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九郎田一馬のブログ一覧

2012年01月14日 イイね!

【試乗記】 スズキスイフトスポーツ(6MT)

【試乗記】 スズキスイフトスポーツ(6MT)さて、2012年最初の試乗レポートは、予告しました通りスズキの新型スイフトスポーツ。前回のTMSで実車はすでにチェックし、さらに本気で愛車筆頭候補となっているのですが、できるだけそのあたりの私情を取り除いて冷静に…と思って進めていきます(笑)。





ノーマルモデルを1000kmロングランした時から、これベースのスイフトスポーツには期待大。その時はちょうど欧州仕様の画像が公開された頃、振り返ってみると…「できれば200万円以下、180万円なら万々歳!」っと書いていましたが、蓋を開けてみると、なんとびっくり価格は6MTで168万円。先代よりプラス15~20万円くらいを予想していたので、内容の充実度を考えればまさに嬉しいサプライズ。まさか諸経費コミコミで200万円に収まるとは…。

さて、今回は登場直後という事で、ご近所のスズキさんにて試乗。ちなみに試乗したのは昨年末の販売直後で、大阪府内に試乗車はまだ2台だけ。自分は平日に行ったのですがそれでもかなりの待ちが。最初の週末は、大阪に留まらず、奈良・滋賀・兵庫からのお客さんもいたのだとか!注目度の高さが伺えます。ここのお店は、街中メインの試乗コースとは違い、スイフトスポーツ専用にスピードアベレージの高いコースを設定していてくれたのは有難かったです。またCVTモデルの販売が少し遅い事もあって、最初のデビューフェアでの試乗車が自然と全て6MTモデルになる、というのも好都合でした。



テスト車はメインカラーでもあるチャンピオンイエロー4。初代からイエローのイメージが強いので新型にも引き続き採用…なんて簡単な話ではなく、実はこれ先代のイエローと製造工程も違ってかなり手間暇かかっている専用色。さらに言えば、これは国内仕様のみに設定される色であり、ハンガリー工場で生産される欧州向け左ハンドル仕様には設定なし。これだけのこだわりがありながら、キザシと同じプレミアムシルバーはオプションだというのに、このチャンピオンイエローはなぜか不思議な事に無償設定!これは素直に日本人として喜ばしい事ですね。反対に、さらにスポーティな3ドア仕様は日本では生産されず、ハンガリー工場での生産分のみ。つまりは導入するなら逆輸入車という形になって、価格も跳ね上がる…?イエローを取るか、3ドアを取るか、といったところでしょう。



さて、早速試乗開始。ドアを開けてシートに座り、ポジション合わせ。あくまで実用車なのでアイポイントの高さは仕方ありませんが、テレスコの調整量の大きさのおかげでアップライト気味ながらキチッとポジションは決まります。RECARO製シートの設定はなくなってしまいましたが、純正のバケット形状のスポーツシートもホールド性はなかなか。もちろん、不満のある方は、ヒップポイントを下げる意味を含めてシートレールと一緒にバケットシートに交換するのもアリでしょう。唯一、何故かサイド&カーテンエアバッグが省かれてしまったのだけが残念。欧州仕様では当然の如く標準なのですが…レカロ非設定含めて、少しでも値段を抑えたかったため…?ちなみにメーカーOPも純正HIDヘッドライト+オートライトのみ。生産枠を限りなく絞り込んでいます。もっとも、それ以外はほとんどフル装備。あとは個人的に好みのオーディオかナビを装着すれば、装備内容に不満は全くありません。



ピッチがひとまわり多く太めのスポーツ専用ステアリングは握りやすく、先代のようにやたら革の分割線が多くてうるさい印象もありません。あとは大きく違うのがメーター。針が赤→白へと変更。数字表示が全て水平になったのは視認性が良くて◎。むしろこれが普通。ベースモデルの改善を望みます。問題と言えば、フルスケール240km/hなのはいいものの、速度の刻みが30km/hずつとかなりアバウト。よって、街乗り領域では針がほとんど動きません。一応100km/h付近に簡単な目印がありますが、つけるならもっと目立たせるか、中央のインフォメーションモニターに速度のデジタル表示があってもよかったかも。オーナーの方は、特に40km/h制限の道でのスピードオーバーに要注意です。

クラッチをいっぱい踏み込み、プッシュボタンを押してエンジンスタート。この時点で感じるのは、ちょっと驚くレベルの静粛性の高さ。エンジンがかかっているかいないか分からないくらい。室内の遮音性が優れている事はもちろんの事、外で確認してみると、エンジン音自体が静か。派手な見た目のマフラーながら、排気音もとても静か。クルマ自体はとっても高級感のある大人の仕上がり。…ただスポーティモデル、ホットハッチと考えると、物足りないと感じる人が多いかもしれません。個人的にも、せめて吸排気系だけはちょっと手を入れたいかな…という印象でした。もちろん、そのあたりのアフターパーツはこれからどんどんと出てくるでしょう。



