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九郎田一馬のブログ一覧

2011年09月19日 イイね!

【試乗記】日産ジューク15RX

【試乗記】日産ジューク15RXさて、今回試乗レビューをお届けするのは、日産のジューク。デビューして1年以上が経過していますが、改めて今回たっぷり乗る機会を設ける事ができたので、レポートしたいと思います。




まずこのクルマを語るには、とにかくそのデザインから始めなければいけないでしょう。とにかく変な?奇抜な?強烈な?そのルックス。好き嫌いは別として、明らかに最近の国産車では有り得ないほどのその見た目の個性の強さ。けども、それが故に印象に残るのかもしれませんが、街中でやたらよく見かけるような気がする…?それもあながち間違いではなく、登場後順調にセールスを重ねているようです。反面、そういえば、同時期に登場し、性能も上、車格も上なのに価格はほとんど同じ…な三菱のRVRは、ほとんど見かけません。

良くも悪くも好き嫌いがはっきり分かれるジュークですが、その個性の強さが想像以上に受け入れられた印象。特によく思うのが、意外と年齢層が高いユーザーを多く見かけること。派手な色のジュークを、おじさんおばさんが運転という…実際購入者の年齢層も、20代から60代付近まで、見事に幅広い分布なのだとか。最近流行りの絞り込みマーケティングで、開発ターゲットユーザーを”30歳独身のイギリス人男性 ウィリアム。”という超ピンポイントに絞り込んで開発が進められたジュークが日本でこういう結果に…つくづくクルマの個性とマーケティングの奥深さを感じます。

加えて、例えば上を見れば、ムラーノであったり、エクストレイルであったり、デュアリスであったり、根強い人気を集めているSUVの兄貴分もあり、それらのコンパクト版…というデザインスタンスで登場させれば、ある程度は確実に…なのですが、その人気にあやかる事なく、さらにチャレンジをしてくるあたり、今の日産のデザイン部門の勢いを感じさせてくれると言えるでしょう。



フロントフェイスは、まるで「顔」。眉毛部分がポジションとウィンカー、グリル内蔵の目玉部分がヘッドライト。あまり目につかない下回りの樹脂部分もしっかりデザインされており、スキを見せません。左ドアミラー下部分に装着されている2面ミラーのおかげで、補助ミラーが装着されないのも○。リアビューはZ風のテールランプをボディラインに上手く溶け込ませているあたり、その造形とプレス、生産技術に関しては見事。ただ、実際にブレーキとウィンカーが点灯するのは下部分だけで、Zのように光らずダミー部分が多いのは価格を考えれば仕方ないところか…LEDでも埋め込めば、夜での後続車へのアピールもアップしそうです。



さて、奥歯に物が挟まったような物言いになりましたが、はっきり言って出た当初からこのジューク、僕自身は受け入れられない側の人間でした(苦笑)。しかしながら今回乗ってみて…印象は一変。そのあたりを、順に追ってレポートしていきます。



ドアを開けてシートに座ります。車高は1565mmと立体駐車場アウト(アーバンセレクションは-15mmで適応可能)な微妙の高さではありますが、乗り降りのし易さで言うとこれが絶妙の値。このあたりもシニアユーザーの受けがいいポイントかもしれません。

シートはたっぷりとしたサイズで、ホールド性もなかなかのもの。目の前には視認性と質感に優れる大径メーターと、これまたZを思わせるグリップの太いスポーティなステアリング。テレスコ調整が欲しいところですが、比較的満足できるポジションを取る事ができました。先ほどのフロントフェイスの「眉毛」部分がドラポジ状態から見える事もあり、見切りは良好。これは意外な事だったのですが、これだけデザインコンシャスなクルマなのに、全方位視界に関して大きな犠牲になっている部分がないのはお見事なポイントです。

また、シートリフターの調整量がかなり大きめで、少しアップライト気味にすれば視界もさらに良くなり運転し易いポジション、逆に思いっきり下げると足を投げ出し周りに包み込まれるような、そんなスポーティな印象を抱かる…といったように、シート調整ドラポジ次第でかなり違った雰囲気を味わわせてくれる、これは新型エルグランドにも共通したポイント。アイポイント自体は高いのに、その印象を極端に抱かせないドラポジが取れる…というのは、高速移動時などに強い味方になってくれました。



さて、インテリア上でジューク最大の見せ場となるのが、バイクを思わせる派手なセンターコンソール…なのですが、テスト車は地味なシルバー塗装で、あまり大きなインパクトはなし。もちろんこちらの方が落ち着いてて良いという人もいるでしょうが、目立ちたい人ならやはり赤をチョイスする事をお勧めします。カップホルダーに加えて、前方には横長の平べったい滑り止めゴムが配された収納スペース…これは最近流行りのスマートフォン置きにバッチリの位置。さすが、よく考えられています。





もう1つの大きな見せ場が、インパネ上に配置された「インテリジェントコントロールディスプレイ」。普段はこのようにエアコンモードにしておきボタンを操作。で、ちょっと走りのモードを切り替えたいなぁー…と思ったなら、右側のドライブモードもポチっ。そうすると…




なんと、先ほどのボタン配置はそのまま、ボタンの操作内容自体がそのまま瞬時に入れ替わってしまうというカラクリ。そのボタンの操作や見た目の質感を含めて、いやーお見事。これは本当によく出来ています。キレイな液晶ディスプレイは単体では見やすく、エアコンやアクセル操作に伴って色々と変化してくれるのも実に楽しい。

…が、最大の欠点。それはこの装着位置自体。特等席はナビに占領されてしまっており、この低い位置では完全に視野を移動させる必要があって、運転中全く視界に入らないというのが実にもったいない。発想自体は大変いいのですが…これでは完全に宝の持ち腐れ。その事を気にさえしなければ、ドラポジ状態からハザードスイッチを含め、シートから肩を外さずに全てのボタンが手が届く範囲で操作できるというこのあたりの空間設計は非常によく出来ています。それだけに…ナビの位置を含めて、もうワンプッシュ挑戦してほしかった。

もう1つ、派手な内装の雰囲気の中で、唯一シフトノブ周辺だけがデザインに置いてけぼりを喰らった印象。1.5Lで価格を考えるとまぁ贅沢なお話かもしれませんが…1.6ターボ仕様だとマニュアルモード仕様となるので、少し華やかさは出るでしょうか。



アルファ風のピラー内蔵型ドアノブを操作してリアシートへ。さすがに開口部は狭く、乗員性はちょっと犠牲になっている部分。しかしいったん乗りこんでしまえば、見た目の印象よりも全然狭くない…むしろ十二分なスペースがそこには広がっています。グラスエリアの関係で閉鎖感は少しあるものの、頭上空間は適度に取られており、ひざ前スペース自体は結構厳しいのですが、足元付近の余裕と前席下への足入れ性が非常に良いので、座っていると不思議と狭さを感じさせません。前席を含め、しっかりパッケージングを煮詰めたなという印象がとても伝わってきます。



ラゲッジスペースはフラットなのですが、開口部自体が高く荷物の出し入れは大変。また奥行き自体はかなりあるのですが、いかんせんDピラーは思いっきり寝かされているので、ここはハッキリと犠牲になっている部分。これに不満のある人はもう1サイズ大きいデュアリス買ってください、という割り切りでしょう。ノートのラゲッジを見て全然狭くない、と思う方なら不満はないかと思います。

テスト車両は15RX。1.5Lの上級モデル。ターボモデルと共通デザインとなる17インチタイアとアルミはオプションで、ベースは写真の16インチ。銘柄は完全サマータイアのヨコハマのdbなのは16・17インチとも同一。走りのバランスは別として、迫力満点のフェンダーに合わせるには、19インチくらいを履かせてやりたいところ(笑)ですが、開発者の方からすると、この205/60R16サイズがジュークのベストマッチングなのだとか。



