さて、今回の試乗レポートは、トヨタのアクアをピックアップ。1カ月受注12万台、納車は早くも夏以降という早速今年2012年のベストセラーカーの様相さえ見せる大ヒットとなっているアクア。今回はそんな中この早いタイミングでロングランテストを行う事ができました。走りに走って、その距離1000km!そんな中で見えてきた内外装、走り、燃費などなど徹底的にレポートします。
まずは成り立ちから。分かりやすく言えば「ミニプリウス」であり「ヴィッツHV」とも言えるアクア。このアクアというネーミングは日本だけで、海外輸出分は「プリウスc」を名乗ります。そして欧州には別にノーマルのヴィッツHV仕様も。これはトヨタが欧州では「プリウス」と「オーリスHV」を併売しているように、戦略上の関係によるものでしょう。
アクアの中身は、1.5Lエンジン+THSという組み合わせからも分かる通り、2代目プリウスからの流用。とは言っても、このディメンションにそっくりそのまま搭載…という話ではなく、パッケージングを犠牲にせず押し込む事は相当に大変だったそうで、バッテリーやエンジンにも大幅な改良が加えられています。そして忘れてはいけないのが、このアクアが東日本大震災の被災地でもある東北・岩手工場が生産拠点となる事。この理不尽で猛烈な円高、そして日本国の冷たすぎる無策な状況下で、日本国内でモノづくりをするのはもうすでに我慢・忍耐の我慢比べ、チキンレースの模様を見せていますが、そんな中でのこの「10年先の基準車」を目指したアクアが東北の地からローンチされる事実は、もっと注目されていい事象だと思います。
さぁまずはエクステリアから。まず特徴的なのはやはり全高の低さでしょう。全長3995mm全幅1695mmは一般的なサイズながら、1445mmというのは昨今のアップライトなコンパクトカーのパッケージングからすれば相当に低め。どのくらいかと言えば、ヴィッツに近い(1500mm)というよりも、そのヴィッツの先祖である最終5代目スターレット(1400mm)のほうに近いと言えば、その低さがお伝えできるかと思います。
顔付きは今話題の86にもどこか通じる?全体のボディラインや細部など、空力処理に余念がない事も窺えます。例えばすぐに気付くドアミラーやテールライト付近、そして写真では伝わりませんが、ヘッドランプのカバー形状もとても複雑な形状をしています。カモメルーフの存在感もかなりのもの。でも格段にエアロコーナーの処理は巧みになりましたね。最近ようやく始めた他社のクルマよりもこのあたりはリードしているでしょう。もちろん好みはあるかもしれませんが、このクラスの国産コンパクトにしてはかなり褒められるアグレッシブなデザインではないでしょうか。見てガックリ、触ってガックリ、乗ってガックリ、な3拍子の現行ヴィッツなんかよりも遥かに・・・。
いわゆる「トライアングルシルエット」はプリウスほど極端ではなく、その分Cd値では0.28と、0.25のプリウスに差はありますが、その分得られたシンプルなハッチバックスタイルは、後方視界という点で大きなメリットに。2代目プリウスに採用されその後2代目インサイトがモロパクリ…なんて言ったら初代インサイトやCR-Xの時代からもともとはホンダが…ってそれを言い始めたら元祖は三菱ミニカスキッパーが本家…なんて話は横に置いといて、あの「分割窓」が嫌だった人には朗報。さほど気にしていない人でも、比べればこのアクアの方が本来正しい姿だと思うはず。もっとも、アクア単体で見れば太いCピラーのせいであまり後方視界はいい方に分類されませんが…。
個人的には、ボディラインに合わせてかなり大きめとなったリアテールランプが、後ろにギョロッと睨みを効かせているようでちょっと苦手。いい加減エコカー=クリアテールで先進感演出、というのはそろそろ辞めにしませんか?トヨタさん。ただ、ブレーキ時とポジション時の点灯面積が別になっているのは、夜間時の視認性がよく良心的で◎。蛇足ですが、TMSにて関東自動車工業ブースで展示されていたカスタマイズコンセプトのブラックテールが精悍でこちらの方がシンプルで好きでしたね。
さて、続いてはインテリアへ。まず気になるのが、30プリウスの同一品となる楕円形ステアリング。そのため、これは以前も指摘した事ですが、この「プリウスハンドル」はステアリング中央のパッドがプリウスの特徴的なインパネシボと合わせたものが採用されており、しかしもちろんアクアのシボとは異なるので、シボ表皮の流れが、ステアリングは縦基調、インテリアが横基調と異なってしまうことに。こうなるなら無理してプリウスのステアリングを使う事もなかったのでしょうが…気付かない人には些細な問題?
