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九郎田一馬のブログ一覧

2010年10月26日 イイね!

フーガHV登場 改めてフーガを振り返る

フーガHV登場 改めてフーガを振り返る本日、フーガハイブリッドが登場しました。

画像は、昨年の東京モーターショーで公開されていたハイブリッドモデルのプロトタイプです。市販型で異なって見えるのは、ホイールがブロンズ塗装になっている程度でしょうか。

19km/Lの燃費、リチウムイオンバッテリー、2つのクラッチを有し7速ATを生かしたドライブトレーン、その他今ある日産の最新鋭技術がふんだんに盛り込まれたその内容には、興味津々。もっとも、ベースより200cc少ないものの、それでもすでに必要十分以上のパワーがある3.5Lエンジンに、バッテリーを搭載して「圧倒的な性能」と「燃費」を両立するコンセプトには、クラウンHVと同じく疑問符が残りますが…。2.5Lベースのハイブリッドならば、さらに燃費コンシャスにすることも可能なはず。現状では、やはり「ハイブリッド」という名前の記号に頼っているというのが現状かもしれませんが…



しかしその割には、このフーガハイブリッドは、エクステリア上での差があまりになさすぎ。パッと見エンブレムとホイール色が若干違うだけで、ボディカラーもベース車と同じく地味な色ばかり。過去失敗してきたハイブリッド車の定説を見事に受け継いでしまっています。まだ、センスの悪いクリアテールを採用しなかっただけマシかもしれませんが…。



シーマがなくなり、V8がなくなり、このハイブリッドは実質日産のフラッグシップ。577万円スタートという価格は内容を考えれば非常に魅力的ではありますが、399万円の廉価版フーガとなんら違わない見た目…。この素晴らしく魅力的な内容を生かしているようには全く思えません。それとも、もうそういう見栄やフラッグシップとしての意識は、エルグランドに譲ってしまったということでしょうか?せめて、まだあまり街中で見ないタイプS仕様のエクステリアに18インチ専用ホイール、くらいなら簡単にできると思うので。


と早速辛口気味ではありますが、機会があればぜひ乗ってみたい!楽しみです。そしてこの機会に…ベースとなった現行フーガの250GTと350GT・VIPの過去試乗記を振り返りたいと思います。






新型フーガに試乗する機会を得ましたのでレポートしたいと思います。いくつかエンジン・サスペンションの組み合わせが存在するフーガですが、その中で今回は2種類の個体を試す事ができました。1台はホワイトの250GT(ノーマルサスペンション仕様)と、もう1台はブラックの370GT VIP(コンフォートサスペンション仕様)。残念ながら注目の20インチタイア+スポーツサスペンション仕様のタイプSは試す事は出来ませんでした。

当日は残念ながらあいにくのお天気で、豪雨で路面もヘビーウェット状態。そんな中、250GTの方は市街地~高速までの少しまとまった距離を、370GT VIPでは距離と時間は僅かながら、リアシートでの乗り味のチェックも行う事ができました。



さて、早速ドアを開けて室内へ。以前お伝えした通り、他の日産車との共通部品が本当に見当たらず、各スイッチ類のタッチや動作部分の動きの質感など、非常にしっかりと煮詰められています。8インチとなって見やすくなったモニターの視認性も◎。もちろん豪華に感じるのは当然最上級モデルでフル装備の370GT VIPのほうですが、「普通の」本木目パネルにファブリックシートの250GTでも、基本的な上質さに大きな違いはありません。

唯一大きな差として感じるのは、プレミアム本革が使用されるステアリングの質感の違い。これは標準仕様と直接比較すると、一度握るだけでそれはそれは明確な質感の差が存在します。贅沢を言うならば、これは是非全グレードに展開してもらいたかったところ。



さて、左側のスイッチを押してエンジンスタート。一瞬振り切れるメーターのウェルカムアクションと共に、かなり豪快なエンジン音が室内へ。特にこの季節のコールドスタートの時は、排気系の音が耳につきます。

他の風切り音やロードノイズ、サスからの音などの遮音性は非常に優れているだけに、発進直後と2000~3000回転の常用域に後方から聞こえてくるこの音は明らかに意図的な演出によるものでしょう。これは走り始めてから常に耳に残り意識する音であり、これを「高級車らしからぬノイズ」と判断するか、はたまた「心地いい演出されたサウンド」と評価するかで、このフーガのイメージは個々で大きく変わってくることかと思います。今回は豪雨の中での試乗ということで、他からの侵入音もかなり大きめではありましたが、とりわけ3.7Lモデルの後席ではこの排気系の音は少し過剰に思えるほど響いてきました。

いきなりネガティブな書き出しになってしまいましたが、従来の日産車から比較して大きく改善されたのは発進時の際のスロットルマナー。このクラスの日産車はどうしても初期のアクセルレスポンスが敏感すぎる嫌いがあり、ここぞ!という時の瞬発力はさすがなものの、ジェントルかつスムーズに走りたい時にはかなりアクセルワークに神経を使わされる傾向がありました。

しかしながら、新型では「ドライブモードセレクター」の存在によってドライバーが任意にコントロールできるようになり、完全にこの悪癖は克服されたと言っていいでしょう。個人的には街乗りだけならば「ECO」状態で十分。これでパワー的にはなんの不満も感じられません。



3.7Lモデルはこれでも十二分な極太なトルク感を味わう事もできますが、このVIPには今回注目の装備の1つであるエコペダルが搭載されており、アクセルを踏む事をやんわりと拒絶されます。もちろん、セレクターを「SPORTS」にし、ドカンと踏み込めば怒涛の加速を味わう事ができますが…。