ポジションはきっちり決まるものの、1速位置がやや遠目かな?と感じつつ、クラッチミート。つながるポイントはやや近めながら、クラッチは軽めで操作性はとてもイージー。シフトフィールはワイヤー式のFF車としてはしっかりと煮詰められている印象。さすがに86と比べてしまうと分が悪くなりますが、ちょうど同じテンロクとなるルノーウィンドのシフトフィールと比べればいい勝負。個人的にはもう少し各ギアにしっかりとコクッと決まる印象が欲しいので、あえてシフトノブをもう少し重めのものに交換してみるのもいいかな?とも思ったり。バックギアは誤作動防止のリンケージを引っ張るとスッと入ります。

さて、動き出してからも静粛性の高さの印象はそのまま。195/45R17のタイアを履くので、速度アベレージが上がってくるとさすがにロードノイズはベース車よりも大きめ。ただそれ以外では本当に1.2Lモデルと大差ない、むしろ静かなくらい?に感じました。次に驚かされるのが、乗り心地の上質さ。確実にバネレートもハードセッティングで固めではあるのですが、市街地での荒れた路面でも、揺さぶられるような事もなく全く不快感なし。これはやはり微領域の初期入力からキチッと減衰力を発生させ足をしっかり動かしてくれるモンロー性のショックによる効果でしょう。ボディ剛性やフロア剛性も非常にガッシリしており、このクラスでは完全にオーバースペック気味にも思える17インチ45タイアを持て余す事なく履きこなし、全く飛ばしていないこの速度域からしっかりと足が動いてしなやかささえ感じさせてくれる…しかもまだ走行200kmチョイのほぼ卸したての状態で。このあたりの質感の高さは同セグメントでは断トツ、200万円以下の国産車と範囲を広げても確実にトップレベルと言っていいでしょう。ただ、逆に良すぎてスポーツとしては物足りん!と感じる人もいるかもしれません。



ステアリングフィールは、電動パワステの嫌なフィーリングもなく、タイアが太くなっていても低速時での素早い切り返しなどでアシスト遅れする事もなし。動き出しからすでにズシっと重いフィーリングが印象的だった先代から比べればスッキリと軽く、かつ速度が上がってくれば適度な重みになってくれます。直進性は良好、ややセンター付近からの舵を入れる際の反応が甘めにも感じますが、これでも低速時では、ワンダリングなどでややステアリングがとられやすい傾向があるので、このあたりがいい落とし所なのかもしれません。

1.6LのDOHCエンジンは、パワー&トルクともに向上し発生ポイントも下がっていますが、吹けがとてもスムーズで静粛性も優れており、荒々しく獰猛な印象は影を潜めてむしろ大人しくなった印象。もっとも、トルク感の向上は明らかで、飛ばしシフトもラクラク。3000回転以下でもスルスルっと街中のペースに合わせられ、扱いにくい印象は全くありません。この走行距離で上まで回すのにはためらいがありましたが、同乗の営業さん曰く最初の週末でもう皆さんガンガン回したい放題状態だった(苦笑)とのことで、どうぞ楽しんでください、っと。

というわけで少し失礼しましてそこから躊躇なく踏み込まさせてもらうと、4500回転付近からようやくスポーティなサウンドが「囁いて」、そのままスムーズさを保ってレブミリットの7200回転へ。頭打ち感はなくパワーはしっかり詰まっている印象ですが、高回転での圧倒的なパンチ力があるわけでもないので、間違っても可変バルタイ&リフトを備えたテンロクVTECなどとは比べてはいけません。もっとも、現代基準で排ガスや燃費の事も考えると、パワー含めてこのあたりが限度なのかも。スポーツユニットかどうかと言われれば?ではありますが、下からとてもフラットで扱いやすいエンジンとも言えます。当たり前ですが「フィールはいいけどライバルと比べると圧倒的に遅い」1.2Lモデルとは比べ物にならないくらいパワフルである事は間違いありません。



スイスポユーザーにしてみれば、まさに待望の「6速MT」。思えば先代のⅠ型では1~2速が離れすぎ、Ⅱ型以降はそれを改善すべくレブリミットが6800→7500回転へ、1速が2速側に近づいてそれに合わせファイナルも下げられてつながりの良さを改善したものの、それにより高速巡航で回転上がりすぎ…といった不満を、6速ギア採用でついに解消へ。とは言うものの、先代よりもクロスになった…というような印象はなく、むしろ巡航状態での改善幅が大きいかな?といった印象。1速で約55km/h、2速吹け切りでちょうど100km/h付近。この時点で6速へ入れると、だいたい2700回転付近。2~3~4速はもっと加速重視のギア振りでもよかったかなぁと思いましたが、100km/h巡航で3000回転以上楽々回っていた先代よりは、高速走行での快適性も燃費もかなり改善している事と思います。ちなみにエンジン特性の関係もあり、6速は60km/h付近でも楽々入れる事ができるので、一般道でも使える頻度はかなりありそうです。

他にも、タッチ・効きともに十分なブレーキ、ちょっとクイックな車線変更をしてもしっかりとしたリアのスタビリティの高さ、操舵中のアクセルONでもLSDが入っていないのにフロント内輪側のトラクションが抜けにくい接地性の高さ…などなど確認できましたが、あくまで街乗り+αの領域で30分ほどの試乗だったので、細かい事まではしっかりと判断できず。難しいかもしれませんが、できれば500kmくらい色々なステージで試してみたいなぁ…と思います。



