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九郎田一馬のブログ一覧

2011年12月11日 イイね!

【コラム】 東京モーターショウ2011、行ってきました

【コラム】 東京モーターショウ2011、行ってきました1カ月ぶりの更新となりました。さて今回は東京モーターショウの話題を。大阪から、今週金曜~土曜にかけて行ってきました。幕張からビックサイトへと会場が変わり、都心からのアクセスは劇的によくなったおかげで、連日大盛況。今日閉幕しましたが、期間が短かったのにも関わらず参加人数は前回と変わらないほどだったとか。特に土日なんかはマトモに撮影できないくらいでしたね…金曜夜20時まで粘っててよかったです…(笑




っというわけで、今回はショーの中で気になった車をいくつかピックアップして、色々あれこれぼやいていくレポート。写真がテキトーなのは毎度申し訳ございません、です。



さて、まずは国産車から。
一番見たかったのはこれ。スズキのスイフトスポーツです。



新型がノーマルモデルでもすっごく良いのは1000kmロングランで確認済み。それに1.6Lと待望の6MT搭載なもんで、期待しない方がおかしい。いつもは試乗レポート中心に書いているこのブログですが、自分が買うのかどうか…という話はあまりしません。が、この新型スイフトスポーツは、本当にリアルに欲しい1台。



驚いたのは、先日発表された価格。6MTはなんと168万円!先代からほぼ据え置き。目新しいメカニズムはなく既存コンポーネンツの熟成…とはいえ、実に嬉しい。装備内容も明らかに充実。惜しいのは、RECAROとサイドエアバッグの設定がなくなった事、あとは相変わらずラゲッジスペースが絶望的に狭い事、くらいしかなくなってしまいました。あとはもうほぼ文句なし。車重も1050kgで十分軽い。



タイアサイズが195/45R17というかなり変わったサイズなのが心配の1つでしたが、実車を見てみると、ブレーキキャリパーとのクリアランスにはかなり余裕アリ。スタッドレス用のインチダウンも楽勝かな?こういうポイントをチェックするあたり、実にリアル(笑)



インテリアの質感も◎。シートもRECAROじゃなくてもまぁいいかな。メーターの数字がキチンと水平になったのも大歓迎。シフトフィールもスコンスコン。ペダルレイアウトも悪くない。いやー…欲しいです(笑)あとは何色にしようかなー…



スズキでもう1台気になったのは、この時期になると欲しくなるんですよねぇ…ジムニー(笑)久々に乗りこみましたが、室内のクオリティが凄くよくなっててビックリです。何台も所有するガレージと収入があれば、ぜひ手元に1台置いておきたい名車。ずっと作り続けてくださいねスズキさん!あと、個人的コンセプトカーナンバー1はスズキのレジーナに決定済み。左ハンドルなのが少し寂しくもありましたが…






さて、お次はマツダ。まずはコンセプトカー2台が超カッコいい。シナリ、と、タケリ。シナリは思いっきりコンセプトで、たぶんこのままの形ではマツダのブランド力では出せない…と考えてしまうのが少し殺生ではありますが、でも上手くこのイメージを残しつつ現実的なFFプロポーションに落とし込んだタケリは本当にお見事。これなら次期アテンザで期待できそう。楽しみ。



この目で生でこの2台を見る事ができたのは幸せでした。思えば、あの奇跡のデザインの小型セダンの傑作ユーノス500が東モに出展されてから今年で20年の節目。何か通ずるものを感じるのは自分だけでしょうか。



フルスカイアクティブ搭載のCX-5もじっくり観察。展示車見た印象では新型CR-Vなんかよりはるかに好印象。エンジンは特にディーゼルに大注目。性能は評判いいので、あとは価格がいくらになるのか…。個人的には、このコアラみたいな顔つきがイマイチ好きになれないのが惜しい点。



それよりマツダは、既存車種の方が気になる気になる。まずは言わずとしれたロードスター。特別仕様車のブラックチューンドが展示されていました。ブラック塗装のルーフ・ミラー・ホイールが渋い。しかし…なぜにホワイト??ここはやっぱりあの強烈なワサビ色のスピリティッドグリーンメタリックを展示するべきでしょう!と説明員の方に訴えておきました(笑)



いやーしかし、やっぱり運転席に座ると自然に顔がにやけちゃいますね。いいです。欲しいです。噂のあのFR車が巷では話題ですが、それでまた改めてNCロドスタに再び脚光が浴びる事を願いたいですね。乗ると本当に楽しくてたまらんですから、特に後期型NC2は最高の完成度です。



そしてもう1台。さらばロータリー!最終仕様のRX-8スピリットR。19インチのゴールドホイール、めちゃくちゃカッコよかったなぁ…専用のRECAROのバケットシートも凄くよかったし、リアシートの実用性がちゃんとしてる事も改めて確認したり。欲しい…やっぱ、エコエコだけじゃつまらん。クルマ好きが疼くのはこっちですね。






お次はレクサス。メインはGSですかね。LFAニュル仕様もありましたが、話題はもうあのクルマへ傾いちゃってますから。GSの方はちょっと地味かなぁ…っと思いつつ、実物は個人的には結構好印象。特にブラックのFスポーツは渋くてカッコいい。これでGSもやっと「アリストからの呪縛」から逃れて、レクサスのデザインフィロソフィーの仲間入りした感じです。インテリアもどこかで観たような印象のオンパレード?でしたが、でっかいナビの視認性は良さそうでした。ステアリングもかなり小径。ま、これは実際乗ってみてどうなのか、判断しなきゃですね。



トヨタブースでは、もうすぐ登場するアクアに注目。日本だけ専用名、海外ではプリウスcで売るそうです。価格はすでに雑誌で出ている通り、169万円スタート。ただこれは40km/Lを狙った燃費スペシャルグレード。リアには久々にあの「クルクル手動」のウインドーが復活します(笑)ってか、今の子供なんかは、あれで窓の開け方分かるんだろうか…



燃費出す上での注目で言えば、車高の低さ。1445mmというのは、最近のこのセグメントで言えば圧倒的に低い。そして軽さ。ベースモデルで1050kg、量販グレードでも1080kg。THSの軽量化が進んでる事が伺えます。その分、実際の走りのクオリティがどうなっているかは少し心配ではありますが…

さて、気になるのは、パッケージング性能。この低さでどうか…実際リアシートに乗って確認しましたが、さすがにヘッドクリアランスはギリギリ。ただ車高が低い=ヘッドスペースを稼ぐために着座姿勢を寝かしてごまかす…みたいな事になっていなかったのは○。リアシート下にバッテリーを積んでいるのでラゲッジスペースを稼げている分、足を引き気味に座るとかかとがぶつかるのは致し方ないところか。いずれにしても、アクアの登場でフィットHVがこてんぱんに…という事は、なさそう?ホンダは少し安心しているかも。



インテリアはセンターメーターなものの、シフトノブは通常のゲートタイプ。それより気になったのがステアリング。ご覧の通りプリウスと同じものが使われているのですが、この楕円ステアリング、ステアリングパッドの模様はプリウスのシボと同じ処理がされているのですが、当然アクアのインテリア側のシボはプリウスとは違う…というわけで、ここに物凄く違和感を感じました。展示車は関東自動車工業にあったもの含めてこのズレが確認できたので、生産仕様もこれでいくのでしょう、きっと。あと、16インチ仕様は回転半径が5.7m!と驚異的にデカくなるのもいい加減対策してもらいたい。







さて、続いては日産。ででーんとかまえていたのはジュークのニスモコンセプト。この展示車、今回ジュークRと相当間違えられてた気がしましたね。「これの中身、GT-Rなんだぜー!」なんて声を近くで何度聞いた事か…もちろん、実際はぜーんぜん違います。なぜかというと、これ、欧州仕様にあるMT仕様がベースだから。Rならパドルになってるはずですから。



こちらの見慣れない色のジュークは、どうやらいずれ特別仕様車で出るそうな。ホイールやエアロ含めて。でもタイアが、ヨコハマdbじゃなくてミシュランのパイロットスポーツ履いてまして。なんで!何か裏がある!って説明員の方に突っ込んだら、欧州仕様の17インチはこのミシュラン履いてるんだとか。なるほど。



スイフトみたいに、欧州仕様のアシとタイアで特別仕様で出したら面白い?ちなみにFFでもいいからMT仕様導入しないんですか?と質問したら、私それ今日お客様からもう何回も言われて…とのこと。皆考える事は同じです(笑)



こちらはGT-R2012モデル。07年のTMSのスターは、4年後もまだまだその人気は健在。運転席に座るためには長蛇の列に並ばねばなりませんでした。前代未聞のサスペンション左右非対称セッティング…こういうオタク心をくすぐるネタ提供性はさすがのGT-R。たぶん次回2年後のTMSでもさらに進化させてくるでしょう。





さて、次はダイハツ。注目のコペン後継車のD-Xは…うーん…こういう路線もアリ、ってな具合でしょうか。個人的にはスズキの名車(迷車?)X-90の香りがちょっとばかり。



来年から登場10年、それでもやっぱりコペンいいなぁ…。どうやら生産中止の噂も出てきたので、新車で買えるのもいよいよ最後か。今売れてるのはほとんどATばかりなんだとか。欲しいなぁ…






