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九郎田一馬のブログ一覧

2010年10月19日 イイね!

〔過去試乗記〕 三菱i-MiEVワインディング&高速インプレッション

〔過去試乗記〕 三菱i-MiEVワインディング&高速インプレッションさて、再び過去試乗記。
今回はアイミーヴをピックアップ。

実は、ベースのiは登場して以来大好きな1台でした。これまでターボやNAも1日借り出して走り、その軽とは思えない走りのクオリティに心酔。その時はまさか、これほど早く最新の電気自動車を、このクルマで想いのまま試せるとは思ってもいませんでした。これまで東京モーターショーでの試乗、そしてレンタカーで借り出しての走行など、おそらくオーナーさん以外では相当乗りまわしている分類に入る…かと自負しています。笑

1度乗れば必ず今までの価値観がぶっ壊される。それほどのいい意味での破壊力を、EVは可能性として持っています。

そしてもう1つ。その破壊力が引き出されるのは、まずEVどうこう以前の問題に、「自動車としての魅力」がキチンと備わっている事。これが大前提で、自動車として商品的価値があるのだと改めて感じさせてくれたりもしました。







今回はアイミーヴの試乗レポートをお届けします。アイミーヴに関しては、以前TMSでの簡単なレポートをお届けしましたが、今回は半日お借りして約100kmを走行。急速充電も体験する事ができました。

今回アイミーヴをお借りしたのは、全国でも珍しい「エコカー専門レンタル店」として営業しているオリックスレンタカー京都駅前店。プリウスやインサイトはもちろん、以前CR-Zのロングランテストの際の車両もここでお借りしました。他にも「フリーウォーク」のアプリ利用で観光案内をしてくれるiPhoneを貸し出してくれたり、レンタサイクルも用意しているなど、観光都市である京都ならではのサービスを展開しています。

今回借り出したシルバーのアイミーヴですが、この車両はまず市役所が公用車としてある一定期間利用して、その後何台かをレンタカーとして運営開始したとの事。外装や内装は新車そのもののキレイなものでしたが、すでに4000kmほど走行していた車両でした。



さて試乗開始。ベース車との違いと言えば、その特徴的なカラーリングを除けば、前後のLEDヘッドライト・テールランプ程度。MCによってフロントバンパーの塗装処理が格段に安っぽくなってしまった点も、このアイミーヴは引き継いでしまいました。フロントワイパーの形状変更や車重増に伴うブレーキ径の拡大など、細かい点も変更されています。

ドアを開けて乗り込んでも、メーターとシフトまわり以外はiと何も変わらず。パッケージング面で何も犠牲になっていない点も、このアイミーヴの魅力を際立てせるアドバンテージです。

エンジンに火を入れる…ではなく、スイッチをONにするかのようにノブを回すと、すでにプリウスなどで何度も味わっているこの儀式、静寂状態のままメーターパネル内に「READY」の表示。これで発進可能。当然動き出しは無音そのもので、強くアクセルを踏んでもずっとモーター駆動のまま。頭では分かっているものの、この感覚はやはり実際体感してみると、まさに「静かなる衝撃」。

まず最初はシフト位置をECOにしてスタート。ややアクセルを閉じた時に回生による減速感が若干強めに感じるものの、日常域ではこのECOモードで十分な加速感。あえて発進時の急激なトルク感を抑えてあるようで動き出しはいたって普通ではありますが、一度動き出してしまえばその後の中間加速は非常に力強く感じます。

直線に入ったところで、シフトノブをDへ動かしてアクセル全開。するとiのターボモデルでは絶対に味わえない、いやレシプロエンジンとは全く異なる加速感!電車のようというべきか、雲の上を滑っているというべきか、いやはやなんと表現すべきか。とにかくEVが今までの自動車とは少し異なるベクトル上にある乗り物だという事を実感しました。エコという言葉うんぬん関係なしに、純粋に気持ち良さを感じられる乗り物と言えます。

おそらく、シティユースならECOモードで十分な性能。こちらをデフォルトとして普段はできるだけ航続距離を伸ばし、Dレンジを多人数乗車時の山道や合流などで使用するスポーツモードのような形で考えて使用するのがベストでしょう。

