さて今回は前回の予告通り、今もっとも注目を集めていると言ってもいいであろう、トヨタ「86」とスバル「BRZ」の実車チェック&86の試乗レポートをお届けしたいと思います。
…来年春に出るというのに、こんな素人が試乗レポート?そう、実は東京モーターショー開催期間中に、ビックサイト近所のメガウェブにて、先着順で86のプロトタイプのステアリングを握るチャンスが!こんなこと、今まであまりなかったんじゃないでしょうか?クルマ好きとしては当然このチャンスを逃すわけにはいかない…というわけで、大阪から遠征、TMSも一緒に見たかったので「とんでもない早起き」をして早朝から列に並び、MTとAT両方乗る事に成功!僅かな時間ではありましたが、そこでの印象を含めて今回のレポートを進めていきたいと思います。
まずは、このレポートを進めるにあたって。いつもはメーカーごとに区分をし、今回の場合86メインになるので当然トヨタ枠にするべきなのですが、ご存じの通り開発はスバル。中身もスバル。最終的なアシの設定の違い以外、セッティングも全てスバル主導。しかしながら、このFRスポーツカーの話を始めたのはトヨタ、開発主査もトヨタ、直噴技術でFA20エンジンの仕上がりに貢献したのもトヨタ、そしておそらくは金を多く出してるのもトヨタ。このあたりで、クルマ好きの中では今後も色々と論争が起こる事でしょう。というわけで個人的には、トヨタ側への「配慮」とスバル側での「敬意」を払いまして、今回「トヨタ/スバル」というカテゴリに分類した事を、まずはご理解頂きまして…。
まぁ正直言いまして、トヨタが嫌いな方はモヤモヤした気持ちを抱えているかもしれませんが、個人的にはメーカーの好き嫌いでクルマ単体の評価を判断してしまう事は物凄くもったいないと思っています。よくぞこの時代に生まれてきてくれた。とりあえずその存在自体はもう大歓迎。トヨタが嫌な方の為に、六連星バッヂのBRZもあるわけですし(笑)
もう1つ批判の対象として挙げられるのは「86」という名前でしょう。現役世代で知っている方含めて、この名前には賛否両論。個人的にはAE86に思い入れもなければ、頭文字Dなんてギャグマンガだと思っているくらいですが、はっきり言ってこれはトヨタの作戦勝ち。FT-86からそうですが、これは86という名前をつけたからこそ今現在ここまでの盛り上がりがあるわけです。仮にもしレビン、トレノ、セリカ、スープラという名前だったり…もしくは全然違うブランニューネームだったら…BRZと86、同じクルマなのに全然盛り上がるボリュームが違う…それはTMSに行った方ならわかる通り、トヨタとスバルのブースの人の多さの違いで明らかでしょう。このあたり、トヨタは上手い。スバルの不器用さもそれはそれで好きですが。
さて、前振りはこのあたりにしておいて、早速実車レポートの方へ移っていきましょう。ちなみにエンジンや内装などの写真の多くは、ビーナスフォート内のヒストリーガレージにポツンと置かれた赤の86。こちらは座りたい放題、触り放題。おかげでその後TMSではただ見るだけで何十分も並ぶのがアホらしくなってしまい、先週のレポート含めてオレンジの18インチを履いた車両の写真は1枚もありません(苦笑)
さて、ご対面。11月末のエンバーゴ解禁後、いや解禁前からそれこそ穴が空くほど写真を眺めていましたが、まずパッと最初に見た第一印象は「小さいなぁ」。宣伝文句「4シーターFRクーペで世界最小サイズ」というのはその通り。全幅が大きいので3ナンバーではありますが、ボディ全体は非常にコンパクト。ちなみにサイズを記してみると…
全長×全幅×全高×ホイールベース=4240×1775×1300×2570(mm)
ちなみに、奇しくもではありますが、4240mmという全長はあのフェラーリ・ディノ246GTSと同寸。と言ってもあまり現実味がないのですが、とにかくコンパクト。車高もルーフアンテナ分が含まれているので実質1200mm台。このコンパクトなFRクーペが200万円台で買えるというだけでも、エコエコ風潮の現代では奇跡と言っていいでしょう。逆に、これが我々クルマ好きに託された最後のチャンスとなる1台となるかもしれない。それくらいの重みを背負ってこのクルマを見つめなければならない、そう思っています。