ここ1発でのパンチ力で有利なのは当然3.7Lモデルですが、せっかくのパワーをエコペダルで抑制して…というような走りのリズムに、どこかチグハグさや矛盾が感じられたのも事実。このエコペダルがVIPのみに標準装備されている理由もなんとなく分かったような気がします。

ということで、個人的にバランスの良さを感じたのは、圧倒的に2.5Lモデルのほう。こちらは3名乗車で高速走行も行いましたが、確かに最初の一踏みでのトルク感では排気量のハンディを感じる事がありますが、それを実に上手くカバーしてくれるのが、今回2.5Lモデルにも搭載された7速AT。こちらはギア比・ファイナルともに3.7Lと共通ではあるものの、トルコンの滑りを感じさせずスパッと変速してくれるつながり・マナーの良さ、そしてシフトダウンは日産お馴染みのシンクロレブコントロールでブリッピング。十分に走りを楽しむ事ができます。

そしてその印象の良さはフットワークにも。標準状態で245幅の18インチという大径タイアを履きつつ、とくにフロア剛性の高さも手伝って、持て余している感じはほとんどありません。少し低速では若干硬めなものの、高速域ではダンピング性も直進安定性も非常に落ち着いたマイルドなセッティング。電動化が進む中、油圧式パワーステアリングにこだわるだけあって、ステアリングフィールも接地性をキチンとリニアに伝えてくるあたりは大変好印象。また、ヘビーウェットでも効きとコントロール性が抜群に良いブレーキもクルマのフットワークの良さを引き立ててくれる一因と言えるでしょう。気をつけたいのは、このクラスのFRセダンとしては予想以上にハンドルの切れ角が少ないこと。大きなボディサイズも含め、取りまわし性能にはそれなりの覚悟が必要です。



さらに乗り心地を…という方には、VIPのコンフォートサスペンションもお勧め。その名の通り、ノーマルサスで若干感じられた硬さはこちらでは全くと言っていいほど払拭されており、それこそ歩道の段差を1つ乗り越えるだけで明確な差が感じられます。同条件でワインディングなどペースを上げた状態で比較できなかったのは残念ではありますが、極端にこのフーガのフットワークの良さを犠牲にするのでなければ、他のグレードでもオプションで選択可能なこのコンフォートサスは、なかなかお勧めかもしれません。

もちろん、それが電子制御を用いて、1つの足でこの良さそれぞれが両立する事ができれば言う事なし、なのですが…。しかし、いわゆる「素」のサスペンションとボディバランスでここまで大きなクルマをこの乗り味にまで仕上げてくるシャシー性能の高さは、フーガ最大の美点かもしれません。

繰り返しになりますが、今回のように2台をいろいろな条件でたっぷり試乗できる機会に恵まれただけに、タイプSを試せなかったのが非常に残念。また機会があれば、ハイブリッドと合わせて、このモデルの印象をお伝えできれば…と思います。
Posted at 2010/10/26 22:07:08 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日産 | 日記
2010年10月25日 イイね!

New!試乗記 新型マーチ12X 

New!試乗記 新型マーチ12X 
さて今回は登場以来何かと?話題の多い、新型マーチの試乗記をお送りします。前回のスイフトの試乗記では、その評判通りの仕上がり具合を確認しましたが、今度のマーチは果たして…。

ちなみに今回は、レンタカーとして1日借り出し、約500km様々なシチュエーションでテストを実施。加えてグレードは、レンタカーであれば通常は廉価版の100万円を切る12Sなのですが、今回は要望にお応えして頂き、アイドリングストップを搭載する中間グレードの「12X」を試す機会に恵まれました。価格で20万円以上の開きがありますが、やはり売りであるアイドリングストップ仕様をこういったレンタカーで配車してもらえるというのは「レンタカー評論家(?)」となりつつある自分としては、嬉しい限りです。笑






さて、まずはエクステリアから。相当に冒険をしたK12型のイメージを少し残しつつ、「かっこかわいい」フロントフェイスの顔付きは、以前ほど女性ユーザーに絞る事なく、ややユニセックスな印象へと変貌を遂げています。しかしながら、チャレンジングさで言えば先代の方が圧倒的。バンパーのフィッティングなどの精度上だけでなく、プレスなどのデザインからも「コストダウン」が見受けられる、残念な意味で貴重なクルマと言っていいかもしれません。また、従来の女性ユーザーには嫌われ、かと言って男性ユーザーにもさほど受けない、中途半端になった印象を与える心配も…。自分の周りだけの反応ですが、「前のマーチのほうが可愛かったのに」という女の子からの意見をよく耳にします。



そんな印象をさらに強める事になりそうなのは、インテリア。デザイン面、クオリティ面、いずれに関しても、2010年に登場したとは思えぬその出来。安っぽさがあるのは当然ながら、そのチープさをカジュアルさに見せるのがセンスであり、このあたりパッソあたりは実に巧みに「ごまかして」いますが、このマーチに関してはそのごまかしさえ感じられません。最上級グレードの12Gならば内装色の関係もありかなり印象が良くなりますが、量販グレードのブラック色のインテリアは質素の一言。メーターも悲しくなるくらいにシンプル。そしてシートはサイズ、質感、サポート性、耐久性など全てに置いて、イマイチ物足りないという印象です。



といきなり酷評気味でスタートしてしまいましたが、いざエンジンをかけて走り始めると…、なかなかどうして、これが実に活発かつ軽快に走ってくれて、印象がどんどん良くなっていきます。

まずは、3気筒の1.2Lエンジンと副変速機付CVTのマッチングの良さ。3気筒…ということで、NV(ノイズ、バイブレージョン)性能に不安もあったのですが、全くそれは感じない…と言えば嘘になりますが、かなり抑え込まれており、不快に感じるほどではありませんでした。少なくともトヨタ系の3気筒よりは、数倍マシな出来と言って良いでしょう。関心したのは、主に高回転時のフィーリングや、アイドリング時のポロポロといった振動などで3気筒の宿命を感じる時に、もちろんその振動自体の問題の解決だけでなく、それらのシチュエーションをできるだけ発生させないような、そんな工夫が走りのチューニングによってもたらされている事。