次はホンダ。現行車種は見事に興味なし。黄色のCR-Zが目立つくらいで、個人的にはアコードタイプSや新型CR-Vをチェックした程度。マイナー後のインサイトは見ておくべきだった…と思いつつ、こんな車種ラインナップで「気持ちいいってなんだろう?」とか言ってる場合じゃないですよホント。震災円高洪水…で一番苦労してるのは分かりますが。

新規プラットフォームと新エンジンで相当に気合い入ってるNBOX、革新的どうこう言われたところで実際でもやはり個人的にはタントのパクリ、以上。二番煎じところか三番煎じ。燃費数値だってTNPで頑張ってるダイハツに完敗で、無理やり新ジャンル作って「クラスNO1!」を謳う…草葉の陰で親父さんが泣いてます。



けど、そんな中でも希望の光が。今回Nコンセプトと題して4台が出展されており、1はBOXノーマル、2はBOXカスタム、3はBOXスパイク仕様?そして4は…そうそうこれこれ、こういうのを待っていた!Nコンセプト4。そう、あのNコロの再来です。



モックアップでインテリアはナシ状態でしたが、スタイリングの良さはここ近年ホンダでも傑作じゃないかなぁ、これ。十分に現実的だし、大きく傾斜したテールゲートは今は亡きエッセの面影が。この場合サンクって言った方がいいか…(笑)何はともあれ、これも当然センタータンクレイアウトでしょうから、コイツには超期待。会場では、もっと注目されてもいいと思ったんだけどなぁ…。



もう1台。EVスター…っと言いつつ、誰が見ても期待しちゃうのはビート後継車として。写真で見るより全然小さくてビックリ。これなら多少削れば軽枠でいけるはず。EVもいいけど、新しい3気筒をミドに積んで…こういうの頼みますよ、ホンダさん!




スバルの注目はS206。カービューニュースでは残り少ない…って出てましたが、土曜に現地のSTIの方に聞いた分では「おととい完売しました」とのことでした(笑)。気になったのはインプ初採用となった19インチのミシュラン。今までピレリやBSなどの装着経験があり、今回も開発に向けて相当色々なタイアを試してマッチングを探っていったとの事でした。19インチになった理由は、快適性とスポーツ性の両立を図っていった上で、このサイズ採用に踏み切ったんだとか。新型インプとは切り離して、後継車も今後何か開発してるみたいでした。



その新型インプ、気になったのはグレードによってパワステが電動と油圧で違う事。あとはアイサイト装着がAWDモデルに限られる事。この2点を質問したところ、パワステに関してはアイドルストップ装着車には電動パワステを採用し、油圧を残したのは廉価版のコストとの兼ね合いだとか。アイサイトに関しては、FFでもVDCが今回全車標準なので技術的には問題なく採用可能、ただ2駆にすると新たに認可などを取得し直す必要があってそれがとーっても大変なので、まずは採用実績のあるAWDモデルのみの設定に限った…との事でした。写真がないのは、インテリアのクオリティがちょっと期待外れだった為(苦笑)



あと注目はスバルツアラーコンセプト。これはめっちゃくちゃカッコよかった。現行レガシィをあれほどブサイクにしてしまった事に対してようやく反省の色が出たのか(笑)前回よりもより現実的になりつつ、プロポーションはグッと引き締まってさらにエレガントになったのも◎。



さて国産車はこのあたりにしてお次は輸入車…とその前に、あえて取り上げなかった三菱。理由は、とても内容の濃いPHVのコンセプトカーが超地味、ミラージュが全然期待外れで何の感慨もなかった、あとは現行車種展示数では今回ショー参加メーカー1番だった三菱なのに、なんとランエボⅩの展示がなかった事!これはクルマ好きとして断固抗議。アイミーヴカフェもいいですが、ジキルとハイドですよ、そこは。ギャランフォルティスあるからそれでいい?いや、そんな問題じゃないでしょう。というわけで三菱は怒りを込めてスルーします。

というわけでお次は輸入車で気になったものを数台ピックアップ。こちらは好き嫌い関係なく全メーカー扱いではないのでご了承を。







まずは、まさかのスズキの斜め向かい側(笑)という場所にブースを構えたVW。注目は「ニュー」じゃなくて「ザ」になったビートル。先日公表された価格は250万円!これは結構頑張りましたね。エンジンは1.2TSI+7DSG。ゴルフベース、ですがリアサスペンションはトーションビームなのでご注意を。パッと見の印象は「随分大きくなったなぁ」。個人的にはイマイチそそられませんでした。



室内にも。ダッシュボードは常識的な長さになって、リアシートは確実に広くなって…けど反面個性はやはり失われてしまった気も。ステアリングのグリップがとても細かったのがノスタルジックを少し感じさせてくれました。あとはトゥアレグハイブリッドや、日の丸カラーのゴルフカブリオレもよかったなぁ。MC後のティグアンを見てしまうとCR-VもCX-5も霞んじゃいますね。







アウディは…人多過ぎてじっくり見れず(苦笑)生のル・マン優勝マシンはよかったなぁ。現実的なところでいうと、アウディA1スポーツバッグ。これ地味に東京がワールドプレミア。バカ売れのアウディの中では、どうも在庫の捌きがイマイチなA1だそうですが、これできっと日本でも売れるはず。後席居住性を確認したかったものの、ターンテーブルに1台あっただけで触れる車両はなし。残念。







意外?と言っては失礼か、実はとっても生で見たかったシトロエンDS5。いやーこれはよかった。このジャンル分け不可能さ、まさにクロスオーバー。最近のシトロエン系、特にDSシリーズは完全に「?」だったのですが、これは刺さりました。例えるならば、現代版ネコバスのフランス翻訳?



リアゲートの開口部はアヴァンシアやシグナム風にルーフに食い込む形で…ってこの2車がどれほど有名なのか(笑)テールゲートにグリップ部分は、なんと見た目重視でなし!外側からはスイッチで開閉どうぞ、と。







ジャガーブースでは、マイナーチェンジされたXFに注目。このワル顔、最高。従来の出目金顔よりも2000倍くらいカッコよくなりましたね。3Lグレードならなんと595万円。いいと思います。







そして、今回輸入車じゃ個人的1等賞!ランドローバー・レンジローバーイヴォーグ。



ショーモデルそのまんまに見事生産化したそのデザイン性はもちろんのこと、インテリアのクオリティも抜群に高く、そして見た感じ絶望的かと思われていたパッケージングが、あらら全然とってもマトモで、リアシートもラゲッジスペースも広々。これには驚きました。さすがに後方視界だけはデザインの犠牲になっていた印象ですが…。



見た目は3ドアは最高、けど5ドアでも全然エレガントさは犠牲になっていません。このブースにはえらく長居をしてしまいました…2L4気筒ターボ+6AT、これで450万円スタート。まさしく小さなレンジローバー。ちょっとしたサプライズですよ本当に。








再びドイツ車に戻りまして、今度はポルシェ。もちろん注目はコードネーム991となった新型ポルシェ911。



サイズはほとんど変わらず、見た印象もどー見ても911そのものなんですが、プロポーションが全然違って、これに見慣れると997が一気に古臭く見えてしまう不思議。いやーデザイナーの上手さに関心しちゃいました。ホイールベース延長分は、今後必ず行われるであろうハイブリッド仕様への対策と見た!








次はメルセデス。新型Bはちょっとイマイチうーん、なので個人的にはショー中そのマットカラーが大いに注目されていたCクラスクーペに注目。



これかっこよかったです。Eクラスクーペはこれで存在意義をほとんど失ってしまったようにも思えますが…個人的には、アヴァンギャルドの顔よりも、このセダンのエレガンス顔の方が好みなのですが。やっぱりエンブレムはこれくらいの大きさが品があっていいでしょう。



新型SLKもクオリティがグッと上がってて好印象…でしたが、その向こうにあるこのSLSロードスターを見た日にゃ…。いやー、かっこよかったなぁこれ…。もっとも、SLKであっても手の届かない高値の花ではありますが(笑)









西館4階のスマートモビリティ展示のコーナーにポツンと置かれていた、LPG仕様のヒュンダイi40。これ、超大穴でした。



撤退以降世界で旋風を巻き起こしているヒュンダイ、その実力を知らないのは実は日本人…今回実際に触れてみて、いやーそのクオリティの高さに驚き。これは本当に舐めてかかっちゃいけません。



僕個人的には、韓国という国は正直好きじゃない…むしろ…韓流ブームなんてクソくらえ、ってな立場ですが、だからといって「ヒュンダイwww」なーんて事でバカにしちゃ痛い目に遭いますよ、って事を痛感しました。決して見縊るなかれ。相手の強さに盲目になる事は、決して勝者にならず。頑張れ日本車。



さて、画像がなくて大変申し訳ないのですが、前回数々の輸入車が辞退する中、ちゃんとTMSにきてくれたロータスとアルピナ。もちろん今回も来てくれました。もう全力で拍手、全力で感謝。日本人のクルマ好きとして、素直にありがとう!本当に楽しかった2日間でした。また2年後も、楽しいTMSになる事を願って、今回のレポートを終えたいと思います。













…って、あれ?
今回最大の注目、あの、例の、2台。スルー?











