加減エコカー=クリアテールで先進感演出、というのはそろそろ辞めにしませんか?トヨタさん。ただ、ブレーキ時とポジション時の点灯面積が別になっているのは、夜間時の視認性がよく良心的で◎。蛇足ですが、TMSにて関東自動車工業ブースで展示されていたカスタマイズコンセプトのブラックテールが精悍でこちらの方がシンプルで好きでしたね。







さて、続いてはインテリアへ。まず気になるのが、30プリウスの同一品となる楕円形ステアリング。そのため、これは以前も指摘した事ですが、この「プリウスハンドル」はステアリング中央のパッドがプリウスの特徴的なインパネシボと合わせたものが採用されており、しかしもちろんアクアのシボとは異なるので、シボ表皮の流れが、ステアリングは縦基調、インテリアが横基調と異なってしまうことに。こうなるなら無理してプリウスのステアリングを使う事もなかったのでしょうが…気付かない人には些細な問題?



また、露骨なプラスチッキーさや、それをごまかすべくの斬新な色使いや表皮模様もまだデザインで消化できていない印象。こういった攻めた姿勢は評価したいところではありますが。もっとも、ヴィッツよりかは幾分華やかではあります。



ただ、質感の部分では少し不満が残るものの、実際の使い勝手の面だとこれがなかなか。センターメーターはプリウスよりも見やすく、EV時やパワー時も白や赤でハッキリ表示してくれてとても分かりやすい。エネルギーモニターの表示がなかったり、外気温表示と燃費表示の両立ができない点もありますが、アドバンスディスプレイパッケージを装着する必要性はあまり感じられませんでした。エアコンパネルも今時珍しくボタン1つ1つが独立していて分かりやすく、大きい温度調整ダイアルの操作性も簡単。ただこれだけの一等地でなおかつこの大きさを占領していながら温度調整しかできないというのは少しもったいないような気も…それならもっとボタン数も減らせたはず。



テレスコ&チルト、シートリフターが装着されているのでドラポジはしっかりと取れますが、問題はシートベスト。ヴィッツやラクティスのように高さ調節がなくなってしまいました。これは大減点。テスト中もずっとベストの低さが気になって仕方がありませんでした。できれば改善を。



さて、リアシートへ。この全高を見れば後席居住性はかなり絶望的かと思いきや…これが意外や意外、けっこう不満ないスペースが。ヘッドスペースはさすがにかなりギリギリなものの、左右の絞り込みが少なめで室内空間が結構スクエア。加えてリアシート下に燃料タンク+バッテリーを搭載したおかげか、座面とフロアの差が適切で姿勢が崩れにくい。カタログ数値を稼ぐだけの寝そべったような形になっていないのは◎。中央ヘッドレストと3点ベルトも装着。ただ、シート下スペースはぎっしりとバッテリーで埋まっているので、座りながら少し足を引くとすぐにかかとが当たってしまうのは致し方ないところか。



そして驚きはラゲッジルーム。後席下にバッテリーを押しこんだおかげで、フロアも低く広大なスペースが。シートを倒すと大きく段差が残ってしまう欠点もありますが、変に二重フロアなどにしてフラットさにこだわらず容量を優先させたのは○。これはもう比較対象はフィットレベルと言っていいでしょう。



さて、紹介はこのあたりにしておきまして、そろそろ走り始めましょう。ブレーキを踏みながらプッシュボタンでエンジンスタート。先進性はないものの操作しやすいシフトレバーをDレンジにセットしてユルユルと動き出します。暖気が済んでいなければ当然エンジンも始動。この冷間時のエンジンノイズが想像以上に大きいのがまず気付くアクアのウィークポイントか。何故かその後の全開走行時のノイズよりもこの始動直後のノイズの方が耳触り。もっとも、エンジンが温もりTHSの本領が発揮されてくると、走り始めれば当然静粛性は同クラスに比べて良い印象でした。