まず1つに、3気筒「だから」感じてしまうザラついたフィーリングを、3気筒「らしい」低速からのパンチ力で上手くカバーしている事。960kgと軽量なボディと、制御の賢いCVT、そしてこの次世代を担う新しい軽量コンパクトな3気筒1.2Lエンジンの組み合わせは、街中から高速道路本線合流あたりの速度域でも、アクセル操作に対し実にリニアに力強く反応。この「コンパクトらしい軽快感と俊敏さ」を持ち合わせた動力性能(フィーリングはまた別として)に限れば、明らかにスイフトよりも印象は上。よって、よほどの場面でない限り、高回転を使う機会はあまりなく、むしろ3気筒の弱点よりも、3気筒だからこそのメリットを実感する事の方がテスト中多く感じられました。巡航状態でも、ギリギリ大きな振動が発生しないポイントまで回転をスッと下げ、スロットルに対しギア比がチョロチョロと反応しない賢いCVTの相乗効果もあって、一般道でも燃費は19~20km/L付近とかなりの好成績でした。

そしてその燃費の良さと、もう1つの3気筒の弱点をカバーするのは、注目のアイドリングストップ機能。この完成度に関しては、初物としては想像以上と言って良いでしょう。停止後数秒たってエンジンがストップ、もちろんブレーキを踏んでおかなければエンジンが再始動してしまいますが、マツダのi-stopのように少しでもペダル踏力が弱くなるとエンジンがかかるような事もなく、ブレーキを離してからのエンジンスタートの反応も実に自然。加えてエンジンがストップしている間は、当然の事ながらその時に3気筒特有の振動に悩まされる事もありません。



また、日産方式ではステアリングをある程度切っていてもエンジンはストップ。そのかわりにブレーキを踏みつつ、ステアリングに少しでも力を加えるとエンジンがスタートするロジックは、右折時などにエンジン始動がワンテンポ遅れないかという不安を取り除いてくれる、実に利に適った実用性の高さを体感する事ができました。今回のマーチで、もっとも関心した部分は、このアイドリングストップの完成度の高さだったかもしれません。今年の猛暑が過ぎ去った後のテストだった、というエクスキューズを残さなければいけませんが…。

さて、思った以上に良い!と思いつつ、そう思った部分の紹介はすでに終わってしまいました。苦笑

そのパワートレーンの出来の良さを思いつつ、しかし、そこからはどうしてもウィークポイントばかりが顔を覗かせます。まずは足回り。大まかに言うと、「しなやかさに欠け低速での乗り心地は大した事ないのに、かといってロールはひたすら大きく、速度が上がるにつれてフワフワした印象が大きくなる…」といった悪循環に。唯一、このクラスとしてはかなりゆとりのあるサスストロークでリアの接地性変化が少ない事には関心しましたが、おそらく基本性能という部分ではなく、セッティングが悪さをしているのでしょう。ダンパーの減衰であったり、ロールセンターの軸バランスの悪さであったり、ロールスピードがコントロールできていなかったり…。

またスイフトと比べると静粛性に関しては悲しい程の差があり、「最近のこのクラスのクルマは静かだなぁ。」とよく思う事が多い中で、「あぁ、久々にこのクラスのクルマらしい賑やかさだなぁ。」と苦笑いしてしまいました。もちろん、これはこれでこのクラス本来あるべき姿の提案、とも言えるかもしれませんが…。電動パワステの出来や、ボディ剛性のしっかり感、むしろ、走りに関しては散々だった先代K12(とくに前期初期モデル)と比較すれば、各段に良くなっているのは事実ではあります。

しかし現代基準のコンパクトで言えば、トータルバランスの仕上げとして、走りのキャラクターをもう少し絞り込んでもよかったような気がします。スイフトのように全項目で良点を稼げるのならそれがベストですが、そうでないマーチのキャラクターを真っ向否定するつもりはないので(これに関しては後述)、程良くまとめたセットアップもできたはずですが、イマイチ熟成不足というか、方向性に捉えどころがないとしか言いようがありません。ここは今後のマイナーチェンジや、ツインチャージャー仕様追加時の改良に期待したいと思います。



そして、個人的にどうしても気になった部分を2点。1つはタイア。今回のテスト車12Xには、純正で聞いた事のないような格安ブランドが装着されており、日常域では少しロードノイズが大きめかな?という印象でしたが、評価が激変したのはウェットコンディションで走った時。ここ最近のタイアでは感じた事のないような、ちょっとおっかなびっくりするほどの、唐突に訪れるウェット時のグリップ感の欠如とハイプレの起きやすさ。とくになんてことのないコーナーで、ステアリングが急にフッと抜けた時は恐怖そのものでした。タイアを確認しても、距離的に考えても、一皮むけてちょうど一番タイアのおいしい期間くらい。これでこの性能では…もし自分が仮にこのマーチを日常的に乗るならば、コストうんぬん関係なしに、まず速効国産タイアに履き替えます。VDC標準云々以前の問題として。12Sと12Gに装着されるファルケンも、タイ生産ですが…。

もう1つ、それはドアミラーについて。歴代マーチの伝統として、視界の広さと運転のしやすさは美点として引き継がれており、それはこの現行K13マーチにも当てはまりますが、ただ1つ、ドアミラーの幅が最近のクルマにしてはかなり狭め。写真で見る限り若干ではありますが、これが車線変更時に、目視で確認できない部分が、ミラーの死角と重なってしまう事がよくあり、慣れるまでかなりヒヤヒヤした気分を味わいました。ミラーtoミラーの狭さはクラス随一で、すれ違いなどではその効果をいかんなく体験できますが、それを少しだけ犠牲にしても、もう数センチだけドアミラー幅を大きくしてもらえれば、さらに安全なドライブが楽しめる事と思います。



さて、色々書いてきましたが、自分としては酷評する部分がありつつ、クルマそのもののキャラクターを真っ向否定するわけではありません。イマイチ個性がない部分は気になりますが、別にスイフトやフィットのようにならなくても、コンパクトで扱いやすくて必要十分範囲の性能で、タイ生産のメリットをいかんなく発揮したライバルよりも手頃な価格のマーチのまとまり具合だって……

…手頃?


