
さて、今回はいよいよ登場した、日産リーフの試乗記をお届けします。
アイミーヴに続き登場したEV…というと、日産側の人が怒るかもしれません。それほどまでに、今回のリーフに対する日産の気合いの入れようは相当なもの。ハイブリッドでトヨタに大幅に遅れをとった理由も、ゴーンさんのEV推しによるものでしょう。もっとも、フーガのハイブリッドは今までトヨタが積み重ねてきたハイブリッドの歴史をぶっ壊してしまうかもしれないほど、複雑かつ合理的で非常に上手くまとまったものですが…
と、話が逸れました。というわけで今からリーフのインプレッションですが、すでにアイミーヴを3度、100km以上乗っており、最新EVの凄さは実感済み。なので、いわゆる「とっても静かでスムーズ、滑らかな走り…」とまずは誰でも驚くそのカルチャーショックは体験しているので、そういったお決まりの印象は横に置いといて、アイミーヴの試乗記の時のように「ちょっと非日常的じゃないの?」という疑念を抱えつつ、自分はあくまで「自動車として見た時どうなのか」という評価基準の軸をブレさせない、ということを前提にレポートを進めていきたいと思います。
テスト車両は、まだ300kmほどしか走っていない、ホワイトパールの「X」。もう1つ上級グレードの「G」がありますが、このXでも基本的な装備に全く過不足はありません。ルーフスポイラーのソーラーパネルやクルーズコントロールが欲しいのなら「G」ですが、賢いユーザーはほとんどがXを選択するかと思います。
さて、まずはスタイリングですが…登場当初からの個人的な印象、一貫して変わらずに「理解不能」です(苦笑)。いたるところのディティールは未来感を表したかったのでしょうが、なぜこのプロポーションにする必要があったのか。こんなオーソドックスな2ボックスに。事実、後々に記しますが、パッケージング上の「無駄」がいくつも散見されます。まぁこれも、数々の検討と熟慮を重ねて生み出された結果なのでしょうが…個人的には、あの「ジューク」のデザインで中身がEVならば、それはそれは素晴らしく先進的な1台となっていただろうに…と思ってしまいます。デザインだけで言えば、アイミーヴのほうが5000倍はいいですね。
ただ、当初のあのブルーのボディカラーがそのイメージを助長させていたのかもしれません。先日横浜の日産グローバル本社で見たレッドやブラックのリーフは、「まだマシ」な印象でした。この白パールは…やっぱ、ダメですけど^^; とは言え1日乗ってみて、いわゆるブルドックのような「ブサカワ」的愛らしさがある、のかもしれない、と思えてくるようになったりも…。
ボディの3サイズは、4450×1770×1550。ティーダくらいかな?と思っている人も多いようですが、それより1サイズ大きめです。あえてこの大きさで出すのも、おそらくは「北米市場でのベーシックサイズ」を狙ったとも言えますし、プリウスを意識していないはずはありません。
さて、見た目の印象はこのあたりにして、続いてドアを開けてインテリアへ。まず目に飛び込むのが、ホンダ車のような上下2分割のメーター。上部に速度、時間、外気温、左にあるのはエコインジケーター、下は左から時計周りに、バッテリー温度、回生・出力を示すボール型モニター、航続距離。えー何が言いたいかというと、もういろいろな表示がありすぎて、しかも各表示方式がどれもバラバラで、運転中の把握のし易さなんてホントに考えてんの?という印象しか残りませんでした。
ホンダは苦慮してインサイトで「色変化でエコ運転を示す」というアンビエントメーターを作って、これは大変よくできていると思うのですが、やはり初物だからか、リーフはまだまだこのあたりのインターフェイスの工夫が必要かもしれません。というか、人の目線位置によっては見え方が全然違ってしまいかねない、この上下2分割メーターの構造自体、欠陥かもしれませんね。案の定、自分は中央のインフォメーションモニターの下側が見切れてしまう時がよくありました。
その原因の1つとして、ドラポジを合わせている時に驚愕の事実。ステアリング調整はチルトのみ、ホントはテレスコがあればなぁ…と思いながらシートリフターでシート上下調整を…と思いきや、今となっては珍しい、ラチェットではなくダイヤルでの調整。嫌な予感……そうなんです。このリーフ。いまどきシートの高さ調整機能は、全体が持ち上がるタイプではなく、マーチと同じく座面だけがわずかに調整できる、なんとも安っぽくて古臭い方式なのです。これには唖然。