エンジンはご承知の通り2代目プリウスから流用なので、新型のNR系ではなくNZ系。しかしエンジン関係部品の70%が新設計からなのか、そのフィーリングは随分とスッキリと洗練された事が伺えます。間違っても踏んで回して楽しいようなエンジンでない事は確かですが、エンジンがかかった途端に一気にガサツに感じてその落差にガックリ、というな印象はかなり抑えられました。




(ここで話は脱線しますが、エンジンルーム内でヘッド付近に何やら溶接を付け足したような部分を発見。おそらくこれ、クラッシュテストをした際にそのままモロに衝撃が加わって燃料パイプが折れてしまった事象が発生して、急遽対策されたんじゃないか?と推測。もっとも、真偽のほどは不明ですが…)



もちろんアクアの方が約300kgも軽いという車重差も考慮しなければいけません。例えば右折待ちや合流し地点などで、停止状態からパッとアクセルを踏み込んだ際のクルマの反応は、レスポンス云々だけでは比較にならないくらいアクアの方がより自然。嬉しいのは、エコモードを使っていても、いわゆる「後続ご迷惑おかけします」モードになっていない点。アクアは現行プリウスのパワーモードの設定がありませんが、ちょうど言うならばプリウスのエコとノーマルの間がアクアのエコモード状態のような印象で、ちゃんと踏み込めば穏やかなりにしっかりと反応してくれるのは嬉しいポイント。もっとも、後半慣れ始めると、ノーマル状態でのスロットルコントロールが一番楽に感じましたが。

THSの制御、エンジンとバッテリーの使い方も、よりドライバビリティを重視した設定に。どうやらこれはカムリHVを境に、トヨタはどこかツボを掴んだような気がします。プリウスはそれに合ったスイートスポットを求めて運転すれば燃費はかなり良くなりますが、ズボラな運転をしていては案外伸び悩んで期待外れの結果になってしまう。かたやアクアは、燃費がプリウス並に伸びるスイートスポットを掴むのはかなり繊細なスロットルワークが要求されますが、反対にフツーに気楽にズボラな運転をしていても結構ポーンといい数値が出る。カムリHVで感じたこの感覚、アクアでも後述するように燃費テストにも顕著に表れました。1発燃費テストで勝負するような場面ならまだしも、どちらが日常域のドライバビリティを優先した結果お勧めできるか?と言えば、当然後者になります。



さて少し話が逸れてしまいましたが、そこから走りだすと、加速性能は十分以上。1080kgの軽量ボディに1.5L+THSなら、日常的にはアクセルには余裕しゃくしゃく。グッと踏み込めばそれこそもう速いと判断できる領域に。ただ、動き出しで、さすがプリウスより300kg軽い!っと感じた印象は、実は速度域が上がってくるとドンドン薄まっていくのです。なぜ?おそらくこれは、バッテリー容量とモーター出力の関係なのでは、と推測。スペースの関係上、アクアはバッテリー内のセル数が減っており、またモーター出力もほんの若干ながら少なめ。つまり、あのモーター独特の迫力かつ滑らかに背中を押される感覚がプリウスほど強く感じられないのです。ホンダIMAほどではないにしろ、エンジンとモーターのバランスは若干プリウスよりエンジン寄りに感じられるのがアクア。その証拠に、エンジン主体となってくる高速域での動力性能は再び軽さを実感できる加速の伸びを実感させてくれます。

また、バッテリーの容量の少なさについては、例えば街乗りで上手くスロットルコントロールをしてEV走行状態を続けていると、表示はあっという間に2セグメントの使い切り状態に。逆にワインディングの下りなどで回生ブレーキを使っていると、あっという間に満タン状態に。後者は回生効率がアップしている事も関係しているのでしょうが、いずれにせよこの点はプリウスとの差を実感します。また、ブレーキフィーリングはかなり違和感なくナチュラルなフィーリングに。しかしそれはあくまでプリウスを知っているからであって、フツーのクルマから乗り換える際には違和感はゼロになったとは言えません。加えて、先ほども書いたように比較的すぐバッテリーがフル充電になってしまうので、その途端に回生ブレーキがなくなってブレーキタッチが変化する症状に出くわす機会がアクアでは増える結果に。これはしっかりシステムを理解していないと、一瞬ヒヤッとします。