…はい、もちろんそんな訳ないです(笑)



というわけで、次回、トヨタ86&スバルBRZのレポートは、また別で編集中。
スバルの方に聴いた話、FA20のエンジンについて、アイシンのミッションについて、ヒストリーガレージの展示車をじっくり触ってあらゆる場所を観察したレポート、さらに…





そう、実は、もう乗っちゃいました!笑
というわけで、メガウェブで開催された86プロトタイプ、しかもMTとAT両方!の試乗レポートも含めて、次回またこちらにアップしたいと思います。このために2日間に渡り、計10時間以上wクソ寒い中朝から列に並んで頑張った成果であります(笑)乞うご期待!

Posted at 2011/12/11 23:21:38 | コメント(6) | トラックバック(0) | コラム | 日記
2011年11月11日 イイね!

【試乗記】 ルノーウインド

【試乗記】 ルノーウインド
さて、今回試乗レポートでお届けするクルマは、ちょっとスペシャルなこの1台。今夏から日本に導入された、ルノーウインドのインプレッションをお届けします。




今回は日産レンタカーの3時間レンタル無料キャンペーンを利用して、けど3時間では全然足りないので(笑)ちょっと追加料金をお支払いして、秋の晴天の中150kmほど走ってきました。いつものロングランよりは短いものの、高速・ワインディング・街乗り…できるだけ様々なコンディションで試す事に。

さぁ、せっかくの機会なので、走りの印象は後ほどにして、ウインドの紹介をたっぷりといきましょう。動き出す前の段階から、このクルマは語るところがたくさんあります(笑)



このクルマのハイライトとして、とにかくまずはこのデザイン。下半身は普通のコンパクトカー、でも上半身はフェラーリ458スパイダー!?っというのは少し大げさですが、ずんぐりむっくりなプロポーションなのにこの楽しげな雰囲気、さすがおフランスのクルマ。でも実は、このウインドのデザイナーさんは日本人だったり。個性的で街中でも異彩を放ち、好きな方にはたまらないでしょう。個人的には、20年遅れてフランスからやってきたCR-Xデルソル、をどうしても連想してしまいますが…(笑) ちなみにお値段、255万円。輸入車と考えると安い!と思うか。…はたまた同セグと比べると高い?と感じるか。

ボディーカラーはグリ アルティカMと呼ばれるシルバーですが、どこか少しブルーも入っているような、とても素敵な色。写真だとそう見えなくもないですが、メディア向け広報車でよく見かけるブルー マジョレルではありません。



ベースとなったのはルノートゥインゴ。ただ、見渡す限りエクステリアで共通パーツはゼロ。ということで駆動方式はもちろんFF。このあたりは先ほどのデルソルに加えて、日本導入はされなかったオペルの2代目ティグラなんかを思い出させます。ちなみに開発はモータースポーツ専門であるルノースポールが担当。ルノースポールと言えば個人的には、フロントウインドなしのルノースポールスピダーを思い出します。ひょっとしてウインドにもいずれこんな仕様が…ってことは、まぁあり得ませんね(笑)。



ボディサイズは全長3835×全幅1690×全高1380mm。実際に対面すると、写真で見るよりかなりコンパクトに感じる、というのが第一印象。国内に導入されるのは、これまたトゥインゴのゴルディーニ ルノースポールと呼ばれるスポーツモデルと共通の1.6Lエンジン+5MTの組み合わせ。そして左ハンドル。



ちなみにイギリス用に右ハンドルの設定はあるものの、本国フランスでもMTオンリーの設定だとか。トルコンATやCVTはともかく、ロボダイズト式の2ペダルの設定もなし。見た目の可愛い雰囲気と違ってかなりのオトコ仕様。日本で左ハンドル+MTというのは売上的には絶望的な組み合わせなものの、クルマ好き的にはミーハー外車好きユーザーが寄り付かなくて好都合、かもしれません。とりあえずこの形でも、日本導入を決めたインポーターの英断に拍手。



特徴的なドアノブを「指にひっかけて」室内へ。エクステリアに比べれば、インテリアは比較的地味。グレーの単色で華やかさや高級感はありません。質感はこれくらいでもいいので、さらにヴィヴィッドな内装色の設定を望みたいところ。唯一スポーティさを主張するのが、文字盤が黄色のタコメーター。しかしこの3眼式のメーターは結構奥まった位置にあり、視認性はイマイチ。写真もライトONの状態でこれ。



ステアリングはセンターパッドがどデカくてちょっとダサいものの、グリップは太めで握りやすさは○。これだけデカいにも関わらずホーンを鳴らそうとしてもウンともスンとも言わず。実はホーンボタンは左側のウインカーレバーの先端に装着されています。エアコン・オーディオの操作表示は分かりやすく、そして何よりもステアリングコラムの右下の装着されている、ルノーご自慢のサテライトスイッチがものすごく使いやすい。ただオーディオ交換などは考えない方がいいでしょう。ナビ装着も同じく。今回の車両のように、ポン付け可能なPNDナビで済ませるのが一番。ただこの位置だとちょうどハザードボタンと干渉しますが、そこは我慢(笑)。何よりも今回サテライトスイッチの利便性の高さにびっくりしました。汎用ナビでも復活できるアタッチメントが登場する理由も頷けます。



さて、ルノーウインド最大の売り、屋根をオープンにしてみましょう。まずは頭上のレバーを90度回転させてロック解除、シフトレバーの前、ウインドー開閉ボタンに挟まれた真ん中のノブを押すと…リアトランクフードがガバッと開き、ルーフ後端を軸にしてクルッと180度回転して、フードの中にすっぽりと収納。フード閉。時間にしておよそ10秒ちょい。

折りたたみのメタルトップよりもはるかに簡易的、むしろタルガトップに近いのかもしれませんが、実用オープンとしてはこれでも十分。とっても気楽に、簡単に、素早く、そして周囲へのアピール度も満点の目立ちっぷり(笑)。モーターの作動音がとても小さくて静かな事も◎。



唯一、まるでトランスフォームするようにルーフとトランクフードがそびえ立つので、高さだけにはご注意を。ガレージでいざオープン!っとしようとして、上にガンっ!と当たってボディを痛めてしまうかもしれません。事実この車両は4000kmほど走行していましたが、フードの端には痛々しい傷がすでに…(汗)

ウエストラインも高く、この開閉方式ではリアガラスもそのまま残ってしまうので、オープンカーなのに解放感よりも包まれ感の方が大きいのは少し意見が分かれるところかもしれません。ただ個人的には、一番オープンカーの雰囲気に重要なフロントのウインドスクリーンが、結構寝ているものの、長さが頭上まで迫ってくるわけでもなく、比較的低い位置で短く切れているので、これでもオープンエアの満足感はそこそこ得られる…むしろ風の巻き込みの少なくて、なかなかこれはこれで実用オープンとして結構いいバランスなのでは?と感じました。爽快感は十分です。



ただ、良い部分だけではなくもちろん弊害も。完全5ナンバーサイズで手軽にリッチなオープンカーの雰囲気を味わえるウインドですが、視界に関して言えばこれが一級スポーツカー並みになってしまうのがウインドの欠点。特に後方視界の悪さは相当なレベル。見た目的にはかっこいいものの、装着されているリアスポイラーが後方の見切りの悪さをさらに助長します。バックでの車庫入れなどは相当に慎重になった方がいいでしょう。また斜め後方の見切りも悪く、そして最後に極めつけ、サイドミラーの横方向ガラス面積の小ささも視界の悪さに拍車をかけます。この部分に関してだけ言えば、それこそ本当に458スパイダー並みかもしれません…(笑)



もう1つ。ルーフが収納されている状態だと、トランクフードの開閉がとっても重くなるのも欠点として挙げておきます。新車状態でこれなら、後に経年変化でダンパーが抜けてくると…ちょっと恐怖です。ただ、ラゲッジスペース自体はかなり広くて十分に実用的。オープン・クローズドに限らずスペースが変わらないというのも嬉しいところ。奥にルノースポール開発を匂わせるリアタワーバーが装着されていますが、よほど大きな荷物をギュウギュウに詰め込まない限りは干渉しないので、実用性が損なわれることはまずないでしょう。



さて車両の紹介はこのあたりにして、いよいよ運転席へ。23歳の若造クルマオタク、左ハンドル+MTの組み合わせは初めてではないのですが、かなーり久しぶりなのでちょっと緊張。先述した視界の悪さはどうにもなりませんが、いざ運転し始めるとすぐに慣れてリラックスして走りに集中することができました。動き出しで右側にシートベルトを探したり、ドア側にシフトノブを探したりは何度かしましたが…(笑)。ただウインカーとワイパーは、右ハンドルで左ウインカーだと、しっかりと意識持ってないといけないんですが、左ハンドルの輸入車ならごく自然に慣れるんですよね。不思議です。

さて動き出す際に、まず困ったのがシートポジション。ベースが普通のコンパクトカーなので仕方ないのですが、着座位置はもう少し下げたいところ。女性ユーザー層も当然フランスでは考えているでしょうから、ちょっと自分(178cm)は想定としては大きいのかも。まぁそれはいいとして、やはりステアリングには是非テレスコ調整が欲しい。チルトのみで、しかもステアリング角度が結構寝ているので、どうしてもステアリングを抱え込むような印象になってしまいがち。ステアとシフトに合わせると足が窮屈、クラッチミートしやすい足位置に合わせるとステアリングとシフト(特に5速位置)が遠い…という悪循環に悩まされ、なかなかベストな位置が決まりませんでした。まぁあくまで「スポーツカー」ではなく「スポーティな雰囲気を楽しむカー」なので贅沢は言えませんが…。