では早速走りだしてみましょう。エンジンスタートともにキューブなどと同じメーターアクションを確認して、ちょっと普通過ぎて面白みのないシフトを握りDレンジをチョイス。エンジンはこのクラスの日産車ではお馴染み1.5LのHR15DE。ただ内部には大幅に改良が加えられており、ツインプラグならぬデュアルインジェクター、1シリンダーに2本のインジェクターを用意するという贅沢な(ちなみに世界初)仕様、しかも吸気側に加え排気側にも可変バルタイが組み込まれ、114ps/15.3kgmへパワーアップと燃費改善の両立を実現。これに組み合わされるのは、すっかりお馴染みとなったジャトコ製の副変速機CVT。



この組み合わせは本当に良く煮詰められており、日産の1.5L級パワートレーンはこれで完全完成形になった、と言いきってもいいくらい、そのくらいバッチリの完成度の高さを見せてくれました。ジュークは車重が1170kgとノートやキューブなどと比べ少し重めながら、それらを全く気にさせない必要十分なパワフルさ。街中で走る際の低~中回転域のトルクもたっぷりとしていてかったるい印象は全くなく、上まで回してもパワーの伸びが感じられます。またサウンド的にもすっきりしており、フィーリングも好印象。120km/h付近を超え始めるとさすがに1.5Lの排気量を感じさせられますが、日常域では4名乗車でもほとんど不満はないはず。街乗り+高速+ワインディング、元気良く走って14km/L台に乗ったのも立派。

さらに言えば、CVTの出来もいい意味でそれに拍車をかけます。以前スイフトでお伝えしたようなローからハイへと移行する際のトルク抜けはやはりジュークでも若干確認できますが、1.5Lの余裕さもあり個人的には無視できるレベル。速度が上がっていってからのアクセルに対する反応のリニアリティは他のCVT搭載車と比べても現時点ではベストな出来。右足の操作次第で加速時のエンジン回転を任意でコントロールできる感覚は、回転の上がりと速度が一致しない…なんて古臭いCVT車からは一線を課す仕上がりとなっています。

ちなみに、先ほどの「インテリジェントコントロールディスプレイ」で「エコモード」と「パワーモード」を選択する事が可能ですが、エコモードはかったるすぎて危険なモード燃費追求仕様、パワーモードは少しだけ反応はよくなるものの大きな違いは起きず、95%は終始ノーマルモードで走る事となりました。これで十分、これが一番、です。



もちろん、モアパワー!というのであれば自慢の1.6L直噴ターボモデルもありますし、4WDが選べるのもターボだけ。しかも4駆はトルクベクトル式4WDでリアサスはマルチリンクになるという贅沢っぷり。ただ、6速マニュアルモードが付くメリットはあるものの、ターボモデルのCVTは副変速機「なし」である事に要注意。まだ未試乗なのでなんとも言えませんが、決して小さくない価格差を考えても、このジュークのベストバイはFFの1.5Lモデルのようが気がします。


それをさらに強めたのが、フットワークの良さ。実は今回ジュークに乗って一番びっくりしたのがここ。クロスオーバーSUVかな?っと思っていましたが、なるほどこれなら、姿形が少し変わった、イマドキのホットハッチなのかもしれない…と言われても納得してしまいそうな、そんなハンドリングの良さを見せてくれました。やたらライバルとしてMINIやシトロエンの名前が出てくるわけです。

具体的に言うと、まず驚くのがロール剛性の高さ。この目線この車高の高さなのに、コーナーにかなりいいスピードで侵入していっても、とにかくロールしない。決してステア操作に対するクルマの動きは、MINIのように分かりやすいクイックさがあるわけでもなく、むしろ比較的落ち着いた挙動なのですが、まぁロールしない。Bプラでもやればここまで出来るのか!と、驚嘆に近いものを感じました。足をガチガチに固めているわけでも、サスストロークを狭めているわけでもないのに、とにかくハンドリングが軽快。アンダーも少なく、むしろリアを上手く滑らせながら曲がっていくFFホットハッチのようなセッティング。ステアリングフィールに関しても、電動パワステの出来はこのクラスの国産車で考えるとトップレベルのナチュラルさを持っており、重くも軽くもないちょうどいい操舵力で終始違和感を抱かせないチューニングになっています。

もちろん、ある程度まで攻め込んでいくと、最後の最後の部分でタイアのグリップに頼り切ってしまうような突っ張った動きに終始してしまいますが、そこはまぁちょっと非日常域でありますし致し方ないところ。これだけよく動くのにVDCがオプションでも装着できないというのは少し難アリですが、リアの動き出しは比較的早めにくるものの、そこからのコントロール性と収まり方、クルマ全体の挙動のまとめ方は、このボディサイズでこのサス形式でこの車高の高さで考えると、そして最後に価格を考えると、かつての走りの日産のプライドを久々に感じさせてくれる実用車、と思えます。



この答えとして、エンジンと同じく実際かなりの部分で改良は加えられており、トーションビームサスのリア周辺も、実はセレナ用のパーツなどを多く用いており、剛性の確保などにはかなりの部分でキチンと対応されているそうです。しかしやはり16インチがベストマッチングというのもあながち嘘ではなさそう。と言うのも、乗り心地自体これほどロール剛性が高いにも関わらず決して悪くなく、ハーシュネスの遮断も見事なのですが、全域…動き出しから高速域にかけて、どの速度域でも、大きな入力時はいいものの、小さい路面の荒れた部分やアンジュレーションに対してクルマの落ち着き不足、乗り心地は悪くないんだけども、常にスィートスポットにハマらないドタバタ感が終始していた点が少しウィークポイント。バネレート自体はさほどでもないので、これはおそらく小さな入力での動きが渋いダンパーの減衰による問題か。

エクストレイルやディアリスのようにザックス製でも使えば劇的に良くなる…のでしょうが、これも価格を考えれば贅沢な文句かもしれません。55扁平17インチではどうなるのか、ちょっと気になる部分です。加えて、鉄っちんなら見えませんが、見た目がリアがドラムでアルミホイールだとダサい…という問題も含めて、ブレーキにはもう少しストッピングパワーの余裕とカチッとしたフィーリングが欲しいところ。

それと少し関連してますが、VDCに関しての問題ですが、登場時にオプションでも未設定ということで、クルマ好きやメディア関連からはかなり口酸っぱく野次られたのが記憶に新しいところですが、日産としては価格をできるだけ抑えたかった事、加えて同価格帯になるキューブのVDC装着率が1%に留まる事、を考慮した結果なのかもしれません。実際この上級モデルの15RXで180万円切り、15RSタイプVなら約162万円と、この見た目でこの質感でこの走り、ユーザーの心をくすぐる実に上手い商品設定と言えるでしょう。もちろんそれと同時に、開発の人たちがここまで走りに関してはしっかり頑張ってくれているんだから、VDC含めての価格設定で戦略立てろよ!とも言えますが。これはいずれ1.5LモデルでもVDCが標準装着され、その際にリアブレーキもグレードアップ…することを期待しておきましょう。