さて結論。はっきり言いまして、分かりやすいスポーティさやキビキビとした軽快な動きなら、先代スイフトスポーツの方が上。もっとスピード域が上がらない限り、日本国内のワインディングなら、より積極的な荷重移動による動かし易さを感じる先代の方が楽しいかもしれません。先代ユーザーが新型に試乗して「なんだか物足りない…これなら今のでいいや」っと思う方が多いというのも頷けます。これは邪道かもしれませんが、新型の足とボディで、XS・RS用の185/55R16にインチダウンしてしまう方向でのセットアップもアリかもしれません。静かすぎるくらいの静粛性の高さに洗練された足、新型は「スイフトスポーツ」というよりも、より上級な「スイフトプレミアム」とでも言うような、そんなキャラクターも持ち合わせています。直噴ターボやDCTなどで武装する欧州ライバル勢からすれば、スイスポはある意味で旧来技術の集大成的存在。この足とボディなら、LSDを入れればはっきり言ってもう+50psくらいあっても十分問題なく対応できそうな雰囲気を感じます。そこは、アフターパーツの充実や、モンスタースイスポの登場を待つばかり…?



とかなんとか言いつつ、私情を挟むなら、実はこの一見大人しく感じてしまいそうな洗練された味付けと全体のコンセプトや走りのキャラクターの方向展開は、個人的に好みでまさにドンピシャな存在。先代のスイフトスポーツも今でも魅力的で好きな1台ではありますが、新型を見てしまった今、あらゆる点でこちらの方が優れているようにしか思えなくなってしまいました。先代ポロGTIやルポGTIの中古相場を確認している自分としては、この「ホットハッチ」というよりも「プレミアムスポーティハッチ」的な仕上がりは大歓迎。物足りなければ、これを素材にまた仕上げていくのも良し。感じ方は人それぞれでも、走りのポテンシャル自体が向上している事に間違いありません。乗った事がないので分かりませんが、サイズ的にも、初代ゴルフGTIってこんな感じだったのでは?なんて思ってみたり。そんなキャラの被るクルマたちのメーカーと、スズキが今や劣悪な関係というのが、なんだか皮肉っぽいですが…。

というわけで、見積もりまで取って、実は真剣に検討中。とりあえずHIDは装着して、ボディカラーはブラックか、いやいやここはやっぱりイエローか…。見た目すっきりな純正オーディオは意外に高いので、これならPND追加ではなくていっそ2DINのメモリーナビを付けてしまおうか…などなどと妄想しています。実際にプロトタイプに乗ってこちらもかなり惚れてしまったトヨタの86は、エアコンレスのレースベースで199万円はいいとして、標準モデルが241万円、上級モデルが279万円、最上級GTリミテッドは297万円…と、予想より+20万円くらいだったこと、スイスポより装備を揃えるとやっぱり約100万プラスになってしまう事を考えると…やはりビギナーな自分に、まだ86&BRZは贅沢かなぁ、という結論に至る気配濃厚です。

でもまぁ、まだ本当に購入するまでは、いくらか時間がありまして。その間にスイスポがⅡ型へと移行、サイドエアバック標準化&アイドリングストップ装備で175万円…なんて事になるのを願いつつ、今回のスイフトスポーツ試乗レポートを終わりにしたいと思います。
Posted at 2012/01/14 22:03:10 | コメント(4) | トラックバック(0) | スズキ | 日記
2011年08月13日 イイね!

【試乗記】新型スイフト1000kmロングランレポート&次回予告

【試乗記】新型スイフト1000kmロングランレポート&次回予告いやー、毎日本当に暑いですね。
お盆は1000円高速が終わったものの、連日大渋滞。帰省される方は是非お気をつけて安全安心な楽しいドライブを。








さて、前回はデミオスカイアクティブの試乗ショートレポートをお届けしましたが、なんと早速先週末にに2日間に渡って1台抑えテストする事ができ、燃費計測を含めて、あらゆる様々なステージを、徹底的に走り込んでロングランを敢行してきました。現在、レポート作成中…






その前に、この車のインプレッションをしておかなければ…ということで、最大のライバルと目される、スズキの新型スイフトの1000kmロングラン試乗のインプレッションを今回はお届けします。スイフトに関しては、登場直後に簡易レポートを書きましたが(その1その2)、投稿期間の関係もありますが、この2本が歴代PV数でもトップ。しかもかなりの断トツっぷり。それだけスイフトの注目度が高い、ということもあるのかもしれません。


というわけでテスト車両の紹介。前回は16インチを履くXLでしたが、今回はベースモデルの15インチを履くXG。124万円という価格ながら、プッシュスタートにオートエアコンなど、ベースモデルですでにフル装備状態。スターティングプライスだけを見ると少し高めな印象ですが、コストパフォーマンスは非常に高いと言えるでしょう。逆に言えば、もう少し装備内容を精査して、取っ付き易い価格帯のモデルを設定する必要があるかもしれません。



