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九郎田一馬のブログ一覧

2010年10月17日 イイね!

New!試乗記 新型スイフト~後編~

New!試乗記 新型スイフト~後編~ スイフト試乗記後編です。





さて、早速走りだしてみましょう。まずタイアをひと転がし、歩道との段差を越えた瞬間に実感できる、足回りのしなやかさ。タイアは185/55R16という立派なサイズのBSトゥランザが装着されていますが、低速域でもドタバタすることなく、キチンと履きこなしている点にまず驚き。唯一、気になる点と言えば、16インチ装着車は最小回転半径が5.2mとかなり大きめになってしまう事。可変ステアギアレシオのおかげでステアリング操作は忙しくありませんが、最初のうちはこの小回りの効かなさは慣れが必要でしょう。



エンジンは1.2Lで、シャシー性能を考えると完全にパワー不足ではありますが、そこはスポーツに期待…というところか。もっとも、同コンパクトクラスでは標準的な動力性能であり、それだけシャシーにゆとりを感じさせる…ということ。改善されたのはCVT。以前のスイフトが1.3LATから1.2LCVTへと変更を受けた際、アクセル操作に対して回転が極端に上がり下がりして、いまいちリニアさに欠ける印象がありましたが、新型はそういった部分はなし。この新しい副変速機付のCVTの幅広い減速比のおかげで、実に自然なフィーリングとなっています。XSに装備されるパドルシフト、または今時大変嬉しい5速MTをチョイスすれば、アンダーパワーをカバーしつつノーマルモデルでも十分に楽しめそうです。

さて、今回スイフトは、様々な部分がレベルアップしながらも、軽量化にも重点が置かれ、ほぼ全モデルで1トンを切っています。ここで同じコンセプトで思い出すのが、マツダのデミオ。およそ100kgの大胆な軽量化が行われ、コンパクト本来の軽快感や俊敏さを取り戻してそれが大きな魅力になっています。しかしながら、2代目デミオが持っていた、しっかりとしたボディ、スタビリティの高さや乗り心地の快適さなどはある程度トレードオフされていたという事実も見受けられました。



スイフトが凄いのは、そういった「軽量化による弊害」が一切感じられない点。もちろん先代との軽量化分差は大きく違いますが、1トンを僅かに切る点は現行モデルでは同じ。しかしながら軽快感とスタビリティの高さの両立、クラスを感じさせない安心感を感じさせるのが、今回のスイフトの一番気にいったポイント。これは今までの国産車ではあまり体感できなかったものです。現行デミオの飛び抜けた機敏さだけを見ればスイフトよりも楽しさは上…かもしれませんが、総合的な実用車としての実力はスイフトの勝ち。パッソなどとは比べ物になりません。直接的に大きく影響を喰らいそうなデミオは、マイナーチェンジでの熟成に期待、というところでしょう。

実際にはシティユースでの試乗に限られたので、是非とも機会があれば何かの形で借り出して、様々なステージで改めてテストしたいと思います。もしこれにアイドリングストップが装着されて、スイフトスポーツが170~180万円くらいで登場したら…日本車にもまだまだ希望が持てそうです。

さて最後に。プチバイヤースガイドを。買うならまずお勧めは124万円のベースモデルXG。これで装備的にはなんら不足なし。アルミではありませんが、15インチなら小回り性能もアップしてパワーとのバランスもより良好となるでしょう。むしろ、ベースモデルとは名ばかりの充実度なので、マニュアルエアコンでエンジンプッシュスタートもいらないので、もっと安価なグレードがあってもいいくらいです。

試乗したXLは売れ筋の中間グレード、XGから約7万円アップで、16インチタイア+アルミホイール、本革巻ステアリング、ドアミラーウィンカーなどが装着されてお買い得感は確かにあります。MTが欲しい場合はこのグレードが最高となりますが、しかしもしCVTモデルでもいいというならば、XLよりももう1つ上のXSを猛烈プッシュ。

