メーカー/モデル名 | トヨタ / ハリアーハイブリッド Z_E-Four(CVT_2.5_プラグインハイブリッド) (2022年) |
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乗車人数 | 2人 |
使用目的 | その他 |
乗車形式 | 試乗 |
おすすめ度 |
3
|
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満足している点 |
1.HEVよりもE/G騒音が静かな気がする 2.EVレンジが長い 3.往年のハリハイを思い出させる強烈な加速 4.玄人好みしそうな地味さ |
不満な点 |
1.620万円の価格 2.70km/h付近で聞こえるキーン音 3.切り替えが面倒な全面液晶メーター 4.発売してすぐ受注停止、計画性が無い。 |
総評 |
●ブロック開発の産物 2020年6月に発売されると瞬く間に先代の人気を継承し底堅い人気を誇っている現行型ハリアーだが、2022年9月に突然PHEVが追加された。 ![]() 2020年にRAV4、2021年にレクサスNXにプラグインハイブリッド(PHEV)車が設定されているので順番としてはNXが先に出たことは違和感がある (ハリアーが先でもおかしくない)のだが、ハリアーの場合とてつもないバックオーダーを抱えていた時期なので発売を控えていただけかも知れない。共通コンポーネントのRAV4 PHVは発売後すぐにオーダーストップがかかるほどの人気っぷりだった。開発が完了していたとしてもいたずらに発表してしまえば目処のが立たない納期問題を悪化させていただろう。 先代のプリウスPHVの様に全長を変えて特別感のある意匠を与えず、あくまでハリアーの1グレード扱いというあっさりした扱いだ。 ![]() ピアノブラックのモール類、HEVと同型上ながらブラック塗装が追加された19インチアルミホイールなどベースの金型をそのままに表面処理違いで差別化しているのはなかなか賢い差別化である。その中でもスポーティなハニカム柄のWLRグリルは数少ないPHEV専用設計の目玉だと思いきや・・・・私は中国で売られているヴェンザのグリルに似ているでは無いか! ![]() 完全流用なのかと思いきやヴェンザにはミリ波レーダーの穴がボッコリと空いており、ハリアーPHEVとは異なっているので、やはりこのLWRグリルが数少ないハリアーPHEV専用部品であった。 内装もHEVやガソリン車と比べて細部で差別化されていて何というか本当に地味なのだが、差別化という言葉に囚われてベースから変えることに執心せずにいいものはそのまま継承するという方針は意外と私は認めている。ある意味でマークIIグランデ「G」の様な「それと分かる人」の為の差別化にも似ている。 また、アクセルを踏み込むと豹変するキャラクター的は、かつてV型6気筒3.3Lを積んで暴力的な加速を見せたハリアーハイブリッド(通称ハリハイ)を思い出した。RAV4 PHVがクルーガーハイブリッドの再来であるならば、ハリアーPHEVはまさしく現代のハリハイである。同じコンポーネントを使い回しながら、あるかどうか分からないくらいのニーズにまで網羅した絨毯爆撃が出来るのはもはや国内ではトヨタくらいしか無いのではないか。 ![]() 試乗したが、デビュー当時に乗ったHEVやガソリン車で感じた走りの質感の無さ(特にNVH性能)に対してはある程度払拭できている。E/Gに頼らずにモーターのアシストが増えているからでは無いかと予想しているが、市街地から高速道路までハリアー的(高級「感」を重視)な味わいが出ているのはPHEVが持つ魅力だった。それでいて燃費はEVモードを活用すればHEV以上の実力を持つので燃費でも走行性能でも現行HEVの完全なる上位互換と言える。 惜しいのは、あまりハリアーPHEVを売る気が無さそうなことである。現状、北米向けのヴェンザ、中国のハリアー/ヴェンザにもPHEVの設定は無いようだが、日本という成熟したマーケットに焦点を当てたハリアーPHEVの需要がNX450hと共食いしないのだろうかという疑問が湧く。それも杞憂で今はオーダーストップ発表直後に受注停止するほどの人気を見せている。十分な予算があり、レクサスよりも控えめなPHEVが欲しい人にはぴったりなのだろう。 ![]() 実車は本当に特別感の無い単なるハリアーで、走らせた瞬間にHEVとの違いが分かるほどPHEVの濃い味が楽しめた。