前回の試乗レポートと同じ内容になりますが、軽くクルマの紹介を。3代目となったスイフトは、先代からガッチガチのキープコンセプトのデザインで登場。ただプラットフォームまで変えたところから見て、わざわざ先代モデルに似せるようにデザインするほうが難しかったに違いありません。それだけスズキの自信っぷりが伺えるスタイリングです。

インテリアのほうは質感劇的アップ。このセグメントの国産では明らかにナンバー1でしょう。フィットよりもキレイにまとまっており、デミオには確実に勝ち、露骨にコストダウンに走ったマーチやヴィッツと比べると、その差は歴然。ただ実際には上手に「高級そうに」見せるその素材の生かし方が上手い、と表現したほうがいいでしょうか。このあたりの技は、少し前まではトヨタが断トツに上手だったのですが、ヴィッツを見ても分かる通り、今となっては…。



気になると言えば、そのメーターパネルの表記も、エアコンモニターも、スイッチも、全体的にちょっと小振りで、操作する際に少し目線移動が必要なのが玉に傷。シフトレバー付近の処理も高級感たっぷり…実際のシフトの操作感は案外にカチャカチャと節度感が薄めなのですが、ブーツカバーで巧みに演出しているところがまた上手いところです。

さて、ドアを開けシートに座ってみましょう。前回のレポートでもお届けした通り、この時点で他の国産同セグメントよりもスイフトが頭ひとつ飛び抜けています。ドアのバシッと閉まる音の良さ、座面・背面ともにたっぷりとしたシートサイズ、チルト&テレスコでばっちりと決まるシートポジション。目線自体が高めなのはお約束ですが、立ち気味のAピラーとも相まって、視界は全方位に良好。しっかりと作り込んである事がこの段階で伺えます。



さて、全車標準のプッシュボタンを押してエンジン始動。新型の1.2L4気筒ユニットは振動が少なく、また車全体の静粛性が優れている事もあって、このあたりの静かさは本当に2Lクラスのクルマとも全く遜色のない出来と言っても過言ではありません。昨今コストダウンばかりが目立つ同クラスから比べれば、本当に120万円台のクルマとは思えません。

ESPが付き7速CVTとなるXSは試せていないので、前回レポートしたXLとの走りの差は主にタイア。前回は185/55R16のBSトゥランザ、そして今回のテスト車両のXGは175/65R15のヨコハマDNAdb。一応両方とも転がり抵抗を考慮されたOEMチューンタイアですが、その他のグリップバランスやロードノイズ性も優秀な、「金のかかっている」タイアです。

両車乗り比べてみての感想として、今回推したいのはベースモデルの65扁平15インチ仕様。見た目は当然16インチの方がスポーティ。乗り心地は16インチがアルミ、15インチがスチールホイールという事で意外に差はほとんど感じられなかったのですが、スイフトらしい軽快感を重視したセットアップとしては15インチのほうがマッチしているかな?という印象でした。操舵フィールを比べると、16インチはどっしり、15インチはスッキリ、といったところ。日常域で一番大きな差は最小回転半径の違い。16インチは5.2m、15インチは4.8m。この差は結構大きく感じられ、以前の16インチ仕様で感じられた取り回し性の悪さは、15インチ仕様ではほとんど気になりませんでした。



ワインディングで飛ばす領域になると、確かに15インチモデルの方がフロントのアンダー傾向が早めに現れますが、16インチモデルでは完全に足が勝ち過ぎてパワー不足っぷりがさらに目立ってしまいます。乗り心地にあまり大きな差が感じられなかったのはおそらくバネ下重量の違い?それでも、16インチでもさして足のバタつきを感じさせないセッティングは見事。けど個人的には15インチサイズ+アルミホイール装着で、乗り味とフットワークの良さをさらに高次元にバランスしてセットアップしていきたいところです。そもそもこのクラスのアシグルマに16インチサイズはいくらなんでもやり過ぎ…まぁこの傾向は、スイフトだけに見られるわけではありませんが。

フットワークだけではなく、コンフォート性もスイフトはかなりのハイレベル。風切り音やロードノイズの侵入も少なく、静粛性の高さは間違いなくクラストップレベル。直進性もよく路面が荒れていても接地性変化が少なく、ビタっと安定。とても1トンを切っている軽量な車だとは、こういったステージでネガティブ方向に感じる事はありません。乗り心地も15、16インチともに満足できますし、そのおかげで長距離のロングドライブもまったく苦になりません。ワインディングでの軽快感と高速道路での重厚感のバランス、この落とし所は見事という他ありません。まさにこのあたりの感覚は、欧州セグメントに本気で戦っていってやろうという気合いを感じさせてくれる仕上がりです。

その反面、やはりちょっと影が薄くなってしまうのは、パワートレーンに関して。4気筒エンジン+副変速機付CVTの動力性能は、1トンを切る車重に対しては必要十分以上。ですが、ここまで足とボディが良いとなると、やはりモアパワー!と叫びたくなってしまいます。それはスポーツを待って…なのかもしれませんが、それだとちょっとやり過ぎ、というユーザーもいるでしょう。個人的には先代モデルのように、1.5Lクラスのエンジンを搭載した「普通のスイフト」の上級モデルがあれば…と思ってしまいます。