しかし、このあたりの項目。国産車ならそれこそジャーナリストさんたちにボロクソに近い形で批判されるのに、ウインドの試乗レポートではこれに関しての記載は、いろんな媒体でも一部除いてほとんどなし。細かい事気にしないで楽しい雰囲気ならそれでいいじゃーん!ってことなのでしょうか?はっきり言って欧州のクルマになると途端に評価が甘く盲目になりがちな評論家さんたちが今でも目に余るほど多過ぎる…っと、脱線してきたので話をウインドに戻しましょう(笑)。



なぜシートポジションに文句が出たかというと、そのシート自体の出来がもう素晴らしかったから。たっぷりとしたサイズで窮屈な印象を抱かせず、しかしながら座面含めてサポート性は抜群。体重を受ける面圧の分散が見事で、惜しいといえばオープンカー必須のシートヒーターが設定されていないくらい。これでポジションさえ合えば…

さて、エンジンスタート。シフトレバーを1速に入れて動き出します。シフトフィールはコクコクと節度感があってなかなかいいのですが、ちょっと前後方向のストロークが長い&横方向(2→3、5→4など)の動きが渋い事が気になりました。後者は個体差かもしれません。クラッチは軽く、またミートポイントがかなり手前。ちょっと踏み込めばすぐ切れる、という感じで、いったん慣れてしまえばとても扱いやすいものでした。



ペダル配置は、左ハンドルの利点で全く違和感なし。どうもイタフラ系はまだ右ハンドルにするとこの部分には違和感が残る傾向なので。クラッチ横の足置きスペースも十分。そしてご覧のように、いかにもヒール&トゥしやすいですよー的配置(笑)。ただ、アルミのペダルがよく滑るのには参りました。特に雨の日には要注意。靴との相性もしっかり確認する必要がありそうです。

トゥインゴのゴルディーニ ルノースポールの共通の134psを発生させる1.6LDOHCエンジン。でも車重が1190kgと少し重めなので絶対的な動力性能は並。HVでも過給機付きでもない、山型トルクカーブを描く古典的NAのキャラクター。けど、むしろ今では新鮮味を感じるくらい。しかもちょうどレッド付近が最高出力発生ポイントなので、上まで回しても頭打ち感がないのも清々しい印象です。もちろん、そんな頑張って上まで回さなくても、ちょうど2500回転あたりから「クォーン」と気持ちいい音を奏でてくれるので、街乗り領域でも気持ちよさはしっかり味わえます。過度に排気音で聞かせるんじゃなく、いかにもエンジン音聞こえます!という素朴さも好印象。低速域の粘りも相当によく、アイドルミートは楽勝。渋滞中でもさほど苦にならず。それこそ、教習車のコンフォートよりよっぽど乗りやすい(笑)。



おそらく、多くの人が気になるのは高速域での走りでしょう。動力性能はもちろん十分、しかし如何せんギア比がかなりのクロス傾向。1速で50km/h、2速で90km/h…と、ワインディングを楽しむなら美味しい配分なのですが、5速でも高速80km/hですでに3000rpm、ちょっとペースを上げて巡航…というものならあっという間に4000rpm。さすがにちょっと回りすぎでせわしない印象。事実、この速度域なら5速ホールドでも追い越しラクラク。けど、常に急かされているような気がしないでもありません。もっと排気量が小さく、パワーが少ないのならこの設定でも分かりますが、動力性能とのバランスを考えても、そしてクルマのキャラクターを考えるとやっぱり巡航用の6速が欲しいところです。

すべての速度域を通して素晴らしいのがステアフィール。電動とは思えない初期操舵時のナチュラルで確かなと手ごたえとインフォメーション性の高さ。トゥインゴよりは若干スローな設定になっているものの、それでもワインディングで流す程度なら十分にクイックに反応してくれます。高速時でのステアリングの据わりも文句なし。操舵力も、軽すぎず重すぎずで、まさにベスト。

足の設定はストロークがとってもたっぷりとられており、4輪のロードホールディングの良さ、接地性変化の少なさはお見事。初期入力のいなしの良さは圧巻で、路面の細かなアンジュレーションくらいはすべて足さばきだけで遮断してくれます。このあたりはフランス車の真骨頂。こういう項目ではプジョールノーシトロエンは本当に不思議に思うくらいに上手い。

しかし、それが故に、このウインドの場合は、足がヒタっと地面に接地をし続けようとしてくれる分、特にリアのピッチ方向の動きが少し大きめ…特にブレーキング時で前荷重になっている時に、若干フワッとするのが少し気になりました。ワインディングでは、例えばRが一定の1つのコーナーを旋回する分には、ロールの進行スピードも適切で絶品なコーナリングを見せてくれるのですが、S字など切り返しで荷重が大きく左右に移動するようなシチュレーションだと、フロント軸が旋回体制に入ってから、少しワンテンポ待ってリアが追い付いてくるような、そんな動きが少し見られました。



おそらくこの問題は、セットアップされたタイアに原因がありそう。装着されているのは、195/45R16という立派なサイズのBSポテンザRE050A。このタイアのグリップ力と、サスペンションの設定…ここが少しアンマッチのように思えました。つまりはサスの伸び縮み方向の容量はたっぷりとしていて、グリップ力がとても高いタイアを履いていて、路面とタイアはビタっと接地。その入力の反応にリアサスの横剛性が足りない…追い付けていない。ルーフを閉じると、まだ少しは良い方向になるのですが…。ちょっとタイアだけが路面にしがみついて頑張りすぎてしまっている印象。このタイアに合わせるならもう少し足を固めた方が…というのはお門違いで、ちょっと45扁平のポテンザがこのウインドのキャラクターに対しては少し立派すぎるんじゃないか?ちょっとタイアが勝ち過ぎているような印象を受けました。もちろんその違和感とふわつきにさえ慣れれば、びっくりするくらい速く、ワインディングを駆け抜ける事が可能なのですが。もちろん、そんな飛ばすクルマでもないのでここまでの性能は正直いらない(笑)

また、乗り心地に関しても、初期の小さな入力での足さばきは本当にお見事なのですが、入力が大きくなってくると、サスのストローク自体はたっぷりとしていて、足もよく動いているのに、途端にドタバタとバネ下から突き上げるような硬さに見舞われます。これはルーフの開閉状態に関わらず同じ印象でした。

これらから推測して、今現状のタイアに合わせたセットアップなら、屋根はできるだけ開けずに(タルガといえども、やはりオープンにするとボディの剛性感は確実に変化を感じ取れます)、もう少し足を固めて…というのがベストの方向かと思いますが、いくらルノースポールと言えども、それではこのウインドのキャラクターとアンマッチ。それを考え足を柔らかめにしたのなら、それに合わせてタイアの銘柄もセットアップしなおしてバランスを取らねば!



個人的には、舵に対する反応やグリップレベルを現状より少し犠牲にしても、それでも十分に軽快さは味わえると思うので、このしなやかな足に合わせて55扁平15インチくらいにインチダウン。また銘柄も少しコンフォート系にして、フットワークと乗り心地をもう少し快適性寄りにして、乗り味をセットアップしたら面白いんじゃないかな?と思いました。その方が、オープン状態で走った時にクルマ全体のバランスはよくなりそうです。

ルノースポール開発ということで、走りは実にしっかりしていて、速い。しかしそのためのセットアップが、ウインドの性格に合っているかといわれると…?タイアのチョイス、エンジンの味付け、ギア比、乗り心地、…少しそれぞれが良いとこ取りをしようとして、ちょっとバランスが崩れているような印象を受けました。これがウインド「GT」であるなら分かりますが……



ちょっと辛口気味になってしまいましたが、それはもうちょっとのほほんと気楽に穏やかに楽しめる手軽なオープンカーとして、このウインドを楽しみたいからと思ったから。ここまでのパワーはいらない…もっと遅くていい。16インチなんていらない…限界も低くていい。ホットハッチ要素がどこか抜け切れてない。もちろん、今のままのセットアップで、ゆっくり楽しめばそれでいいんでしょうが、気持ちいいエンジンと、クロスしたMTと、ポテンザを履いてたら、どうしても飛ばしたくなるのがクルマ好きの性…(笑)
ウインドがとてもいいコンセプトをもっているからこそ、その雰囲気の走りのリズムのアンマッチ感が気になったので、今回あえて提案気味なレポートとしてまとめてみました。

と、いろいろグダグダ言いつつ、とっても楽しめた6時間150kmのドライブ。参考程度に、高速+ワインディング7割、市街地3割で走った燃費は13km/hほど。公表のモード燃費とほぼ同等でした。6速MTになればもう少し良くなる?