さて、動力性能的には「弟分」である事を感じましたが、ことフットワークに関して言えばこちらは明らかに兄貴分よりも好印象。もっともMC後の最新プリウスを試していないので断定はできませんが、アクアはプリウスよりもかなりマトモにナチュラルな走りを披露してくれました。

ステアリングフィールに関しては、味わいを感じるようなレベルではないものの、電動パワステの嫌な部分を上手く拭い去ってくれており、また予想外にステアリングギアレシオがクイック。ノーマル15インチ状態でも十分。専用EPSチューンと16インチ装着のツーリングパッケージはこれよりさらに良いという事なのでしょうか。現状では15インチ状態でもなんら不満なし。これにまず驚き。

ちなみに、タイアサイズは175/65R15。Lグレードが165/70R14、ツーリングパッケージは195/50R16。14がブルーアース、16がdb、お互いにヨコハマ。15はダンロップorブリヂストン。テスト車両はダンロップSPスポーツが装着されていました。



次はフットワーク。低重心さが効いているのか、このダンロップのエコ性能重視のタイアながら、相当にワインディングで追い込んだ状態でも挙動が乱れる事なく終始安定しており、フロントの接地感やリアのスタビリティも上々。そして何よりもプリウスに比べてはるかにVSCの介入が少ないという事が、その事実を物語っていると思います。バネレートはさほど高くなくそれなりにロールも許すのですが、タイアの接地性変化は少なく、特にFF車ではキツい下りのワインディングなどでも、外側前輪にだけ荷重がドンっと載ってしまうような事がなく、キチンと内輪側が接地にしてクルマをしっかりと曲げてくれる。リアオーバーハングにバッテリーを積むフィットHVが苦手としていたS字での切り返しでも慣性が残りにくく、ただハンドルだけに頼りながら曲がるような素振りは全くナシ。大して期待していなかっただけに、このレベルにはかなり驚き。しっかりとこの車高の低さを実感できるハンドリングを備えてくれていました。

…が、そこの質が伴っているか?と聞かれれば、話は別。アクア最大のウィークポイントはその安っぽい乗り心地。とくにある一定領域まではいいのですが、そこからそれをドンと超えた時のハーシュネスの処理などはお世辞にも褒められたものではありません。また実際に剛性自体は数値上出ているのでしょうが、特にフロアの剛性「感」は運転しているとちょっと物足りず、乗り心地がイマイチというのは決して「硬い」わけではなく、「安っぽい」とでも表現したほうがいいでしょうか。サスペンションストロークが物足りないような、ダンパーの減衰領域がとても狭いような、そんな印象を抱いてしまいました。リアまわりの剛性アップでスタビリティは確保されたようで、それをごまかそうと前後バランスが狂った設定で高速走行でフラフラ泳ぐように安定しなかった部分には改善が見られましたが、路面のざらついた部分を全てダイレクトに伝えてきてしまうのは、マイナー前プリウスや現行ヴィッツと同じ。以前乗ったスイフトスポーツの方が乗り心地はよっぽど上質。フットワークの動的評価は予想外に良かっただけに、ちょっと残念。例えるならばこのアクアをベースにもう少しお金をかけて、G‘sやレクサス仕様を作って欲しい…そんな風に思います。



さて、いよいよ気になる燃費テスト結果。あくまで燃費計に頼った項目別となりますが、ワインディングを元気良く飛ばして15km/L前後、積極的に追い越しモードで高速ハイペース走行(画像上)で20km/Lを割り込み、100km/h巡航で24km/L前後、80km/h巡航で27km/L。燃費が一番いいスイートスポットは、排気量や空力の影響か、プリウスよりもやや低め。という事で、高速域だけの燃費で言えばプリウスに負けてしまう事も大いに有り得そうです。現行プリウスが高速燃費改善のために1800ccへ排気量を拡大した理由が頷けます。