そう、マーチ最大の欠点は、その価格。別にタイ生産どうこうは、クルマ好きであったり経済学的に産業の空洞化を一層進める深刻な問題…ではありますが、別にマーチを買う女性ユーザーにはそんな事は後付けの事実なので関係ないでしょう。

ただ、スイフトのXG、フィットの1.3Gとほぼ同価格の、マーチ12Xの約123万円という価格は、それらと比較した時に、仕上がり度合やまとめ方を考えると、どう考えても高すぎ。キャラクターや方向性は認めますが、それに見合った商品性、価値提案がなされているかと問われれば、はっきり言って「NO!」。わざわざタイから持ってきたものを再度日本で製品チェックし、たいして良くもなっていないのに割高な価格を掲げてしまうあたり、日産はいったい何を考えているのやら?グローバル的展開で見るとこの方法は十分合理的なのでしょうが、日本にいるユーザーは首を傾げるしかないでしょう。まだ装備的にも質感的にも充実している12Gですが、これで約147万円になってしまうなら、それこそ論外です。

仮の話、極論になりますが、例えばもしこのアイドルストップ付の12Xが12Sの値段で(すなわり100万円前後で)、12Gが12Xの120万円前後であるならば、その商品性とコンセプトから言って、「これはこれでアリ!」と大きく評価が変わっていたと思います。しかしながら、現状で見る限り…よほどこのスタイリングが気に入った、もしくはマーチじゃなきゃ絶対に嫌!、または筋金入りの日産フリークである以外に、このマーチを「今の価格で」お勧めする理由は皆無に等しくなります。さらに言えば日産車をどうしても、というのなら、古くてもノートのほうが数倍お勧めでしょう。


質を求めるのか?それとも価格コンシャスを推し進めるのか?ここで中途半端に迷っていれば、韓国中国車に日本車は食われます。間違いなく。スイフトやフィットはその点では少し安心する出来の良さと商品性の高さですが、このマーチはその危機感をより一層強めてくれる1台と言えます。

もともとこの新型マーチが持つ、グローバル戦略車としての素質は悪くないと思います。事実良い部分、関心した部分も多くありました。日産には今後、そのクルマの実力に見合った商品力を備えて欲しいと要望して、このレポートを終えたいと思います。
Posted at 2010/10/25 00:01:44 | コメント(3) | トラックバック(0) | 日産 | 日記
2010年10月24日 イイね!

〔過去試乗記〕 トヨタパッソ1.OX

日産マーチ試乗インプレッション、編集中…

その間に、マーチの感想を言う前に振り返っておくべき1台、トヨタパッソの過去試乗記をお届けします。今現在このセグメントの国産はいわゆる「二分化」していますが、その一方の際たるポジションにいるのが、このパッソ。クルマ好きからは一番距離の遠いクルマ…かもしれませんが、この清き割り切りっぷりと現実志向は、トヨタのマーケティングおそるべし、と言ったところ。

少し言葉が悪いですが「この程度の出来」のクルマでさえ、キチンと商品としてそれなりに売れてしまうあたり、一般ユーザーとクルマ好きユーザーの価値観の剥離に改めて気付かされてくれる1台でもあります。それが良いか悪いかは別にして、現実主義「車」としてのパッソには、少し視野の根幹を揺さぶる「ユルさ」がそこに存在します。




トヨタのパッソに試乗する機会があったのでレポートしたいと思います。テスト車両は売れ筋と思われるベーシックな1.0LのX。ボディカラーはどれも特徴的な名前がつけられていますが、この色は「キナコメタリック」という薄茶色。

ボディサイズは先代から全長が若干伸びただけで、全幅も5ナンバー枠いっぱいではなく1665mmに抑えられました。最小回転半径は13インチ仕様で4.3m、またピラーの形状最適化やサイドのウエストラインが下げられた事により、解放感や視界の良さは抜群。まだ運転に慣れていないビギナー層に喜ばれそうなポイントです。愛嬌たっぷりの大きな明るいヘッドライト、またLEDのリアテールもポジション時とブレーキ時の点灯場所が異なっており、後方からの視認性も良くなっているのは○。



インテリアは直線志向でシンプルにまとめられており、先代に比べて格段に質感が向上しています。小物入れの数、形状も使い勝手よく考えられており、ダッシュボードが低いおかげで閉鎖感もなし。ただそれはあくまで先代比であって、同クラスコンパクトと比較すれば、価格なりの出来。しかしながら開発コンセプト自体そこを狙っているのでしょう。「チープだけどオシャレ」という目的は達成できているように思えます。



シートはイマドキ珍しいヘッドレスト一体型のハイバックタイプ。しかし見た目よりはサイズもサポート性も結構マトモで、「+Hana」のヘッドレスト別体ベンチシートよりも、むしろ好印象。しかしながら女性ユーザーの事を考えるならば、シート座面やベルトアンカーの調節は欲しいところです。