さて、外装チェックといきましょう。展示されていたのは、16インチを履いた素のスタンダードモデルの6ATモデル。HIDヘッドライト&LEDポジションライトが省かれたノーマルヘッドライトを装着した顔つきは、ちょっと魚を思わせる顔つき?BRZとの最大の違いがこの顔つきになるわけですが、みなさんのお好みはどっち?ちなみに自分はBRZ派であります。
続いてサイドビューから。ボンネットが開いていますが、この角度からでもノーズの低さが伝わるかと思います。昨今の衝突安全性、特に歩行者対策によるボンネットからエンジンルームへの空間確保は、スポーツカーらしいスタイリングを実現するにあたって大変大きな障害になっている事はご存じの通り。ロードスターやCR-Zのフロント周りを想像頂けたらと。一部の高級車はポップアップボンネットフードなどを採用していますが、当然コスト面で価格に反映してしまうのは想像に容易い事。
そんな中今回86がこのプロポーションをノーマルボンネットで実現したのは、当然ボクサーエンジンを搭載したおかげ。低重心は実際の運動性能で有利に働くその前に、現代の様々な制約の中でコストを意識したFRスポーツカーを作るためには、必然でもあったわけです。この低くスラントしたノーズを手に入れる事ができなかったら、もっと寸胴で鈍臭いプロポーションになっていたことでしょう。
続いてヘッドライト・テールラント付近のアップ。まだ初期生産モノのプロトタイプながら、このあたりの組み付け精度は○。生産はサンバー亡き後の群馬工場にて86・BRZともに生産される予定。このクレイモデルを削るにあたり、真横にあのトヨタ2000GTを置き、そのオーラを感じながらデザイナーが削っていった…とのことで、そのあたりの面影がこのリアフェンダーからCピラーにかけて感じられます。
テールライトはこのように丸型LEDで鋭く光り、視認性は◎。クリアテールにしたのは個人的には大反対ではありますが、このあたりまたアフターパーツも色々と出てくるでしょう。自分なら即座にカッコいいスモーク処理されたサイオンFR-S用のテールを取り寄せて交換します(笑)。86とBRZのテールが同一…というのが少し残念ではあるところ。リアテールが違えば、それこそシルエイティやワンビアのように「86Z」や「BR6」なんて混合モデルを作りだす光景が目に浮かびます。
上級モデルはカッコいいマフラーに見えましたが、それは見せかけのカッター処理で、実際はこの大きさ。さすがにちょっとショボい…ですが、これはもう交換前提でどうぞ、という事でしょう。ちなみに床下に潜り込むと…86ですがマフラーにはしっかりと「SUBARU」の文字(笑)。ちなみにブルーの証明の方はBRZの方。こちらも床下潜り込んで確認すると、同じ表記が確認できました。
もう1つの注目点と言えばフロントフェンダー。86はエンブレムが装着され、BRZはこのようにディフェーザー風の処理…あえて「風」と書いたのは、これ単にステッカー貼っただけの見せかけパーツ。ちょっと残念。しかし裏側を確認するとペラペラのFRP?なので、おそらくはまたこれもアフターパーツで実際に穴をブチ空ける(笑)人が出てくると思います。
さて、エンジンルームを覗いてみましょう。最近はカバーが貼り巡されて「素人が触っちゃお断り!」な雰囲気のクルマが多いですが、こいつは久々に思いっきりメカニカル。ただ整備性が良さそうかと言うとそれはまた別で、見る限りけっこうギッシリ。抜けは用意してあるので、熱問題はちゃんと対策してるようですが…相変わらずプラグ交換は絶望そうなので、おとなしくプロに頼む方が良さそうです。ヘッドには「TOYOTA」「SUBARU」の両メーカーの文字が堂々と。これは86もBRZも一緒。こういうパターンは非常に珍しいように思います。エンジンのヘッドはサスタワーよりも下。見るだけでも搭載位置の低さが伺えますね。タワーバーは全車に装着されるとの事。
続いてサイド側から。フロントタイア付近ギリギリにエンジンが収まっていますが、本体部分の重心はフロントサスタワーより前。これではフロントミッドシップ…という言葉はちょっと使えなさそう。おそらく普通の直4ならさらにバルクヘッドに食い込ませて搭載位置を寄せて…なんて事もトヨタ側は当然考えていた事と思いますが、ボクサーならこのあたりが限界でしょう。重量バランスを気にしてか、バッテリーは思いっきり中央付近ギリギリにまで寄せられていました。ちなみにベースモデルのバッテリーサイズは軽自動車モノ。スマートキー装着車はもう少し大きいサイズになるかも?