その原因として、このエンジンとCVTのマッチングにも少し問題があるように思えます。4気筒エンジンならではの上質なフィーリングと吹け上がり、3000~5000回転付近の中回転域のトルクもなかなかのもの。しかしながら、どうしても発進直後~2000回転付近のトルクが薄めで、街中での発進時や巡航状態からスロットルを少し開けて加速…といった場面で、少しばかりモタモタしてしまいます。また副変速機付CVTも、ちょうど50~60km/h付近でハイギアに移行する際に、巡航モードながら若干アクセルを踏んでいる状態…そういった時に、加速Gがアクセルを踏んでいるのに「フッ」っと抜けてしまうような違和感、これは1000km乗ってテスト終了まで、どうしても拭う事ができませんでした。

リニアな加速フィール+燃費も優先したい、それを狙ったセッティングとしては、フィーリングはがさつなものの、低速のパンチ力に優れる同排気量のマーチの3気筒エンジンとスイフトと同じCVTは、より自然なマッチングだったという感想です。マーチはタコメーターがなかったのでより違和感なく受け入れられたのかもしれませんが、このあたりの街乗り領域での加速の機敏さで言えばマーチの方が長けている…逆に言えば、マーチが勝っている部分はここしかないのですが…苦笑  


反面、高速域になってくると、印象は大きく変わってきます。回転域が上がりトルクが太い部分で変速が行えるようになったおかげで、アクセル操作に対するレスポンスは大幅に向上。とくに追い越し加速時に、アクセルの踏み方次第で、まるで普通のトルコンATがキックダウンするように回転を右足で自由に操る事のできるフィーリングには驚き。ここまでCVTでエンジンとの意思疎通が図れるとは。速度域が高いステージでここまでのナチュラルな仕上がりを見せてくれるCVT車はこれまでありませんでした。ここはもう手放しで褒めたい部分です。CVT嫌いな人も気持ちを改めてしまうかも。もちろん街乗り領域のかったるさについては、MT車やXSの7速パドルシフト仕様ならば、幾分印象としては改善されるかもしれません。

こういった点からも分かる通り、スイフトはある意味で街乗りベスト…といった従来、もしくは今でも最優先事項として当然されるこのセグメントのセッティングから、確実により高い速度域のマーケットを重視しているという事が伺えます。これスイフトが国際戦略車として狙っていくマーケットのボリュームゾーンとしては当然。しかし同クラスの一部国産車がだらしないクオリティで新車を出している結果、この日本でもスイフトは間違いなくキラリと輝く魅力を持つ、端的に言えば所有する事にプライドを持てる、そんな素敵な仕上がりを見せてくれ、それが評判・評価の高さにつながっています。

ちなみに燃費計測もしたのですが、高速巡航モードでは20弱、1000km走行で一般道4割、高速6割という条件で17km/L台を記録。アイドルストップ仕様が追加され街乗り領域の燃費がさらにアップすれば、鬼に金棒でしょう。

パッソやヴィッツやマーチを見ていると、この先の日本国産車が、頭角を現す韓国・中国車にやられてしまう…という危機感が大きくなるばかりですが、このスイフトを見ていると、よしよしまだ大丈夫だ、という気持ちを大きくします。



…しかし、ここはいつもの通り、絶賛モードで終わる事なくしっかりと難癖もつけておきましょう(笑)

スイフト最大の欠点、それはラゲッジスペース。後席の居住空間はある程度確保されていますが、それから後ろ…積載能力が、いくらこのコンパクトクラスとは言え、あまりにも低すぎます。剛性と修理性を優先したバックドア開口部の小ささはまだ良いとして、上下分割式ながら、アルト程度の奥域しかないのはちょっと最低限レベルを下回っています。その割り切りがあったからこそこの走りのクオリティが実現できた…と開発陣は言い訳するかもしれませんが、何もスイフトはスポーツカーではないのですから。

出た当初も問題視していましたが、先日乗ったスカイアクティブのデミオの試乗で、あぁデミオのトランクってこんなに広いんだ…と再認識し、改めてスイフトのほぼ唯一かつ致命的弱点がさらに露呈した印象です。何もフィットほど広くしろ、とは言いませんが、プラットフォームを一新したのであればもう少しパッケージング効率は煮詰めて欲しかった…こう言うと、スズキ陣営は「日本にはソリオがありますからそちらをどーぞ」という事になるかもしれませんが、いやそういう問題じゃないのです。いい車でも、スイフトが気に入っていながら、あのソリオのようなスタイリングのクルマに乗ろうとは、自分は思えません(笑)


そしてもう1つ。これは新たに気になった点なのですが、それは塗装のクオリティ。他の同クラス車でズバ抜けて良い…と感じるのはVWポロくらいなものですが、それにしてもちょっとスイフトのレベルは、軽自動車クラスを思わせる出来。これは薄いグリーンというテスト車両の微妙な色合いが問題なのか、はたまた初期ロット特有の問題か。ボディ表面の光沢感もはっきりと弱い印象。以前のテスト車両のブラックでは気にならなかったものの、他で言えばシルバーやブルーなどでもこの傾向は感じられました。これはどうやら「メタリック」が原因?