…っと、ここで気づいたのですが、実は本国仕様には、この1.6LNAだけでなく、この下にエントリーモデルとして、トゥインゴGT用の100psを発生する1.2Lターボ仕様もあるんだとか。なんだ、これでいいじゃないか(笑)



というわけで、こんな楽しい機会を設けてくれたルノージャポンと日産レンタカーに全力で拍手!ありがとうございました。そのついでに、本国100ps仕様の1.2Lターボ、足回りは現状と同じでタイアだけ15インチの大人しいやつにして、加えてできればやっぱり右ハンドルで、お値段-20万円の235万円!こんなパターンのウインドもどうですかね?ルノージャポンさんご検討ください。(笑)
Posted at 2011/11/11 23:06:04 | コメント(4) | トラックバック(0) | ルノー | 日記
2011年11月05日 イイね!

【試乗記】 ダイハツミライース ロングラン試乗!

【試乗記】 ダイハツミライース ロングラン試乗!

さて前回告知していた通り、今回ご紹介するのはミライース。個人的にも大注目の1台であり、この早いタイミングで卸したての新車による500kmのロングラン燃費テストを実行する機会に恵まれました。今回はそのレポートをお届けしたいと思います。





ボディカラーはホワイト、グレードは上から2番目のX。最上級モデルのGは、VSCやアルミホイールなど装備充実していますが、価格も112万円とそれなりに高くなってしまいますし、1つ下のLはXよりちょうど10万円安いものの、その分インテリアのクオリティも下がり、キーレスエントリーや電動格納ミラーなどの装備がなくなるのもちょっと痛いところ。この100万円をギリギリ切るXが最もバランスが良く、また今後も売れ筋グレードになるでしょう。



というわけでまずはスタイリングから。第一印象は「シンプル」。前回のTMSで出典された2ドアで割り切ったコンセプトモデルのほうが、よりチャレンジングで、より「クルマ好きにウケる」ものだったかもしれませんが、今回は冷静に「現実の消費者・ユーザー」の意見を取り込み、その層に売れるよう狙い定めた車両コンセプトとデザイン。これはこれで「商品」となってしまった事にクルマ好きは興ざめしてしまったかもしれませんが、今回このダイハツの現実的決断・判断を、僕は支持したいと思います。事実、先々代ミラでも直噴エンジンを搭載した燃費追求グレード(MTのみ)だったり、先代ミラでもアイドルストップ仕様を設定したりと、それなりに探究していた事が伺えましたが、お世辞にもヒットとしたとは言い難いものがあります。エコカーと言えども、その効果は、「普及してこそ」意味がある。実際、このクルマに対して色々文言を重ねるクルマ好きユーザーは、直接このイースを買うユーザー層か?…と聞かれれば、必ずしもそうではない。冷静かつ現実を直視したマーケティングを行い、今回イースをこのような形でまとめて販売にこぎつけたダイハツの判断、僕は全面的に賛成です。



っと、話が逸れてしまいました。強い個性などもなく、どんな人にも受け入れられやすい形でまとめられたミライース。コスト制約もあって、造形的にもとてもシンプル。しかしながらそんな中でも評価したいのは、まず女性的な雰囲気があまりない…言い換えると、男性でも比較的抵抗なく乗れるデザインであるという事。パステル系のカラーが多めに設定されてはいますが、それでも先代のミラ、エッセ、アルトなどに比べても、抵抗感は確実に少ない見た目だと思います。事実、初期受注のユーザー傾向を見ていると、男性ユーザーの比率がかなり多くてメーカー自身が驚いたんだとか。

もう1つは、軽のエコカーでありながら貧弱な印象を抱かせず、あわよくばそこそこスポーティにさえ感じられる事。これは全体的に空力を意識したと思われるシャープな造形と、抑え目の車高、大径の14インチタイアの装着などが影響していると思われます。もちろん個人差もありますし、「これのどこがやねん!」とのツッコミを受けるかもしれませんが、新車で100万以下の軽自動車でここまで上手くまとめあげたのはもっと褒められていい部分でしょう。少なくともマーチやパッソなどよりも、男性の抵抗感が少ないのでは?と思わせてくれます。リアからの見た目キリッとシャープ。省電力なLEDテールは、見た目の視認性もよく安っぽさ感の排除にも一役買っています。



グリップ式のドアハンドルを握り、室内へ。ほぼ90度に開くドアはダイハツ車共通の美点。インテリアのクオリティは「並」。いや、価格を考えれば必要十分!なのですが、実は現行ミラあたりなんかは恐ろしくよく出来ているので、これはあくまでダイハツの軽クオリティからすれば「並」ということで。もちろん単体で見れば、これで全く不足はありません。エコアシスト照明付きの自発光式デジタルメーターは見た目の質感も高く、視認性も◎。一体形成でコストを抑えながら、上下の色を使い分けて質感を高めたインパネはアイデア賞モノ。これがL以下の単色だと商用イメージがイッキに強くなるところですが、いやー実によく考えられた設計です。ステアリングのエンブレムやシフトノブのメッキ処理はX以上に装備。細かいところで見れば、運転席・助手席両方ともにバニティミラーが装着されているのも特徴です。



ただ、割り切っている部分は徹底的。配線を短縮化したためか、給油口のフタを開けるレバーはサイドブレーキ下に配置(ただ、これがなかなか使いやすい)。純正オーディオのスイッチはまるで炊飯器のような雰囲気。まさに家電。音質調整等もなく超シンプル。まぁこれはこの価格でCDオーディオが標準装着されている事自体が既に凄い事かもしれませんが…。



室内で決定的に問題に感じたのが、シートポジション。最上級モデルのGでしかシートリフターとチルトステアリングが装備されないため、このX以下ではシートスライドとリクライニングしかできず。しかもポジションが女性に合わせたと思われる設定で、178cmの自分にはさすがに窮屈な姿勢を強いられる事となりました。ここはせめてシートリフターだけでも欲しいところ…。救いだったのは、サポート性は皆無なものの、シート自体のサイズが結構たっぷりとしており、シートバック・ヘッドレストの高さも十分足りるものだったこと。この部分ではマーチやパッソよりマシな仕上がりでした。



後席に目を移すと、ちょっと驚くくらいの広いスペース。質感や装備内容は久々に「軽」らしい仕上がりでしたが、ここは軽枠を感じさせないスケール感。ただ、シートは前席以上にペランペラン。販売当初から物議を醸し出しているヘッドレスト非装着もそうですが、思いっきり割り切っています。ただこれも、実際の軽の使われ方に合わせた設定なのでしょう。気持ちいいくらいの実情主義。じゃぁそれなら、こんな広さいらないのでは?その分もっと全長を短縮して、軽量化して、なんなら3ドアでもよかったんじゃ…と考えてしまうのは、クルマ好きの悪い癖(笑)。この発想をなぞると、結局は先述したTMSのコンセプトモデルに戻ってしまって、いくら燃費が良くて安くて画期的な素晴らしいクルマでも、ツインやR1の後を追う不人気車の運命まっしぐらとなっていたことでしょう。ここがキチンと「売れる商品」を作る上での割り切りマーケティング。クルマ好きがつい忘れがちなポイントでもあります。

さて、紹介も終わりまして、走り出す事にしましょう。エンジンスタートさせて走り始めると、随分と賑やかなノイズの数々。エンジン、CVT、ロードノイズ…久々に軽らしい室内の雰囲気。ただ加速時は絶対的にウルサイものの、速度一定で回転が落ち着くと、静粛性はそこそこのレベルまで良くなります。またCVTのセッティングや電動パワステのステアフィールなど、高級感があるわけでも特徴があるわけでもありませんが、ごくごく違和感なくナチュラルにセットアップされている点は褒められる部分。絶対的なパワーが限られているのでアクセルを踏む量も多くなってきますが、無理に燃費セッティングさせたようなかったるさがほとんど感じられなかったのは◎。普通車と比べればその差は歴然ではありますが、オートマのNA軽の中では群を抜いてキビキビ走ってくれます。



イースが凄いのは、速度が上がってきてもその印象がそのまま感じられる事。80km/h、100km/hはもちろんのこと、それ以上の速度域でもアクセルにゆとりをもちながら巡航可能、あわよくばスピードメーターを使い切りそうな勢いまで加速が持続する…これには本当に驚かされました。理由はミラよりも60kgも軽量化された車重と、Cd値0.31の優れた空力性能。また徹底的なフリクションの削減なども影響しているのでしょう。加速はそれなりの軽レベルですが、高速域での速度維持の楽さは明らかに軽NAレベルより1つ頭飛びぬけてよかった印象。記憶する限り軽でここまで空力性能に気を配ったクルマは他にありません。ただでさえ限られたパワー枠の中。「軽さ」と「空力」はこれほどまでに効果てきめんなんだという事に改めて気付かされました。

足回りは、基本ソフトなセッティング。しかし街乗り領域でピョコピョコ落ち着かない挙動を示すのは、高い指定空気圧のせいによるもの。その値はなんと2.6!燃費対策でしょうが、気になる方はリア側を少し落とし気味にすれば幾分よくなるかと思います。速度が乗ってくれば挙動はフラットに。しかしその質感はあくまで並で、文章で表わすならば、これが軽!?という感じではなく、これぞ軽!という感じでしょうか。1つ褒められる部分と言えば、軽量化されつつボディ剛性が予想以上にしっかりしたものであった事。