さて、エンジンだけを見たいなら、スバル…というわけで画像はTMSスバルブースにて。3機のエンジンがありまして、奥が2Lのディーゼル、手前がFB16の1.6Lの直噴ターボ。真ん中がBRZと86に搭載されるFA20。ちなみにFAというのは、先に出たFB20(FutureBoxerの略)の流れで、その上を行くということでFA…というわけで大きな意味はないとのこと。
ボア×ストロークは86mm×86mmのスクエア。おぉーこんなところまで86!…っと思いがちですが、実はそんなことはなくて、ボクサーのディーゼルだってそうだし、トヨタの3Sだってそうだし、何ならタイプR系でお馴染みのホンダのK20Aだって86mm×86mm。つまりは2Lエンジンでスクエア設計をすると自然とこの値に収まる、というわけですね。
さて、NAという事もありますが、パッと見だけでもその小ささが画像からも分かると思います。よく見ていくと、小さいに加えて、あらゆるところがペシャンコ…という表現が正しいのかは微妙でありますが、吸排気系もかなり押しつぶされた配置で、これで排ガス対策クリアするのと200psのパワーを出すのは相当に大変だった事が伺えます。排気は前方側になって低く搭載したその位置の隙間を拭っていくような形。ちなみに横から見るとオイルパンのプレス位置は一緒…のように見えるんですが、聞くと実際は薄くしてあって、つまりもう上からも下からもギュッと押し詰められる形になって、それをまとめあげるのには相当苦労したそうで。エンジンメンバーも相当薄そう。…ただ搭載位置下げるだけじゃなくて、ある程度の地上高確保しながらなので。変な話、ここまでの低さ(薄さ)にこだわらなければこのFA20もっとパワー出るはず。
このエンジンがターボ化されたり改良されたりする可能性はありますが、それを86・BRZに積めるかとなったら話は別。たぶんなさそう。あってスーチャー過給?しかしそれをするとアレが…という話はまた後ほど。いろいろジロジロ見回してぶっきらぼうな質問をする文系大学生のクルマオタクな自分に、とても親身になって色々細かく教えていただいたスバルの開発の方、ありがとうございました。
ちなみに、86の方に戻りまして、色々と展示のクルマをジロジロ、また話を聞いた分で分かった事は、ダンパーはショーワ、デフはトルセン式、タイアは17インチがプリウスツーリングセレクションと同一なミシュランプライマシーHPである事は有名ですが、16インチはというと…こちらはヨコハマのdbE70。タイアのグリップに頼らない開発という意図が伝わってきます。因みに画像は16インチ、タイアサイズは205/55R16なのですが、これでもまだブレーキとのクリアランスは余裕アリ。これはひょっとして15インチまでインチダウン想定してる…?17.18インチでもブレーキは同一との事で、実際の容量云々よりもまずその見た目的に対策したい人が今後多く出てくるはずでしょう。
もう1つのビックリなのがタイアの指定空気圧。なんと前後ともに2.4!時代ですねぇ。おそらくはこういうクルマでも少しでもモード燃費を稼ぎたい…というよりは、流用タイアなのでそのままの数値という事なんでしょう。ちなみに写真は16インチ車両のものですが、17インチ仕様も確認したところ同じ指定圧でした。
さぁ…長引かせてしまって申し訳ありません、やっと室内に乗り込みます(笑)。グリップ式のドアハンドルを握ると、一瞬窓が下がって、ドアを閉めると窓が上がる。Zやスカイラインクーペなんかも同じ機構がついてますね。さてシートに座ると…おぉ、これは本当にヒップポイントが低い。「運転席に座りながら地面でタバコの火が消せる」との謳い文句でしたが、これホント。座った状態でドアを開けて、地面に手が届きます。俺のクルマだって!という方もいるかもしれませんが、シートレールから手を入れて着座位置下げてローダウン…ではなしに、純正シートとトヨタ社内基準最低地上高を確保した純正車高でこれができるクルマってなかなかないです。ちなみに最低地上高は130mm。ここから車検も楽勝可能で2~30mm下げられる余裕があるんですから、これは凄い。もっとも、MR-Sに乗ってる方はそんな大きな驚きはないかもしれませんが…。
バケット風の純正シート。これがなかなか…いやかなりよかった。乗員性は犠牲にせず、けど一度座れば見た目から想像する以上のバッチリなサポート性。ハイバックタイプじゃないのでヘッドレストの調整だって可能。背面だけでなく座面までしっかりとホールドしてくれるのは◎。交換前提で割り切っているのかと思えば、なかなかやりますなぁ。
低めのアイポイントとも相まって、シートポジションはバッチリ。シートリフターの調整幅も大きいので、小柄な方でも安心。自分は178cmですが、最低位置から2ノッチくらい上げてちょうどいいくらい。ヘッドクリアランスにも余裕あり。ヘルメット装着もOKでしょう。ステアリングはテレスコ・チルト調整可、調整幅もそこそこ。嬉しいのはステアリング角度が物凄く「起きて」いる事。脚を前方に投げ出して、オフセットもなくスッと立ったステアリングが目の前に。トヨタ車最小を謳う365mmの小径ステアリング、最初写真で見た時は「なんだこの目玉焼きみたいなダサいハンドルは!」と思いましたが、実際はグリップの太さも適切で、ステッチも内巻きで指にひっかからず、革は4ピース巻きながら質感もなかなか。上級グレードの赤×黒コンビ色はちょっとガキっぽいですが、この写真の黒単色やBRZの赤ステッチ仕様なら純正状態でもOKでしょう。