さて走った印象は、まず1,0L3気筒エンジンのフィーリングは幾分改善されたように思えます。プルプルとした微振動や「いかにも」な安っぽい排気音も無視できる範囲ではないものの、かなり抑えられた印象。とはいえ、プレミアムコンパクトを謳うiQならば難癖をつけたくなるものの、このパッソの雰囲気とポジションを考えれば、この3気筒のフィーリングとのミスマッチさも感じられません。また、先代の4速ATからCVTと変わったおかげで、限られたパワーをさらに無駄なく有効に使えるようになり、900kg+αの軽量な車重に対して必要十分な動力性能。価格的にもグッと高くなる1.3Lの存在意義は全く感じられない、と言いきってもよいでしょう。燃費も高速6割一般道4割、渋滞にも遭遇しエコランをほとんど意識しなかったのにも関わらず、19km/L台と実用燃費はかなり良さそうです。

ハンドリング、乗り心地、ステアリングフィール…云々は、このパッソに関しては多く語る必要のないクルマ、かもしれません。ハンドルは軽く、ブレーキもよく効き、女の子が運転しやすいと感じる要素は確実に抑えています。逆に言えば、クルマ好きの心をくすぐるような乗り味や楽しさは皆無。軽量コンパクトで数値以上によく走るだけに、それらを押さえていればとても面白い素材になるのに・・・と思ってしまいますが、これもある意味マーケティング重視の超現実主義「車」としての役目はキチンと果たしていると言えます。



ただ1つ、タイアサイズに関してだけは注文を。今時いくらコンパクトとはいえ軽量とはいえ、155の80扁平の13インチはあまりにキャパシティ不足。別にスポーティな走りを意識しなくても、ちょっと速いペースで曲がるとすぐにド・アンダー、そしてちょっと素早いハンドル操作をすれば、リアがズルッとスライド。やはり最低限のスタビリティを考えれば、オプションの14インチタイアは装着しておきたいところです。7万円少々でVSCを装着すれば14インチはセットで付いてくるだけに、こういった運転に関心のない女の子に多く選ばれるクルマだからこそ、ぜひマストでお勧めしたいオプションだと言えます。

こういったパッソ・ブーンのようなクルマは、クルマや運転に全く関心はなく、けどもナノイーという言葉には反応する…そんな女の子に気に入ってもらえるかどうか、それが全てなのかもしれません。そういった透き間ポジションにも抜け目なくラインナップする事ができるのが、トヨタ…または日本車独自の強みなのかも。ただ確実に勢い迫る中国車などの脅威を考えれば、こういった日本が得意とするクルマ作りだけでは生き残っていけないのかもしれません。アジア市場をも視野に入れる割安な層をいくのか、それともVWポロを代表する欧州プレミアムコンパクトにも勝負していくのか…もうすぐ登場予定の新型マーチ、次期ヴィッツ、フィットハイブリッド………今後の日本車の明暗を分けるのは、このクラスでどういった舵取りをしていくのかにかかっているのかもしれません。

Posted at 2010/10/24 01:08:48 | コメント(1) | トラックバック(0) | トヨタ | 日記
2010年10月19日 イイね!

〔過去試乗記〕 三菱i-MiEVワインディング&高速インプレッション

〔過去試乗記〕 三菱i-MiEVワインディング&高速インプレッションさて、再び過去試乗記。
今回はアイミーヴをピックアップ。

実は、ベースのiは登場して以来大好きな1台でした。これまでターボやNAも1日借り出して走り、その軽とは思えない走りのクオリティに心酔。その時はまさか、これほど早く最新の電気自動車を、このクルマで想いのまま試せるとは思ってもいませんでした。これまで東京モーターショーでの試乗、そしてレンタカーで借り出しての走行など、おそらくオーナーさん以外では相当乗りまわしている分類に入る…かと自負しています。笑

1度乗れば必ず今までの価値観がぶっ壊される。それほどのいい意味での破壊力を、EVは可能性として持っています。

そしてもう1つ。その破壊力が引き出されるのは、まずEVどうこう以前の問題に、「自動車としての魅力」がキチンと備わっている事。これが大前提で、自動車として商品的価値があるのだと改めて感じさせてくれたりもしました。







今回はアイミーヴの試乗レポートをお届けします。アイミーヴに関しては、以前TMSでの簡単なレポートをお届けしましたが、今回は半日お借りして約100kmを走行。急速充電も体験する事ができました。

今回アイミーヴをお借りしたのは、全国でも珍しい「エコカー専門レンタル店」として営業しているオリックスレンタカー京都駅前店。プリウスやインサイトはもちろん、以前CR-Zのロングランテストの際の車両もここでお借りしました。他にも「フリーウォーク」のアプリ利用で観光案内をしてくれるiPhoneを貸し出してくれたり、レンタサイクルも用意しているなど、観光都市である京都ならではのサービスを展開しています。

今回借り出したシルバーのアイミーヴですが、この車両はまず市役所が公用車としてある一定期間利用して、その後何台かをレンタカーとして運営開始したとの事。外装や内装は新車そのもののキレイなものでしたが、すでに4000kmほど走行していた車両でした。



さて試乗開始。ベース車との違いと言えば、その特徴的なカラーリングを除けば、前後のLEDヘッドライト・テールランプ程度。MCによってフロントバンパーの塗装処理が格段に安っぽくなってしまった点も、このアイミーヴは引き継いでしまいました。フロントワイパーの形状変更や車重増に伴うブレーキ径の拡大など、細かい点も変更されています。

ドアを開けて乗り込んでも、メーターとシフトまわり以外はiと何も変わらず。パッケージング面で何も犠牲になっていない点も、このアイミーヴの魅力を際立てせるアドバンテージです。

エンジンに火を入れる…ではなく、スイッチをONにするかのようにノブを回すと、すでにプリウスなどで何度も味わっているこの儀式、静寂状態のままメーターパネル内に「READY」の表示。これで発進可能。当然動き出しは無音そのもので、強くアクセルを踏んでもずっとモーター駆動のまま。頭では分かっているものの、この感覚はやはり実際体感してみると、まさに「静かなる衝撃」。