個人的にはもちろん、トルクベクトル4駆+1.6L直噴ターボの16GTFOURが気になるところですが、こちらの価格は245万円超と一気に60万円近い値上げ。また、これくらいの価格帯になると、ライバルたちも違ってきますし、また200万円切りなら満足!なインテリアの質感なども、250万円クラスと考えるとちょっと…と、思えてくる部分もあったり。加えて、純正17インチアルミをオプションで装着してしまえば、そのホイールデザインを含めて外見に全く違いがない、というもの難アリ。事実、売り上げ比率を見ると、ターボモデルはFF・4WD合わせてもごくわずか。ほとんどが1.5L。しかも、お買い得な特別仕様車のタイプVや、15mmローダウン(なんとスプリングカットで実現!)で立体駐車場対応としたアーバンセレクションなど、日産も売り上げに見合った売り方をしてきているのが分かります。実際に乗ってみて、おすすめも当然こちらのほう。



いやーしかし、最初は見た目だけのクルマ、しかもその見た目自体が全然好きじゃない(笑)ということで期待していなかったのですが、いやいや予想に反してヒットしてる理由は見た目だけにあらず!ということを痛感。やっぱ、クルマは見て触れてそして乗って、最後に評価を下さなければいけませんね。このジュークの出来を見ていると、マーチで大きく裏切られた部分は、次期ノートの完成度でかなり埋め合わされるかも…ちょっと今から楽しみになってきました。


それはそうと、日産さん、ターボ売れてないんでしょ?次は1.5LモデルにVDC付けるのと同時に、FFでもいいのでリアがマルチリンクじゃなくてもいいので、1.6L直噴ターボ+6速MT、そんなジューク16GTSR、価格210万円、なんての、出しませんか?スイフトスポーツくらいやっつけられますよ?個人的に、本当に欲しくなっちゃいますよ?笑
Posted at 2011/09/19 16:36:41 | コメント(5) | トラックバック(0) | 日産 | 日記
2011年05月15日 イイね!

New!試乗記 ~フェアレディZ34versionT~

New!試乗記 ~フェアレディZ34versionT~こんばんわ。

ちょうど昨日土曜日、富士スピードウェイにて、自動車雑誌「ザッカー」さん主催の、レクサスIS・CTの乗り比べ試乗会があり、参加する…「はず」でした。はず…

そう、まさかの面接被りしてしまい、せっかく山本編集次長さんを始めとする編集部の方からも案内があったのですが、泣く泣く辞退する事に…(涙

車好きとしてはなんともそそられるお話でしたが、そこは面接優先ということで…その面接は無事に終える事ができました。明日は朝から新幹線に飛び乗り、東京です。



さて、そんなこんなで、今回試乗記をお届けするのはコレ。



フェアレディZ34。久々のスポーツカー試乗記です。

現行Zに乗ったのは、これで2度目。初めて乗ったのは一昨年の東京モーターショウにて、デビューしたばかりのロードスターに乗ったのが初めてでした。この時気持ちいいオープンエアに酔いしれて、一発で惚れてしまって(笑)、その後もずっと気になる存在でした。



そして今回、7速ATのクーペをたっぷりと500km。幸運にもこの貴婦人と丸1日過ごす事ができました。ちなみに試乗は震災前、真冬の、しかも雨というコンディションでした。



ボディ拡大化が常という中、ホイールベースを100mmも短縮させるというダウンサイジングで登場した現行Z34。個人的には先代Z33のデザインもかなり好きですが、新型はさらにギュッと詰まった筋肉質なフォルムが特徴的。特にリアフェンダーのボリュームは外から眺める時はもちろんの事、運転中もドアミラーからチラリと主張してきて、所有感をくすぐります。こんな感覚は911だけ…かと思いましたが、今ではCR-Zでも同じような感覚が味わえます(笑)。GTマシンを彷彿とさせるカッコいいリアフォグは標準装備。もっとも、悪天候時以外の点灯はご法度です。



冷蔵庫みたいなドアノブがちょっと気になりつつ、室内へ。インテリアの質感に関してはZ33で散々叩かれ細かな改良を受けただけに、Z34は出始め当初からかなりの仕上がり。ソフトパッドの面積も増え、各スイッチ類のタッチも格段に向上。ただし見た目的には、ややフォーマルな印象が強いかな?そんな気も少しします。贅沢な悩みではありますが。



Z伝統の3連メーターがスポーティさを強く主張。ステアリングは微妙に形が変わっている変型タイプ。グリップの太さと革のステッチも、Z33より随分と良くなりました。そこから除くのはセンターにタコ配置のメーター。ポイント表示の燃料・水温表示のカッコよさにもしびれます。

さて、エンジンスイッチを押して始動。ブルンと獰猛なエキゾーストが車内に響きます。すっかりお馴染みとなったVQHRの3.7L。同じエンジンを搭載するスカイラインやフーガなどではこの音質がどーも高級車らしい佇まいに欠ける印象が拭えませんでしたが、なるほどZなら雰囲気として○。



Dレンジを選んで、走り始めます。さすがに3.7L、337psの迫力はダテではなく、走りのポテンシャル的には十二分にスポーツカー級。むしろエントリーモデルとして2.5Lがあれば…なんて妄想もずっとしていますが、結局叶わないのでしょう。一方フィーリングに関しては、一応レッドラインは7500で、昔のVQから比べれば本当にスムーズに回るようになりました。ただやはり上までぶん回して楽しむ性格ではなく、4000~5000あたりをキープしながら、分厚いトルクを味わいつつジェントルに乗るのがZらしい楽しみ方なのでしょう。サウンドは個人的には好きなんですが、吹けがスムーズなもののどこか重ったるく感じてしまうのがそう感じさせるのかもしれません。

驚かされたのは、ジャトコ製7速ATの出来の良さ。2、3、4速がクロスレシオなのはもちろんの事、それによってさらにシンクロレブコントロールの気持ち良さを味わえる事になり、シフトダウンをするたびに「グォォン!グォォン!」と獰猛なサウンドを響かせる…あぁー快感。このトルコンATの出来なら、街乗り+αの領域では、DCTの必要性を感じません。



MTでもシンクロレブがついて、ヒール&トゥなしでも気持ちいいシフトダウンができますが、肝心のシフトフィールがゴリゴリとしており気分が阻害。その点、ATはステアリングポスト固定式のマグネシウム&革コンビのパドルシフトの質感は◎。ロードスターならATかな…と思ってましたが、これならスポーティさ優先でATを選ぶ、なんて事だって有り得そうです。

ステアリングはずっしりと重く、切り始めからその反応はリニアそのもの。こういう部分では油圧パワステのナチュラルなフィーリングを実感。ステアレシオは十分にクイックでありつつ、高速クルージング時にはどっしりとした落ち着きがあります。ホイールベース短縮による影響がどこか出るかな…?と思っていましたが、少なくとも18インチサイズでは直進安定性の乱れや、荒れた路面でのワンダリングなどもなし。ブレーキも上級の「曙」仕様でなくとも、この標準仕様でもカチッとした剛性感のあるフィーリングを味わう事ができました。



むしろ、ワインディングへステージを移すと、この「リアタイアの近さ」というメリットが、FRらしいドライビングを楽しむには好都合に。今回は外気温が10度に届かない冬の雨というコンディションで、2速の立ち上がりなどではさすがに245幅のリアタイアも耐えられず、VDCが頻繁に介入してきましたが、その時のリアのピクッとした反応が、お尻からすぐに感じ取れるインフォメーション性の良さ。テスト車両がファルケンのショボい銘柄を履いていたのが少し残念でしたが…。

また、こんな寒い中なのに、ちょっとペースを上げて攻め込んでいくと、油温が110度超え。停車すると、ボンネットから湯気が…。ボンネットの中はもう目一杯ギュウギュウという感じで、熱の逃げに関しては結構厳しそう。冬のワインディングレベルでこれですから、夏場にちょっと激しく走ろうものなら…北米仕様ではオイルクーラーが標準ですが、日本仕様はなぜか設定なし。アフターマーケット品が充実しているのも頷けます。






いやーしかし、やはりFR2シータースポーツは、楽しい(笑)。このZがスポーツカーなのかGTカーなのか、という議論は色々あるかもしれませんが…2人しか乗れず、燃費もどーにか7km/L台…エコとは無縁な1台ではありますが、このご時世の中で、こんな1台が存在してくれる事、いやー嬉しいじゃないですか。

惜しむべきは、3.7Lで400万円クラスのプライス…性能、質感、それらはZ33から飛躍的に向上しましたが、それに伴って価格もグッと上がりました。それなりに落ち着いたおじさん世代が、再び貴婦人と…なんて所有の仕方が理想なのでしょうが、貧乏大学生だってよだれは出る一方(笑)

最初に書きましたが、せめて2.5Lモデルを、300万円切りで出してくれれば…なんて妄想をして、試乗記を終わりにしたいと思います。


Posted at 2011/05/15 22:26:41 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日産 | 日記
2011年02月19日 イイね!