他のブラック、レッド、ホワイトはパール塗装(白だけ+21.000円)。他3色はメタリック。因果関係は確認できていないので不明ですが、他の部分のクオリティと作り込みがしっかりしているだけに、少々気になった部分。そういった事に敏感な方は、パール系のカラーを選んでいた方がいいかもしれません。

さて、色々書くうちにまた長くなってしまいました。あとはスズキの販売店自体の問題などもありますが、それらは以前の試乗記に記しているのでこちらでは割愛。しかし書くうちに、走りの良さを改めて思い出して、また乗ってみたくなってきてしまいました。これでもう少しパワーがあればなぁ…



なんて思っていたら、ついに出てきましたね。本命の新型スイフトスポーツ。改良型M16Aエンジンはさらなるパワーアップ&燃費向上、そして待望の6速MT搭載。ESPに7エアバッグ付。国内仕様は5ドア?タイアは想像するに17インチ?(ちょっと大き過ぎかな…)

しかし何より、エクステリアは超好み。ちょっとガキっぽいかもしれませんが、いいんです、自分はまだまだガキなんですから(笑)

この内容で、是非200万円切りを…いや、ひょっとしたら180万円台あたり?久々に現実的な範囲で欲しいと思わせる新車。登場が楽しみで仕方ありません。内容によっては、ひょっとしたら、就職時の愛車候補筆頭…!?…今から、ローンのシミュレーションや頭金の貯金を考え始めているのは、事実であります…(笑)




さて次回は、冒頭にも書いたとおり、スイフト最大のライバル?でもある、マツダのスカイアクティブデミオのロングランレポートをお届けします。ご期待ください。
Posted at 2011/08/13 17:16:00 | コメント(4) | トラックバック(0) | スズキ | 日記
2010年10月17日 イイね!

New!試乗記 新型スイフト~後編~

New!試乗記 新型スイフト~後編~ スイフト試乗記後編です。





さて、早速走りだしてみましょう。まずタイアをひと転がし、歩道との段差を越えた瞬間に実感できる、足回りのしなやかさ。タイアは185/55R16という立派なサイズのBSトゥランザが装着されていますが、低速域でもドタバタすることなく、キチンと履きこなしている点にまず驚き。唯一、気になる点と言えば、16インチ装着車は最小回転半径が5.2mとかなり大きめになってしまう事。可変ステアギアレシオのおかげでステアリング操作は忙しくありませんが、最初のうちはこの小回りの効かなさは慣れが必要でしょう。



エンジンは1.2Lで、シャシー性能を考えると完全にパワー不足ではありますが、そこはスポーツに期待…というところか。もっとも、同コンパクトクラスでは標準的な動力性能であり、それだけシャシーにゆとりを感じさせる…ということ。改善されたのはCVT。以前のスイフトが1.3LATから1.2LCVTへと変更を受けた際、アクセル操作に対して回転が極端に上がり下がりして、いまいちリニアさに欠ける印象がありましたが、新型はそういった部分はなし。この新しい副変速機付のCVTの幅広い減速比のおかげで、実に自然なフィーリングとなっています。XSに装備されるパドルシフト、または今時大変嬉しい5速MTをチョイスすれば、アンダーパワーをカバーしつつノーマルモデルでも十分に楽しめそうです。

さて、今回スイフトは、様々な部分がレベルアップしながらも、軽量化にも重点が置かれ、ほぼ全モデルで1トンを切っています。ここで同じコンセプトで思い出すのが、マツダのデミオ。およそ100kgの大胆な軽量化が行われ、コンパクト本来の軽快感や俊敏さを取り戻してそれが大きな魅力になっています。しかしながら、2代目デミオが持っていた、しっかりとしたボディ、スタビリティの高さや乗り心地の快適さなどはある程度トレードオフされていたという事実も見受けられました。



スイフトが凄いのは、そういった「軽量化による弊害」が一切感じられない点。もちろん先代との軽量化分差は大きく違いますが、1トンを僅かに切る点は現行モデルでは同じ。しかしながら軽快感とスタビリティの高さの両立、クラスを感じさせない安心感を感じさせるのが、今回のスイフトの一番気にいったポイント。これは今までの国産車ではあまり体感できなかったものです。現行デミオの飛び抜けた機敏さだけを見ればスイフトよりも楽しさは上…かもしれませんが、総合的な実用車としての実力はスイフトの勝ち。パッソなどとは比べ物になりません。直接的に大きく影響を喰らいそうなデミオは、マイナーチェンジでの熟成に期待、というところでしょう。

実際にはシティユースでの試乗に限られたので、是非とも機会があれば何かの形で借り出して、様々なステージで改めてテストしたいと思います。もしこれにアイドリングストップが装着されて、スイフトスポーツが170~180万円くらいで登場したら…日本車にもまだまだ希望が持てそうです。

さて最後に。プチバイヤースガイドを。買うならまずお勧めは124万円のベースモデルXG。これで装備的にはなんら不足なし。アルミではありませんが、15インチなら小回り性能もアップしてパワーとのバランスもより良好となるでしょう。むしろ、ベースモデルとは名ばかりの充実度なので、マニュアルエアコンでエンジンプッシュスタートもいらないので、もっと安価なグレードがあってもいいくらいです。