価格はXGから約23万円、XLから約16万円高くなりますが、XSはまずESPとサイドエアバッグが標準装備。これでもうこの差額分は埋まったと言ってもいいでしょう。これに加えて、リアディスクブレーキ、クルーズコントロール、7速パドルシフト、フロントアームレスト、フォグランプなど、この内容で147万円は間違いなくお買い得。ちなみに、トヨタのパッソ1.0XにサイドエアバッグとVSCを装着した場合、およそ120万円強。先日登場したフィットではハイブリッドの最上級モデルにしかVSA+サイドエアバッグは標準ではなく、これだと210万円。ちなみにポロ1.2TSIコンフォートラインは213万円。街乗りコンパクトにそこまでの装備はいらない!と言われればそれまでですが、150万円以内の国産車のチョイスでは間違いなくこのスイフトは「世界的ライバルと比べても恥ずかしくない」立派な1台だと言えるでしょう。



もっとも、絶賛だけではなく、できればXGやXLにもESPの設定が欲しかった(現状ではオプションでも装着不可。実質的に現状ではMTとESPの両立はできない)ですし、せっかくスプラッシュはリア中央のヘッドレストと3点式ベルトがあるのに、スイフトには設定なし。こう書きならべると、どこぞの自動車評論家みたいな事になってきてしまいますが、スイフトが高い志を持っていると感じたからこその、さらなる要望として書き記しておきます。

そしてもっと現実的な方に目を向けると、例えばボディカラーの設定がこのクラスでは少なめな6色しかなかったり、またこれは根本的な問題点となりますが、スズキのディーラーというのは、特に田舎の方に行けばびっくりするくらいのショボさであるということ。この点で言えば、「カフェプロジェクト」と銘打って、ここ数年女性ユーザーを取り組むためにディーラーを整備してきたダイハツと比べて大きなハンディとなりそうです。別にレクサスのようにしろとまでは言いませんが、実際にMRワゴンがモコになり、パレットがルークスになり、スズキの軽が日産ブランドとして販売され元祖モデル以上の人気になるというのは、ディーラー整備網の弱さも間違いなく要因の1つとなっています。いくら力作でいいクルマを作っても、最初から購入リストに並ばなければ意味がありません。自分のようなクルマバカならばディーラーのボロさどうこうは気にせずクルマ自体の性能で判断しますが、特に若い女性ユーザーならばそうともいかないでしょう。パッソみたいなクルマが売れてしまうのは、ある意味でそういったターゲットユーザーをしっかり狙い撃ちできるトヨタの強みでもあります。

以上、少しスイフトとは別の方向の話となってしまいましたが、実際乗れば確かに評判通りの素晴らしい仕上がり。とりあえず現状で周りの同クラスと比較すると、唯一最近マイナーチェンジしたフィットのズバ抜けた総合力の高さの牙城は、さすがにこのスイフトでは崩せそうにありませんが、もうすぐ登場予定の新型ヴィッツや、パッソ、マーチ、デミオあたりは、相当焦りを感じた方がいいかもしれません。今このクラスは二極化が進んでいますが、パッソやマーチのような路線を「中途半端」に突き進んでいると、必ずしや韓国中国車にやられる時が来てしまうでしょうから…。



さて、次回は、そんなスイフトとは悪い意味で対照的?な評価の多い、日産の新型マーチの試乗インプレッションをお届け予定。こちらは運よくアイドリングストップ装着車を丸1日お借りして、いつもの様々なステージをもつコースで、じっくりと試す事ができました。スイフトでは評判通りの良さを実感しましたが、マーチは評判通りの辛口評価?となるかどうか…。ネガティブな印象で走り始めましたが、評価のほどは想像していたよりもあらぬ方向へ…!? 次回の試乗記もお楽しみください。


Posted at 2010/10/17 22:19:21 | コメント(1) | トラックバック(0) | スズキ | 日記
2010年10月13日 イイね!