インテリアのクオリティは、可もなく不可もなく。200万円そこそこで、新規モノパーツに相当コストがかかっている事を考えたら、これくらいで十分…というのが個人的感想。ベースモデルはマニュアルエアコンですが、上級モデルのオートエアコン仕様はインパネ付近の見た目がガラっと変わるので、お勧め。プッシュスタートボタンもこのシフトノブ前方側に装着されます。
メーターは中央にタコメーター。左側に260km/hスケールのスピードメーター、右側に燃料・水温計。ライトONのイルミはレッド。上級モデルはタコメーター内にデジタルの速度計が埋め込まれます。ということでメーター比較。
(上)86 ベースモデル(ライトON)
(中)86 上級モデル(ちょっと空ぶかしw)
(下)BRZ 上級モデル(画像借り物)
メーター数字のフォントも微妙に違うのもお分かり頂けるかと。針が長い86上級モデルのメーターが個人的にはカッコいいと思うものの、タコのホワイト処理は好き嫌いが分かれるかも。BRZは86ベースモデル+デジタル速度計の組み合わせに近い、といった感じでしょうか。
展示車はATモデル…とは思えないくらいのスポーティなシフト周りの処理。ブーツもそうですが、丸型シフトノブはMTとおそらく同一のもの?ちなみに86とBRZはシフトノブも微妙に違っており、BRZはステッチが入りません。
シフトノブ手前には、右側にVSCスポーツ、左側にVSCカットのボタン。AT車は中央にスポーツ・スノーモードの切り替えスイッチが装着されます。そのさらに後ろ側には大きなセンターコンソールの収納。カップホルダーは2つ分。これは簡単に脱着可能で、中は結構な深さがあって容量もなかなか。乗り込んですぐポンと財布や携帯を置いておくのに最適でしょう。このあたりはさすが、トヨタの気配りか。
さて、気になる人は気になる、リアシートとラゲッジスペースの広さについて。雑誌やネットではドリフト時の挙動どうこう…なんていうのは散々載っていますが、こういう情報は全然載ってない。こういう隙き間産業?について詳しくやるのがうちのブログです(笑)
シートサイド部にレバーがついており、ワンアクションで後席へ。さすがに乗り込む時はアクロバティックな姿勢を強いられますが、どうにかリアシートへ。外見から想像するに絶望的…かと思いきや、意外に収まってしまえば座れてしまえます。脚元スペースは前席を引き気味にするとゼロになりますが、少し前に出してもらえばなんとか…というところ。頭上空間はこれでも頭当たらず。ただ夏場は日差し地獄になる事確実ですが…でも、これならちょっとくらいの移動ならなんとか我慢できそう。CR-Zなんかに比べればはるかにマトモ。このレベルでも、シートが有る無しでは日常生活では格段の違いがあります。これこそ4シーターの価値と言えるでしょう。
左右のボタンを押すとシートが倒れ、これが上手く座面形状とピタッと合ってラゲッジスペースと完全フラットに。天地方向はさすがに余裕がありませんが、タイアを4本平積みできるという謳い文句に偽りはありません。ちなみに大きさを計測すると、奥行き1500mm、幅が一番狭いところで1100mm、高さが一番低いところで340mmほど。シートを起こした状態でもこんな感じ。FRスポーツカーとしては十分な実用性を備えています。床下には簡単な収納スペース、左右には工具とジャッキ。スペアタイアはレスで、パンク修理キットが搭載されます。
さて、散々引っ張りましたが、ようやくここから試乗レポートです。ちなみに、車両は初期生産のプロトタイプ。なので当然市販版よりも完成度が劣るところ、もしくはその逆(?)がある可能性アリ。またメガウェブ内特設コース内での限定的な環境である事をまず初めにお断りしておきたいと思います。1人に割り当てられたのは3周、うち2周は自分の運転で、最後の1週はプロドライバーの方の同乗走行。ちなみにドライバーというのは、TRDさんのテストドライバーさんだったり、F3やGT選手権に参戦中の方だったり、結構本気です(笑)
一応最初の説明で、場内速度は50km/h程度まで…との案内が。これを聞いて朝早くから並んでがっくりきた方も多かったようですが、まぁ仕方ないでしょう。初期生産のプロトタイプ、販売が来年4月ということですから、まだこの世に走れる個体数はほんの僅か。価格にすれば1台5000万円くらいする価値があるとも言えます。そんな貴重なクルマを素人に運転させてくれるチャンスを与えてくれるだけでありがたい…。
まずは初日、MT車を試乗。割り当てられたのはレッドの個体。リアスポイラーが装着されているおそらく最上級モデル。タイアは17インチ。内装はレッド×ブラックのコンビ。シートも赤基調に。ちょっとガキっぽい…ところもあるとはいえ、販売当初はやっぱりこの華のあるグレードが人気を集めそうです。価格は300万円弱くらい…?
