
さて、前回
スカイアクティブデミオの試乗速報をお届けしましたが、数十分の試乗ではその真意まではなかなか判断することはできません。注目の1台なだけに、もっと走り込みたい…そんな希望が想像以上に早く叶い、早速1台借り出して、高速・一般道・ワインディングとあらゆるステージを試すロングランテストを実行することができました。
今回は燃費計測を含めて、約850km走行したデミオ13-SKYACTIVのレポートをお届けします。
テスト車両はシルバーの13-SKYACTIV。走行わずか130kmのド新車。この地味な色だと営業車っぽさ全開ですが、彫刻的で抑揚の効いたボディラインは、こういった色の方が際立つかもしれません。事実、デミオはブルーやグリーンなどの目立つボディカラーもありますが、シルバーも色合いの違う3色をそれぞれ用意していたりします。
マイナーチェンジで変更されたのはバンパー・グリルだけですが、空力の事も考えつつ実に洗練されたデザイン。表情が豊かになって、とてもデミオにマッチングしています。フェイスリフトで顔が崩れず完成度が上がる珍しい好例ですね。
スカイアクティブの専用パーツは、ヘッドライトのブルーのアクセントと、LEDテールランプ。LEDは写真のように2列になって光ります。ただテールデザインはベースモデルと全く同じにする必要もなかったのでは…?
140万円のベースモデルなので、見た目ではドアミラーウィンカーやプライバシーガラスはなし。リアのヘッドレストはシート一体型。またまた安っぽい…(苦笑) 残念ながらベースモデルなのでシートリフターもなし。前回のレポートや、カービューでの岡崎さんのレポートでもありましたが、これらの装備たちがわずか+5万円で装着されるセットオプションのパッケージ1は絶対に付けるべき。
次にシートですが、こちらはスカイアクティブ専用のシート。新素材のネットなどが採用されているのですが、ちょっと張りが強くて身体とのフィット感やサポート性はイマイチ。また、ベースモデルとは違い、相当背もたれを起き気味にしてもどことなく遠いヘッドレストも気になりました。黒一色というのも、オシャレなカームホワイトの内装からすれば相当地味。
しかし最初の印象はあまりよくなかったものの、重量分散はよく出来ており、ロングドライブでの腰の疲労感は最小限で、その点ではなかなかの実力派でした。完全に新車状態だったので、ある程度クッションが馴染んでくるとちょうど良くなるのかもしれません。
ドライビングポジションは極端にアップライトな印象を抱かせず、比較的低めの着座位置で雰囲気はスポーティ。しかしながら窮屈な印象を抱かせず視界良好なのは、前席付近でグッと下がるウエストラインと大きめのドアミラーのおかげ。このあたりの空間設計の上手さはデミオの美点の1つ。ただ、唯一ステアリングにテレスコ調整が未装着なのが惜しいところ。
インテリアは質感の低さを解消するべく、ピアノブラックのパネルやメッキのリングやモールを追加して頑張っている…のではありますが、元々のチープさを払拭するまでには至らず。ぜひともスカイアクティブにも、単調な黒ではなく、もう少し明るい内装色がほしいところです。
ハザードランプを目立つ色に変更するなど、地道な改良は○。あとそれに加えて、サイドブレーキ周辺の収納性や利便性の高さは、目立たないもののかなり褒めたいポイント。財布、携帯がすっきりサッと置け、紙パックのドリンクもしっかり固定できるなど、よく考えられています。本棚ラック風のグローブボックスもアイデア賞モノ。
リアシートは正直言って割り切り感が顕著。中央席ヘッドレスト&3点ベルト装着可能になったのは歓迎ですが同クラスで一番後席3人掛けをしたくない1台と言えるでしょう。ただ改めて気づいたのは、デミオの積載能力の高さ。シートを倒しても大きめの段差が残りますが、ラゲッジスペースの広さはなかなかのもの。新型が出た当初は、先代モデルがこの項目でかなり優秀だったため狭さが目に付きましたが、新型スイフトの使い物にならない狭さから比べれば、格段に広い(笑)
意外な事に、懸命に軽量化に力が注がれたデミオながら、テンパータイヤはこのスカイアクティブも標準。これをレスにすれば1トンジャストも達成できたかもしれませんが…。
さて、ボンネットを開けてみましょう。
まず目に飛び込んでくるのは鮮やかなブルーのエンジンカバー。このあたり普段目に見えない部分のコストカットはヴィッツやマーチ、はたまたポロあたりも凄い割り切り用ですが目玉が「エンジン」なだけに、見た目のアピールには事欠かしません。
そして気づかされるのが、エンジン自体のデカさ。ベースモデルに比べて明らかにぎゅうぎゅう詰めな印象。スカイアクティブにHIDが装着できない理由がよくわかります。このデミオのエンジンスペースにスカイアクティブをぶち込むには、開発陣の方々には相当な苦労があったことでしょう。
そしてもう1つ。これまた相当にでっかいバッテリー。2個→1個になったのはi-stopの劇的進歩ではありますし、アイドリングストップ車のバッテリーは皆このくらいの大きさはあります。
ただ、装着位置が比較的上部になることもあり、見た目からも明らかにフロントの重心位置を上げていそうで重量バランス的にもちょっとこれは…
エコカーとはいえ、そこはズームズームのマツダ。ロードスターみたいにトランク移設すれば…なんてクルマ馬鹿の戯言で無茶なリクエストを言いたくなる…と思いきや、なんと1度は実際に検討した結果、コストアップの兼ね合いから泣く泣く諦めたんだとか。さすがマツダ、といったエピソードでしょうか(笑)
さて、早速走り出してみましょう。一般道での印象は以前書いた通り。ドアを閉めた瞬間の音から分かるボディのしっかり感の向上。歩道の段差を越えるだけでも乗り味の質感が大いに向上していることが分かります。走り出せば、スカイアクティブ専用の遮音フロントガラスの効果も手伝って、静粛性は先代モデルと比較にならないほど。ダウンサイジングユーザーにもすんなり受け入れられそうな、この走り出しからの数分でも分かる進化。軽快、だけど華奢…なイメージはかなり払拭されています。
さて、ここからは高速道路へ。とは言っても、土曜日の阪神高速、流れ自体はさほど良くなく、渋滞もところどころ発生しています。
まずは流れに沿って、左側で大人しく。一般道での印象の良さそのままに、奈良方向に向けて100kmほど走った時のメーター内の燃費表示がこちら。i-DMは5点満点で走りを評価してくれるのですが、この時は4.5。気温からも分かる通りエアコンはもちろんONで、のんびり程度に走っていきなりこの燃費。これから期待がもてます。
さてこの後は、アップダウン激しい名阪国道、伊勢湾岸での高速ハイペース巡航、表・裏六甲のワインディング全開走行などなど、エコカー的には厳しい場面が続きますが、楽しい走りを両立させるスカイアクティブをテストするフィールドには最適でしょう。様々な場面でのロングランテストの模様は、次回後編へ続きます。
Posted at 2011/08/27 20:52:24 | |
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マツダ | 日記