New!試乗記 日産リーフ(LEAF)徹底インプレッション その2

New!試乗記 日産リーフ(LEAF)徹底インプレッション その2さて、前回のリーフの試乗記の続きです。

その1はこちらから。







さて、リーフの走りはいったいどうなのか…エンジンをかけて、ではなく、左側のボタンを押してシステムを起動させ、走り出します。

まず気付くのが、クルマ自体の静粛性の高さ。もちろん無音という前提で、エンジン音がしないがために、ガソリン車では全く意識しない他の音が気になる…というEV独特の不満点、これが少なく感じられました。さすがこのあたりはアイミーヴと比べると「軽自動車と普通車の違い」を実感。アイミーヴも静かですが、リーフはそれにも増してさらに静寂、ロードノイズや風切り音なども目立ちにくい印象。

ちなみに、昨今話題になった「静かすぎる」問題で、プリウスはまるで亡霊のようなセンスのないアラームを歩行者対策で用意していましたが、このリーフはインバーターの音を拾いスピーカーで拡張されるので、全く違和感はなし。また歩行者の立場だとはっきり聞こえますが、運転している分ではほとんどこの「あえて出している」音は気付きません。ちなみに前進時だけでなく、バックする際にもトラックの如くアラーム音が車外に発せられます。これは事故防止の1つとして重要な装備と言えるでしょう。

動力性能に関しては、普通に走る限りはもう必要十分以上。ゼロ発進からの加速は間髪入れず俊敏に、高速本線への合流もストレスいらず、最高速はメーター上で150ちょいまで確認できました(爆)。ただアイミーヴから比べれば、グッと後ろにひっぱられるような加速Gの強烈さはなく、あえてフツー感を強調したのかな?と感じさせるセッティング。ECOモードだとちょっとかったるさがあるなぁ…と思うのも、むしろDレンジいらないだろ…と思ったアイミーヴとは違います。そもそも、ECOモードで走っていても、信号待ちで停車時にNやPにして、再び発進…となると勝手にDレンジに戻ってしまうという不可解な設定(苦笑)。というわけで色々試した後は、Dレンジ固定で走っていました。

また、アイミーヴはどのポジションでも少なからず、リーフの場合でもECOモードでは、アクセルを閉じた時に回生分の減速を感じるのですが、Dだとこれがほとんど回生減速を感じず、ほぼN状態でさーっと慣性で転がっていくような、「滑走」状態を味わう事ができました。いわゆる「充電」はできませんが、一般的な使い方で航続距離を延ばすには、このパターンもアリなのでは?と思ったり。プリウスでも低燃費を叩き出す為にはこういった領域をいかに作り出すか、というのが重要なポイントの1つになってきますしね。



さて、EVという観点に絞り過ぎず、フラットにクルマとしての評価はどうか。まず動き出しから感じるのはステアフィールの透き通った印象。あえてこう表現するのは、いわゆる欧州車のようなインフォメーション性あふれる手応えのあるステアフィール…ではないということ。そういう観点の評価だとはっきり言って物足りないのかもしれませんが、個人的には嫌なフリクションやキックバックもなく、好みで言えばもう少し重めのセッティングでもよかったような気がしますが、かなり軽めでスムーズな操舵感を与えてくれるこの緩い速度域での滑らかさを重視したセットアップは、これはこれであり。「がっしり」というよりも「すっきり」といった感じでしょうか。

そしてそれ以上に滑らかさを感じさせてくれるのが、乗り心地。もう頭から結論を言ってしまいますが、今回リーフに乗って最も気に入ったのは、この項目。「1520kg」と見た目よりかなり重めな車重も影響しているのでしょうが、前ストラット後トーションビーム、というありきたりな特にこだわりもないこのサスペンション形式で、これだけと滑るように走る滑らかさとしっとりとした高級感を生み出せるとは、ちょっと驚きのレベル。この感じは、現行フーガ…しかも標準仕様との比較なら完全にリーフの勝ち、オプションの「コンフォートサスペンション」仕様で良い勝負かな…と、ちょっと褒めすぎかもしれませんが(笑)、何せこの街乗り領域での乗り心地の良さには驚きました。



205/55R16というそこそこ結構立派なサイズの、しかも銘柄はBSエコピアというエコタイアど真ん中のタイアで空気圧指定も高め、という「乗り心地視点」での足元のハンディを抱えながら…と思うと、その印象はさらに強くなります。

おそらく、サスの設定自体がかなりソフトなセッティングになっているのも影響しているのでしょう。バネレートもダンパーも、相当に柔らか目な設定のはず。けどもボディ剛性は高く、普通に走っている限りではダンピング性やハーシュネスもキチンと管理されていて好印象。これも、ハイペースでの高速巡航…などの項目が重要視されない、EVならではの利点でしょうか。

けどもそれだけ乗り心地を優先したソフトな足をもちながら、操縦性…これが悪くない、というよりもむしろ良いんですよねぇ。床下に敷き詰められたバッテリーによる重心の低さ、また車体中央に重量物が集まっている事による慣性モーメントの少なさ…これらのEVだからこそできるウエイトバランスのおかげで、柔らかい足でもロールは全然感じられず、スタビリティの高さと旋回性能のバランスもなかなか。前途したような「緩さ重視のセットアップ」のため、決して機敏でスポーティ…というわけではありませんが、結構なペースで追い込んでみても、破綻を見せることなく、さらりとこなしてしまいます。



そして地味ながら「凄いなぁ」と思ったのが、普通に走っている限り、これがすごくFFっぽい。「バーカ、何当たり前な事言ってんだ!?」と思われるかもしれません。もちろんフロント駆動ではあるのですが、これだけ重量物の配置やバランスが異なっていながら、ノーズに重さを感じてフロントを軸にして旋回していくFFみたいな感覚…。

これって、当たり前のようで、実はこういった感覚は、あえて狙わないとなかなか出せないものなのでは。実際ボンネットを開けると、まるでエンジンのようにインバーターがデデンと構えていますが…。例えば普通の人がティーダから乗り替えても、「表面上」はなんら違和感なくスッと走れる、これが開発陣の方々の狙いなのかも…?機会があれば確認してみたいです。このあたり、あくまで普通さにこだわるリーフ。セッティング次第では、もっと面白い走りのテイストを生むような方向を目指す事だってできないわけではなかったはず。このあたりに、アイミーヴとの開発思想の違いが読み取れます。もっともあちらは、ベースのアイ自体が異質な存在ですが…。

そんなリーフの唯一「普通」とは違い、またクルマ好きとしてもどーしても納得し難かったのは、ブレーキのフィーリング。これは回生するがための弊害だったのでしょうが、このフィーリングには参りました。