高速道路の料金所からの加速では他の追随を許さないレベルの俊足を発揮する。ハイブリッドがL4になってからの燃費重視のHEVとは違うかつての「ハリハイ(ハリアー・ハイブリッド)」を思い出させてくれた。その意味では専用色が「グレーメタリック」一色なのは非常につまらない。一色くらいは「銅線色」級のアイキャッチ力の高い色が欲しいのだが、ハリアーでありながら地味なことを信条とするPHEVにはそれと分からないパールホワイトや黒でしれっと乗りこなすのが良いと言うことなのか。 ハリアーPHEVはハリアーが持つ高度なファッション性によるイイモノ「感」に加えて現代的な電動「感」も手に入れた。しかし税込み620万円と言う価格は決して安くない。トヨタの中の横並びで安い、としても世間の金銭感覚から言えば高いと言わざるを得ない価格となった。国産車って安いのに品質が良いからお買い得=コスパ高い、などという神話が過去の伝説となって久しいが、高級品として顧客から相応の対価を受け取るには「感」だけでは足りない世界にもう足を踏み入れている。もはやパワーメーターの映像がメモリ不足のPCの様にカクカクし、画面の切り替えもめんどくさい全面フル液晶メーターなどは価格に全く見合っていない。 ハリアーは元々、高級感を楽しむブランドで本当の高級車までは行かないところが絶妙なバランス感覚であったが、そういう見方で言えば、ガソリンエンジン車で値引きをしっかりして貰って乗る方が実はハリアーらしいのかも知れないと私は感じた。 ハリアーPHEVは、どうしても620万円というぶっ飛んだ価格に目が行ってしまう。同じ金額を支払うならもっと視野を広げて違う選択肢もある様に思うが、ハリアーPHEVを買う人はきっとハリアーファンでハリアーの世界観が気に入った人なのだろうなと想像する。クルマがオワコン化する中で指名買いされる程の商品力は類い希な能力である。だからこそ積極的に宣伝もしない戦略を取っているのかも知れない。ファミレスのグランドメニューの片隅にあるちょっと高いメニューとかスーパーの衣料品コーナーの奥の方の棚にかかってる意外と高い個性的なジャケットの様な感覚で見れば良いのだと理解した。 ![]() 実際の試乗結果から言えることは高いものの買った事を後悔させるほどの極端なネガは無いと感じた。これでいいのだ、たぶん。 |
デザイン |
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ベースからの差別化は控えめなのでこの欄のコメントも控えめにしておく。
![]() 変化点は分かる人だけ分かる渋さが良い。差別化を内に秘めるレクサスIS500的な感じは私の趣味には合う。 |
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走行性能 |
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従来からラインナップされているハリアーのガソリン車やハイブリッド車の印象は良くも悪くもTNGAという感じで燃費やパワーは秀でていてもハリアーが持つ高級感(≒静粛性)がイマイチな印象を持っていた。
特にハイブリッドの上級仕様だと総額500万円クラスともなるハリアーはEV走行レンジが広がって「オッ」と感心するも、40km/h+αを超えてE/Gが起動した際のつぶつぶ感のある騒音やステアリング振動は非常に興醒めしてしまう。散々指摘し尽くしてきたが、トヨタの現行世代のE/Gはどれも音質が悪く「聞こえるエンジンの音色(ねいろ)まで計算(1987年カローラ本カタログより引用)」していたかつてのトヨタは何処へ行ってしまったんだろうか。世界最高の熱効率に代表される定量化された性能ばかり追いかけていないだろうか。 ボディ・サス・エンジンなど各コンポーネントがTNGAの号令の下に全く新しい技術を織り込んで世界最高を目指そうという活動は成果を出していると思うが、そのあとで日本の自動車メーカーが強みにしていた車両としてのバランスの取り方、調整能力が発揮されておらずチグハグな印象を受けた。 ![]() RAV4の様な元々元気なイメージを持った車種ならまだしも、ハリアーのように上質感を持ち味にした車両に対して満足できないレベルに甘んじていた。その点、ハリアーPHEVはこのネガに対して一定のリカバリーが出来ている。 PHEVというシステム上、充電した分だけEV走行している限りE/Gが起動しない。