当日は今シーズン一番の寒気が流れ込み、昼間でも気温は10℃以下。しかし乗り込む時はダウンを脱いで、できるだけ薄着でクルマのフィーリングをしっかりと感じられるように少しでも配慮を。シートに座り、ポジションを合わせ、ステアリングを調整。MT車のペダルレイアウトを確認。当日はあえて少し幅広めの靴を履いて行ったのですが、それでもペダル間のクリアランスは十分、足をフットレストに置いた時にクラッチと干渉する事もなし。28cmと無駄にデカい足の自分でも大丈夫でした。
クラッチをいっぱい踏み込んで、スターターボタンをプッシュ。メーターアクションから僅かなクランキングを経て、エンジンがスタート。1速にギアを入れ、サイドブレーキを下ろし、ゆっくりクラッチを離す…
ミートポイントはかなり手前。つながりはとてもスムーズで、踏力も適度な重さ。スポーツモデルとしては軽めか。アイドル+α領域の回転でも十分に発進可能で、おそらくは渋滞などでギクシャクしたりすることもないでしょう。まったくピーキーな特性は感じられません。
さて、肝心のステアリングフィール…個人的にドリフトどうこう、ゼロヨンや筑波のタイムどうこうよりもよっぽど大事な要素。86&BRZは燃費云々ではなく、ギリギリまで手前に寄せたエンジンを始めとするスペース上の問題で、電動パワステを採用。EPS採用で肝心のここがイマイチになってしまえば、個人的な印象はガタ落ちしてしまいます。
…が、結果的にその心配は杞憂に終わりました。動き出しからリニアなフィーリングを手の平に伝えてきてくれて、路面とのインフォメーション性も○。極端にゲインを高めてアシストが遅れてくるような症状もなく、とりあえずまずは合格。ホッとひと安心。おそらくはステアリングラック自体の取り付け剛性なども相当に気を配った結果だと思いますが、芯の強さが感じられ締りのあるキチッとしたステアフィールを持ち合わせてくれていました。個人的には、操舵力はもう少し重くてもいいくらい。このあたり含めて、取っつきにくさは全くありません。
次に気になるのはMTのフィーリング。今回86とBRZに搭載される6MTはアイシンのAZ6。これだけでピンときた人もいる事でしょう。アルテッツァベースというのは既に有名な話ですが、S15シルビアやNBロードスターやRX-8の前期(現在は内製)と同じ6MT。そんな古いやつもってきて!!と突っ込みたくなる気持ちもわかりますが、実際はミッションケースを始めとして約85%のパーツが新設計なのだとか。実際にアイシンがスバルのMTを手掛ける事は初めてで(スバルは内製)、そのあたりのシミュレーションのやり直しや基準値の設定などに苦労した…とは、アイシンブースの説明員の方のお話。ただフィーリング面では相当に改良を重ねたようで、そのあたりはかなり自信を持っているようでした。
ただ「容量的にはどうなんですか?」という話をしたら、ちょっとイマイチすっきりしない回答が。まぁそりゃそうでしょう、出展の説明にもわざわざご丁寧に「中容量」とはっきり書かれています。つまりはそういったパワーを受け止めるキャパシティ的には余裕を取っていなさそう。これが86&BRZのターボ化がないであろうという予測を立てた要因。おそらくはミッションも強化しないと耐えられない…無理にやればシルビアやアルテッツァのように、ミッションが逝ってしまう事が多くなりそう。これがアフターマーケットの盛り上がりの足を引っ張る事にならなければいいのですが…。
というわけで話がズレてしまいましたが、アイシンさんのお話の通り、シフトフィールだけを見ればこれがとてもいいんです。各ゲートがいかにもしっかり区切られています!といったフィーリングで、スバル車全般に見られるようなどこか「グシャァ!」としたような感触もなし。ストロークも結構詰められていて、気持ちよくシフトする事ができます。スコンスコン、というよりは、カチッカチッ、といったような印象。1速の横がリバースギアなのも便利。もう少しシフトレバー自体が短ければ…とも思いますが、誤作動防止用のリンケージがあるので少し難しいでしょうか。とは言え、シフトフィールも予想していたよりも良くて○。これは嬉しかったです。
ゆるゆると走り出してすぐにシフトフィールとステアフィールを確認したところで、1週目はとにかくゆっくり、ゆっくりと。市街地走行をイメージして、発進直後からすぐにポンポンっとシフトアップ。そこで気づくのが実に豊かな低速トルク。2500回転付近でシフトアップをしていっても、普通にスルスルーっと加速していってくれるこの印象は、間違いなく今までの2LNAボクサーエンジンでは味わう事のできなかったフィーリング。制限50km/hというコースの中で、ラクラクと5速!まで入れる事ができた、と言えばこのエンジンの柔軟性がお分かり頂けると思います。