バッテリーの搭載で車重はかなり増えていますが、その効果は乗り味に表れていました。床下が重い事で乗り心地は非常に落ち着いたしっとりしたものとなっており、ベースモデルから比べると確実に1ランク上。もちろん登場当初からパワステやサス、シートの見直しによりガソリンエンジンのiもキチンと進化しており、そちらの進化との相乗効果が出ているとも言えるでしょう。

ハンドリングもこれまた新鮮な感覚。ベースモデルのiはとにかくどこまで攻め込んでも軽快かつナチュラルな挙動が印象的でしたが、アイミーヴのほうはどっしりと安定して落ち着いた印象。機敏さは相殺されているものの、床下が重めのためにロールスピードが少し早めでも不安な印象は感じられず、旋回能力はなかなかのもの。素早い切り返しでも不自然にヨーが残るような事もなく、ビシッとしたスタビリティの高さを実感できます。



次に、今回はまとまった時間アイミーヴと過ごせる事になったので、より自動車的な魅力がどうか…日常域やEVという存在意義を語るには少しベクトルが異なるかもしれませんが、短時間では試せない「ワインディング」や「高速道路」へステージを移動します。

テストの日は土砂降りで生憎のお天気。借り出しの際に「京都市内からは出ないようにお願いします」「走行距離目安は80~100kmまでで」との事。しかし京都市内から少し走れば、画像のような山深くのワインディングを見つける事ができます。ここではエコランをやめて、Dレンジで思いっきりアクセルを踏み込んでみる事にします。

まず感じるのは、アクセルを踏んだ瞬間に最大トルクが発生される、そのモーター特性をいかんなく発揮したその俊敏性。加えて、リアには贅沢にも175幅サイズのタイアがおごられるアイ&アイミーヴですが、このアイミーヴにはそれに加えて、「軽自動車」としては珍しくTCSも装備されています。その理由が今回雨のワインディングで走ると改めて理解できます。

試しにTCSを切ってラフにアクセルを開け閉めすると、立ち上がりでリアが一瞬ズルッと吹っ飛びそうになる挙動が出てきます。基本はアンダーセッティングでフロントが逃げ始めが早いので心配はありませんが、64psに抑えられてはいるものの、まずノーマルのアイでは出ない挙動を見せてくれるあたり、アイミーヴのパワフルさを現して言えるでしょう。また、アクセル操作に対する反応が「良過ぎる」が故に、雨の立体駐車場の登り勾配などで、リアタイアがズルッと滑る場面に今回遭遇しました。TCSの装着は必然的とも言える判断だったことが伺えます。



さてお次は高速道路へ。距離を考えるとほんのわずかな区間・・・今回は京都南~京都東IC間の往復でしたが、ここで新たなこのアイミーヴの楽しさを味わう事ができました。

それは「音」。エンジンサウンドというのはクルマを楽しむファクターでも非常に重要な1つであり、それがなくなるEVに関して、楽しさなんてないという偏見がクルマ好きの中でもまだまだ根強く残っています。

しかし今回試したところ……いやぁ、なんて気持ちいい事か。モーターの高周波の音が速度を増すにしたがって「ヒィィィィィィーン!」と大きくなっていき、それはまるで飛行機の離陸音のよう。個人的にはこれは「ノイズ」ではなく、「サウンド」と感じ取れるものでした。もう気持ち良過ぎて、何度もアクセルをパカパカと開け閉めして、この新たなる次世代自動車の歓びを堪能。またワインディング時でも感じたパワフル感も健在で、モーター回転8500rpmで達成する最高速130km/hは、メーター上ですぐに確認する事ができました。またバッテリーによる重量増のおかげか、フロントがちょろちょろと落ち着かないアイの特性も上手く拭い去っており、その静かさも含めて、あらゆる速度域でベースとなるアイのターボ車よりも快適である…今回改めて自分で体感し、その事を確信へと変えました。



EVの特性上、速度を上げれば上げるほど「電費」は不利になるので、やはり軽自動車のようなシティコミューター的な使い方がベストだと個人的に今でも思っていますが、ここまで高速域で気持ち良さが味わえるとは。短い試乗だけでは絶対に分からなかったであろう、実に新鮮な体験でした。