普通のハイブリッドならブルンとE/Gがかかるようなアクセルの踏み方をしていてもEV走行が継続できる。カタログによれば93km走行できるので日常的な買い物とか送迎レベルではE/Gの出番は無いはずだ。 現行ハリアーにとって、ようやくPHEV化することで高級感のある乗り味が初めて実現されたと言って良い。満充電で市街地走行を続ける限り、発生するノイズは路面の凹凸によるこもり音やタイヤのパターンノイズなど限定的になってTNGA E/Gが如何に騒がしいかを明らかにしてくれる。 ![]() 細かいことを言えば、電子的なキーンという高い音(70km/hあたりが顕著)や安全デバイスの作動音などE/Gによって隠されていた音が顔を出すと言うことはあるのだが、現行ハリアーHEVのマナーを考えればハリアーPHEVに軍配が上がるのは当然だ。 このまま高速道路へ飛び出してみた。ランプ路からアクセルを踏むがEVモードで走らせると、巷のEVの様なドッカン加速はしないが、車速100km/hは十分に出せるしそれ以上も望める。この車速になると路面からもボディからも様々な音が聞こえてくるのでEV走行が静粛性に及ぼすメリットは限定的になる。巷のEVは「静か」というイメージ戦略の為に防音材にコストを多く割いているモデルは少なくない。その点でハリアーPHEVはBEV感追求の為の静粛性向上は行っていないようで高速道路を走らせても全くの無音とまでは行かない。 しかし、ベースのハリアーに毛が生えたレベルには十分達している。このあたりがトヨタらしい部分でシリーズハイブリッド車にBEVレベルの静粛性を与えようとする日産とは違う明確なポリシーを感じた。 ![]() 高速道路におけるハリアーPHEVのメリットは、E/Gを起動させてハイブリッド車として走らせる事で 電池残量(SOC=state of charge)をむやみに減らさずに、ハイブリッド車としてのハイパワーを享受できることだ。 既によく知られているがBEVは高速電費が悪い。モーターを高速で回転させることは消費電力が大きく航続距離に悪影響を及ぼす。急いで走らせた代償は早期充電による大幅なタイムロスとなるのが普通だ。 ハリアーPHEVなら、ボタン一つでハイブリッド車として振る舞い高効率な運転が可能となる。E/Gを最大効率点で運転しておき、その動力を駆動力と発電へ最適分配する。負荷が高い場合はモーターから駆動力をアシストすることで燃費悪化を最小限に食い止め、加速の為にアクセルを踏み込むとE/Gとモーターの相乗効果(シナジー効果)によってシステム出力306psを発揮する。車重は2t弱あって重い車だが、その加速性能は俊敏で力強い。合流車線やETCゲートからの加速は「胸すく加速」といっても良いレベルの速さである。先日試乗したNX350hよりも速さを感じられ、さすがモア・ストロングハイブリッドである。 高速域ではE/Gの騒がしさが周囲の音によって緩和され、動力性能も申し分なく、E/Gのネガが出にくい点に気づけたのは高速試乗をした甲斐があった。日産のe-POWERもE/G起動音をロードイズなど周囲の音に混ぜることで誤魔化しているが、ハリアーPHEVも同じ効果がある。乗り心地面では、バッテリーで重たくなった効果なのか心なしかどっしり感が増した気もする。劇的な進化は感じられないが、ブレーキもちゃんと効いていて安心感はちゃんとある。操縦性もハリアーというキャラクターを考えれば丁度良いキビキビ感でスポーティなSUVが持つ「キビキビ感」が無いのだが、ハリアーとしては至極真っ当な味付けである。日本の道路を走らせるには十分リーズナブルな性格に躾られている。 |
乗り心地 |
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元のハリアーに比べて多少は静粛性レベルが引き上げられているし、車重の重さによってどっしりした感じが増えたのは乗り心地的にはプラス。それにしてもE/Gの存在感がこれほどまでに商品価値をスポイルしているとは・・・・。
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積載性 |
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ハリアーPHEVはRAV4 PHEVと共通のコンポーネントを使って作られているから、ベース車同様のパッケージングである。しかし、ハリアーPHEVが一周回って素晴らしいのは大きなバッテリーを積むからといっていたずらに床面を持ち上げていない点である。