タイアサイズは155/65R14。この軽サイズでこの車重で燃費重視なら、13…もしくは12インチくらいまで割り切る事も考えられたでしょうが、そこは走りも犠牲にしないバランスを取るため、開発陣の方が大径14インチサイズにこだわったのだとか。純正でハンコックまで採用していたダイハツでしたが、今回のイースはヨコハマブルーアースを純正採用。エコタイアど真ん中ですが、グリップ感はこの車格を考えれば十分満足。14インチ採用が効いています。



フットワークに関しては、まぁこのイースでワインディングを攻めるなんてのは常軌を逸脱している行為…かもしれませんが、せっかくなのでいつもの通りテストを実行(笑)。この部分に関しては、他のダイハツ車と同じような傾向。そこそこにステア操作に対する反応は良く、しかしそこからちょっとビックリするくらいにカクンと深くロールして、グリップレベルの限界よりも先にドライバーに恐怖心を与える事で妥協点を見出す…意外に粘りは見せてくれますが、基本アンダーセッティングでよほどの事がないリアが出る事はありません。まぁそんな領域では、サポート性ほぼゼロのシートのおかげで、ステアリングにしがみつきたくなるくらいに車内で身体が暴れてしまいますが(苦笑)

もちろんこれが長年街乗り軽のセットアップを続けてきたダイハツの落とし所であり、それはそれで「これでもいいか」と思わせる説得力のあるものなのですが、それでもやっぱり「いざ」という時の事を考えて、個人的にはもう少しロールを抑えたいところ。車高が低くて軽量であっても、やっぱりスタビライザーは装着するべきでしょう。ダイハツはターボモデルしかスタビを装着しません。他のスタビ無しのダイハツ車は、知る限りみんなこの動き。ムーヴOEMのスバルステラがNA含めて全車にスタビを装着する理由も分かる気がします。別にロールが少ない=スポーティなんて事は思っていませんが、それでも14インチタイアのグリップレベルとのバランスを考えても、もう少しロールを抑える設定を望みたいところ。今の設定なら何も13インチでもっとグリップを落とすセットアップでもよかったはず。せっかくの14インチが活かせてないのはちょっと残念。



さて、最後に燃費報告。ちなみに全グレードに標準装着のアイドルストップは、ある一定条件が揃うと、まぁーとにかくよく止まってくれました。ワイパーやライトなどを使用していない条件がつくものの、停車「前」にエンジンを停めて滑走してくれる制御のおかげで、しっかりとメリハリのある運転をすれば、スタート時のタイムラグも十分に許容できる範囲。ノロノロ運転なんかでは、少し止まり過ぎ?と思う時もありましたが、せっかくついてるなら積極的にエンジンストップさせたほうが理に叶っているといえるでしょう。嫌ならキャンセルボタンを押せば良し。2日間、市街地走行は250kmほどでしたが、その中でアイドルストップ時間は1時間20分!バッテリーのサイズが標準的だったのも◎。

というわけで区間ごとに計測した大まかな燃費結果は、雨+夜+渋滞+エアコンONという最悪に近い条件で17~18km/L、高速道路ハイペース走行で20km/L前後、巡航ペースで25km/L前後、そしてこのイースが最も燃費効率が良さそうな時速60km程度のバイパスや郊外などでの流れの良い道路での巡航ペースでは、27~28km/Lという数字も十分に現実的。

トータル500km、一般道市街地半々、途中ワインディングや高速での全開走行を含めて、最終的な燃費は23.2km/Lという結果に。燃料タンクは30Lですが、600km巡航は楽勝でしょう。季節的に条件に恵まれていたとはいえ、アクセルを床まで踏み込む機会は普通車より圧倒的に多かったのにこの数値…正直驚きました。今まで自分が行ってきたテスト結果と照らし合わせると、デミオスカイアクティブはもちろんのこと、トータルで考えてもフィットHVを上回りそうです。

さて、いつもの如く試乗レポートを書いてきましたが、本来はこうやってゴリゴリなクルマ好き(笑)がうだうだとクルマについて細かく考えていくような…イースはそんなクルマではないのかもしれません。事実、趣味性はゼロ。ただし、これはこれですっごくよくてアリだな…と感じたのは事実。クルマ好きの琴線には響かなくとも、今後自動車はどうあるべきかと考えたときに、このイースの志の高さにはちょっと感服してしまいました。はっきり言って、今年の個人的ベストカーオブザイヤーをあげていい。それくらいに思っています。いやー、いいクルマでした。



…ただ、やはりオタク心?からすれば、もうひとひねり欲しい。でもこれは、あくまでイースシリーズの第1弾なわけです。ぜひともこの最新低燃費コンセプトは維持しつつ、もう少し上の価格帯…ちょっぴりプレミアムな軽、そう、「ソニカイース」なんて出してくれたら、とても面白そう。そして加えて贅沢ではありますが、いつか大ヒットして儲けが出た暁には、ダイハツの技術者魂を、クルマ好き方向に炸裂させた…次期2代目コペン「コペンイース」の登場を是非期待しつつ、今回の試乗レポートの最後とさせてもらいます。
Posted at 2011/11/05 20:17:56 | コメント(5) | トラックバック(0) | ダイハツ | 日記
2011年10月25日 イイね!

【試乗記】 トヨタカムリハイブリッド

【試乗記】 トヨタカムリハイブリッド
さて前回で予告していました通り、今回はカムリハイブリッドの試乗レポートをお届けします。今回もロングランではなく、一般公道を30分くらい走らせた程度なので、簡易的なレポートであるのを事前にご了承願いたいと思います。






今回の新型の登場でカムリは9代目。新型の登場を機に歴代モデルを振り返って見てみると、紆余曲折様々な事情を経て今に至っている事に改めて驚かされてしまいました。最初はセリカ・カムリ、その後はビスタと姉妹関係を結び(今改めて思うと、日本でのビスタの後継車はアヴェンシスなんですね)、その後はウィンダムと姉妹関係だったり、グラシアなんてサブネームがついたり…今では国内ではウィンダム(レクサスES)も導入されなくなり、9代目でハイブリッド専用車種へ。ちなみに、全チャンネル扱いではなく、新型はHVでもカローラ店専売となっています。世界基準で見ればベストセラー、しかし日本国内では「いい車」と褒められ続けていたものの、地味な存在から脱却することはできず。なのでここは伝家の宝刀「THS」で…!どうせガソリンモデルを入れても、日本人にはマークXもクラウンもありますから、これはこれで賢明な判断といえるでしょう。



っというわけで、まずはエクステリアから。のっけからではありますが、カムリ最大のウィークポイントはここ。先代までにあったアメリカ市場にウケそうな大陸的デザインでもなく、いかにも空力優先CADでちょちょいのちょいで仕上げました!的スタイリング。地味だとかシンプルはむしろ褒め言葉。シンプルなスタイリング、なんて結構難しいですからね実際。別に車のキャラクターを考えて、趣味性がない!なんて事は言いませんが、それにしてももうちょっと素直にすっきりとまとめられなかったものか…このカムリに限って言えば、日本人が好みそうなギラギラメッキ処理が、むしろ北米仕様の何の取り柄もない「無」な印象よりもいいかもしれませんが。ただ、ハイブリッドだからといって、安っぽいクリアテールにしなかったのは◎。SAIよりはマシ、なので、トヨタの中で言えばまだ妥協点なのかなぁ…。プラットフォームが先代と共通、サイズもかなり大柄なのですが、写真で見る限りあまり大きく見えないのも、新型の特徴といえるでしょう。



ということで、少しでもカッコよく見えるように?画像はモデリスタのエアロ+19インチを装着したモデル。こういうちょっと品のない?いじり方も、この車ならアリかもしれません。

ドアを開け続いてはインテリアへ。こちらは外見に反して結構好印象。何よりも「パッと見」の質感・クオリティが大幅アップ。よくよく見れば手抜きが散見、300万クラスなのに物足りない、これのどこが高級なの?というご指摘のある方はごもっともですが、それは今までのカムリを知らずに判断しているのでしょう。少なくとも「大きいカローラ」でしかなかった従来型に比べ、新型はインテリアの造りと高級(っぽそうに見せる努力)感は格段に向上しました。「サイバーカーボン」と呼ばれるインパネの柄も、ブラックの内装色と相まって、木目調とは異なる新たなアプローチとしては上々の仕上がり。レザー仕上げか?と一瞬騙されそうになる、ステッチをあしらったソフトパッドのインパネ表皮はアイデア賞モノ。



ナビは未設定、純正OP品もタッチパネル式、またハイブリッドでありながら、コンベンショナルなゲート式シフトレバーを採用するのも、保守的ユーザーには歓迎される要素。事実こういう奇をてらわない(=プリウスはもちろんの事、レクサスHS・CTやSAIでも拒絶する保守ユーザーが結構多かったとのこと。)フツーの地味セダンでハイブリッド、というジャンルには、確実に需要がありそうです。



リアシートの広さはFFビックセダンの真骨頂。HVの弊害はラゲッジスペースに…といいたいところですが、パッケージングの工夫で440L確保したのは立派。あえてスッキリとスクエアなスペースを設けるのではなく、とにかくいけるとこまでは絶対に広く!という精神なのか、見た目のキレイさ重視ではなく奥行き部分はデコボコ。右側だけトランクスルーを採用したのも意地に近い。トランクヒンジがダンパー式でなく室内に干渉するのが残念…と言いたいところながら、そういえば先駆車のドイツ勢も何故か近年次々に廃止している事を思い出しました。不思議。コストの問題?真相知ってる方いたら教えてください。