また、露骨なプラスチッキーさや、それをごまかすべくの斬新な色使いや表皮模様もまだデザインで消化できていない印象。こういった攻めた姿勢は評価したいところではありますが。もっとも、ヴィッツよりかは幾分華やかではあります。
ただ、質感の部分では少し不満が残るものの、実際の使い勝手の面だとこれがなかなか。センターメーターはプリウスよりも見やすく、EV時やパワー時も白や赤でハッキリ表示してくれてとても分かりやすい。エネルギーモニターの表示がなかったり、外気温表示と燃費表示の両立ができない点もありますが、アドバンスディスプレイパッケージを装着する必要性はあまり感じられませんでした。エアコンパネルも今時珍しくボタン1つ1つが独立していて分かりやすく、大きい温度調整ダイアルの操作性も簡単。ただこれだけの一等地でなおかつこの大きさを占領していながら温度調整しかできないというのは少しもったいないような気も…それならもっとボタン数も減らせたはず。
テレスコ&チルト、シートリフターが装着されているのでドラポジはしっかりと取れますが、問題はシートベスト。ヴィッツやラクティスのように高さ調節がなくなってしまいました。これは大減点。テスト中もずっとベストの低さが気になって仕方がありませんでした。できれば改善を。
さて、リアシートへ。この全高を見れば後席居住性はかなり絶望的かと思いきや…これが意外や意外、けっこう不満ないスペースが。ヘッドスペースはさすがにかなりギリギリなものの、左右の絞り込みが少なめで室内空間が結構スクエア。加えてリアシート下に燃料タンク+バッテリーを搭載したおかげか、座面とフロアの差が適切で姿勢が崩れにくい。カタログ数値を稼ぐだけの寝そべったような形になっていないのは◎。中央ヘッドレストと3点ベルトも装着。ただ、シート下スペースはぎっしりとバッテリーで埋まっているので、座りながら少し足を引くとすぐにかかとが当たってしまうのは致し方ないところか。
そして驚きはラゲッジルーム。後席下にバッテリーを押しこんだおかげで、フロアも低く広大なスペースが。シートを倒すと大きく段差が残ってしまう欠点もありますが、変に二重フロアなどにしてフラットさにこだわらず容量を優先させたのは○。これはもう比較対象はフィットレベルと言っていいでしょう。
さて、紹介はこのあたりにしておきまして、そろそろ走り始めましょう。ブレーキを踏みながらプッシュボタンでエンジンスタート。先進性はないものの操作しやすいシフトレバーをDレンジにセットしてユルユルと動き出します。暖気が済んでいなければ当然エンジンも始動。この冷間時のエンジンノイズが想像以上に大きいのがまず気付くアクアのウィークポイントか。何故かその後の全開走行時のノイズよりもこの始動直後のノイズの方が耳触り。もっとも、エンジンが温もりTHSの本領が発揮されてくると、走り始めれば当然静粛性は同クラスに比べて良い印象でした。
エンジンはご承知の通り2代目プリウスから流用なので、新型のNR系ではなくNZ系。しかしエンジン関係部品の70%が新設計からなのか、そのフィーリングは随分とスッキリと洗練された事が伺えます。間違っても踏んで回して楽しいようなエンジンでない事は確かですが、エンジンがかかった途端に一気にガサツに感じてその落差にガックリ、というな印象はかなり抑えられました。
(ここで話は脱線しますが、エンジンルーム内でヘッド付近に何やら溶接を付け足したような部分を発見。おそらくこれ、クラッシュテストをした際にそのままモロに衝撃が加わって燃料パイプが折れてしまった事象が発生して、急遽対策されたんじゃないか?と推測。もっとも、真偽のほどは不明ですが…)
もちろんアクアの方が約300kgも軽いという車重差も考慮しなければいけません。例えば右折待ちや合流し地点などで、停止状態からパッとアクセルを踏み込んだ際のクルマの反応は、レスポンス云々だけでは比較にならないくらいアクアの方がより自然。嬉しいのは、エコモードを使っていても、いわゆる「後続ご迷惑おかけします」モードになっていない点。アクアは現行プリウスのパワーモードの設定がありませんが、ちょうど言うならばプリウスのエコとノーマルの間がアクアのエコモード状態のような印象で、ちゃんと踏み込めば穏やかなりにしっかりと反応してくれるのは嬉しいポイント。もっとも、後半慣れ始めると、ノーマル状態でのスロットルコントロールが一番楽に感じましたが。