例えばミライやBZ4X、日産リーフやマツダCX-60などは床下にバッテリーを積んでおり、少しでも電池容量を稼ぎたいので床面を上に挙げる(≒室内スペースを犠牲にする)ことでエクステリアデザインと搭載成立性を担保している。 私が所有する初代RAV4が先鞭をつけたモノコック構造でSUVを作ると本来はフレーム断面分フロアを低くすることが出来てパッケージング的に理想に近づくのが定石である。実は旧世代のフルフレーム車はフレームの上にキャビンを載せていたので想像よりも手足を投げた姿勢で運転していた。つまり、見た目よりも室内は狭かったのだが初代RAV4はモノコック構造によるパッケージングの優位性が光り、4人を無理なく全長4mを下回るボディに押し込んでいた。 これを知っていると、電動化によってフロアが高くなってパッケージングが後退しているのは残念で勿体ない気持ちになる。バッテリーの小型化や薄型化だけでは無く、フロア形状に合わせて敷き詰められるような柔軟性が必要だ。最近日本に進出した中国BYDのブレードバッテリーのように搭載自由度が高いバッテリーを敷き詰めた事例もあり是非試乗してみたいと思っているところだが、大まかな傾向として電動化が進展するとバッテリーが大型化し、それに伴って高床化すると私は見ている。そうなると、全高の低いセダンやクーペはスタイリング上成立性が低くなり、益々SUVやミニバン、2BOXスタイルなどに集中していくのではないだろうか。センタートンネル程度の容積で十分走れる容量のバッテリーが積めないともはやカリーナEDの様な毒々しいパッケージングも難しいだろう。 ![]() 話題をハリアーPHEVに戻すと、ハリアーは大容量バッテリーを積みながらもそのしわ寄せが居住空間に及んでいない点を評価している。TNGAの悪癖(ステアリングコラム中心とシート中心がズレているとか、後席の足置きスペースが狭い)やRrシートのスライドやリクライニング機構が無い点など更なる上質感を求めたい事は山々だがハリアーを取り巻く環境自体がハリアーよりも悪くなったので相対的にハリアーが浮上している構図だ。 ![]() 面白いことに、ラゲージスペースはベースとなったRAV4と違ってほとんど影響を受けていない。デッキボード上の空間はベースと何ら変わりが無い、元々ローディングハイトが高く、狭いラゲージに救われた形だ。しかし、デッキボード下に元々あったサブトランク的スペースは発泡スチロールの部品で見事に塞がれてしまった。レクサスNXだとPHEVを選んでも床下収納が存在しているが、ハリアーの場合は発泡スチロールに掘込み形状があって底に充電ケーブルくらいは置けるようになっていた。 ![]() 容量的にはベースの409Lに対してPHEVは408Lとほぼ同等容量を確保し、デッキ下スペースは意外にもPHEVがHEVやガソリン車を凌ぐ結果になった。樹脂成形のボックス形状よりも発泡スチロールの粗末な(失礼)掘込み形状の方が形状がシンプルな分、容量が稼げるようだ。元々ゴルフバッグも3個しか積めず競合に対して誇れる容積はないが、その分悪化代が最小限に留まったのは不幸中の幸いだ。 |
燃費 |
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EV走行が可能なハリアーPHEVはEV走行距離が93kmとされている。燃料タンク容量は55LでWLTCモードの燃費は20.5km/Lであるから、ハイブリッド車としての航続距離は1127.5kmとなる。ここにEVレンジ93kmを和算すると1220.5km/L。ガス欠までに使用する燃料は55Lのままなので1チャージ+1タンク燃費は22.19km/Lである。