まず最初はシフト位置をECOにしてスタート。ややアクセルを閉じた時に回生による減速感が若干強めに感じるものの、日常域ではこのECOモードで十分な加速感。あえて発進時の急激なトルク感を抑えてあるようで動き出しはいたって普通ではありますが、一度動き出してしまえばその後の中間加速は非常に力強く感じます。

直線に入ったところで、シフトノブをDへ動かしてアクセル全開。するとiのターボモデルでは絶対に味わえない、いやレシプロエンジンとは全く異なる加速感!電車のようというべきか、雲の上を滑っているというべきか、いやはやなんと表現すべきか。とにかくEVが今までの自動車とは少し異なるベクトル上にある乗り物だという事を実感しました。エコという言葉うんぬん関係なしに、純粋に気持ち良さを感じられる乗り物と言えます。

おそらく、シティユースならECOモードで十分な性能。こちらをデフォルトとして普段はできるだけ航続距離を伸ばし、Dレンジを多人数乗車時の山道や合流などで使用するスポーツモードのような形で考えて使用するのがベストでしょう。

バッテリーの搭載で車重はかなり増えていますが、その効果は乗り味に表れていました。床下が重い事で乗り心地は非常に落ち着いたしっとりしたものとなっており、ベースモデルから比べると確実に1ランク上。もちろん登場当初からパワステやサス、シートの見直しによりガソリンエンジンのiもキチンと進化しており、そちらの進化との相乗効果が出ているとも言えるでしょう。

ハンドリングもこれまた新鮮な感覚。ベースモデルのiはとにかくどこまで攻め込んでも軽快かつナチュラルな挙動が印象的でしたが、アイミーヴのほうはどっしりと安定して落ち着いた印象。機敏さは相殺されているものの、床下が重めのためにロールスピードが少し早めでも不安な印象は感じられず、旋回能力はなかなかのもの。素早い切り返しでも不自然にヨーが残るような事もなく、ビシッとしたスタビリティの高さを実感できます。



次に、今回はまとまった時間アイミーヴと過ごせる事になったので、より自動車的な魅力がどうか…日常域やEVという存在意義を語るには少しベクトルが異なるかもしれませんが、短時間では試せない「ワインディング」や「高速道路」へステージを移動します。

テストの日は土砂降りで生憎のお天気。借り出しの際に「京都市内からは出ないようにお願いします」「走行距離目安は80~100kmまでで」との事。しかし京都市内から少し走れば、画像のような山深くのワインディングを見つける事ができます。ここではエコランをやめて、Dレンジで思いっきりアクセルを踏み込んでみる事にします。

まず感じるのは、アクセルを踏んだ瞬間に最大トルクが発生される、そのモーター特性をいかんなく発揮したその俊敏性。加えて、リアには贅沢にも175幅サイズのタイアがおごられるアイ&アイミーヴですが、このアイミーヴにはそれに加えて、「軽自動車」としては珍しくTCSも装備されています。その理由が今回雨のワインディングで走ると改めて理解できます。

試しにTCSを切ってラフにアクセルを開け閉めすると、立ち上がりでリアが一瞬ズルッと吹っ飛びそうになる挙動が出てきます。基本はアンダーセッティングでフロントが逃げ始めが早いので心配はありませんが、64psに抑えられてはいるものの、まずノーマルのアイでは出ない挙動を見せてくれるあたり、アイミーヴのパワフルさを現して言えるでしょう。また、アクセル操作に対する反応が「良過ぎる」が故に、雨の立体駐車場の登り勾配などで、リアタイアがズルッと滑る場面に今回遭遇しました。TCSの装着は必然的とも言える判断だったことが伺えます。



さてお次は高速道路へ。距離を考えるとほんのわずかな区間・・・今回は京都南~京都東IC間の往復でしたが、ここで新たなこのアイミーヴの楽しさを味わう事ができました。

それは「音」。エンジンサウンドというのはクルマを楽しむファクターでも非常に重要な1つであり、それがなくなるEVに関して、楽しさなんてないという偏見がクルマ好きの中でもまだまだ根強く残っています。

しかし今回試したところ……いやぁ、なんて気持ちいい事か。モーターの高周波の音が速度を増すにしたがって「ヒィィィィィィーン!」と大きくなっていき、それはまるで飛行機の離陸音のよう。個人的にはこれは「ノイズ」ではなく、「サウンド」と感じ取れるものでした。もう気持ち良過ぎて、何度もアクセルをパカパカと開け閉めして、この新たなる次世代自動車の歓びを堪能。またワインディング時でも感じたパワフル感も健在で、モーター回転8500rpmで達成する最高速130km/hは、メーター上ですぐに確認する事ができました。またバッテリーによる重量増のおかげか、フロントがちょろちょろと落ち着かないアイの特性も上手く拭い去っており、その静かさも含めて、あらゆる速度域でベースとなるアイのターボ車よりも快適である…今回改めて自分で体感し、その事を確信へと変えました。



EVの特性上、速度を上げれば上げるほど「電費」は不利になるので、やはり軽自動車のようなシティコミューター的な使い方がベストだと個人的に今でも思っていますが、ここまで高速域で気持ち良さが味わえるとは。短い試乗だけでは絶対に分からなかったであろう、実に新鮮な体験でした。

さて、どんどんと楽しむうちに、残り航続距離もそろそろ少なくなってきたので、急速充電も体験する事に。市内のどこに急速充電器があるかはナビで設定されており、おおよその目安を考えておけばビクビクする心配もなさそうです。充電場所はもちろん屋根付。タッチパネルを操作して、ノズルを持ち、車体左後部へセット。充電が開始になると、勢いよくクルマの外気ファンが回り始めるので、その音に少しびっくりするかもしれませんが、作業自体は実に簡単。



