最近、私のブログが新車の試乗記とトヨ博のイベント記録ばっかりになっておりマンネリ化が危惧されておりますが、標題の企画展に行って参りました。(クルマ作り日本史も見てきましたが写真は撮影しておりません)
小さな車には大きな未来があり(笑)、私は昔から小さな車が好きでした。寸法的な制約の中でどこまで成立させるかという事もまさしく技術力と企画力と企業としての経営力が求められる訳で、小さな車にも見所は多いといつも感じていました。
そんなわけで、私も全長4.5mの小さな高級車でトヨタ博物館へ馳せ参じたのですが、駐車場が満車で私の車だけ第二駐車場へ誘導されました。第二駐車場はガラガラで独占状態。気持ちよく駐めてきました。
今回の企画展では「機能性」「デザイン」「軽さゆえの楽しさ」という切り口で全長4m以下のモデルが集められています。
●1979年式スズキアルト
もはや説明不要ですが「アルト47万円」というキャッチコピーで手軽に乗れる軽ボンバンというジャンルを切り拓いた軽自動車です。軽く調べてみましたところ、国家公務員の初任給で現代の価値に換算するとおよそ「アルト113万円」となるわけです。今売っているアルトのエントリーグレードは85.8万円ですから、SRSエアバッグやエアコンが標準装備なのに相当安いと言えます。

↑博物館やイベントでも見かけますが、昭和末期~平成初期の街角にはこういう軽がうじゃうじゃ居ました。

↑内装も簡素ですが、初期はユーザーに安く買わせる為に敢えてモノグレードとするなど潔いです。

↑今では考えられませんが、フードオープナーがここ。子供時代、路駐してるアルトのここをよく押してたなぁ(馬鹿野郎)
●1987年式日産Be-1
堅実なリッターカーであるマーチを基にファッショナブルな内外装を与えられたのがBe-1です。はじめてBe-1を見た妻(Be-1と同い年)は展示車の中で一番可愛いとの事でした。とびきりファッショナブルな車を少量生産し、それを話題性があるうちに高値で売る。まるでスウォッチみたいなやり方ですが、少量生産だからこそ設計的に無理が出来たり、生産技術的にも我慢してもらえる側面もあったのでは無いかと。
そしてBe-1のヒットがあったからこそ、パオやエスカルゴやフィガロにヒットを続けた結果、早過ぎたパイクカーラシーンに繋がるわけですね。私はデザイン含めて大好きでしたが、RVブームに乗っかって限定生産ではなくいつでも買えるカタログモデルにしてしまった事が敗因かも知れません。この後に控えていたKIXは結局出ませんでしたね。でも、ラシーンは後にアルト・ラパンやミラ・ココアにエッセンスが引き継がれたと言えましょう。

↑Miniのパクリデザインだ!恥ずかしくないのか!というエンスーの方も居られましたが…

↑出来の悪いカスタムカーと違い、内装も世界観を保った専用設計。これこそがメーカーの仕事ですね。
●2000年式Will Vi
異業種プロジェクトWillの中でトヨタが女性向けに企画したのがWill Vi。カボチャの馬車を車にするという私には想像もつかない事を真面目にやったのがこの車です。トヨタマークが見られませんが、初代ヴィッツをベースにした生粋のトヨタ車です。日産の一連のパイクカーが日産ブランドだったことに対して、トヨタは一旦トヨタブランドから離れなければこういった跳んだ車が作れなかったという事情もあったのかも知れません。
デザイン命の車だからなのか、当時のGOAボデーとしての社内規格を満たさないまま販売されたことも記憶に残っています。ウインドシールドモール一体のルーフモールなどコストが掛かる部品も見られ、不真面目に見えるWill Viの背後には真面目な技術者達が居たのでしょう。