VDC標準はエライ。リア中央ヘッドレストとテレスコが欲を言えば欲しいなぁ…なんて思っていたら、こんなところでコストダウンをしていたとは。インテリアの質感はそこそこ良く感じられていただけに残念。電気自動車は航続距離が短いし、ロングドライブなんて出来ないから、シートポジションの調整なんてどうでもいい…という考えによるものなのか?はっきり言って、EVどうこう全く関係のないところでこんな手抜き、全く持って損というか、もったいないというか。まだプレス試乗会は行われていないとのことですが、誰か指摘する人がいるかどうか。
なるほど、これならアイミーヴよりも安くできるはずです。メーターはインパネまわりにはお金かかってますが(事実、ナビの操作系やエアコンスイッチのタッチは高級感があって質感かなり高し。)その他の部分の内装クオリティは、残念ながら100万円クラス。ティーダ以下、マーチよりややまし、程度です。削れるところは徹底して削ってます。
ちなみにマーチと同じと言えば、これもK12マーチ試乗インプレッションで酷評した、横方向のガラス面積が狭く視認性に難ありの小さなドアミラー(画像はマーチのもの)。リーフは残念ながらこのマーチと同型のドアミラーが採用されてしまっており、案の定車線変更時の後方斜め方向の死角が他車と比べて格段に大きく、危なっかしいったりゃありゃしない。この2点、慣れどうこうで解決できる問題と判断されている?走りや安全性をどういう言う前に、まずこういった基本的な部分をちゃんとする事、それが大切なのでは?もっとも、初期ゴルフⅣや現行E90型3シリーズ前期なんかでも、ドアミラーが小さすぎて危険、という事もありますが。
どうやら気になる一般ユーザーからの指摘はあまりない?しかし、運転し始める前段階として、この2点は個人的に激しく気になりました。細かいところで言えば、リアウインドーのウォッシャーがない、なんてのも。
操作系は画像のように、マウスのようなシフトと、電気式パーキングレバー。見た目を優先してかこういった形状のシフトになったのでしょうが、実際に動かしてみても操作感はまぁまぁ。使いやすいかどうかは微妙なとこですが、ボタン上に「P」ボタンがあり、信号待ちの時はポチっと押せばブレーキ操作から解放されるので便利でした。
ただ、Pボタンを押す時も、そこからDモードにする際にも、後ろのパーキングレバーを操作する時も、その反応がどーも1テンポ、2テンポほど遅れます。おそらくこれは意図的なのでしょうが、少し慣れが必要とされるかもしれません。またこのインパネまわりのピアノブラックの処理は、未来感と高級感が上手くバランスされておりなかなかの雰囲気ですが、ご覧のように乗っているとホコリや指紋、傷がすぐに目立ってしまうのが難点。まだ新車なのにこの状態ですから、長く乗るとどうなるかちょっと心配です。
リアシートは十分なスペースが確保されていて、見た目ではなんだ十分に広いやん!…っと思いますが、実際に座ってみると、なぜかどーも落ち着かない。理由はフロアと座面の高さが不足していて、足をつけると太もも付近が浮かび上がってしまって、スペース的には全く問題ないのですが、どーもしっくり座れない印象。フロントシート下に指先を入れられればもう少しマシなんでしょうが、前途したようにシート高調整の方式があれなのでそれも無理。これはやはりフロア下に電池を積む関係で、パッケージングの苦慮が伺える部分です。ちなみに自分は178cm。小柄な方なら気にならないかもしれません。もっとも、そこまで細かく気にしなければ居住スペースは十分に実用的。ヘッドレストはないものの、中央席も3点ベルトなのは○。
ラゲッジスペース、こちらは積極的に広いと言っていいでしょう。開口部も大きく、深さもたっぷり。シートを倒すととてつもなく大きな段差が残りますが、自転車が積めないじゃないか!という人はセレナを買いましょう(笑)。よほど大きな荷物を積まない限り、大きな問題にはならないと思います。また、ご丁寧にもゴルフバッグ2つの収納方法が説明書には記されていましたが、冬場暖房入れたらフル充電でも100km走れるかどうか、というようなクルマでゴルフに行く人はいるのかどうか^^; あ、近所の打ちっぱなしに行く?なるほどさすが日本基準。
さて、走り出す前からこんな長くなってしまいました(汗)。スイッチをONにして、いざ出発…そこからの走りの印象、カーナビの協調制御、バッテリーの持ち、急速充電、などなどは、次回後編でまた詳しくアップします。今回はこのあたりで。
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日産 | 日記
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2011/02/14 00:13:03