ただ難点を言えば、そのノズルとコードの重さでしょうか。特に小柄な女性の場合は結構な重労働となりそうです。やはり急速充電はあくまで「非常用」であり、日常では100・200Vで家庭充電するのが理想的な使い方だと思われます。

さてトータル約100km走り、改めてこのアイミーヴの魅力の高さを実感。今回は街中だけではなく、ワインディングや高速、ある一定期間を試せる機会でしたが、走れば走るほど、このクルマにどんどん惚れていく自分がいます。もちろんそれは、ベースとなるアイがもともと持つスタイリングの素晴らしさや単なる軽とは異なる走りへのこだわりがあったからこそ。航続距離が短い事は欠点と言えば欠点ですが、それを今現在のEVの不満点として問う事は、例えばロードスターに積載性能を求めるようなものであって、少しお株違い。もともとそういう事を前提とした上でこのクルマを接する付き合い方をしていくのがEVであり、その点で言えば意識改革を行うのは、我々ユーザーのほうかもしれません。

高価な軽自動車になってしまうという点で言えば、もうすぐ登場する日産のリーフのほうがポテンシャルは高そうではありますが、個人的には先述したように、EVは軽自動車枠のサイズであるからこそ真価が問われると考えます。きっとリーフくらいにボディサイズも居住空間もゆとりがあれば、その分航続距離の短さなどのデメリットがより切実に感じられてしまうと思うのです。あとさらに個人的な感情を持ちだす事をお許し願うならば、いくらエポックメイキングで素晴らしい実力を備えている最新EVであったとしても、あの理解不能なリーフのデザインを採用した事には心底ガッカリ。

奇抜なインパクトだけで言えば、例えばジュークのデザインでEVだったとしたら、まだ日産の心意気を感じる事はできたのですが。その点だけでも、個人的には乗っていて恥ずかしくない、アイミーヴの圧勝という気持ちでいます。



さて最後に、これからのEV評論について思う事を少し。アイミーヴに乗って感じた事は、まず自動車としての実力の高さがあった上で、初めてEVという価値観の素晴らしさが生まれるということ。よく「エンジンを必要としないEVは、バッテリーさえあれば、様々なベンチャーが自動車業界に参入できるチャンスである」というような報道もなされていますが、今の時代に必要とされる基準をクリアし、さらには自動車としてドライバーに魅力を兼ね揃え、商品的価値としての何かを盛り込む事は、ノウハウのないそんじょそこらの新興企業が成し得る事は並大抵のものではない…ということを、声を大にして言っておきたいと思います。テスラのような形態が増えるのであれば、これからのEV事業はもっともっと面白くなっていくでしょう。

そしてもう1つ。迫りくる欧州勢の脅威も忘れてはなりません。今間違いなく世界で1番日本がリードしている分野であり、まだコンセプトカー段階の車を引き合いに出して、すでに市販ベースの日本車をコケ扱いする一部カーメディアの左翼的報道もどうかとは思いますが、ここ10年のスパンで間違いなくそのリードは着実に縮んでくるでしょう。

例えばその時に、ゴルフEVが市販となり、リーフと比べた時に、EVという利点でスタート位置が揃った場合、結局は今現在で言う「ゴルフとティーダ」の比較状況と同じようになってしまうのではないか。そう考えた時に、果たして日本車はこれからどういう価値基準でクルマの魅力を作っていくのか。例えそれがEVであろうとハイブリッドであろうと燃料電池であろうと、「クルマとしての魅力作り」の歩みを決して放棄してはいけない、という事を最後に、このレポートを終えたいと思います。

Posted at 2010/10/19 22:46:02 | コメント(1) | トラックバック(0) | 三菱 | 日記
2010年10月17日 イイね!

New!試乗記 新型スイフト~後編~

New!試乗記 新型スイフト~後編~ スイフト試乗記後編です。





さて、早速走りだしてみましょう。まずタイアをひと転がし、歩道との段差を越えた瞬間に実感できる、足回りのしなやかさ。タイアは185/55R16という立派なサイズのBSトゥランザが装着されていますが、低速域でもドタバタすることなく、キチンと履きこなしている点にまず驚き。唯一、気になる点と言えば、16インチ装着車は最小回転半径が5.2mとかなり大きめになってしまう事。可変ステアギアレシオのおかげでステアリング操作は忙しくありませんが、最初のうちはこの小回りの効かなさは慣れが必要でしょう。



エンジンは1.2Lで、シャシー性能を考えると完全にパワー不足ではありますが、そこはスポーツに期待…というところか。もっとも、同コンパクトクラスでは標準的な動力性能であり、それだけシャシーにゆとりを感じさせる…ということ。改善されたのはCVT。以前のスイフトが1.3LATから1.2LCVTへと変更を受けた際、アクセル操作に対して回転が極端に上がり下がりして、いまいちリニアさに欠ける印象がありましたが、新型はそういった部分はなし。この新しい副変速機付のCVTの幅広い減速比のおかげで、実に自然なフィーリングとなっています。XSに装備されるパドルシフト、または今時大変嬉しい5速MTをチョイスすれば、アンダーパワーをカバーしつつノーマルモデルでも十分に楽しめそうです。

さて、今回スイフトは、様々な部分がレベルアップしながらも、軽量化にも重点が置かれ、ほぼ全モデルで1トンを切っています。ここで同じコンセプトで思い出すのが、マツダのデミオ。およそ100kgの大胆な軽量化が行われ、コンパクト本来の軽快感や俊敏さを取り戻してそれが大きな魅力になっています。しかしながら、2代目デミオが持っていた、しっかりとしたボディ、スタビリティの高さや乗り心地の快適さなどはある程度トレードオフされていたという事実も見受けられました。