試乗したXLは売れ筋の中間グレード、XGから約7万円アップで、16インチタイア+アルミホイール、本革巻ステアリング、ドアミラーウィンカーなどが装着されてお買い得感は確かにあります。MTが欲しい場合はこのグレードが最高となりますが、しかしもしCVTモデルでもいいというならば、XLよりももう1つ上のXSを猛烈プッシュ。

価格はXGから約23万円、XLから約16万円高くなりますが、XSはまずESPとサイドエアバッグが標準装備。これでもうこの差額分は埋まったと言ってもいいでしょう。これに加えて、リアディスクブレーキ、クルーズコントロール、7速パドルシフト、フロントアームレスト、フォグランプなど、この内容で147万円は間違いなくお買い得。ちなみに、トヨタのパッソ1.0XにサイドエアバッグとVSCを装着した場合、およそ120万円強。先日登場したフィットではハイブリッドの最上級モデルにしかVSA+サイドエアバッグは標準ではなく、これだと210万円。ちなみにポロ1.2TSIコンフォートラインは213万円。街乗りコンパクトにそこまでの装備はいらない!と言われればそれまでですが、150万円以内の国産車のチョイスでは間違いなくこのスイフトは「世界的ライバルと比べても恥ずかしくない」立派な1台だと言えるでしょう。



もっとも、絶賛だけではなく、できればXGやXLにもESPの設定が欲しかった(現状ではオプションでも装着不可。実質的に現状ではMTとESPの両立はできない)ですし、せっかくスプラッシュはリア中央のヘッドレストと3点式ベルトがあるのに、スイフトには設定なし。こう書きならべると、どこぞの自動車評論家みたいな事になってきてしまいますが、スイフトが高い志を持っていると感じたからこその、さらなる要望として書き記しておきます。

そしてもっと現実的な方に目を向けると、例えばボディカラーの設定がこのクラスでは少なめな6色しかなかったり、またこれは根本的な問題点となりますが、スズキのディーラーというのは、特に田舎の方に行けばびっくりするくらいのショボさであるということ。この点で言えば、「カフェプロジェクト」と銘打って、ここ数年女性ユーザーを取り組むためにディーラーを整備してきたダイハツと比べて大きなハンディとなりそうです。別にレクサスのようにしろとまでは言いませんが、実際にMRワゴンがモコになり、パレットがルークスになり、スズキの軽が日産ブランドとして販売され元祖モデル以上の人気になるというのは、ディーラー整備網の弱さも間違いなく要因の1つとなっています。いくら力作でいいクルマを作っても、最初から購入リストに並ばなければ意味がありません。自分のようなクルマバカならばディーラーのボロさどうこうは気にせずクルマ自体の性能で判断しますが、特に若い女性ユーザーならばそうともいかないでしょう。パッソみたいなクルマが売れてしまうのは、ある意味でそういったターゲットユーザーをしっかり狙い撃ちできるトヨタの強みでもあります。

以上、少しスイフトとは別の方向の話となってしまいましたが、実際乗れば確かに評判通りの素晴らしい仕上がり。とりあえず現状で周りの同クラスと比較すると、唯一最近マイナーチェンジしたフィットのズバ抜けた総合力の高さの牙城は、さすがにこのスイフトでは崩せそうにありませんが、もうすぐ登場予定の新型ヴィッツや、パッソ、マーチ、デミオあたりは、相当焦りを感じた方がいいかもしれません。今このクラスは二極化が進んでいますが、パッソやマーチのような路線を「中途半端」に突き進んでいると、必ずしや韓国中国車にやられる時が来てしまうでしょうから…。



さて、次回は、そんなスイフトとは悪い意味で対照的?な評価の多い、日産の新型マーチの試乗インプレッションをお届け予定。こちらは運よくアイドリングストップ装着車を丸1日お借りして、いつもの様々なステージをもつコースで、じっくりと試す事ができました。スイフトでは評判通りの良さを実感しましたが、マーチは評判通りの辛口評価?となるかどうか…。ネガティブな印象で走り始めましたが、評価のほどは想像していたよりもあらぬ方向へ…!? 次回の試乗記もお楽しみください。


Posted at 2010/10/17 22:19:21 | コメント(1) | トラックバック(0) | スズキ | 日記
2010年10月12日 イイね!

New!試乗記 新型スイフト~前編~

New!試乗記 新型スイフト~前編~開設早々、更新が滞ってしまいました。すみません。

実は日曜日、鈴鹿にF1を観に行っていました。観戦場所は西ストレート~130R付近で、前日の天気が嘘のような快晴の中、素晴らしいエキゾーストノートに酔いしれました。

いやーしかし、カムイ選手の度重なるオーバーテイク!ストレートにくるたびに順位が上がって、観客席は大盛り上がり。日本人として大変誇らしい1日でした。来年も、行くぞ!