〔過去試乗記〕 BMW320i 試乗レポート

〔過去試乗記〕 BMW320i 試乗レポートスイフト試乗記後編、現在進行中…

それまでに、再び過去試乗記に。笑

先日大幅にマイナーチェンジされた、BMW3シリーズです。E90も、熟成が進んで、これで完成形?今一番おいしいモデルと言えそうです。




新しいBMW320iに乗る事ができました。ここ最近のBMWの勢いには驚くばかり。先日1・3シリーズやMINIが大きくラインナップやエンジンの変更を受け、とくにアイドルストップ付の6MTの320iはモード燃費がなんと12.8→18.4km/Lへと劇的な改善!これでパワーもトルクも上回っているのだからグゥの音も出ません。そんな新しいユニットを搭載した320iのレポートをお届けします。

テスト車はその6MT…ではなく、恐らくもっとも売れ筋となるであろう320iの6速ATモデル。若干MTよりは劣るものの、ATでも15,2km/Lと、1500kgのFRセダンである事を考えれば大変優秀な数値。排ガス性能の問題でエコカー「減税」対象とならないのは少し残念ではあります。

そんな新しい320i、注目はやはりエンジン。2.0L4気筒は今回の変更でリーンバーン化、直噴化されているのが主なポイントと言えます。そのおかげで燃費改善はもちろんの事、パワートルク共に約10%向上。170psという数値は、M52時代の2.5L直6エンジンに近い数値です。もちろんお馴染みのバブルトロニックも相乗効果を生み出しているのは言わずもがな。

ちなみに今回のMCで、325iのエンジンは3.0Lの直6へ。こちらもパワーアップ&燃費改善がなされており、燃費に関しては従来型の2.0Lモデルと同程度の数値を叩き出す小食っぷり。335iのエンジンも、先日の5シリーズでお伝えした通り、ツイン→シングルターボ化され、バブルトロニックが新たに組み合わされた次世代3.0Lターボへと変更を受けています。

さて軽く紹介を終えたところで、早速インプレッションのほうへ。スタイリングに関しては、セダンに関しては以前フェイスリフトされたものと同じ。彫刻的なボディラインがやや柔らかい印象となり、前後ウインカーにLEDが使われて新鮮味を増しています。初期E90ユーザーにすれば、拡大されて視認性が劇的に良くなったドアミラーの変更が一番羨ましいところかもしれません。唯一今回のエクステリアの変更は純正のアルミホイールのデザイン変更。320iのそれは、新型のほうがスポーティなデザインになっており、個人的には好印象でした。

他のどんな車種でも同じようにバッチリとスポーティなドライビングポジションが決まるBMWの美点を改めて感じながら、エンジンをスタート。始動直後のエンジンがまだ冷えている状態でも、直噴化でよく言われるエンジンや排気系からのカチカチとした音は聞こえず。ただ以前よりややエキゾーストサウンドのニュアンスが軽くなったのを感じながら、やはり5シリーズのそれよりも遥かに操作しやすく高級感もあるコンベンショナルな方式のシフトノブを動かして、走り始めます。

走り始めて数m、まず最初に「全然違う!」と感じるのはステアリングフィール。今回から燃費対策の1つとして電動パワステが採用された3シリーズですが、その違いはそれこそ曲がり角を1つ曲がっただけでも従来モデルとの違いをはっきり感じる事ができます。

それは「ステアリングの重さ」。現在の3シリーズのアクティブステアリング「非」装着車や1シリーズに乗った際にまず感じるのが、パーキングスピード時の異常なまでに重くねっとりとしたステアリングフィールでした。「おぉ、これぞドイツ車だ!」とニヤッとできる輸入車フリークや、運転と同時に腕を鍛えたい筋骨隆々なアスリートならまだしも、特に女性などはちょっとこれだけで購入対象から敬遠され兼ねない、そんな印象を抱くものでした。その悪癖は従来のコンポーネンツを使うX1にもそのまま受け継がれています。



しかし今回の電動パワステの採用で、ようやくこのズシリと重かったステアリングが「ちょっと重いかな?」というレベルにまで改善されました。以前の重めの操舵感が好きだった人も、新型に乗ればこちらのほうがスムーズで好印象なイメージを抱くはず。ちなみに走り始めてある程度スピードが乗ってくると、ステアはずしりと座りがよくなり、直進安定性は抜群。また中立付近で微舵を入れた際の反応の素晴らしくリニアで、知らなければ電動式であると気付かないであろう完成度の高さを見せてくれます。