一般道メインでも、プリウスに勝つために高成績を収めるならそれなりに気を遣った運転が必要。ただズボラ運転になってもさして大きく悪化しないのが、アクアのいいところ。写真は一般道オンリーで距離43km、平均車速20km/h台、冬場でエアコンONライトON雨のためワイパーON。エコモードは使用せず、それでご覧の通り31・5km/L。なかなかプリウスには出せない数値かもしれません。まぁこれは極端な例として、流れの良いバイパスをのんびり流していれば27~28km/L、それなりにストップ&ゴーが激しく流れも早めところでも確実に20km/L以上は一般道ならばキープできそうです。



そしてトータル1000kmオーバーを走行しての燃費結果が、22,95km/L。メーター上では23.1km/L。THSが苦手とする冬場、そして過酷な条件が多い中でこの数値はもちろん立派。プリウスとはコミコミでほぼ互角…?と思うものの、プリウスの比較対象は燃費スペシャルのLグレード。それにアクアは売れ筋メインのSで接戦。つまり、プリウスのLに対しアクアはSで十分対抗可能、というのが分かりやすいところでしょうか。アクアのLならプリウス超え間違いなし!



そして、1000km走った後の感想として、シートを褒めておきましょう。サイズがたっぷりで、特に座面のサイズの広さと面圧の分散が上手く、腰痛持ちの自分でも2日間運転しまくりでほとんど問題なしでした。これは◎!ちなみにフレームはカムリ用なのだとか。最近のトヨタの純正シートは本当に良くなりました。



さて、最後に簡単なバイヤースガイドを。一番の売れ筋なのはこの中間のSグレード、なのでしょうが個人的にはこのブルーのラインの色使いが×。もう1つライムグリーンの内装色は室内の雰囲気も明るくなってまだ印象が良くなりますが、こちらもグリーンのラインはちょっとご遠慮。というわけで個人的に選ぶなら上級モデルのG。ブラウン色のスエード調シートは質感高し。助手席側前部のインパネオーナメントもソフトパッドになり、パワーウインドー付近もシルバー塗装に。加えて大容量のセンターコンソールボックスとリアのカップホルダーを備えたアームレストと革巻きステアリングを装着。



これでSの6万円高。実際に室内を見比べるとその差は結構大きいように感じたので、この内容で6万円ならお値打ちかと。ちなみにLグレードは営業車と燃費マニア以外にはお勧めできず。プリウスのLグレードよりも日常ユースでは不便そうです。



さらに悩ませるのが、豊富なパッケージオプション。ちなみに初期受注車はスマートエントリーパッケージ(スマートキー+イモビライザー+オートライト)が強制装着。ちょっと卑怯?と思いつつ、これで5万ちょいなら必須アイテムかと。また、LEDヘッドランプパッケージは個人的には欲しいアイテム。純正のプロジェクター式ハロゲンヘッドは夜間の拡散性が足りず視認性はハッキリ物足りないレベルなので是非交換したいところ。また、ブラック基調となるので表情がグッとしまるのもポイント高し。ヘッドランプウォッシャーとフォグランプ、セットで11万円強!(汗)また、便利なステアリングスイッチが欲しいなら、ナビ装着予定の方ならナビレディパッケージ、そうでないならオーディオパッケージを付ける必要が出てきます。

キレイな液晶画面が装着できるアドバンストディスプレイパッケージは、純正でも十分見やすいのであまり必要性を感じず。ビューティーパッケージは女性で気になる方にはどーぞ。最後にツーリングパッケージ…これは悩みます。どうやら聞く感じだと専用サス+16インチの方が乗り心地も良く走りもさらにスポーティらしく、燃費を多少犠牲にしても欲しい…のですが、最大のネックは4.8→5.7mと馬鹿みたいに大きくなる最小回転半径。ヴィッツRSもそうですが、いつになったらトヨタはこの対策をするのか?エスティマやアルファード並の小回りの効かなさは理解不能。という事で却下。