もちろんFRという事でAWDとの車重の違い、クルマのキャラクターの違いはありますが、2L200psの出力とこの街乗り領域でのトルク感の両立は、12.5という高い圧縮比を実現できたトヨタのD-4Sの技術による賜物でしょう。先代レガシィの2.0Rに搭載されていた190psのEJ20も相当気持ちいいエンジンでしたが、低速が犠牲にされている感は否めなかったですし、排ガス浄化性能もイマイチ。もともとスバルも直噴はやっていたとはいえ、やはりこのFA20に関して言えば、トヨタの力が大きく貢献したと言っていいでしょう。とくにスバルファンボクサーエンジンファンであればこそ、このエンジンの出来の良さに驚くはず。86でもBRZでも、パワートレーン関連のチューニングは最終的なセッティングも含めて、全く一緒との事。足以外は全て同じ、しかも最後までスバルが全部仕上げたものが86もそのまま搭載されるそうです。
さて、予想以上のフレキシビリティっぷりを実感して、2周目へ。一応制限は…ありますが、2周目はちょっと無視して…でも1週目が予想以上に慎重だったのを悟られたのか、横のインストラクターさんには全く何も言われず怒られず、むしろどーぞどーぞ的な雰囲気でした。皆さんド頭からガンガンいく人が多かったんでしょうか…(笑
途中の信号でいったん停止して、次はちょっと回転上げてストール発進。しかし当日はウェットコンディションだったので、当然のようにTRC作動。さすがにVSCカットはできず。1速で全開レッド7400rpm、メーター内のREVインジケーターが赤くパパッと点灯したのを確認して素早く2速へ、そのまま再びレッドへ…確認できたのはここまででしたが、1速リミットで約60km/h、2速吹け切りでちょうど100km/hくらいでしょうか。その後ちょっと2~3速が離れ気味…に感じるのは、おそらく3速ギアで計測する騒音対策によるものでしょう。でも、アルテッツァ自体に感じたようなギア比の振り分けの?はなく、クロスレシオさは十分。
そして気になる「音」ですが、一時期のトヨタ車でありがちだった中途半端なスポーツマフラーの排気音でごまかすのではなく、86はエンジンの吸気音をはっきりと聞かせるタイプ。音質は乾いた、というよりも、グォーン!!と予想していたよりもハッキリ男らしい雰囲気。このあたりは完全スバルの雰囲気。音量自体は室内で聞く分かなり大きめ。スバルなら分かりますが、よくぞこれでトヨタがOKだしたな…っと、いい意味で驚かされます。ちなみに聞くところによると、排気音のチューニングはほとんどしてないのだとか。◎。つまりはここから個々で調整は可能。個人的にはこの純正状態でも十分に「サウンド」と評価できる音質でした。
それよりも個人的にスポーティな印象という意味で気になったのは、吹けは十分に軽快で素早いものの、シフトアップ時などの回転落ちが少しかったるい、重々しい印象があった事。スパッと歯切れのいい乾いたNAっぽさというよりは、どこか湿ったような回転フィールなのです。ここはまぁフライホイールなどの関係もあり、街乗り領域のトルク特性との両立が難しいところがあるかもしれませんが、MT仕様の試乗を通して唯一パワートレーン系で不満に思ったのがココ。組み付け精度の問題?生産版では少し改善されるでしょうか?期待を込めつつ、ちょっと気になったので記しておきます。
コース内には軽いスラロームステージがあり、2周目はややスピードを上げて進入、ブレーキングで前荷重をかけてややオーバーアクション気味にクルマを左右に振ると…
サスペンション自体は固められた印象はなく、乗り心地だって全く硬さはなし。サスのストローク量もある…当然それなりに初期では軽くロールするのですが、そこからの左右の振り返しで、慣性が残る気配がなくスパスパっと素晴らしく軽快なフットワーク。おー、これは凄い!これは確かに低重心設計がモロに効いているのでしょう。同じ事はブレーキングにも。踏んだ時のフィーリングはカチッとしていて剛性感のあるフィーリングなのですが、さして印象は残る事はない…それよりも、ブレーキが良いというよりも、ブレーキング時の姿勢がとてもいい。ノーズダイブが少なく、4輪がヒタっと沈み込むような安定感。そのまま旋回に入ると一瞬リアがフワっとするような動き、ターンイン時にフロントがクッと入ると同時にリアがアウト側から回り込むような挙動…はもう少し抑えたいところですが、これはおそらく86であるが故の意図的なセッティングなのかもしれません。もっともこの時点でVSCが介入するのでその点は安心ですが。たぶんBRZはもっと4輪の接地性を意識した固めの味付けなのかも?…そんな事を考えながら、MTの試乗はあっという間に終了。