THSの制御、エンジンとバッテリーの使い方も、よりドライバビリティを重視した設定に。どうやらこれはカムリHVを境に、トヨタはどこかツボを掴んだような気がします。プリウスはそれに合ったスイートスポットを求めて運転すれば燃費はかなり良くなりますが、ズボラな運転をしていては案外伸び悩んで期待外れの結果になってしまう。かたやアクアは、燃費がプリウス並に伸びるスイートスポットを掴むのはかなり繊細なスロットルワークが要求されますが、反対にフツーに気楽にズボラな運転をしていても結構ポーンといい数値が出る。カムリHVで感じたこの感覚、アクアでも後述するように燃費テストにも顕著に表れました。1発燃費テストで勝負するような場面ならまだしも、どちらが日常域のドライバビリティを優先した結果お勧めできるか?と言えば、当然後者になります。
さて少し話が逸れてしまいましたが、そこから走りだすと、加速性能は十分以上。1080kgの軽量ボディに1.5L+THSなら、日常的にはアクセルには余裕しゃくしゃく。グッと踏み込めばそれこそもう速いと判断できる領域に。ただ、動き出しで、さすがプリウスより300kg軽い!っと感じた印象は、実は速度域が上がってくるとドンドン薄まっていくのです。なぜ?おそらくこれは、バッテリー容量とモーター出力の関係なのでは、と推測。スペースの関係上、アクアはバッテリー内のセル数が減っており、またモーター出力もほんの若干ながら少なめ。つまり、あのモーター独特の迫力かつ滑らかに背中を押される感覚がプリウスほど強く感じられないのです。ホンダIMAほどではないにしろ、エンジンとモーターのバランスは若干プリウスよりエンジン寄りに感じられるのがアクア。その証拠に、エンジン主体となってくる高速域での動力性能は再び軽さを実感できる加速の伸びを実感させてくれます。
また、バッテリーの容量の少なさについては、例えば街乗りで上手くスロットルコントロールをしてEV走行状態を続けていると、表示はあっという間に2セグメントの使い切り状態に。逆にワインディングの下りなどで回生ブレーキを使っていると、あっという間に満タン状態に。後者は回生効率がアップしている事も関係しているのでしょうが、いずれにせよこの点はプリウスとの差を実感します。また、ブレーキフィーリングはかなり違和感なくナチュラルなフィーリングに。しかしそれはあくまでプリウスを知っているからであって、フツーのクルマから乗り換える際には違和感はゼロになったとは言えません。加えて、先ほども書いたように比較的すぐバッテリーがフル充電になってしまうので、その途端に回生ブレーキがなくなってブレーキタッチが変化する症状に出くわす機会がアクアでは増える結果に。これはしっかりシステムを理解していないと、一瞬ヒヤッとします。
さて、動力性能的には「弟分」である事を感じましたが、ことフットワークに関して言えばこちらは明らかに兄貴分よりも好印象。もっともMC後の最新プリウスを試していないので断定はできませんが、アクアはプリウスよりもかなりマトモにナチュラルな走りを披露してくれました。
ステアリングフィールに関しては、味わいを感じるようなレベルではないものの、電動パワステの嫌な部分を上手く拭い去ってくれており、また予想外にステアリングギアレシオがクイック。ノーマル15インチ状態でも十分。専用EPSチューンと16インチ装着のツーリングパッケージはこれよりさらに良いという事なのでしょうか。現状では15インチ状態でもなんら不満なし。これにまず驚き。
ちなみに、タイアサイズは175/65R15。Lグレードが165/70R14、ツーリングパッケージは195/50R16。14がブルーアース、16がdb、お互いにヨコハマ。15はダンロップorブリヂストン。テスト車両はダンロップSPスポーツが装着されていました。
