さて、3回に渡ってしまったフィットハイブリッドの試乗レポート、いい加減今回で終わらせますハイ。(苦笑)
街中、ワインディング、に続いて、今回は高速でのクルージング時のレポートです。
最初にも書きましたが、ロングドライブ時に感じるのはその「全方位」の視界の良さ。これは長距離を運転にする際には本当に楽、かつビギナーでも非常に運転しやすく感じる要素となると思います。実は意外に視界の良さに比べて、見切り自体はあまりよくなかったりするのですが。ある意味での「ミニバン的運転感覚」は、実際よりも大きなクルマを運転している気にさせてくれるので、このあたり人によっては評価が分かれるかもしれませんが、個人的にはフィットの数多くある美点の中でも、特に褒められる部分。
1.5Lモデルと同様に、ベースモデルよりも静粛性向上の為に色々と対策がなされているので、ロードノイズやエンジンノイズ、またこのクラスでは目立ちがちな雨の日のフロアに巻き上げる水の音…など、しっかりその効果を感じる事ができます。特に~100km/hまでなら、ハイブリッドはモーターのアシストのおかげでエンジン回転を上げる事なくスイスイ加速してくれるので、その印象はさらに強まります。ただ、その静かになった分風切り音がより目立ってしまうのが玉に傷。とくにハイスピード領域では…と、これは非現実的な話に(苦笑)。それでも、ECONモードON状態でスピードメーターをけっこうあっけなく使いきってしまえる実力を持っている事は確認できました。
…さて、ブッ飛ばす話は少し自粛しましてw、淡々と高速を走っている時にありがたみを感じるのが、ハイブリッドに標準装備されているクルーズコントロール。実は今回フィットハイブリッドには、「エンジンは回っているだけ(燃料消費せず)の状態で、モーターだけで走っている時」に、メーター中央のモニターに小ぃぃぃぃさく「EV」という表示が出る、いわば裏モードがあるのですが、このIMAユニットでほんのわずかしかないEV走行の領域を、右足のスロットルコントールだけで出すのは、かなり至難の業。が、クルーズコントロールを使ってあげると、これが不思議…巡航時はかなり頻繁な割合で見る事ができました。もしかすると自分のスロットルコントロールの下手さ?(汗)かもしれませんが、開発者の方もそうそう見る事がない表示…とおっしゃっていたので、あえて詳しくは触れない事に(笑)。
それはそうと、スイッチの場所がとてもいいところにあるので、自動…とまではいかないものの、巡航時は設定速度を適時変える事で、それこそ「親指1本」で加減速してくれるので、ロングドライブにはとても重宝しました。これは燃費という観点でも非常に頼もしい武器になってくれること間違いなし。
さて、最後にその燃費報告。今回はトータルで900km弱走行して、通算で満タン法による計測で「19.8km/L」でした。内訳としては高速・一般道で半分ずつ、6割はかなり燃費を意識し、2割は街乗りでベタベタの渋滞、2割はかなり元気よく飛ばした…といった具合。ちなみに150kmほどは雨天走行です。
簡単にステージ別の燃費を言うと、高速クルージングで22~23、飛ばし気味で19~20、ワインディングを元気よくで12~13、平均車速10km/h前後の一般道ノロノロ運転で17~18。全体に感じた印象としては、高速域では専用タイアを採用していても、やはり空力的な差でインサイトよりやや劣り、反面街乗り領域では軽量さを生かして減少幅を抑え、結果トントン…といったところでしょうか。主に街乗りメインの利用なら、インサイトより好燃費を出す事も少なくなさそうです。渋滞時でもさほど燃費が落ち込まなかったあたりは少し関心しました。
ただ、今回は季節的にエアコンではなく暖房を使用していたので、IMAが苦手とする「灼熱の夏場でエアコンON」状態の燃費悪化幅が試せなかったのが残念。ちなみにインサイトでは、この項目で見るとさっぱり。暑い気分を味わいながら対して向上幅も増えないという悲惨な状況に陥りがちになります。
今回のフィットHVでも、夜間で降雨時、ライトとワイパーON状態では、明らかにアイドリングストップする回数も時間も激減しており、加えて夏場のアイドルストップとエアコンの両立が効かないという根本的問題は、是非解決急務!簡易的なアイドルストップ車が増えてきた昨今、大げさに言えば「ここ10年以上、熟成はされたものの全く進化はしていない」とも言える1モーター式ハイブリッドのIMAの商品的価値があるのは…ここ1~2年…といったところでしょうか。少し厳しい評価になりますが。