さて、今回は。新装ブログ試乗記第1弾!新型マーチとは対照的?に、登場以来かなりいい評判を聞く、新型スイフトの試乗記をお届けします。

スイフトの歴史を振り返ってみると、初代は「kei」の全幅拡大普通車版であり、軽の価格で普通が買える、とりあえず作っときました的モデルな印象が拭えませんでした。唯一、119万円という低価格で登場した初代スイフトスポーツが、エントリースポーツとして脚光を浴びた程度。思えば、これが今に渡るスイフト快進撃の予兆だったのかもしれません。

そして2代目、おそらく車好きならば誰もがその変貌ぶりに驚いた事でしょう。ヨーロピアンで洗練されたスタイリングやインテリア、そして走りのレベルの劇的な向上。「ワゴンRソリオ」などもちろんの事、「エリオ」や「カルタス」を作っているメーカーの車とは思えない激変ぶりは、記憶に新しいところです。



さて、そんな世界的にも大成功を収めた2代目が、3代目へとスイッチ。まずスタイリングですが、これはこれまでの国産車史上でもトップを争うであろう、ガッチガチのキープコンセプト。しかしながらこれは「変える事を避けた」というよりも、「積極的に守る」「変えない事への挑戦」として受け取った方が良さそうです。事実、プラットフォームを一新、パッケージングもプロポーションも変化する中で、あえて2代目ソックリにデザインするほうがむしろ難しかったでしょうから。最近の流れであるワンモーションフォルムに媚びる事なく、スイフトである事にこだわった新型。もともとのデザインが十分に個性的だったので、「わが道を行く」このスイフトの姿勢は○でしょう。

一方インテリアですが、こちらはエクステリアに比べれば大きくデザインを変えています。とは言っても、2代目のようなシンプルさはそのままに、平たく言えばより「レベルアップ」されているというところでしょうか。さすがにこの価格ではインパネはソフトパッドではありませんが、各フィニッシュでありボタン操作時の質感などは、このクラスの国産では間違いなく1番。ATのシフトブーツの処理や、エアコンやメーター内の見やすい液晶パネルもその印象を強くさせます。また細かいところでは、スポーティで視認性もよいメーターに、最近では上級クラスでも省略されがちな「水温計」もキッチリ装備されているあたり、実に「自動車」っぽさを色濃く感じます。こういった点が、このスイフトがクルマファンに好意的に受け入れられている1つの要素と言ってよいのでは。



ボディサイズは若干拡大されているものの、それは対歩行者の衝突安全性の確保などに使われているようで、前・後席の広さやパッケージングには大きな変化は見られません。しかしながら178cmの自分が運転席で適正なポジションを取りリアシートに移っても、積極的に広いとは言えないまでも、十分な居住スペースは確保されています。先代と比較すると、少しウェストラインが上がり、視野の解放感で言うと少し減退し閉塞感が増した印象もありますが、少なくともリアシートに関してはVWポロよりは確実に広く、シートの出来もちゃんとしています。

続いてラゲッジスペースですが、先に言っておくと、今回の新型スイフトで、唯一かつ最大のまともな欠点がこの項目。コンパクトカーだから仕方がない、この割り切りの良さが走りの軽快感を生みだしている等の「アバタもエクボ」的な評価もよく目にしますが、ここはそういった先入観にとらわれず、冷静に率直に感じたままに、がモットーの自分としては見逃せません。あくまでスイフトは、スポーツカーではなく、実用車なのですから。



具体的に言うと、まず開口部。その小ささもさることながら、最近では珍しいほどの床の高さ。これは、バンパーラインを上げる事によって、リアをぶつけた際に板金修理することなくバンパー交換のみで修復できる…という、スイフトのエントリー&グローバルカーらしい気配りなのですが、使い勝手の面からのトレードオフを考えれば、もう少し工夫できなかったのか?というのが正直なところ。開口部の少なさからより高いボディ剛性を実現できた…というのも、単なる言い訳に過ぎません。ただ狭くして得た魅力に、技術的創意工夫は皆無です。

実は2代目スイフトも、モデル途中のMCでリアシートの格納方法が変更を受けており、前期と後期では使い勝手が大きく異なります。もちろん広く大きく使えるのは前期のほうで、これで2代目前期>2代目後期>3代目前期、と改悪が進んでしまった結果は少し残念に思えます。

しかし先述したように、新型スイフトでマトモな不満点として挙げられるのは、この点程度。ある意味それ以外欠点らしい欠点が見つからないあたり、このクルマの凄さを物語っていると言えるでしょう。そしてその印象は、走り始めるとさらに明確なものへとなっていきます。

ゆったりとしたサイズでありながらも適度なサポート性のあるシートに座り、二重ドアシールのおかげで実に頼もしいドアの閉まり音に関心しながら、全車標準装備のプッシュスタートのボタンを押してエンジンを始動させます。そしてその瞬間から実感する、静粛性の高さと振動の少なさにまず驚き。大げさでなく2Lクラスと遜色なしと言っていい出来です。そしてシートの前後・高さ、そしてこれも全車標準のテレスコ・チルトステアリングのおかげで、ドライビングポジションもバッチリ。まだ動き出していませんが、こういった「当たり前」の事ができない国産車は、実はいまだに多かったりします。


…後編へ続く。
Posted at 2010/10/12 20:26:41 | コメント(1) | トラックバック(0) | スズキ | 日記

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