具体的には、まずとにかく踏力に対してペダルの動きが固い。全体のストロークが短い。コントロール幅が少ない事で調整が難しい、そして何より石を踏んでいるようなチープかつ頼りないそのフィーリング。そのため、ややブレーキアシストが過剰気味に介入してくるのも気になります。車重に対する、絶対的な制動力のキャパシティ自体に不満は全くありません。なにせオカマ掘られるくらいに効きは十分(苦笑)。

しばらく乗っていると、コントロール自体の癖には次第に慣れていくのですが、「ブレーキを踏んでいる」のではなく「ブレーキペダルという物体を踏みつけている」というこの安っぽさは、かなりのネガティブポイント。「違和感」はなくなっても「嫌感」を払拭する事はできませんでした。自然なフィーリングを狙うがためにあえてブレーキ回生を搭載しなかったアイミーヴは、電気自動車としては致命的な弱点なのかもしれませんが、「自動車」であるべく視点から言えば、妥当な判断だったのかもしれません。




さてここからは一気により現実的なEV的な目線へ(笑)。巡航距離のお話です。

今回は日産レンタカーさんのキャンペーンに当選し、クルマを12時間無料でお借りさせて頂く機会に恵まれたのですが、幸いフル充電状態で貸し出しして頂けました。これ、当たり前の事と思いがちですが…違うんです。ちゃんと貸し出し条件の1つとして「80%充電以上」が項目として挙がっているのです。つまりは、フル充電状態になっていなくても、文句は言えないって事なんですね。ご存知の通り、フル充電→空っぽ、という事を繰り返すより、80→30→80→30…と、過度な充電、放出を繰り返さずに容量に余裕をもたせながら使っていくほうが、電池の寿命が伸びる…というのは、携帯電話なんかでも同じ。リーフも、日産としてはフル充電は必要な時だけ、日常的な使い方では80%前後の充電で終わらせる事を推薦しています。

しかしながら、この約20%の違い、限られたEVの巡航距離での中での話となると、結構大きくなってくるんですよね。一応リーフはカタログスペック上ではフル充電200km走行可能、と言っていますが、まぁこれは当然無理なお話。実用上で考えると、一番条件がいい状態で150kmほど。例えばかったるいエコモードでなくDモードならそれより減り、また気温が低ければさらに減り、そして加えてエアコンを使おうものならさらに減り……今回条件的に一番EVとしては最悪な時期だったのですが、上記の条件に全て当てはめるのを日常的な使い方とし、またそれが充電80%状態だとしたら…精神的にゆとりを持って走る事のできる距離は、まぁ約100kmと考えておいたほうが良さそうです。カタログスペック詐欺はガソリン車の燃費でも同じ事が言えますが、まぁ比較的どこでも、気軽に、素早く給油できるガソリン車と、まだまだインフラ整備が充実しているとはとても言い難いEVとで、このカタログ数値の信憑性を同列に語るのはまだまだ時期早々であり、また世間的な流布という意味でも、安易に行うわけにはいきません。

(そんな中、日産レンタカーの公式Twitterでは、「東京の皆さん。リーフに乗って箱根の温泉に行きませんか!」なんて、さも充電なしで東京箱根間をラクラク往復できると誤解しかねない、知識ゼロな素人丸出しのバカな発言がされており、それにまんまと勘違いするユーザーさんがいないかどうかヒヤヒヤ…変に風呂敷を広げて、後でイメージ的なしっぺ返しを食らっては、それこそEV普及の足を引っ張りかねませんしね。)



しかし、そういった不安点をしっかりとカバーしようとする対策…これこそが日産の本気の表れ。日産ディーラーほぼ全てに200Vの充電器、一部には急速充電器を配備。また一番これは良い!と思ったのは、日産の純正カーナビ。これは近くの充電施設の検索ができたり、あらかじめ充電中に暖房の設定ができたり、まぁとにかくリーフにはこのナビは必須!というくらいに重宝するもの。事実、この機能を搭載した日産のアフター品のナビを、アイミーヴが装着する例が増えているそう。レンタカーでアイミーヴに乗ったら、ナビの起動画面に日産のCIマークが…なんて事も、最近多いんだとか…


さて、そんな事を書きつつ、リーフの充電作業のお話へ。ちなみにこの時は50kmほど走って、12セグメント中5セグメントを消費。真冬ながら暖房OFFでこの数値。とは言っても、結構踏んじゃってるところもあるのでその分相殺か。ちなみにガソリン車と違い、EVは基本ギアがなくファイナルが同一なので、速度が上がれば上がるほど、それに同調してモーター回転数もアップ。つまりは高速域になればなるほど「電費」効率的には不利、ということになります。

最初は寒かった暖房OFFも、天気が良くて陽が差していれば、それほど厳しくはありません。ただ極寒地であったり、そうでないところも夜になると、さすがに冷えが…。寒冷地仕様のオプションで、ステアリングヒーターが用意されていますが、これ、ドライバーには非常に便利そう。シートヒーターなどで上手く電力消費を抑えて冬場は乗り切りたいところです。また、さすがに窓の曇りに関してはガマンできるようなものでもなく、ここはエアコンの力を一時的に借りる事となりました。乗員人数が多ければ、窓の曇りというのも1つ問題でしょう。



さて充電…と思いきや、なんと画像のような状態で、リーフとアイミーヴのまさかの充電待ち(笑)。なんか未来の風景だなぁ…とその時は感慨に浸っていましたが、これ、今後は頻繁に目撃するような光景になってくるかもしれません。ガソリン車と違い、最低でも1台10分以上は待つ…つまりは数台入れば、すぐ1時間オーバー。これはいずれ大きな問題になるに違いないでしょう。「あくまで急速充電は非常用」とのことですが、実際普及し始めた時、どこまでその「言い分」が通用するのか。基本は家庭での200V充電、という徹底が難しいのであれば、急速充電器などのインフラ整備は今後急務と言えそうです。



さて、待って待って、いよいよ充電。フロントの蓋をパカっと開き、ここのノズルを挿して充電。その時の姿は、なにか水を浴びるならに電気を吸う小象のよう。笑 充電中は、ダッシュボード上のブルーのインジケーターが点滅して、充電状態を知らせてくれます。


しかしここでまた問題が。画像のように、急速充電器は、駐車スペースに対して並行して設置されているケースが珍しくありません。アイミーヴのように通常の給油タンクの位置にプラグがあればいいのですが、リーフのようにフロントから充電するとなると、意外にそのコードの長さの関係から、写真にある「DQN駐車」のような状態を強いられてしまうのです。今回はガラっガラの駐車場だったのでまぁよしとしても、これ結構大きな問題になるかもしれません。ちなみに、家庭用200Vの充電もここから。この場所ってよく目立つのですが、案外実用的に考えると不便だったりします。まぁアイミーヴはMRレイアウトだからこそ、あの位置でOKだったのですが…今後のFFをベースとしたEVが、どう対策していくのか。初歩的な問題ですが、ちょっとこれは今後の課題かもしれません。



そしてもう1つ、これも今回初めて気付いた部分。急速充電器の謳い文句は「30分で約80%状態まで充電可能」というもの。今回は半分ちょっとまだ残っているので、まぁ15分もすりゃ充電できるかな…っと思ってスタート。ところが、結果12セグ中10セグまで充電するのに、なんと約25分も費やす結果に。おそらくほぼ空の状態で充電したのなら、さらに長く…4~50分くらいかかったかもしれません。

な、なぜ!?どうやらこれ、その機器によって、またEV本体だけでなく充電器も、気温による影響を受けるのかもしれない…そんな仮説が自分の中で立つことに。急速充電器なら30分でほぼフル充電、この前提にまず疑いをもったほうがいい…今回いくつか充電施設を回った上での答え。これは、昨年夏にアイミーヴに乗った際には感じなかった事でした。