次はフットワーク。低重心さが効いているのか、このダンロップのエコ性能重視のタイアながら、相当にワインディングで追い込んだ状態でも挙動が乱れる事なく終始安定しており、フロントの接地感やリアのスタビリティも上々。そして何よりもプリウスに比べてはるかにVSCの介入が少ないという事が、その事実を物語っていると思います。バネレートはさほど高くなくそれなりにロールも許すのですが、タイアの接地性変化は少なく、特にFF車ではキツい下りのワインディングなどでも、外側前輪にだけ荷重がドンっと載ってしまうような事がなく、キチンと内輪側が接地にしてクルマをしっかりと曲げてくれる。リアオーバーハングにバッテリーを積むフィットHVが苦手としていたS字での切り返しでも慣性が残りにくく、ただハンドルだけに頼りながら曲がるような素振りは全くナシ。大して期待していなかっただけに、このレベルにはかなり驚き。しっかりとこの車高の低さを実感できるハンドリングを備えてくれていました。
…が、そこの質が伴っているか?と聞かれれば、話は別。アクア最大のウィークポイントはその安っぽい乗り心地。とくにある一定領域まではいいのですが、そこからそれをドンと超えた時のハーシュネスの処理などはお世辞にも褒められたものではありません。また実際に剛性自体は数値上出ているのでしょうが、特にフロアの剛性「感」は運転しているとちょっと物足りず、乗り心地がイマイチというのは決して「硬い」わけではなく、「安っぽい」とでも表現したほうがいいでしょうか。サスペンションストロークが物足りないような、ダンパーの減衰領域がとても狭いような、そんな印象を抱いてしまいました。リアまわりの剛性アップでスタビリティは確保されたようで、それをごまかそうと前後バランスが狂った設定で高速走行でフラフラ泳ぐように安定しなかった部分には改善が見られましたが、路面のざらついた部分を全てダイレクトに伝えてきてしまうのは、マイナー前プリウスや現行ヴィッツと同じ。以前乗ったスイフトスポーツの方が乗り心地はよっぽど上質。フットワークの動的評価は予想外に良かっただけに、ちょっと残念。例えるならばこのアクアをベースにもう少しお金をかけて、G‘sやレクサス仕様を作って欲しい…そんな風に思います。
さて、いよいよ気になる燃費テスト結果。あくまで燃費計に頼った項目別となりますが、ワインディングを元気良く飛ばして15km/L前後、積極的に追い越しモードで高速ハイペース走行(画像上)で20km/Lを割り込み、100km/h巡航で24km/L前後、80km/h巡航で27km/L。燃費が一番いいスイートスポットは、排気量や空力の影響か、プリウスよりもやや低め。という事で、高速域だけの燃費で言えばプリウスに負けてしまう事も大いに有り得そうです。現行プリウスが高速燃費改善のために1800ccへ排気量を拡大した理由が頷けます。
一般道メインでも、プリウスに勝つために高成績を収めるならそれなりに気を遣った運転が必要。ただズボラ運転になってもさして大きく悪化しないのが、アクアのいいところ。写真は一般道オンリーで距離43km、平均車速20km/h台、冬場でエアコンONライトON雨のためワイパーON。エコモードは使用せず、それでご覧の通り31・5km/L。なかなかプリウスには出せない数値かもしれません。まぁこれは極端な例として、流れの良いバイパスをのんびり流していれば27~28km/L、それなりにストップ&ゴーが激しく流れも早めところでも確実に20km/L以上は一般道ならばキープできそうです。
そしてトータル1000kmオーバーを走行しての燃費結果が、22,95km/L。メーター上では23.1km/L。THSが苦手とする冬場、そして過酷な条件が多い中でこの数値はもちろん立派。プリウスとはコミコミでほぼ互角…?と思うものの、プリウスの比較対象は燃費スペシャルのLグレード。それにアクアは売れ筋メインのSで接戦。つまり、プリウスのLに対しアクアはSで十分対抗可能、というのが分かりやすいところでしょうか。アクアのLならプリウス超え間違いなし!