さてエンジンですが、こちらは燃費改善されたエンジンとは想像つかないほどの力強さを見せてくれました。発進直後からアクセルに対して低速からのレスポンスが非常に良く、そのままの力強さを保ったままレブリミット7000回転までスムーズに回っていきます。発進時のちょっとしたかったるさも、高回転域での頭打ち感も、まるでなし。4名乗車状態の重量が乗った状態でこれですから、過給機なしの2LNAでここまで軽快に走ってくれれば、まず動力性能に不満を感じる事はないでしょう。3シリーズを買う人が必ず1度は悩む「お手頃な4気筒か、余裕のシルキー6か」という選択ですが、絶対的なフィーリング面を覗けば、この廉価版でもある新しい4気筒エンジンになんら不満は残らないでしょう。325iのエンジンが2.5Lから3.0Lへと変更を受けた理由もここで納得。この新しい4気筒は、323i程度までカバーする実力を備えているのですから。

ただあえて「フィーリングを覗けば」としたのは、エンジンは間違いなくパワフルなのですが、どことなくライトな印象も感じられたのがその要因。もちろんそれはレスポンスの良さであり吹けの軽さであり、ポジティブな印象にもつながるのですが、以前のエンジンで感じられた4気筒とは思えないジェントルかつ高級感のあるエンジンフィールやサウンドも、性能向上に伴ってやや失われた感は少し否めないかもしれません。特にやや高周波が耳につくシューンと響くエンジンサウンドは、ひょっとすれば従来のBMWユーザーからすれば少し物足りなさを感じる部分かもしれません。もっともこれは535iに乗った時にも感じられた事で、BMWに対するエンジンへ求める期待のレベルが他社に比べて高い事の表れであるからこそ、というのも、535iで出した結論と同じところに落ち着いてしまうわけですが…。



しかし改めて3シリーズに乗って感じるのは、DセグメントのFRセダンとしての完成度の高さ。テスト車はBSトゥランザのランフラットを履いており、テスト車両がまだ500kmしか走っていないのでややリアの落ち着きのなさが感じられたものの、ランフラットの直接的なゴツンとくるショックはかなり低減されており、乗り心地もイヤ―モデルごとに目に見えない進化を重ねている事がよく分かります。下手に見た目につられてMスポーツを選ぶ必要性は、少なくともこの320iに乗る限りは感じられません。

他にもスムーズかつスポーティな走りにもよく応える6速ATの出来や、ブレーキング時のフィールと姿勢の良さ、ノーズの入りとリアのトラクションのバランスの高さなど、まさにFRのお手本、駆け抜ける歓び。これがHDDナビ標準で従来モデル据え置き445万円は間違いなくお買い得。もっとも、絶対的な価格の高さは、先日少し話題になった北米や欧州市場での価格差を考えると、「ぼったくり」感が否めないのは事実…ですが、他同クラスの国産セダンから比べると、たとえ2.0L4気筒でも、走りに関しては「格の違い」をまざまざと実感できる…ようやく完熟期に突入してきた新しい3シリーズ、今が一番買い時かもしれません。


Posted at 2010/10/13 23:21:20 | コメント(1) | トラックバック(0) | BMW | 日記
2010年10月12日 イイね!

New!試乗記 新型スイフト~前編~

New!試乗記 新型スイフト~前編~開設早々、更新が滞ってしまいました。すみません。

実は日曜日、鈴鹿にF1を観に行っていました。観戦場所は西ストレート~130R付近で、前日の天気が嘘のような快晴の中、素晴らしいエキゾーストノートに酔いしれました。

いやーしかし、カムイ選手の度重なるオーバーテイク!ストレートにくるたびに順位が上がって、観客席は大盛り上がり。日本人として大変誇らしい1日でした。来年も、行くぞ!