スイフトが凄いのは、そういった「軽量化による弊害」が一切感じられない点。もちろん先代との軽量化分差は大きく違いますが、1トンを僅かに切る点は現行モデルでは同じ。しかしながら軽快感とスタビリティの高さの両立、クラスを感じさせない安心感を感じさせるのが、今回のスイフトの一番気にいったポイント。これは今までの国産車ではあまり体感できなかったものです。現行デミオの飛び抜けた機敏さだけを見ればスイフトよりも楽しさは上…かもしれませんが、総合的な実用車としての実力はスイフトの勝ち。パッソなどとは比べ物になりません。直接的に大きく影響を喰らいそうなデミオは、マイナーチェンジでの熟成に期待、というところでしょう。

実際にはシティユースでの試乗に限られたので、是非とも機会があれば何かの形で借り出して、様々なステージで改めてテストしたいと思います。もしこれにアイドリングストップが装着されて、スイフトスポーツが170~180万円くらいで登場したら…日本車にもまだまだ希望が持てそうです。

さて最後に。プチバイヤースガイドを。買うならまずお勧めは124万円のベースモデルXG。これで装備的にはなんら不足なし。アルミではありませんが、15インチなら小回り性能もアップしてパワーとのバランスもより良好となるでしょう。むしろ、ベースモデルとは名ばかりの充実度なので、マニュアルエアコンでエンジンプッシュスタートもいらないので、もっと安価なグレードがあってもいいくらいです。

試乗したXLは売れ筋の中間グレード、XGから約7万円アップで、16インチタイア+アルミホイール、本革巻ステアリング、ドアミラーウィンカーなどが装着されてお買い得感は確かにあります。MTが欲しい場合はこのグレードが最高となりますが、しかしもしCVTモデルでもいいというならば、XLよりももう1つ上のXSを猛烈プッシュ。

価格はXGから約23万円、XLから約16万円高くなりますが、XSはまずESPとサイドエアバッグが標準装備。これでもうこの差額分は埋まったと言ってもいいでしょう。これに加えて、リアディスクブレーキ、クルーズコントロール、7速パドルシフト、フロントアームレスト、フォグランプなど、この内容で147万円は間違いなくお買い得。ちなみに、トヨタのパッソ1.0XにサイドエアバッグとVSCを装着した場合、およそ120万円強。先日登場したフィットではハイブリッドの最上級モデルにしかVSA+サイドエアバッグは標準ではなく、これだと210万円。ちなみにポロ1.2TSIコンフォートラインは213万円。街乗りコンパクトにそこまでの装備はいらない!と言われればそれまでですが、150万円以内の国産車のチョイスでは間違いなくこのスイフトは「世界的ライバルと比べても恥ずかしくない」立派な1台だと言えるでしょう。



もっとも、絶賛だけではなく、できればXGやXLにもESPの設定が欲しかった(現状ではオプションでも装着不可。実質的に現状ではMTとESPの両立はできない)ですし、せっかくスプラッシュはリア中央のヘッドレストと3点式ベルトがあるのに、スイフトには設定なし。こう書きならべると、どこぞの自動車評論家みたいな事になってきてしまいますが、スイフトが高い志を持っていると感じたからこその、さらなる要望として書き記しておきます。

そしてもっと現実的な方に目を向けると、例えばボディカラーの設定がこのクラスでは少なめな6色しかなかったり、またこれは根本的な問題点となりますが、スズキのディーラーというのは、特に田舎の方に行けばびっくりするくらいのショボさであるということ。この点で言えば、「カフェプロジェクト」と銘打って、ここ数年女性ユーザーを取り組むためにディーラーを整備してきたダイハツと比べて大きなハンディとなりそうです。別にレクサスのようにしろとまでは言いませんが、実際にMRワゴンがモコになり、パレットがルークスになり、スズキの軽が日産ブランドとして販売され元祖モデル以上の人気になるというのは、ディーラー整備網の弱さも間違いなく要因の1つとなっています。いくら力作でいいクルマを作っても、最初から購入リストに並ばなければ意味がありません。自分のようなクルマバカならばディーラーのボロさどうこうは気にせずクルマ自体の性能で判断しますが、特に若い女性ユーザーならばそうともいかないでしょう。パッソみたいなクルマが売れてしまうのは、ある意味でそういったターゲットユーザーをしっかり狙い撃ちできるトヨタの強みでもあります。

以上、少しスイフトとは別の方向の話となってしまいましたが、実際乗れば確かに評判通りの素晴らしい仕上がり。とりあえず現状で周りの同クラスと比較すると、唯一最近マイナーチェンジしたフィットのズバ抜けた総合力の高さの牙城は、さすがにこのスイフトでは崩せそうにありませんが、もうすぐ登場予定の新型ヴィッツや、パッソ、マーチ、デミオあたりは、相当焦りを感じた方がいいかもしれません。今このクラスは二極化が進んでいますが、パッソやマーチのような路線を「中途半端」に突き進んでいると、必ずしや韓国中国車にやられる時が来てしまうでしょうから…。



さて、次回は、そんなスイフトとは悪い意味で対照的?な評価の多い、日産の新型マーチの試乗インプレッションをお届け予定。こちらは運よくアイドリングストップ装着車を丸1日お借りして、いつもの様々なステージをもつコースで、じっくりと試す事ができました。スイフトでは評判通りの良さを実感しましたが、マーチは評判通りの辛口評価?となるかどうか…。ネガティブな印象で走り始めましたが、評価のほどは想像していたよりもあらぬ方向へ…!? 次回の試乗記もお楽しみください。


Posted at 2010/10/17 22:19:21 | コメント(1) | トラックバック(0) | スズキ | 日記

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