さて、車両の紹介も終わりまして、試乗開始。テスト車両は中間グレードのGパッケージ。これが販売の中心となると予想される、また個人的にも1番のお勧めグレード。ベースモデルの304万円より+13万円となりますが、その内容は17インチアルミ・本革巻ステアリング・運転席パワーシートなどなど、価格以上の充実度。絶対に16インチがいい!というのでなければ、素直にGパッケージを選んでおいた方がいいでしょう。もう1つ上の「レザーパッケージ」は、文字通り本革シートや純正HDDナビやクルーズコントロールが標準となりますが、価格もグーンと上がって+63万円の380万円。これはもう明らかにボッタクリ。しかも肝心の本革シートの出来がイマイチという有り様。というわけでお勧めはGパッケージ。これにディーラーOPのナビ+バックモニターなら20万円以下で装着できるので、このパターンが一番買い得感アリでしょう。ちなみに、VSCやサイドエアバッグは全車標準装備。

ボディーカラーは「トゥルーブルーマイカメタリック」と呼ばれる水色。HVっぽさならこれですが、車格に見合っているかと言えば…?ここは無難に白・シルバー・黒が売れるでしょう。ラインナップも恐ろしく地味ですが、クルマのキャラクターを考えれば納得。注目したいのはトヨタ初登場となるアティチュードブラックマイカ。202のソリッドブラックとは違う雰囲気で、なかなか好印象でした。

さて動き出し。ステアリングはテレスコ・チルト調整可能でポジションの自由度は○。エンジンスタートは無音ですが、それ以外はごくごく使い慣れたシフトノブを操作して、フツーのクルマと変わらない操作方法で動き出し始めます。まず初めに実感するのは視界の良さ。ボディサイズ自体はかなり大柄、全幅は1825mmもあるし最小回転半径だって5.5m…なのですが、コンベンショナルなセダンの形でアイポイントもさほど高くなく、Aピラーの角度もさほど寝ておらず閉鎖感もなし。実際街中での扱いやすさはかなり良好。この点で言えば、三角窓があるレクサスHS・SAIは、セダンというよりもどちらかというとミニバン的視界である事に気づかされます。



しかし、1つだけ突っ込んでおきたいポイントが。今回カムリにはドアミラーの根元付近に突起物(エアロスタビライジングフィン)が設けられており、これはなんとF1譲りの技術で、ボディ側面に渦を発生させて左右からのサイドフォースを強め高速域での安定感を向上させる…というもの。なんでカムリみたいなクルマに?という疑問は残りますが、実際ガムテープで覆い隠せば、その有無の効果の違いを実感できるんだとか。

…と話が逸れてしまいましたが、街中の試乗でそんな効果を体感なんてもちろんできるわけもなく。問題はこのドアミラーの形状。これもおそらく空力性能を優先した形になっているんでしょうが、この左右に絞られた「三角形」とも言えるドアミラーの視認性が、終始気になって仕方ありませんでした。燃費命!なのは分かりますが、多少犠牲になろうとも、もっとスクエアな形のドアミラーの方が絶対に見やすいし安全のはず。細かいポイントですが、指摘しておきたいと思います。

走りの印象に戻りまして、まず動き出しの印象は、トヨタHVに共通する、モーターだけで走り出すスムーズさが印象的。モーターの出力はSAIなどと同等ですが、注目は1540kgという車重。THSシステムを搭載しておきながら、この車重で収めた軽量化技術はもっと注目されてもいいはず。かといってボディなどに華奢な印象はなし。この軽さが走り面で多くの好印象を残す結果となります。



また、比較的エンジンがすんなりかかってしまう事も意外なポイント。もっともこれは一概に悪い事ではなく、走り出して一定速度に達した際にエンジンが止まる確率は確実にアップしており、トータルではエンジンストップが短く抑えられているような制御。無理にモーターだけに負担させようとせず、加速するところはスパッと両方使い、ある程度の速度に達すればエンジンはお休み状態を維持。ちょこちょこと放電充電を繰り返さず、ガバっと使ってガバっと充電。無理してどちらかに頼ろうとせず、お互いが上手く制御し合ってくれているおかげで、街乗りでのドライバビリティは大幅に向上しました。

どうせならモーターは絶対たくさん使いたい!という方は、エコモードで。これなら発進時のアクセルレスポンスが抑えられ、メーター上55km/h付近までスルスルーっとエンジンなしで加速する事も不可能ではありません。特筆できるのが、このエコモードが「後続車遅くてすいません」モードになっていない事。これは確実にSAIやHSよりも進化していると感じました。

このカムリ、パワーモードの設定はなし。それもそのはずで、ノーマルモードで加速力は十二分以上。特にFFなだけに、少しでも操舵している状態で大げさにアクセルをポンと踏むと、猛烈なトルクステアに襲われてしまうくらい、かったるいどころか積極的に速いと言える動力性能を備えています。これも軽めの車重が起因しているのでしょう。



そしてもう1つ。新エンジンも走りの好印象要素の1つ。AZ系からAR系に進化した新世代の2.5L4気筒エンジンは、アトキンソンサイクル形式を維持しながらも、パワー・トルクともにアップ。またAZ系2.4Lと比較して、格段にスムーズに回るようになったのも、動力系の滑らかさを演出するのに一役買っています。いい意味で4気筒とは思えない出来。ただ音自体もクルマ自体の静粛性向上の為かなり抑えられていますが、音質サウンド面でいえばマルチシリンダーにはちょっと敵わない…というのは贅沢な欲求か。しかし、噂では次期クラウンHVもこの2.5L4気筒を採用するとのことなので、相当に金と気合を入れて入念に開発されていたことが伺えます。



という事でパワートレーンは想像以上の良さを見せてくれましたが、フットワーク関連で言えば、そこまでの感動はなし。タイヤは215/55R17(ちなみに銘柄は16、17インチともにBSトゥランザ)と、まぁ常識的なサイズですが、乗り心地はコツコツと路面段差を拾って、どこか落ち着かない印象。速度を上げていくと乗り味はフラットになっていきますが、そうすると今度はコーナリング時の、特にロール方向の動きの大きさが目立ってきます。まぁフットワークに関しては一般的なFF大衆車の典型的な動きであり、このあたりは「大きいカローラ」を思わせる…のは、価格を考えれば仕方ないところか。まぁそれでも、HSやSAIがカムリよりいいか、と言われればそうでもありませんが。飛ばすクルマではありませんし、乗り味でプレミアム性はあまり感じません。しかしそんな中でも、軽くも重くもない適度な操舵力の電動パワステのステアフィールや、回生時のフィーリングにも違和感がないブレーキタッチなどは○。このあたりも、保守ユーザーのツボの抑え方としては、ちょうどいい落とし所なのかもしれません。

さて、燃費ですが、今回は限られた時間・ステージなので明確な計測はできず。走行200km程度のド新車の参考数値ではありますが、試乗開始時点での燃費は14km/Lほど。その後30分ほど走って、14.8km/Lまで向上しました。実用的な街乗り燃費数値はこのあたりでしょうか。SAIやHSは実用域の燃費が全然良くない!との悪評がありましたが、カムリはそれよりは少し伸びそうです。また、タンク容量が65Lとかなり大きいので、例えば高速燃費が18km/L程度だったとしても、1回の満タンでの航続距離1000km超えは結構簡単に達成できそうです。



疑問と言えばメーター上の燃費計。3眼式で見やすくシンプルにまとめられており、中央のインフォメーションモニターもこの程度の表示で十分。問題は右側の燃費計。立派なメーターで表示されているものの、これは「瞬間」燃費計ではなく「通算」燃費。つまり、走り出してある程度燃費が落ち着くと、針はほとんど止まったまま。瞬間燃費はその縁がグリーンに点灯して表示するのですが、視認性的に考えて場所配置は明らかに逆。なんでこんな事になったのか、大いに疑問なポイントでした。

さて結論。スタイリングは「?」。フットワークや乗り味は前回乗ったアヴェンシスほどの感動は無く至って普通のトヨタフィーリング、しかし最新世代アッパークラスのTHSシステムの熟成度、燃費性能とドライバビリティの両立はなかなかの見どころ。次世代への提案性は感じられないものの、20世紀的コンベンショナルセダン+21世紀的最新ハイブリッドシステム、という組み合わせを待っていたユーザーは結構いるはず。しかも、このボディのボリュームで、「手の届く」300万円ちょいの価格設定。少なくともこのクルマがあるならば、中途半端な存在となったSAIはその存在価値が無になったのと等しい…と言っていいでしょう。実際、あれほど地味な存在だったカムリですが、初期受注台数で見る限り、かなりの躍進。それだけ国内の「ハイブリッドアレルギー」は顕著…?という不安と懸念もありますが、まぁ今回カムリをハイブリッド1本に絞って国内展開したことは、大正解だったと言えるでしょう。そして全然期待してなかったのですが、パワートレーンの進化は想像以上。思っていたよりも全然いいクルマでした。

さて、そこでトヨタに要望したいのは、もう少し1サイズ小さい、普通のセダンハイブリッド。やはりカムリのボディサイズでは日本のユーザーには大きすぎるというユーザーは少なくないはず。例えば次期プレミオ・アリオンどちらかをハイブリッド専売にしてみたり…そう、ここで気づいたのは、まさしく初代プリウスの「正当な」後継車。ベルタ~プレミオサイズの、日本で扱いやすい運転しやすい、そんなユーザーの気持ちに応えるジャパニーズ和風ハイブリッド…そんな1台に期待したいと思います。




…さて、次回の試乗記は、話題の新車「ダイマツミラウース!」
ではなく(笑)



ダイハツミライース。
こちらを先週末に、早くも徹底テストする機会に恵まれました。
次回、ここでまたお伝えしたいと思います。

Posted at 2011/10/25 21:35:13 | コメント(2) | トラックバック(0) | トヨタ | 日記
2011年10月16日 イイね!