この数値はハリアーHEV E-FOURの21.6km/Lを凌ぐ数値でありFFの22.3km/Lに迫る。それでいて前述のハイパフォーマンスを発揮するのだから 燃費は良いと言える。 試乗時の燃費はEV走行を含めて27.6km/Lを記録しており燃費という観点ではハリアーPHEVに文句はつけられないレベルだった。 ちなみにEV走行用バッテリーを使い切った後に200Vコンセントで充電させたところ、充電時間は4:50と表示が出た。 ![]() これなら、夜23時に帰宅して翌朝3時50分に出発する様な忙しい人でもPHEVの恩恵はフルに受けられそうだ。逆に100Vコンセントだと満充電まで33時間かかるとカタログに書かれており、私のように毎日車に乗る人は200Vで充電できるように環境を整える必要があるだろう。 PHEVはEV走行してる間はガソリン代がかからないから経済的だと直感的に感じる。そこでモデルケースを考えてみた。 平日は通勤のための距離が往復15kmEV走行。 平日75kmは充電もせず完全EVで走れるだろう。 土日はレジャーで300km(EV走行2回)走らせれば375km/週の走行となる。 これを4週間続けた場合の走行距離は375km×4=1500km/月という使い方だ。 1500kmのうち、EVで走ったのは 平日300km+休日186kmであるから、 合計486kmだ。 そしてHEVとして走ったのは1014kmである。 ハイブリッド走行によるガソリンの使用量は 1014km÷20.5km/L=49.46L。 単価を160円/Lとすれば、燃料代は7914円。 「1500kmを50L足らずで走れるのだから30km/L超えの驚異的な経済性!」と喜ぶのは慌て者である。 自宅で充電するので当然電気代がかかってくるのである。ハリアーPHEVは18.1kWhのバッテリーで93km走るので、1km走行するために必要な電力は0.195kWh/kmとなる。 本試算の486kmを走破するのに94.59kWhの電気が必要。私が住む東海地方の単価は25.8円/kWhなので、電気代は約2440円。 つまり、1500km走行するためのエネルギー代は約10354.5円となる。 これはガソリン車換算すると64.72Lに相当し、 HEVやガソリン車に換算すれば23.18km/Lと見なすことが出来る。 電気料金やガソリン価格は変動要素が大きいとは言え、元々のハリアーHEVの燃費が21.6km/Lなので7.3%燃費が良い計算になっている。 HEVに対して思ったよりも節約効果があると見るのか無いと見るのか。これを読んだ方はどう思うだろうか。 ![]() 確かに絶対的な燃費性能は良いし、加速性能は劇的に向上している。しかし、元々燃費水準が高いハリアーHEVに対して燃費で元が取れるとは考えにくい。かつてのマークIIで2.5Lではなく3.0Lを選んだのに燃費もちょっと良くなってる!位に考えるとむしろお得と感じられる。(でもJZX100系後期型だと2.5Lと3.0Lの価格差は57万円なのでハリアーHEVとPHEV価格差の方が広いが…) |
価格 |
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ハリアーPHEVはRrモーターによる4輪駆動方式のZグレードのみというシンプルな構成を取っている。
価格は税込み620万円。 以前から気になっていたPHEV代は幾らなのかと言うことを簡単に見積もるためにハリアーに加え、RAV4とレクサスNXの価格差を調べた。比較したのはHEV(4駆)の最上級仕様とPHEVの価格である。 ![]() 単純な車両本体価格の差は105万円~135.9万円までの幅を持っていた。その中で、装備差を埋める為にオプション価格を差し引いていった結果、89.9万円~108.3万円まで価格差が縮まった。レクサスNXの車名(例:NX450h+)を例に取ればはHEVが3500cc、PHEVが4500cc相当のパフォーマンスを暗に仄めかしているから、旧来の排気量をベースにした価値観なら税込み110万円相当の価格差があってもおかしくない。そうすると、PHEV三兄弟の価格差というのは意外と納得感のあるものだと言うことに気づく。ただ、実際は同じ2.5Lエンジンの味付け違いであったりNX以外はレギュラーガソリン仕様であることなどは差し引くべきなのだが今回の検討ではこの差を無視する。 差額にはPHEVには必須の大型バッテリーの増強費用、プラグイン充電デバイス追加費用、或いはヒートポンプA/Cなど補記類が含まれ、外装部品を少し差別化するなど「上級化」するためのコスト(恐らく原価的にはかなり安い)も隠されている。 ![]() ところでE/Gの排気量アップは自動車メーカーにとって旨みのある良い商売である。例えば私のRAV4が積む2L E/Gはボア×ストロークが86.0mm×86.0mmであるが、カムリが積んでいた1.8L E/Gは82.5mm×86.0mmでボア径だけが違う。