と、IMAに関しては少し辛口になりますが、このフィットハイブリッドを単体で評価した時のその実力の高さ、守備範囲の広さ、懐の深さ、これはもうお見事としか言いようがありません。走りや乗り心地など、各項目別に見ると古さが目立つところもありますが、そういった我々のような「自動車オタク」や「運転大好き人間」でない、普通の一般ユーザーが感じる目線で見ると、これ以上の総合点を勝ち得るコンパクトカーはありません。間違いなく世界一。スイフト、デミオ、ポロであっても。セグメントは異なりますが価格は被り気味になるパッソやマーチなどはお話になりません。
ただ、そういった「クルマエンスー」でない人がこの「ハイブリッド」のフィットに魅力を感じるかと言われれば…ある程度クセや特徴を掴んで楽しむのは大いにアリですが、そういった事をせず「普通に」走って使って便利ならば、1.3Lのベースモデルのフィットをお勧めします。それで十分。何度も書きましたが、「燃費向上分でベースモデルとの価格差を…」なんてメリットをこのハイブリッドに求めた時点で、結論は「やめといたほうがいい」となります。『1.3じゃちょっと物足りないなぁ…1.5にしようかなハイブリッドにしようかなぁ…』『ハイブリッドってなんとなくエコってイメージで今風でいいよね』というような感じで、血眼になって電卓叩きまくらないユーザーにはうってつけでしょう。
つまり、日本がお家芸であった、ハイブリッドという存在が、単なる1つの選択肢…当たり前になった、という事の表れでもあります。つまりは、もう、目玉商品ではなく、あって当たり前、車種での選択肢でハイブリッドか否かではなく、グレードの選択でハイブリッドか否かを決める…。これまでシビックであったり、クラウンであったりエスティマであったりレクサスであったり、もそうでしたが、それがこのアンダー200万円で当たり前のように選択できる時代が訪れた事に、大きな時代の変わり目を感じます。
これはある意味で本当の普及段階であるとも言えますし、逆に言うと「ハイブリッドか、否か」という問題にさえなくなってきたという、お家芸の定着化…季節限定の目玉商品が通年販売レギュラー化されたり、数年前まではトップであり目指すべき基準であったものが、今ではそれがクリアできて当たり前な最低限度のラインにまで底上げされた、そんな感覚でしょうか。いずれにしても、よく売れるクルマはなんやかんや言われますが、タイプRもなくなって、得意のミニバンでさえ1番を取れなくなったホンダ、そんな「ホンダらしさ」を一番感じるのが、このフィット。本当にこれを作ったホンダの気合いの入れようが伝わってきました。
…けど、それじゃダメだと思うんです。今総合的に、このフィットに一番ホンダらしさを感じる…という時点で、ダメでしょうと。シビックハイブリッドの価値をインサイトでブチ壊し、今度はそれをこのフィットHVでぶち壊す。こんな商品開発ができるのもホンダならではと言えばそうですが、それでいいの?と。
「ちょうどいいisフリード!」と銘打ってフリードが売れたのは、「もったいないisステップワゴン!」という事を消費者に気付かせてしまったから。その犯人は間違いなくホンダ自身なのです。こんな事ばかりしてて大丈夫なんでしょうか?
ホンダ車の中でこのフィットに一番ホンダらしさを感じる…もちろんフィット自体に罪はありません。本当によくできてます。万能なスーパーコンパクトカー。…じゃぁ他のホンダ車はどうなってんの?フィットくらい本気だして作ってるの?残念ながら今のラインナップを見る限りそうは全く思えません。
社長が「守るべく時代は過ぎ、次はいよいよ攻める時だ!」と号令を出したそうなので、是非期待しましょう。スポーツカーだけでなく、ホンダ車全てに活気が溢れるその時を。
えっ、で、結局フィットハイブリッドはお勧めかって?えぇ、とてもいいクルマです。
えっ、自分で買いたくなるかって?そりゃぁもう、買うならRSの6速MTで決まりです。笑
お後がよろしいようで…。
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ホンダ | 日記
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2010/12/20 00:26:04