さて、今回は。新装ブログ試乗記第1弾!新型マーチとは対照的?に、登場以来かなりいい評判を聞く、新型スイフトの試乗記をお届けします。

スイフトの歴史を振り返ってみると、初代は「kei」の全幅拡大普通車版であり、軽の価格で普通が買える、とりあえず作っときました的モデルな印象が拭えませんでした。唯一、119万円という低価格で登場した初代スイフトスポーツが、エントリースポーツとして脚光を浴びた程度。思えば、これが今に渡るスイフト快進撃の予兆だったのかもしれません。

そして2代目、おそらく車好きならば誰もがその変貌ぶりに驚いた事でしょう。ヨーロピアンで洗練されたスタイリングやインテリア、そして走りのレベルの劇的な向上。「ワゴンRソリオ」などもちろんの事、「エリオ」や「カルタス」を作っているメーカーの車とは思えない激変ぶりは、記憶に新しいところです。



さて、そんな世界的にも大成功を収めた2代目が、3代目へとスイッチ。まずスタイリングですが、これはこれまでの国産車史上でもトップを争うであろう、ガッチガチのキープコンセプト。しかしながらこれは「変える事を避けた」というよりも、「積極的に守る」「変えない事への挑戦」として受け取った方が良さそうです。事実、プラットフォームを一新、パッケージングもプロポーションも変化する中で、あえて2代目ソックリにデザインするほうがむしろ難しかったでしょうから。最近の流れであるワンモーションフォルムに媚びる事なく、スイフトである事にこだわった新型。もともとのデザインが十分に個性的だったので、「わが道を行く」このスイフトの姿勢は○でしょう。

一方インテリアですが、こちらはエクステリアに比べれば大きくデザインを変えています。とは言っても、2代目のようなシンプルさはそのままに、平たく言えばより「レベルアップ」されているというところでしょうか。さすがにこの価格ではインパネはソフトパッドではありませんが、各フィニッシュでありボタン操作時の質感などは、このクラスの国産では間違いなく1番。ATのシフトブーツの処理や、エアコンやメーター内の見やすい液晶パネルもその印象を強くさせます。また細かいところでは、スポーティで視認性もよいメーターに、最近では上級クラスでも省略されがちな「水温計」もキッチリ装備されているあたり、実に「自動車」っぽさを色濃く感じます。こういった点が、このスイフトがクルマファンに好意的に受け入れられている1つの要素と言ってよいのでは。



ボディサイズは若干拡大されているものの、それは対歩行者の衝突安全性の確保などに使われているようで、前・後席の広さやパッケージングには大きな変化は見られません。しかしながら178cmの自分が運転席で適正なポジションを取りリアシートに移っても、積極的に広いとは言えないまでも、十分な居住スペースは確保されています。先代と比較すると、少しウェストラインが上がり、視野の解放感で言うと少し減退し閉塞感が増した印象もありますが、少なくともリアシートに関してはVWポロよりは確実に広く、シートの出来もちゃんとしています。

続いてラゲッジスペースですが、先に言っておくと、今回の新型スイフトで、唯一かつ最大のまともな欠点がこの項目。コンパクトカーだから仕方がない、この割り切りの良さが走りの軽快感を生みだしている等の「アバタもエクボ」的な評価もよく目にしますが、ここはそういった先入観にとらわれず、冷静に率直に感じたままに、がモットーの自分としては見逃せません。あくまでスイフトは、スポーツカーではなく、実用車なのですから。



具体的に言うと、まず開口部。その小ささもさることながら、最近では珍しいほどの床の高さ。これは、バンパーラインを上げる事によって、リアをぶつけた際に板金修理することなくバンパー交換のみで修復できる…という、スイフトのエントリー&グローバルカーらしい気配りなのですが、使い勝手の面からのトレードオフを考えれば、もう少し工夫できなかったのか?というのが正直なところ。開口部の少なさからより高いボディ剛性を実現できた…というのも、単なる言い訳に過ぎません。ただ狭くして得た魅力に、技術的創意工夫は皆無です。

実は2代目スイフトも、モデル途中のMCでリアシートの格納方法が変更を受けており、前期と後期では使い勝手が大きく異なります。もちろん広く大きく使えるのは前期のほうで、これで2代目前期>2代目後期>3代目前期、と改悪が進んでしまった結果は少し残念に思えます。