そして、1000km走った後の感想として、シートを褒めておきましょう。サイズがたっぷりで、特に座面のサイズの広さと面圧の分散が上手く、腰痛持ちの自分でも2日間運転しまくりでほとんど問題なしでした。これは◎!ちなみにフレームはカムリ用なのだとか。最近のトヨタの純正シートは本当に良くなりました。
さて、最後に簡単なバイヤースガイドを。一番の売れ筋なのはこの中間のSグレード、なのでしょうが個人的にはこのブルーのラインの色使いが×。もう1つライムグリーンの内装色は室内の雰囲気も明るくなってまだ印象が良くなりますが、こちらもグリーンのラインはちょっとご遠慮。というわけで個人的に選ぶなら上級モデルのG。ブラウン色のスエード調シートは質感高し。助手席側前部のインパネオーナメントもソフトパッドになり、パワーウインドー付近もシルバー塗装に。加えて大容量のセンターコンソールボックスとリアのカップホルダーを備えたアームレストと革巻きステアリングを装着。
これでSの6万円高。実際に室内を見比べるとその差は結構大きいように感じたので、この内容で6万円ならお値打ちかと。ちなみにLグレードは営業車と燃費マニア以外にはお勧めできず。プリウスのLグレードよりも日常ユースでは不便そうです。
さらに悩ませるのが、豊富なパッケージオプション。ちなみに初期受注車はスマートエントリーパッケージ(スマートキー+イモビライザー+オートライト)が強制装着。ちょっと卑怯?と思いつつ、これで5万ちょいなら必須アイテムかと。また、LEDヘッドランプパッケージは個人的には欲しいアイテム。純正のプロジェクター式ハロゲンヘッドは夜間の拡散性が足りず視認性はハッキリ物足りないレベルなので是非交換したいところ。また、ブラック基調となるので表情がグッとしまるのもポイント高し。ヘッドランプウォッシャーとフォグランプ、セットで11万円強!(汗)また、便利なステアリングスイッチが欲しいなら、ナビ装着予定の方ならナビレディパッケージ、そうでないならオーディオパッケージを付ける必要が出てきます。
キレイな液晶画面が装着できるアドバンストディスプレイパッケージは、純正でも十分見やすいのであまり必要性を感じず。ビューティーパッケージは女性で気になる方にはどーぞ。最後にツーリングパッケージ…これは悩みます。どうやら聞く感じだと専用サス+16インチの方が乗り心地も良く走りもさらにスポーティらしく、燃費を多少犠牲にしても欲しい…のですが、最大のネックは4.8→5.7mと馬鹿みたいに大きくなる最小回転半径。ヴィッツRSもそうですが、いつになったらトヨタはこの対策をするのか?エスティマやアルファード並の小回りの効かなさは理解不能。という事で却下。
あと注目したいのは、シートヒーター&排気熱回収器。冬場の暖房の効きの遅さと燃費の悪化がTHSの弱点。それを解決するのにこの2つのアイテムはかなり効果を発揮してくれそうです。オプション価格21000円なら是非お勧め。
というわけでパーソナルチョイスは、Gグレードにスマートパッケージ+LEDパッケージ+ナビレディパッケージ。あとは先ほどのシートヒーターに、15インチサイズのアルミホイール。もちろんサイドエアバッグも。(4万円台なら全車標準にするべき!)これにディーラーオプションのナビを付けて…あれ、そしたら、計算してみたらなんと驚き250万円超えコース!?!?
そう、アクアのウィークポイントは、欲しいものを揃えていくと案外高くなってしまう事。プリウスが楽々買えてしまう予算に届いてしまう結果に。ちなみに、ライバルのフィットHVで言えば、純正HDDナビもVSAもサイドエアバッグも、アルミホイールも、パドルシフトまで全部フル装備のプレミアムナビセレクションで210万円。さらに言えば、あのVWポロにだって、コンフォートラインなら楽々予算の範疇に。そう考えると…結構悩んでしまうポイントかも。
とはいえ、アクアとプリウスの関係に絞り、欲しい仕様が予算ほぼ同じ…燃費はそう大差なし。仮にそうなってしまったとしても、個人的にはアクアをチョイスします。ちゃんとしたまともなパッケージングと後方視界、コンパクトな5ナンバーサイズのボディに、より自然なドライバビリティ、そして軽快なフットワーク。決して燃費だけが取り柄…じゃないのがアクアの良いところ。というわけで実は一番影響を受けるのは、プリウスじゃなくてヴィッツかも…?少なくともこれで、ヴィッツ、ラクティス等々とトヨタの150万前後のコンパクトカーの存在意義はなくなったも同然。生き残るのはパッソの1Lのヴィッツくらいでしょうか。別にエコ意識どうこうハイブリッドどうこうという観点を覗いても、アクアは1台のコンパクトカーとしてトヨタのアンダー200万円車ではかなりマトモでお勧めできるものであるという結論に至りました。
望むは、少し文中でも言いましたが、これのさらなる上質版。アクアをベースにレクサスバッヂを付けて走りを磨いて内外装をキチンとまとめたCTの弟分仕様、なんて、かなり期待したい素質は持っているように思えました。そして、この人気のアクアが、少しでも東北復興に貢献する事を、心から願うばかりであります。
なお、今回は、以前の自分の記事にコメントを頂いており、またみんカラ友達でもあるtysaabさんとの合同インプレッションという形式でテストを行いました。同世代に同じような趣味の方がいて感激です(笑)改めて、ありがとうございました!