さて、どんどんと楽しむうちに、残り航続距離もそろそろ少なくなってきたので、急速充電も体験する事に。市内のどこに急速充電器があるかはナビで設定されており、おおよその目安を考えておけばビクビクする心配もなさそうです。充電場所はもちろん屋根付。タッチパネルを操作して、ノズルを持ち、車体左後部へセット。充電が開始になると、勢いよくクルマの外気ファンが回り始めるので、その音に少しびっくりするかもしれませんが、作業自体は実に簡単。



ただ難点を言えば、そのノズルとコードの重さでしょうか。特に小柄な女性の場合は結構な重労働となりそうです。やはり急速充電はあくまで「非常用」であり、日常では100・200Vで家庭充電するのが理想的な使い方だと思われます。

さてトータル約100km走り、改めてこのアイミーヴの魅力の高さを実感。今回は街中だけではなく、ワインディングや高速、ある一定期間を試せる機会でしたが、走れば走るほど、このクルマにどんどん惚れていく自分がいます。もちろんそれは、ベースとなるアイがもともと持つスタイリングの素晴らしさや単なる軽とは異なる走りへのこだわりがあったからこそ。航続距離が短い事は欠点と言えば欠点ですが、それを今現在のEVの不満点として問う事は、例えばロードスターに積載性能を求めるようなものであって、少しお株違い。もともとそういう事を前提とした上でこのクルマを接する付き合い方をしていくのがEVであり、その点で言えば意識改革を行うのは、我々ユーザーのほうかもしれません。

高価な軽自動車になってしまうという点で言えば、もうすぐ登場する日産のリーフのほうがポテンシャルは高そうではありますが、個人的には先述したように、EVは軽自動車枠のサイズであるからこそ真価が問われると考えます。きっとリーフくらいにボディサイズも居住空間もゆとりがあれば、その分航続距離の短さなどのデメリットがより切実に感じられてしまうと思うのです。あとさらに個人的な感情を持ちだす事をお許し願うならば、いくらエポックメイキングで素晴らしい実力を備えている最新EVであったとしても、あの理解不能なリーフのデザインを採用した事には心底ガッカリ。

奇抜なインパクトだけで言えば、例えばジュークのデザインでEVだったとしたら、まだ日産の心意気を感じる事はできたのですが。その点だけでも、個人的には乗っていて恥ずかしくない、アイミーヴの圧勝という気持ちでいます。



さて最後に、これからのEV評論について思う事を少し。アイミーヴに乗って感じた事は、まず自動車としての実力の高さがあった上で、初めてEVという価値観の素晴らしさが生まれるということ。よく「エンジンを必要としないEVは、バッテリーさえあれば、様々なベンチャーが自動車業界に参入できるチャンスである」というような報道もなされていますが、今の時代に必要とされる基準をクリアし、さらには自動車としてドライバーに魅力を兼ね揃え、商品的価値としての何かを盛り込む事は、ノウハウのないそんじょそこらの新興企業が成し得る事は並大抵のものではない…ということを、声を大にして言っておきたいと思います。テスラのような形態が増えるのであれば、これからのEV事業はもっともっと面白くなっていくでしょう。

そしてもう1つ。迫りくる欧州勢の脅威も忘れてはなりません。今間違いなく世界で1番日本がリードしている分野であり、まだコンセプトカー段階の車を引き合いに出して、すでに市販ベースの日本車をコケ扱いする一部カーメディアの左翼的報道もどうかとは思いますが、ここ10年のスパンで間違いなくそのリードは着実に縮んでくるでしょう。

例えばその時に、ゴルフEVが市販となり、リーフと比べた時に、EVという利点でスタート位置が揃った場合、結局は今現在で言う「ゴルフとティーダ」の比較状況と同じようになってしまうのではないか。そう考えた時に、果たして日本車はこれからどういう価値基準でクルマの魅力を作っていくのか。例えそれがEVであろうとハイブリッドであろうと燃料電池であろうと、「クルマとしての魅力作り」の歩みを決して放棄してはいけない、という事を最後に、このレポートを終えたいと思います。

Posted at 2010/10/19 22:46:02 | コメント(1) | トラックバック(0) | 三菱 | 日記

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