しかし先述したように、新型スイフトでマトモな不満点として挙げられるのは、この点程度。ある意味それ以外欠点らしい欠点が見つからないあたり、このクルマの凄さを物語っていると言えるでしょう。そしてその印象は、走り始めるとさらに明確なものへとなっていきます。

ゆったりとしたサイズでありながらも適度なサポート性のあるシートに座り、二重ドアシールのおかげで実に頼もしいドアの閉まり音に関心しながら、全車標準装備のプッシュスタートのボタンを押してエンジンを始動させます。そしてその瞬間から実感する、静粛性の高さと振動の少なさにまず驚き。大げさでなく2Lクラスと遜色なしと言っていい出来です。そしてシートの前後・高さ、そしてこれも全車標準のテレスコ・チルトステアリングのおかげで、ドライビングポジションもバッチリ。まだ動き出していませんが、こういった「当たり前」の事ができない国産車は、実はいまだに多かったりします。


…後編へ続く。
Posted at 2010/10/12 20:26:41 | コメント(1) | トラックバック(0) | スズキ | 日記
2010年10月09日 イイね!

〔過去試乗記〕 マセラッティグラントゥーリズモSオートマティック

〔過去試乗記〕 マセラッティグラントゥーリズモSオートマティックGT-Rに続いては、これも個人的にとても印象的だったマセラッティグラントゥーリズモ。今年初めのJAIA輸入車試乗会で試す事ができた1台です。




まず簡単にラインナップを整理しておくと、基準となるグラントゥーリズモはV8の4.2L405psにトルコン式6速ATの組み合わせ。これに対しハイパフォーマンス仕様のグラントゥーリズモ「S」はエンジンが4.7L440psと強化され、ギアボックスは6速の2ペダル式セミオートマ。ちなみにSはミッション搭載位置もトランスアクスル方式と変更を受けています。

そして今回試乗したこのグラントゥーリズモ「Sオートマティック」。これはエンジンはSの4.7Lに、トルコン式6速ATを組み合わせた仕様。価格はちょうどノーマルとSの中間くらいであり、日常性と過激さを絶妙に組み合わせたモデルと言えるでしょう。ちなみに、トランスアクスル方式のSは前後重量配分が47:53とリア寄りになるのに対して、こちらのトルコンAT仕様は49:51と、より前後バランスは良好となっています。

さて、説明もそこそこに早速試乗開始。アイドル状態では室内はあくまで静寂。シフトをDポジションに入れての動き出しは極めてスムーズ。これもトルコン式のコンベンショナルなATのおかげもあってのマナーの良さでしょう。

しかしまぁ走り出してみると、なんと乗り心地の素晴らしい事か。一応Sを名乗るだけあり、足回りはハード仕様でタイアはピレリの超扁平極太20インチ。しかしながら路面が細かく荒れていようが大きくうねろうが、サスはしなやかにストロークし嫌なフリクションは一切感じられません。かといってブカブカとするような動きは皆無で、ピッチ方向の動きもバシッと1発で収まり高速域でのフラット感も上々。車重2トンに迫るとは思えないほどのステア操作に対するダイレクト感とクルマとの一体感もさすが。ステアリング自体の重さも気にならず、先ほどの低速でのマナーの良さも含め、日常域での快適性はさすがラグジュアリークーペ、と膝を叩きたくなります。

…しかし、これだけで終わらせないのが、マセラッティの真髄。ひとたびアクセルを踏み込めば、そこにはイタリアの血が沸き立つ快感が湧きあがります。

足回り以上に素晴らしいのが、やはりエンジン。排気量が大きい事もあり、3000回転以下でのんびり流す領域でもトルク不足は全く感じられず、3~5000回転では徐々に乾いたサウンドが耳に届きます。そして極めつけはそこから先…「コ」の音が強くいかにもフェラーリの血筋を感じる素晴らしいサウンドとともにタコメーターの針が上昇し、炸裂するパワーとともに体に響く鼓動とこの素晴らしいきめ細やかな回転フィール!440psという出力はちょうどトップエンド付近で発生されるという、排気量を考えれば超高回転仕様のこのエンジンの魅力は、どんな速度域でも、どんな回転域でも、それぞれ違った、しかしどこでも素晴らしい魅力的な表情を覗かせてくれます。こういう場面で唯一初期制動が甘めに感じられる6ポッドのブレーキフィールにはひと癖ありますが、慣れてしまえば踏力に対するコントロール性は上々です。