冷却やら何やらを度外視して乱暴に言えば、1.8L用のシリンダブロックをそのままに直径が3.5mm大きい刃具で機械加工を行えばシリンダブロックのボア径は2L用になる。後は専用のピストン(原価は1.8Lと2Lではたいして変わらないはず)を組めば理屈上は簡単に排気量アップが可能となる。ストロークが同じだからクランクシャフトも共用できる。 それでうまくやればセグメント感のバラツキはあれども上記の例では10~20万円程度利益が上乗せ出来るのだから、余剰分を装備品レベルアップにコストを回しても十分に利益率は増えるだろう。 販売面でも「1.8Lより2.0Lの方が追加装備が充実してトータルではお得ですよ!」というセールストークに繋がっていた。蛇足だが2.5Lと3.0Lの価格差は100系マークIIで47万円、最終プログレも50.4万円、200系クラウンで43万円など上記相場観通りの値付けだった。 こんな風に自動車メーカーは数値化しやすい排気量によって車「格」を定量化して利益を確保してきたが、ハリアーの場合はPHEV化によってパワーユニットの動力性能を上げるだけでは無く一式の装備品レベルアップ(例えば、EV走行時の暖房性能悪化を補填する為のヒートポンプエアコン)が必要でコストを押し上げているはずだ。 消費者にとってはある意味でコスパが高い(販売元の持ち出し分が多い)とも言えるのだが、トヨタはこの状況を百も承知で新型プリウスでは同じTHSを採用しながら1.8HEVと2.0HEV、2.0PHEVを分けて再び排気量差による収益率回復を目指し始めたようだ。 さて、ハリアーとRAV4とNXを横並び観察して、仕様差を相殺すると装備品の差異が小さいNXよりもRAV4の方が価格差が高い事に気づく。車格的にRAV4をPHVに相応しい格に持って行くにはコストが掛かっているのだろうか。確かにRAV4 PHVもベースの荒々しいHEVと比べると格段の進化を遂げているので対策コストが掛かっていると言うことなのかも知れない。そして今回取り上げたハリアーPHEVは兄弟車と比べると突出して価格差が小さい(RAV4比-17.4万円)ことが分かった。 これは意識的にハリアーを安くしたわけでは無く、ハリアーの装備水準が高くRAV4のように500万円オーバーの車格に見合うように後からあれこれと追加装備を盛らなくても良かったという点が想像される。(NXはプレミアム性追求の為に強気な値付けなのだと思われる。) その意味でハリアーの推定89.9万円というユニット差はシステム出力+87ps(309ps-222ps)の価格としてみれば安い。1ps当りの価格はハリアーPHEVは1.1万円であるが、例えば軽自動車のN BOXカスタム(EXターボ)の場合、+6psで14万円(2.3万円/ps)。セレナe-POWERの場合、+13psで41万円(3.15万円/ps)、ハリアーHEVの場合、+51psで61万円(1.2万円/ps)であった。PHEVの巨大なバッテリー、充電デバイス、専用空調など必要経費と得られる高性能を考えるとPHEVの収益性が心配になってくる。 むしろ、BEVならモーターなどのコンポーネントを変更せず制御違いで100kW仕様と150kW仕様を作り分けられる。こうして顧客からお金を取ることの方がかつての排気量拡大の様に利益は出しやすそうに感じるが。 色々と脱線したが、ハリアーPHEVの620万円という価格は確かに高いが、しかしベースからの変更点を考えればそれなりに辻褄は合わせてあるようだ。ハリアーHEVの最上級仕様を買おうと思っている人でPHEVが気になるなら、賞与を貯金するなどしても良いだろう。 2023年7月現在なら国からクリーンエネルギー自動車導入促進補助金55万円や税金優遇で合計61.2万円もの補助金がもらえる。HEV(こちらは3万円の優遇あり)との価格差は58.2万円となり、当初89.9万円だった価格差は31.7万円にまで圧縮される。ハリアー最上級仕様を検討できる人ならあと一歩PHEVを狙っても良いかなと思える価格差になっている。 ただ、世の中の実質賃金が上がっていない状況を考えるとハリアーの中心的な顧客層(ガソリンFF~HEV FFを想定)に+200~300万円オーバーを求めるのはきつい。この辺りを買おうとする人が無理をしてPHEVを狙うのは個人的にはお薦めできない。(ハリアーの需要を考えると残価設定型クレジットという手もあるにはあるが・・・・) |
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