【試乗記】ちょっと気になるトヨタ車イッキ乗り

【試乗記】ちょっと気になるトヨタ車イッキ乗り10月中旬になり、過ごしやすい季節になりました。
スーパーではもうおせちや年賀状の予約などをしていて、1年の経過の早さを実感するばかりです。


10月初頭、内定式に出席するべく東京に出向いていました。来年春からお世話になるのは、某サプライヤーメーカー。文系なのにゴリゴリのクルマオタク…という物珍しい種に目を付けてもらえた…かどうかは分かりませんが、文系業務でもかなり自動車と濃い結び付きができる職種。昔から念願だった自動車業界に携わる事ができる歓びを、改めて噛みしめています。

…しかし、いきなり入社1年目から、海外研修が決定(汗)これからの時代、ましてや文系ともなると語学は必須になるわけで…今から不安全開ですが、頑張るしかありません^^;



さて、その先日の東京行で、久々にメガウェブに行って、個人的に気になるトヨタ車数台を試してきました。そこで今回は、いつもはアホみたいに長文になりがちになってしまうので^^;今回は距離も短くステージも限定的、ということでショートインプレッションをダイジェスト風にまとめてみたいと思います。



・アベンシス2.0Xi



「トヨタが作った欧州車」との触れ込みで登場した先代。地味ながら出来はとてもよかった(と個人的には思ってる)のですが、やはり?泣かず飛ばず。欧州ではひと足先にモデルチェンジしたものの日本導入はなし。しかし、ステーションワゴンがプロサクとフィールダーしかないという状況を打破するべく、ワゴンのみモノグレード、色は3色、右ハンドルだけどもウインカーは左側のまま、けども9エアバッグもVSCもフル装備で250万円はなかなかお買い得感あり。デザインはちょっとアカ抜けたものの、まだまだ地味?ちなみに先日フランクフルトではフェイスリフトして、ちょっと濃いメイク顔となってます。



さて、説明もそこそこにして試乗開始。ドアはバシっと閉まって堅牢感あり。シートもカチッ、ポジションの自由度の高さも○。他にも例えばリアゲートを締める時のグリップが左右両方に取りつけられていたりと、「欧州基準」をいろんな部分で垣間見る事ができます。

エンジンは2L直4(ハイオク仕様)に7速CVT。エンジン始動直後から比較的音は大きめで、静粛性命!というトヨタ車の印象とはちょっと違うかな?と思わせる部分。ただパワースペックは地味なものの、低速からのピックアップは予想以上で、動力性能はいい意味で2Lの排気量を感じさせません。

それを助長させるのが、「欧州セッティング」のCVT。今までトヨタ車のCVTセッティングは、個人的にはほぼ全てがNG判定でしたが、このアベンシスはアクセル開度に対する反応がとってもリニア。変に燃費マップ重視のセッティングになってないのがよかったのか、エンジンのトルク特性とマッチングがいいのか。NA+CVTで、しかもトヨタでも、ちゃんとやればできるじゃん!の1台。

足回りやブレーキに関してはここのステージであまり多くは言えませんが、ステアフィールも芯がしっかりとしたナチュラルなもの。ただ先代のようなどっしり!ガチッ!とした操舵フィールは、新型は電動パワステになった事もあり、操舵力は比較的軽め。もう少しステアレシオはクイックな方が好みかな。

相変わらず地味な存在ではありますが、新型のフェイスリフト後の顔+青とか赤とかヴィヴィッドなカラー+お値段据え置き250万円、なら人気が…まぁ、出ませんわな(笑)けど個人的に、絶対トヨタ車しか買っちゃダメ!縛りがあるなら、このアベンシス、かなり有力候補です。


・ヴィッツ1.5RS(MT)



ようやくヴィッツの1.5Lモデルに試乗する事ができました。これで1L、1.3L、1.5Lのヴィッツ。それに1.3Lと1.5Lのラクティスにと、フルラインナップを全て試す事ができました。先日ラクティスのロングランもしてきたので、これはまた後日機会があれば…

しかもこのメガウェブで嬉しいのは、MTがあるという事。なかなか試乗車では置いてませんからね。ちなみにヴィッツは先日のマイナーチェンジで、RS+17万円、CVT仕様なら10万円(!)でG’sエディションが買えるので、絶対そっち買う方が今となってはお買い得だと思いますが…(笑



動き出してまず気付くのは、ステアフィールが凄くしっかりしてる!どうやら「F」系と「U」「RS系」の足やステアユニット系が違う、というのは本当のよう。これならまだちゃんとマトモに走る。「F」の酷評っぷりはまたいずれか…苦笑

MTのシフトフィールも、ぐにゃぐにゃで典型的ダメFFっぽさ全開の先代RSと比べると、そこそこカチッとしたもので○。しかしまぁ、なんと乗りやすいMT車なんでしょうか。1.5Lエンジンはトルキーでアイドリングミートも楽勝、さしてクロスレシオでもないのに、40㎞/hで5速に入ってしまうそのフレキシビリティっぷり。ただその分、スポーティな印象は皆無。ガサツなフィーリングに、サウンドではなくノイジーと判断してしまうエンジン音。その動力性能自体には全く不足なしなので、ここは今トヨタが言っている「味」部分の煮詰めが必要か。パワーは劣りますが、新しいNR系1.3Lエンジンはかなり出来はいいだけに、1.3RSの5MTなんて設定があれば面白いかも。

あと問題と言えばタイアも。195/55R16という立派なサイズなのですが、銘柄がなんとBSエコピア。RSでもエコ系重視…?実際、こんな限定されたステージでさえ、グリップレベルの低さは顕著。扁平率の低いエコタイアというアンバランスさが露骨に……まぁ先代ヴィッツRSの16インチも、BSレグノが純正装着だったので、軸はブレブレなのかもしれませんが。16インチのせいで最小回転半径が5.5m!となって、コンパクトボディながら信じられないくらい小回りが効かない欠点も先代からそのまま引き継いでしまいました。

もうすぐスイフトスポーツが出る中で、この中途半端系ホットハッチはどうなるのか?フィットは6速MTを採用したりして頑張ってますが…ここはTRD系チューンに期待、というところでしょうか。足のステアフィールの良さは、新型ヴィッツで期待外れだった分をちょっと好印象に挽回はしてくれましたから。


・センチュリー

唯我独尊。ただひたすらに、圧倒的。



久しぶりに乗りましたが、いやーただひたすらに独創的。塗装の圧倒的な質感、ドアの独特の開閉感と開閉方式、クラウンと比較にならないくらいソファと評するに相応しいフカフカのシート、エンジンをかけても驚くほどに無振動で静寂な室内…。

動き出してからは、とにかく滑らか。全ての部品精度が精密に感じるこのフィーリングには、本当に圧倒されるばかり。珍しいデジタル表示のタコメーター、超ソフトな足は空飛ぶじゅうたんのように路面からの入力を全て取り除き、アクセル・ブレーキ操作に対して80年代の日産車のようにノーズアップ・ダウンが激しく、ストロークが思いっきり長く初期ではほとんど減速感のないブレーキ…ここはちょっと怖いですが。笑

まぁとにかく、良い悪いの次元を飛び越えて、この世界観は絶対にこの車でしか味わえない。メルセデスにもBMWにもない、そして作れない味わい。その唯一無二の存在感。

日本のフラッグシップは、レクサスLSでもアルファードでもなく、間違いなくこのセンチュリー。
最近日本の自動車界の危機や衰退を耳にしたり、感じたりする事も出てきましたが、センチュリーに乗るとちょっと安心できます。日本車、凄いじゃないか。カローラは中国韓国にヒョイヒョイと真似できても、こいつは無理。……もちろん、油断は禁物ですが。

けど、


日本にはセンチュリーがある。


これは、絶大なるクラフトマンシップの誇りと自信を感じさせてくれる、
そんな御神のような存在であります。



後ろに乗る事は将来絶対ない(笑)でしょうが、もし機会があれば、「ドライバーズカー」として1度手に入れたい。そう思わせてくれます。




…さて、もう1台、カムリHVにも試乗したのですが、これはまた後日キチンと試乗記でまとめたいと思います。では、今回はこのあたりで。
Posted at 2011/10/16 23:23:57 | コメント(4) | トラックバック(0) | 日記

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