さて、色々長々ダラダラ書いてしまいました。総論では、見た目はやはり理解不能。パッケージングにはもう一工夫欲しい。クルマの静的質感は~150万円クラス。インパネとメーターは高級感アリ。走りはEVの特性を生かしつつ、できるだけフツーにフツーに。けどその落とし所が、普通の人が違和感なく乗れ、こだわりある人にも単なる「ティーダ」のEVに感じさせない、絶妙な仕上がり。特に乗り心地は抜群。ただブレーキには難あり。航続距離は基本100kmと考えるべし。寒さはガマン、曇りは大敵。急速充電は基本アテにするな。以上、短くまとめるとこんな感じでしょうか。



いろいろ期待と不安が交じりつつ、けど実際は思っていたよりもちゃんとまとまってた…その印象が強いような気がします。もちろん、まだまだクルマとしての基本的な部分で煮詰めるところはたくさんあります。EVだから、といって、贔屓目で甘い採点をするわけにはいきません。しかし現時点でキチンとEVとして商品化できているアイミーヴと、そしてこのリーフ。世界中見渡せば、「リアル」な目線で、今間違いなく一番進んでいると言っていいでしょう。そしてさらに回生システムやナビ協調制御など、そして価格面でも、リーフはアイミーヴに比べて一歩進んだ存在であると言えます。

しかし。まず。根本的に。なぜ、このサイズなのか?
そこに、最終的には疑問が集中してしまいます。その航続距離からして、EVはやはりシティコミューター的役割が現時点ではベスト。このリーフのサイズでは、やはり色々と「上」を求めてしまう…つまりは、チョイ乗り用と割り切るには、大き過ぎるし、高級すぎるし、サイズ感がなんとも微妙なのです。色々考えるならやはりプラグインハイブリッド、またはボルトのようなエクステンダー式EVか。まぁ、アメリカならばこのサイズは必要最低限なのかもしれませんが、何もかもアメリカ基準=世界基準というのは、もう時代錯誤な気がしてなりません。