↑小学生が描いた夢の車をカタチにしちゃいました!的な勢いを感じます。
●1989年式トヨタRAV-FOUR
この車だけはショーモデルです。再びここで見られるとは思いませんでした。
AE95Gベースの一品モノ試作車ですが、キチンと走りそうなところが素晴らしいですね。最近のショーモデルはCGで走ってる映像だけ流してお仕舞いなのでリアリティに欠けておりますし。無骨なジープ的なロワーボディ(銀)とコンパクトカー的なアッパーボディ(紺)が同居しているところが面白い。ちなみにスペック紹介で排気量が1598ccとあったが、4A-FEが搭載されているはずなので排気量は1587ccだと思うんですけどね…。

↑無骨なジープ的なロワーボディ(銀)とコンパクトカー的なアッパーボディ(紺)が同居しているところが面白い。
●1965年式スバル360と1963年式フィアット500D
知る人ぞ知るてんとう虫とルパンのフィアット。どちらも真面目に経済的な大衆車を作ろうと挑戦した結果キュートなコンパクトカーとなって長きに亘って愛されたという事例です。
どちらも3m足らずの全長にRRを採用しています。当時は等速ジョイントの技術が無かった為に駆動と操舵を前輪で行うFFよりもRRの方が簡素で大衆車に向いていたという当時の実情があったようです。スバルは幻のスバル1500を経て軽自動車であるスバル360を開発しましたが、フィアットは既にあった水冷直列4気筒の600を下敷きに新たな空冷2気筒エンジンを開発しています。

↑愛くるしいスバル360は航空機技術者達の高い志が結実した日本初の本格的な軽乗用車です。

↑後に横置き前輪駆動を完成させるダンテジアコーサの傑作。キャンバストップがこもり音対策というのが面白いですね。

↑センターピラー部の内板面に注目。スバルは前後は真っ直ぐながら、上下には骨組みがカーブしていて不利です。しかし、カーブのRが芸術的に美しいだけでなく、骨の断面も丸く断面係数は高そうです。フィアットは直線的な骨組みですが、平板で折れ線のあるピラー内板は断面係数では損をしています。似ているようで似ていないのです。
●1991年式ホンダビート
ホンダがオープンのスポーティな車を出すと「ホンダS***(排気量)!!S800の再来」見たいな扱い方をされがちですが、そんな中の一台がホンダビートです。エランを横目に精密機械のようなDOHCエンジンを搭載したS600やS800が有名すぎるのでそういう扱われ方から距離を取った感じが見受けられます。S2000やS660が出ていますが、着地点が本当に難しい。ビートは伝統から逃げることでビートにしかない楽しさが表現出来たのでしょうね。

↑エンジンがないからうんと低く見切りのない美しいフード。エンジンは敢えてのSOHC。

↑モーターサイクルのような独立式メーター、ゼブラ柄のシート生地など攻めてますね。
●おまけ IMTS
新館の近くにいつも置いてあるIMTSの車内が公開されていました。IMTSは愛・地球博(2005)に向けた新交通システムで一般道では手動運転、専用道では自動運転・隊列走行を行う現在の自動運転車に繋がるテクノロジーが搭載されていました。めちゃめちゃ未来感がありましたが、車内を見てみるとバスとしては狭苦しい空間です。普段の路線バスがいかにスペース効率が良いか分かりますね。

↑2005年が既に20年近く昔!未来館のあるエクステリアと経年劣化(エイジング)のミスマッチ感

↑車内はそんなに広くありません。まだまだ実際のバスとして使うには課題が多かったのでしょう。

↑コックピットはこんな感じ。至って普通な感じですね。
…そういえば、図書室前にて展示されてた大型写真集も企画展を意識してスバル360のページが取り上げられていたんですが
勿論私は8代目カローラを見逃しませんでしたよ。(キモイ)
コロナワクチン3回目を打って頂いて徐々に左腕が熱くなってきました。前回39度近く出たので嫌だなぁ・・・・
以上、控えめにご紹介しました。是非会期中に足を運んでみて下さい。
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2022/05/14 00:52:27