あと注目したいのは、シートヒーター&排気熱回収器。冬場の暖房の効きの遅さと燃費の悪化がTHSの弱点。それを解決するのにこの2つのアイテムはかなり効果を発揮してくれそうです。オプション価格21000円なら是非お勧め。

というわけでパーソナルチョイスは、Gグレードにスマートパッケージ+LEDパッケージ+ナビレディパッケージ。あとは先ほどのシートヒーターに、15インチサイズのアルミホイール。もちろんサイドエアバッグも。(4万円台なら全車標準にするべき!)これにディーラーオプションのナビを付けて…あれ、そしたら、計算してみたらなんと驚き250万円超えコース!?!?

そう、アクアのウィークポイントは、欲しいものを揃えていくと案外高くなってしまう事。プリウスが楽々買えてしまう予算に届いてしまう結果に。ちなみに、ライバルのフィットHVで言えば、純正HDDナビもVSAもサイドエアバッグも、アルミホイールも、パドルシフトまで全部フル装備のプレミアムナビセレクションで210万円。さらに言えば、あのVWポロにだって、コンフォートラインなら楽々予算の範疇に。そう考えると…結構悩んでしまうポイントかも。



とはいえ、アクアとプリウスの関係に絞り、欲しい仕様が予算ほぼ同じ…燃費はそう大差なし。仮にそうなってしまったとしても、個人的にはアクアをチョイスします。ちゃんとしたまともなパッケージングと後方視界、コンパクトな5ナンバーサイズのボディに、より自然なドライバビリティ、そして軽快なフットワーク。決して燃費だけが取り柄…じゃないのがアクアの良いところ。というわけで実は一番影響を受けるのは、プリウスじゃなくてヴィッツかも…?少なくともこれで、ヴィッツ、ラクティス等々とトヨタの150万前後のコンパクトカーの存在意義はなくなったも同然。生き残るのはパッソの1Lのヴィッツくらいでしょうか。別にエコ意識どうこうハイブリッドどうこうという観点を覗いても、アクアは1台のコンパクトカーとしてトヨタのアンダー200万円車ではかなりマトモでお勧めできるものであるという結論に至りました。

望むは、少し文中でも言いましたが、これのさらなる上質版。アクアをベースにレクサスバッヂを付けて走りを磨いて内外装をキチンとまとめたCTの弟分仕様、なんて、かなり期待したい素質は持っているように思えました。そして、この人気のアクアが、少しでも東北復興に貢献する事を、心から願うばかりであります。




なお、今回は、以前の自分の記事にコメントを頂いており、またみんカラ友達でもあるtysaabさんとの合同インプレッションという形式でテストを行いました。同世代に同じような趣味の方がいて感激です(笑)改めて、ありがとうございました!
Posted at 2012/02/11 20:23:39 | コメント(4) | トラックバック(0) | トヨタ | 日記
2012年02月05日 イイね!

<次回試乗記予告>トヨタアクア ロングランテスト!

<次回試乗記予告>トヨタアクア ロングランテスト!しばらくご無沙汰しておりました。
今回は、次の試乗記の予告という事で手短に。

1カ月で12万台受注、納車は早くても夏頃?早くも今年のベストセラーカーの勢いを見せるトヨタのコンパクトHV、アクア。今回はそんな人気車にこの早いタイミングで、納車したての新車をお借りして、燃費計測を含めたロングランテストを実行!

「10年後のコンパクトカーの基準車」となるべく開発されたアクア、その実力は本物か?それとも単なるヴィッツのHVバージョンなのか?そして気になる、元祖プリウスとの比較は?

次回、試乗記にて徹底レポートします。ご期待頂ければ幸いです。
Posted at 2012/02/05 00:32:13 | コメント(3) | トラックバック(0) | トヨタ | 日記

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「明日は恒例のメディア対抗ロードスター4時間耐久レース。今年も64号車の監督やります。前日準備は洗車機の中のような豪雨。さて明日は??(^_^;)」
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