ここで、以前アップしたアイミーヴの試乗記の締めの文章を再編集したものを掲載して、この今回のリーフの試乗記の締めにしたいと思います。いざリーフに乗って、その実力を味わい理解した上で、以前に下したこの結論は変わる事はありませんでした。これが今自分の思う、本音です。

~~~~~

航続距離が短い事は欠点と言えば欠点ですが、それを今現在のEVの不満点として問う事は、例えばロードスターに積載性能を求めるようなものであって、少しお株違い。もともとそういう事を前提とした上でこのクルマと上手く接する付き合い方をしていくのがEVであり、その点で言えば意識改革を行うのは、我々ユーザーのほうかもしれません。

高価な軽自動車になってしまうという点で言えば、日産のリーフのほうがポテンシャルは高そうではありますが、個人的には先述したように、EVは軽自動車枠のサイズであるからこそ真価が問われると考えます。きっとリーフくらいにボディサイズも居住空間もゆとりがあれば、その分航続距離の短さなどのデメリットがより切実に感じられてしまうと思うのです。その点だけでも個人的には、アイミーヴの圧勝という気持ちでいます。


さて最後に、これからのEV評論について思う事を少し。アイミーヴに乗って感じた事は、まず自動車としての実力の高さがあった上で、初めてEVという価値観の素晴らしさが生まれるということ。よく「エンジンを必要としないEVは、バッテリーさえあれば、様々なベンチャーが自動車業界に参入できるチャンスである」というような報道もなされていますが、今の時代に必要とされる基準をクリアし、さらには自動車としてドライバーに魅力を兼ね揃え、商品的価値としての何かを盛り込む事は、ノウハウのないそんじょそこらの新興企業が成し得る事は並大抵のものではない…ということを、声を大にして言っておきたいと思います。テスラのような形態が増えるのであれば、これからのEV事業はもっともっと面白くなっていくでしょう。

そしてもう1つ。迫りくる海外勢の脅威も忘れてはなりません。今間違いなく世界で1番日本がリードしている分野であり、まだコンセプトカー段階の車を引き合いに出して、すでに市販ベースの日本車をコケ扱いする一部カーメディアの左翼的報道もどうかとは思いますが、ここ数年のスパンで間違いなくそのリードは着実に縮んでくるでしょう。

例えばゴルフEVが市販となり、リーフと比べた時に、EVという点でスタート位置が揃った場合、結局は今現在で言う「ゴルフとティーダ」の比較状況と同じようになってしまうのではないか。もちろん、速度域が低く、航続距離も短いEVに、ドイツ車の過剰性能過剰クオリティに追随しろ、なんて気はさらさらありません。ようはクルマ自体の魅力、テイストの範囲の話。そう考えた時に、果たして日本車はこれからどういう価値基準でクルマの魅力を作っていくのか。例えそれがEVであろうとハイブリッドであろうと燃料電池であろうと、「クルマとしての魅力作り」の歩みを決して放棄してはいけない、という事を最後に主張して、このレポートを終えたいと思います。
Posted at 2011/02/19 22:50:42 | コメント(6) | トラックバック(0) | 日産 | 日記
2011年02月14日 イイね!

New!試乗記 日産リーフ(LEAF)徹底インプレッション その1

New!試乗記 日産リーフ(LEAF)徹底インプレッション その1さて、今回はいよいよ登場した、日産リーフの試乗記をお届けします。

アイミーヴに続き登場したEV…というと、日産側の人が怒るかもしれません。それほどまでに、今回のリーフに対する日産の気合いの入れようは相当なもの。ハイブリッドでトヨタに大幅に遅れをとった理由も、ゴーンさんのEV推しによるものでしょう。もっとも、フーガのハイブリッドは今までトヨタが積み重ねてきたハイブリッドの歴史をぶっ壊してしまうかもしれないほど、複雑かつ合理的で非常に上手くまとまったものですが…





と、話が逸れました。というわけで今からリーフのインプレッションですが、すでにアイミーヴを3度、100km以上乗っており、最新EVの凄さは実感済み。なので、いわゆる「とっても静かでスムーズ、滑らかな走り…」とまずは誰でも驚くそのカルチャーショックは体験しているので、そういったお決まりの印象は横に置いといて、アイミーヴの試乗記の時のように「ちょっと非日常的じゃないの?」という疑念を抱えつつ、自分はあくまで「自動車として見た時どうなのか」という評価基準の軸をブレさせない、ということを前提にレポートを進めていきたいと思います。



テスト車両は、まだ300kmほどしか走っていない、ホワイトパールの「X」。もう1つ上級グレードの「G」がありますが、このXでも基本的な装備に全く過不足はありません。ルーフスポイラーのソーラーパネルやクルーズコントロールが欲しいのなら「G」ですが、賢いユーザーはほとんどがXを選択するかと思います。





さて、まずはスタイリングですが…登場当初からの個人的な印象、一貫して変わらずに「理解不能」です(苦笑)。いたるところのディティールは未来感を表したかったのでしょうが、なぜこのプロポーションにする必要があったのか。こんなオーソドックスな2ボックスに。事実、後々に記しますが、パッケージング上の「無駄」がいくつも散見されます。まぁこれも、数々の検討と熟慮を重ねて生み出された結果なのでしょうが…個人的には、あの「ジューク」のデザインで中身がEVならば、それはそれは素晴らしく先進的な1台となっていただろうに…と思ってしまいます。デザインだけで言えば、アイミーヴのほうが5000倍はいいですね。



ただ、当初のあのブルーのボディカラーがそのイメージを助長させていたのかもしれません。先日横浜の日産グローバル本社で見たレッドやブラックのリーフは、「まだマシ」な印象でした。この白パールは…やっぱ、ダメですけど^^; とは言え1日乗ってみて、いわゆるブルドックのような「ブサカワ」的愛らしさがある、のかもしれない、と思えてくるようになったりも…。




ボディの3サイズは、4450×1770×1550。ティーダくらいかな?と思っている人も多いようですが、それより1サイズ大きめです。あえてこの大きさで出すのも、おそらくは「北米市場でのベーシックサイズ」を狙ったとも言えますし、プリウスを意識していないはずはありません。


さて、見た目の印象はこのあたりにして、続いてドアを開けてインテリアへ。まず目に飛び込むのが、ホンダ車のような上下2分割のメーター。上部に速度、時間、外気温、左にあるのはエコインジケーター、下は左から時計周りに、バッテリー温度、回生・出力を示すボール型モニター、航続距離。えー何が言いたいかというと、もういろいろな表示がありすぎて、しかも各表示方式がどれもバラバラで、運転中の把握のし易さなんてホントに考えてんの?という印象しか残りませんでした。

ホンダは苦慮してインサイトで「色変化でエコ運転を示す」というアンビエントメーターを作って、これは大変よくできていると思うのですが、やはり初物だからか、リーフはまだまだこのあたりのインターフェイスの工夫が必要かもしれません。というか、人の目線位置によっては見え方が全然違ってしまいかねない、この上下2分割メーターの構造自体、欠陥かもしれませんね。案の定、自分は中央のインフォメーションモニターの下側が見切れてしまう時がよくありました。



その原因の1つとして、ドラポジを合わせている時に驚愕の事実。ステアリング調整はチルトのみ、ホントはテレスコがあればなぁ…と思いながらシートリフターでシート上下調整を…と思いきや、今となっては珍しい、ラチェットではなくダイヤルでの調整。嫌な予感……そうなんです。このリーフ。いまどきシートの高さ調整機能は、全体が持ち上がるタイプではなく、マーチと同じく座面だけがわずかに調整できる、なんとも安っぽくて古臭い方式なのです。これには唖然。

VDC標準はエライ。リア中央ヘッドレストとテレスコが欲を言えば欲しいなぁ…なんて思っていたら、こんなところでコストダウンをしていたとは。インテリアの質感はそこそこ良く感じられていただけに残念。電気自動車は航続距離が短いし、ロングドライブなんて出来ないから、シートポジションの調整なんてどうでもいい…という考えによるものなのか?はっきり言って、EVどうこう全く関係のないところでこんな手抜き、全く持って損というか、もったいないというか。まだプレス試乗会は行われていないとのことですが、誰か指摘する人がいるかどうか。

なるほど、これならアイミーヴよりも安くできるはずです。メーターはインパネまわりにはお金かかってますが(事実、ナビの操作系やエアコンスイッチのタッチは高級感があって質感かなり高し。)その他の部分の内装クオリティは、残念ながら100万円クラス。ティーダ以下、マーチよりややまし、程度です。削れるところは徹底して削ってます。



ちなみにマーチと同じと言えば、これもK12マーチ試乗インプレッションで酷評した、横方向のガラス面積が狭く視認性に難ありの小さなドアミラー(画像はマーチのもの)。リーフは残念ながらこのマーチと同型のドアミラーが採用されてしまっており、案の定車線変更時の後方斜め方向の死角が他車と比べて格段に大きく、危なっかしいったりゃありゃしない。この2点、慣れどうこうで解決できる問題と判断されている?走りや安全性をどういう言う前に、まずこういった基本的な部分をちゃんとする事、それが大切なのでは?もっとも、初期ゴルフⅣや現行E90型3シリーズ前期なんかでも、ドアミラーが小さすぎて危険、という事もありますが。

どうやら気になる一般ユーザーからの指摘はあまりない?しかし、運転し始める前段階として、この2点は個人的に激しく気になりました。細かいところで言えば、リアウインドーのウォッシャーがない、なんてのも。



操作系は画像のように、マウスのようなシフトと、電気式パーキングレバー。見た目を優先してかこういった形状のシフトになったのでしょうが、実際に動かしてみても操作感はまぁまぁ。使いやすいかどうかは微妙なとこですが、ボタン上に「P」ボタンがあり、信号待ちの時はポチっと押せばブレーキ操作から解放されるので便利でした。

ただ、Pボタンを押す時も、そこからDモードにする際にも、後ろのパーキングレバーを操作する時も、その反応がどーも1テンポ、2テンポほど遅れます。おそらくこれは意図的なのでしょうが、少し慣れが必要とされるかもしれません。またこのインパネまわりのピアノブラックの処理は、未来感と高級感が上手くバランスされておりなかなかの雰囲気ですが、ご覧のように乗っているとホコリや指紋、傷がすぐに目立ってしまうのが難点。まだ新車なのにこの状態ですから、長く乗るとどうなるかちょっと心配です。