続いてプロドライバーの同乗走行。次はお尻と背中のセンサーを最大限の感度に設定して助手席に乗り込みます。いきますよー、との掛け声と同時に、いきなり全開!お尻ズリッ!2→1速のシフトダウンも超スムーズ。自分の時よりも遥かに高い回転からクラッチ離してスパンとスタート、キュキュキュっと加速してとんでもなく速い電光石火シフト、あっという間に3速で120km/h超え!そこからブレーキングで2速、90km/hでスラロームを抜け、そこからすぐさま3速に…そして思いっきりフルブレーキングで3,2,1速…当然ではありますが、抜群に上手い。自分の下手クソっぷりが悲しくなるくらいに。この速度域なら自分のレベルでは全コーナーで事故っている事でしょう(笑)。けどこれが全然怖くないんですよね、助手席でも。かなり思いっきり飛ばしてますし、ステアリングでそれなりにアクションを起こしているのですが、クルマの挙動は終始安定。軽い+低重心という事で、このステージに限っていえば相当に扱いやすそうな印象を受けました。ロール、ピッチ、ヨー…X軸、Y軸、Z軸すべてのクルマの挙動に対して動きが穏やかで、戻り方も素直。いわゆる「素性」はとてもよさそうです。
さて、翌日。次は6ATモデルの試乗。試乗車はホワイトで17インチ。パドルシフト付き。内装は同じくブラック×レッドのコンビでしたが、この仕様にはリアスポイラーは装着されていませんでした。ちなみに車重はMTモデルと比べて+20kgだとか。位置が位置だけに、前後重量バランスには影響しない範囲で収まっているようです。
こちらの6ATもアイシンのもの。マークXに搭載されているものに、IS-Fのような発進後のロックアップやプリッピング機構を設けた仕様とのこと。まるっきりMTと勘違いしそうなシフトレバーをDレンジに動かして、ATのほうも1週目はそろそろと発進。
街中を想定して一般的なアクセル開度で走ると、ポンポンっと上のギアへ変速。ただショックを減らしスムーズにするためにトルコンのスリップを多めに…というトヨタ風の味付けではなく、いつ変速したかをDレンジでもしっかりと伝えてくるタイプ。ショックが大きい、とまでは言いませんが、これは意外でした。もちろん、クルマ好きにとってはいい意味で。スバル側は当初リアルトロニックCVTの搭載も打診したそうですが、いくら速くて効率が良くても、CVTはやはりスポーツカーにはフィーリング面では合いません。本当はDCTなら完璧なのですが、ここは6速ATのチョイスが一番真っ当だったのでしょう。
さて、ひと通り確認したところで、シフトレバーをマニュアルモードへ。まずはパドルを使わずに変速を確認。ここで予想外に良かったのがシフトレバー自体の変速タッチ。明らかにストロークが詰められていて、コクコクっと動いてくれて質感が◎。こういう部分、ATと言えども結構大切なポイント。ちなみに押して+、引いて-、この方向がしっくりこない方…のために、またTRDでシフター変換キットが出る事でしょう。
パドルシフトはトヨタ・レクサス用に使われているものではなく、レガシィと同一品?ステアリングと一緒に回るタイプ。ただ個人的にはパドルの大きさが少し小さい印象でした。せめてSTIのA-Lineくらいのものが装着されればいいのですが…
さて実際のATの方の出来ですが、すでに他の試乗レポートでもある通り、これがかなり良くてビックリ。シフトノブ、パドルでの反応はアップ・ダウンともかなり良く、また変速自体のつながりもスパッスパッ。シフトダウンでも大きなタイムラグなく、しかも見事なブリッピングを披露してギアダウン。お見事!これならひょっとしてDCTとあまり変わらないかも…?ATは別に変速プログラムをスポーツモードに設定する事も可能です。
また、変速モードはギア固定型。トヨタの場合、例えばメーター内に「3」と表示されていても、それは3速固定ではなく、1-2-3というレンジ指定という方式がとられています。これが案外やっかいで、例えば3速だと思ってこの状態で多めにアクセルを踏むと勝手に2速にキックダウンをしてしまう…なんて事もあって、マニュアルモード時には分かりづらかったのですが、この86の場合はそれはなし。確認のために4速のままアクセルを床まで踏み込んでも、ギアはそのままでした。
また、1速をチョイスして発進し全開…ここで7400rpmのレッドライン付近まで到達しても、マニュアルモード選択時には自動シフトアップせずそのまま回転リミッター作動。これも○。ATといえどもかなり硬派な設定です。またDレンジ状態からパドルを弾くと自動的に手動変速モードへ→その後自動復帰、というロジックも搭載されており、一瞬エンブレが欲しい時などにも重宝できます。
それだけに残念なのが、シフトダウン時の回転制御が結構マージンを多くとられているようで、特に3→2、2→1へブレーキングと同時にシフトダウン…という時に、ピピっという音で拒否されてしまう事が何度かありました。しかも結構な余裕を確認した上でもダメな時が…もちろんギア比との関係もありますが、4000rpm付近より下になったくらいを意識してシフトダウンしなければなりません。ATの出来がいいだけに、ここだけが唯一惜しい。でも、ATでも十分にスポーティな雰囲気を感じる事ができるのは確認できました。