またATはこういった場面でも、トルコン式ながらパドル操作に対するレスポンスは十二分に素早く、スムーズそのもの。これならば日常性に幾分かの犠牲が伴うであろう2ペダルセミオートマより、この通常のATモデルのほうがベターなチョイスでしょう。

インテリアの質感とセンスが素晴らしい事は言わずもがな。リアシートに座る機会もあったのですが、身長178cmの自分でもキチンと座る事ができて実用性もすこぶる良好。またさらに求めるならば、ポルシェパナメーラよりも2000倍くらいはカッコいい、4ドアのクアトロポルテも選べます。

ごくごく短い試乗時間ではありましたが、乗る前に抱いていた印象は裏切られるどころか、さらに心酔してしまいました。あえてフェラーリではなくマセラッティを選ぶ理由とその価値を、今回身を持って体験できた事を大変幸せに思います。
Posted at 2010/10/09 11:24:31 | コメント(2) | トラックバック(0) | マセラッティ | 日記
2010年10月09日 イイね!

〔過去試乗記〕 日産GT-R

〔過去試乗記〕 日産GT-Rご訪問ありがとうございます。

本日からここ「みんカラ」で、自分なりに思うこと感じたことを、試乗記としてまとめてアップしていきたいと思います。よろしくお願いします。

まず第1弾は、昨年のTMSプレスディで乗った日産GT-R。なかなか一般素人が体感できない乗り味を体験できた事は、自分の今までの運転経験上でも強烈に印象に残るものでした。11モデル登場も楽しみです。








「今回、販売直後でデリバリーも試乗会もまだなので、Zロードスターが一番人気になると思ってたんですがねぇ…笑」。

前回の東京モーターショウで華々しく登場してから、ちょうど2年。この2年で大きく自動車を取り巻く環境は変わったものの、日本自動車界のヒーローとしていまだに注目度は抜群に高い…最初の日産の方のコメントや、一般公開初日には展示車の運転席に座るべく長蛇の列ができ、1日分の試乗枠がわずか数分で埋まってしまったように、改めてこのGT-Rというクルマの注目度がまだまだ色褪せていない事を実感しました。


ずっと自分も一度試したかったものの、これまでそのような機会はなく、今回がR35GT-R初試乗となります。試乗車両はイメージカラーのアルティメイトメタルシルバーに塗られた最上級モデルのプレミアムエディション。


空力の事も考えられた少し操作しづらい、しかしこの車に乗るための普通とは異なる特別な儀式的行為としてのプロセスと考えれば、ちょっと変わったドアノブの実用性も気になりません。アイポイントは思ったより高め。1つのダイヤルでシート調整を全てまかなえるこの電動シートの操作ロジックは、GT-R以外の日産車にも是非広めていって欲しい逸品。


インパネはやはり見た目上はゴチャついている印象は拭えませんが、質感は上々。メーターの視認性は抜群で、中央のシフトスピード、サスの硬さ、VDCのモード変更を行えるタブ状のスイッチの操作性も分かりやすいものでした。ちなみに今回は限られた時間と距離の中だったので、終始ノーマルのデフォルト状態で試乗しました。


エンジンスタート。一瞬間を置いてから、図太いエキゾーストが車内に響き渡ります。決して透き通ったサウンド…という分類ではありませんが、この迫力ある重低音はそれはそれで雰囲気満点。GT-Rのキャラクターを考えてもちょうどマッチしています。試乗待ちの間に道路を通るGT-Rのその音は、他の車種とまるっきり異なり、はっきりと耳に残るだけでも、圧倒度でいえば十分に合格点。


さて、Dレンジをセレクトして、ゆっくりと発進。こういった極低速時はツインクラッチ車の苦手とするところですが、さほど違和感もなくスムーズにスタート。1~2速での変速にややもたつきが感じられましたが、これは今回のエンジンON・OFFを頻繁に繰り返す特殊なシチュエーションによる影響かもしれません。