リアシートは十分なスペースが確保されていて、見た目ではなんだ十分に広いやん!…っと思いますが、実際に座ってみると、なぜかどーも落ち着かない。理由はフロアと座面の高さが不足していて、足をつけると太もも付近が浮かび上がってしまって、スペース的には全く問題ないのですが、どーもしっくり座れない印象。フロントシート下に指先を入れられればもう少しマシなんでしょうが、前途したようにシート高調整の方式があれなのでそれも無理。これはやはりフロア下に電池を積む関係で、パッケージングの苦慮が伺える部分です。ちなみに自分は178cm。小柄な方なら気にならないかもしれません。もっとも、そこまで細かく気にしなければ居住スペースは十分に実用的。ヘッドレストはないものの、中央席も3点ベルトなのは○。



ラゲッジスペース、こちらは積極的に広いと言っていいでしょう。開口部も大きく、深さもたっぷり。シートを倒すととてつもなく大きな段差が残りますが、自転車が積めないじゃないか!という人はセレナを買いましょう(笑)。よほど大きな荷物を積まない限り、大きな問題にはならないと思います。また、ご丁寧にもゴルフバッグ2つの収納方法が説明書には記されていましたが、冬場暖房入れたらフル充電でも100km走れるかどうか、というようなクルマでゴルフに行く人はいるのかどうか^^; あ、近所の打ちっぱなしに行く?なるほどさすが日本基準。

さて、走り出す前からこんな長くなってしまいました(汗)。スイッチをONにして、いざ出発…そこからの走りの印象、カーナビの協調制御、バッテリーの持ち、急速充電、などなどは、次回後編でまた詳しくアップします。今回はこのあたりで。
Posted at 2011/02/14 00:13:03 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日産 | 日記
2010年10月26日 イイね!

フーガHV登場 改めてフーガを振り返る

フーガHV登場 改めてフーガを振り返る本日、フーガハイブリッドが登場しました。

画像は、昨年の東京モーターショーで公開されていたハイブリッドモデルのプロトタイプです。市販型で異なって見えるのは、ホイールがブロンズ塗装になっている程度でしょうか。

19km/Lの燃費、リチウムイオンバッテリー、2つのクラッチを有し7速ATを生かしたドライブトレーン、その他今ある日産の最新鋭技術がふんだんに盛り込まれたその内容には、興味津々。もっとも、ベースより200cc少ないものの、それでもすでに必要十分以上のパワーがある3.5Lエンジンに、バッテリーを搭載して「圧倒的な性能」と「燃費」を両立するコンセプトには、クラウンHVと同じく疑問符が残りますが…。2.5Lベースのハイブリッドならば、さらに燃費コンシャスにすることも可能なはず。現状では、やはり「ハイブリッド」という名前の記号に頼っているというのが現状かもしれませんが…



しかしその割には、このフーガハイブリッドは、エクステリア上での差があまりになさすぎ。パッと見エンブレムとホイール色が若干違うだけで、ボディカラーもベース車と同じく地味な色ばかり。過去失敗してきたハイブリッド車の定説を見事に受け継いでしまっています。まだ、センスの悪いクリアテールを採用しなかっただけマシかもしれませんが…。



シーマがなくなり、V8がなくなり、このハイブリッドは実質日産のフラッグシップ。577万円スタートという価格は内容を考えれば非常に魅力的ではありますが、399万円の廉価版フーガとなんら違わない見た目…。この素晴らしく魅力的な内容を生かしているようには全く思えません。それとも、もうそういう見栄やフラッグシップとしての意識は、エルグランドに譲ってしまったということでしょうか?せめて、まだあまり街中で見ないタイプS仕様のエクステリアに18インチ専用ホイール、くらいなら簡単にできると思うので。


と早速辛口気味ではありますが、機会があればぜひ乗ってみたい!楽しみです。そしてこの機会に…ベースとなった現行フーガの250GTと350GT・VIPの過去試乗記を振り返りたいと思います。






新型フーガに試乗する機会を得ましたのでレポートしたいと思います。いくつかエンジン・サスペンションの組み合わせが存在するフーガですが、その中で今回は2種類の個体を試す事ができました。1台はホワイトの250GT(ノーマルサスペンション仕様)と、もう1台はブラックの370GT VIP(コンフォートサスペンション仕様)。残念ながら注目の20インチタイア+スポーツサスペンション仕様のタイプSは試す事は出来ませんでした。

当日は残念ながらあいにくのお天気で、豪雨で路面もヘビーウェット状態。そんな中、250GTの方は市街地~高速までの少しまとまった距離を、370GT VIPでは距離と時間は僅かながら、リアシートでの乗り味のチェックも行う事ができました。



さて、早速ドアを開けて室内へ。以前お伝えした通り、他の日産車との共通部品が本当に見当たらず、各スイッチ類のタッチや動作部分の動きの質感など、非常にしっかりと煮詰められています。8インチとなって見やすくなったモニターの視認性も◎。もちろん豪華に感じるのは当然最上級モデルでフル装備の370GT VIPのほうですが、「普通の」本木目パネルにファブリックシートの250GTでも、基本的な上質さに大きな違いはありません。

唯一大きな差として感じるのは、プレミアム本革が使用されるステアリングの質感の違い。これは標準仕様と直接比較すると、一度握るだけでそれはそれは明確な質感の差が存在します。贅沢を言うならば、これは是非全グレードに展開してもらいたかったところ。



さて、左側のスイッチを押してエンジンスタート。一瞬振り切れるメーターのウェルカムアクションと共に、かなり豪快なエンジン音が室内へ。特にこの季節のコールドスタートの時は、排気系の音が耳につきます。

他の風切り音やロードノイズ、サスからの音などの遮音性は非常に優れているだけに、発進直後と2000~3000回転の常用域に後方から聞こえてくるこの音は明らかに意図的な演出によるものでしょう。これは走り始めてから常に耳に残り意識する音であり、これを「高級車らしからぬノイズ」と判断するか、はたまた「心地いい演出されたサウンド」と評価するかで、このフーガのイメージは個々で大きく変わってくることかと思います。今回は豪雨の中での試乗ということで、他からの侵入音もかなり大きめではありましたが、とりわけ3.7Lモデルの後席ではこの排気系の音は少し過剰に思えるほど響いてきました。

いきなりネガティブな書き出しになってしまいましたが、従来の日産車から比較して大きく改善されたのは発進時の際のスロットルマナー。このクラスの日産車はどうしても初期のアクセルレスポンスが敏感すぎる嫌いがあり、ここぞ!という時の瞬発力はさすがなものの、ジェントルかつスムーズに走りたい時にはかなりアクセルワークに神経を使わされる傾向がありました。

しかしながら、新型では「ドライブモードセレクター」の存在によってドライバーが任意にコントロールできるようになり、完全にこの悪癖は克服されたと言っていいでしょう。個人的には街乗りだけならば「ECO」状態で十分。これでパワー的にはなんの不満も感じられません。



3.7Lモデルはこれでも十二分な極太なトルク感を味わう事もできますが、このVIPには今回注目の装備の1つであるエコペダルが搭載されており、アクセルを踏む事をやんわりと拒絶されます。もちろん、セレクターを「SPORTS」にし、ドカンと踏み込めば怒涛の加速を味わう事ができますが…。

ここ1発でのパンチ力で有利なのは当然3.7Lモデルですが、せっかくのパワーをエコペダルで抑制して…というような走りのリズムに、どこかチグハグさや矛盾が感じられたのも事実。このエコペダルがVIPのみに標準装備されている理由もなんとなく分かったような気がします。

ということで、個人的にバランスの良さを感じたのは、圧倒的に2.5Lモデルのほう。こちらは3名乗車で高速走行も行いましたが、確かに最初の一踏みでのトルク感では排気量のハンディを感じる事がありますが、それを実に上手くカバーしてくれるのが、今回2.5Lモデルにも搭載された7速AT。こちらはギア比・ファイナルともに3.7Lと共通ではあるものの、トルコンの滑りを感じさせずスパッと変速してくれるつながり・マナーの良さ、そしてシフトダウンは日産お馴染みのシンクロレブコントロールでブリッピング。十分に走りを楽しむ事ができます。

そしてその印象の良さはフットワークにも。標準状態で245幅の18インチという大径タイアを履きつつ、とくにフロア剛性の高さも手伝って、持て余している感じはほとんどありません。少し低速では若干硬めなものの、高速域ではダンピング性も直進安定性も非常に落ち着いたマイルドなセッティング。電動化が進む中、油圧式パワーステアリングにこだわるだけあって、ステアリングフィールも接地性をキチンとリニアに伝えてくるあたりは大変好印象。また、ヘビーウェットでも効きとコントロール性が抜群に良いブレーキもクルマのフットワークの良さを引き立ててくれる一因と言えるでしょう。気をつけたいのは、このクラスのFRセダンとしては予想以上にハンドルの切れ角が少ないこと。大きなボディサイズも含め、取りまわし性能にはそれなりの覚悟が必要です。



さらに乗り心地を…という方には、VIPのコンフォートサスペンションもお勧め。その名の通り、ノーマルサスで若干感じられた硬さはこちらでは全くと言っていいほど払拭されており、それこそ歩道の段差を1つ乗り越えるだけで明確な差が感じられます。同条件でワインディングなどペースを上げた状態で比較できなかったのは残念ではありますが、極端にこのフーガのフットワークの良さを犠牲にするのでなければ、他のグレードでもオプションで選択可能なこのコンフォートサスは、なかなかお勧めかもしれません。

もちろん、それが電子制御を用いて、1つの足でこの良さそれぞれが両立する事ができれば言う事なし、なのですが…。しかし、いわゆる「素」のサスペンションとボディバランスでここまで大きなクルマをこの乗り味にまで仕上げてくるシャシー性能の高さは、フーガ最大の美点かもしれません。

繰り返しになりますが、今回のように2台をいろいろな条件でたっぷり試乗できる機会に恵まれただけに、タイプSを試せなかったのが非常に残念。また機会があれば、ハイブリッドと合わせて、このモデルの印象をお伝えできれば…と思います。
Posted at 2010/10/26 22:07:08 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日産 | 日記

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「明日は恒例のメディア対抗ロードスター4時間耐久レース。今年も64号車の監督やります。前日準備は洗車機の中のような豪雨。さて明日は??(^_^;)」
何シテル?   08/31 19:12
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