さて、フットワークに関していえば、このステージ・この僅かな時間では昨日MTに乗った際との違いは明確には感じられませんでした。ただ違いが全くなかったわけではなく、条件的なもので少し判明したことも。それはブレーキングの時…
前日のMTの試乗の時は、13時スタートの14時の枠、順番的に前から4~5番、しかも午前中はベストカーの同乗走行枠があったので、熱い走りで?エンジンもタイアもそれなりに温もった状態でした。しかし翌日ATの枠は、午前中の11時台1発目の枠。つまりは自分が初乗り…タイアもまだ十分に温もっているとは言えない状況でした。
この状態で、乗るのも2回目+ATという事もあって、ちょっとペースは上がり気味。2速レッドで100km/hを超えるくらいまで踏ませてもらったのですが、この時にパンとブレーキを踏んだ時…前日ではなかったような強烈なABS介入が。もちろんこれは想定済み。ただその時のやや濡れたウェット路面での減速Gの出方は、ちょっと物足りないものがありました。通常はそんなタイアに熱を入れる…なんて事まで気を配って乗らないでしょう。タイア性能に頼らないクルマ作り…というのは百も承知ですが、絶対的なグリップというよりも、ウェット時のバランスという意味で、プリウス用のタイア流用の弱点が少し顔を出してしまったようです。個人的には開発コンセプトには非常に賛同できるので、タイアを同じミシュランならパイロットスポーツ3あたり、BSならRE-11とまでは言わず、S001…もしくはPZ-Xあたりに変えたいかな…という印象を受けました。グリップ力向上というよりは、ウェットバランスをもう少し重視したい、という考えで。
さて、また毎度同じくダラダラと長く書き連ねてしまいました。いつも通り重箱の隅を突くような指摘もしてしまいましたが、それも気になったからこそだとご理解願えれば。また最初にも書きましたが、あくまで正式販売前のプロトタイプであり、ステージも限定的、時間も僅か。その中で僅かながら感じ取った印象である事を、ご了承願いたいと思います。また実際に販売開始になれば、生産版の86…そしてもちろんBRZの比較など含めて、色々なステージで試すことができればなぁ…と思います。
最後に…自分は昭和63年、1988年の生まれの23歳。奇しくもこの時期はバブル経済で盛り上がり、翌89年は国産車ヴィンテージイヤーと言われるくらいに、その後様々な影響を与えるクルマが多く登場した1年となりました。しかし物心ついた時からは、すでにバブルもデートカーブームも過ぎ去って、その中でもなんとか生き残ったクルマたちも、2002年には排ガス規制をクリアできずに多くの国産スポーツカーが息絶えた…あれから、もう来年で10年。
NSXやS2000でこの危機を踏ん張ってくれたホンダも今は見る影もなく、マツダはなんとかロードスターは守りましたが、NAとなり復活したロータリーは再び眠りにつくことに…。ランエボvsインプの戦いも今は昔、三菱は放置プレイを決め込み、スバルも切磋琢磨するもののライバルを失いました。コペンの登場、Zの復活、GT-Rの伝説が再び始まり、CR-ZがHVで新たな可能性を模索する…悪いニュースばかりではありませんでしたが、ベストモータリングの休刊を代表するように、寂しい話題が付きまとっていたのも事実です。
そんな中、リーマンショックを乗り越えた日本の自動車メーカーを襲った、未曾有の震災、タイの洪水、そしてかつてない猛烈な円高…2011年はきっと誰もが将来記憶に残るであろう、大変いろいろな事があった1年となりました。エコカー減税という言葉が流行になるほど、メーカーもユーザーもそちらに一辺倒。もちろんそれを全て否定するつもりはありません。これから世界で生き残っていくためには当然必要な事です。
でも…何かを忘れていないか。自動車という存在は、単なる便利な道具、単なる経済をけん引する1つの要素に成り下がってしまったのか?
いや、違う。僕はクルマというものに気持ちを奪われ、心酔し、共に時間を過ごす例えようもない素晴らしい歓びを味わった。それは単なる機械、工業製品という枠を超え、喜怒哀楽…感情移入さえも呼び起こす、ある意味で生き物にも通じる存在だったはず。いや、今でもそうだ。
そんな何重苦にも襲われる大変な年に、難産の末に生まれてきてくれた、頑張れば手の届く範囲のFRのスポーツカー。
もちろん、過保護にしろなんて言わない。いろいろ声を出して、これからは僕たち自身が育てていく。育てるということは、そこには愛があるからだ。もしかしたら、もう、これが、この機会を逃したら、本当にガソリンを味わって楽しむ時間を考えたら、ラストチャンスかもしれない…
さぁ、全力で愛でようじゃないか。
本当に、よくぞ産まれてきてくれた。さて、あとは僕たちがどうするか、です。
これで今回の86プロトタイプの試乗レポートを終わりにしたいと思います。