足周りはハッキリ言ってかなり硬め。しかしながらごくごく低速で走っていても、ボディ剛性の驚異的な高さのおかげか、決して安っぽいガタピシするようなものではなく、何か硬いシェルの中に密閉されているような感覚。個人的には不快ではないどころか、むしろ心地いいほどでした。ブレーキも癖さえつかめば問題なし。街中を流していると、すぐさまポンポンとシフトアップして気がつけばもう6速に。街乗りでも特別な事を意識することなくスッと乗れます。


しかしながら決して退屈なわけではなく、ステアリングから伝わる豊かなインフォメーション性や、微動だにもしなさそうなボディ剛性の高さ、リアから聞こえてくるギアボックスの音(こちらもむしろ好意的に受け取れます)…。普通に乗れるは乗れますが、「ただものではない」感も十分に伝わってきます。


さて、少しこのGT-Rの本性を覗いてみよう…ということで、パドルシフトを弾いて一気に2速へ。右ウインカーを出して前方の車を抜くためにフルスロットル!その瞬間、タコメーターが3500回転を超えたあたりから猛烈な加速Gが体を襲い、そこからはもうまさにワープ感覚。今そこへ行きたい!と思った瞬間もうその場を通り過ぎるような、そして気がつけばあっという間に制限速度オーバー。09モデルはローンチコントロールがなくなったとはいえ、0-100km/hを3秒台でこなすこのGT-Rのフルスロットルを合法的に楽しめるのは、時間にしておよそ1~2秒…というところでしょうか。


485psを誇る3.8Lツインターボとアテーサが生み出すこの爆発的な加速は、追い越しの時でさえ、強烈なグリップをもつフロント255リア285の20インチタイヤを一瞬空転させトラクションを失わせるほど。アクセルやブレーキを踏まずに、ただアクセルを抜いただけで、それまでの強烈な加速Gが途切れて首がつんのめる車は、このGT-Rが初めてです。

パワーフィールについては、3500回転から強烈に…というところまでしか感覚的に追いつけず。1速ではレッドまでなんとかブン回してみたもののメーターの動きに目が追いつかず、2速ではその強烈な加速感に先に人間の性能が追いつかなくなりそうになり、5000回転そこそこがやっと。当然この加速に対応する旋回性能や制動性能をこの一般道の短時間で試せるはずがなく、自分のような素人がどう頑張ってみたところでひたすらオン・ザ・レール。しかしながら、決して全開で走らずとも…ゆっくり流している状態でも積極的にワクワクできる、いわゆる「低速官能」をこのGT-Rがキチンと兼ね揃えている事は実感できました。

とにかく常に冷静さを持とうと思いつつ、結局圧倒されっぱなしで終わってしまった15分間。おそらくGT-Rの本来の性能のたった数%、それもたった数秒しか自分の能力では味わえませんでしたが、そのたった数%、数秒は、自分の中でこのR35GT-Rがいかに凄いのか…それをまざまざと記憶に刻まれるだけのインパクトを感じるには十分でした。試乗後日産の方に、「いい音出して踏んでられましたね」と笑顔で話しかけられ、それに対して心の底から同じように満面の笑みで答えた自分。



このような時代の中でこんな「スーパーカー」を作った事だけでも、全ての面において評価に値するでしょう。個人的には好き嫌いという次元を超えて、とにかくまず存在することだけで愛でたい1台。このGT-Rというクルマは、日本人が世界に対して誇りを持てる1台。そのようなクルマがまさに今存在している事実を、とても喜ばしく思えます。

Posted at 2010/10/09 11:10:44 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日産 | 日記

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「明日は恒例のメディア対抗ロードスター4時間耐久レース。今年も64号車の監督やります。前日準備は洗車機の中のような豪雨。さて明日は??(^_^;)」
何シテル?   08/31 19:12
幼い頃から、車が大好きでした。 その気持ち変わらず、今も純粋に、自分なりに日々世の中に新しく生まれるクルマ、そのクルマを取り巻く事情や環境、ドライビン...
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