2010年01月22日
持ち込み登録ってなに?
オーテック車のカタログ等に『持ち込み登録』っていう文字があって、これってなんですか?とよく聞かれます。時々、持ち込み車検と勘違いして『車検のときには陸事に持ち込まないとダメなの?ディーラーで車検受けられないの?』なんて聞かれることもありますが、もちろんそんなことはありません。
持ち込み登録というのは、車に最初にナンバープレートを装着するときに、陸運事務局(陸事)で実物確認をしたうえで車検証を発行してもらう登録方法なんです。
オーテック車と日産の標準車との最も大きな違いは、日産の工場で完成しているか否か、です。
工場で組みあがって自動車メーカーの検査に合格した車は『完成検査証(完検証)』といっしょに出荷されます。日産自動車のような、いわゆる正規の自動車メーカーは、量産を開始する前に『こんどこんな車を量産開始します。寸法はこうで、燃費はこうで、構造はこうで、こうでこうでこうで・・・。』というような、型式指定申請というのを国土交通省に対して行い、国土交通省で実車と申請書類を見比べながら審査を受け、審査が通れば『型式指定自動車』としての認可が下ります。その認可が下りたら『この届出内容のとおりであることは自分んとこの検査工程でちゃんとチェックするんだよ(信用してあげるから)』ということになり、『確かに届出どおりにできています』という証明書=完検証とともに出荷されるのです。実際に販売された車の登録の際には、ディーラーの人がその完検証だけ陸自に持っていけばナンバーが発行されるのです。これが書類登録。
いっぽう、オーテックのような架装会社の場合は、国土交通省からそんなお墨付きをもらっていない(信用されてないわけでもないですが(笑))ので、届出もしていないし完検証も発行できません。なので、販売された車は、陸事で一台一台現物を確認され、改造箇所が申請書類どおりになっているか(その改造が正しい改造かも含む)チェックされた上で、ナンバーが発行されるのです。これが持ち込み登録。
なので、オーテックの車は車検証に登録時点の実寸法や実車重が記載されています。まったく同じ仕様でも友達の車と記載内容が違う場合があるのはこのためです。
自動車メーカーの生産ラインでは、1分に一台というペースで組みあがっていきます。日々車を弄っている皆さんなら(笑)、たった1分で何か部品を組みつけようとすると、工具や部品形状/構造に相当な工夫がいることがわかると思います。 ちょっと凝った形状や構造の部品を組みつけようとしたら、絶対に1分じゃ無理。それが量産制約。この量産制約はもちろんカネ(設備投資)で解決することも可能です。でもカネで解決すると当然販売価格が高くなります。
でもそんなちょっと凝った車でも、ごく限られたお客様を対象に少量作るのであれば、あまり設備投資をせずにそこそこリーズナブルにやる方法があります。それが改造とか架装です。量産のラインから外れたところで、手作業的に専用部品等を組み付けたり加工する、オーテックなんかがやってるやりかたです(細かく言うとこれにも種類かあるんだけど、割愛します)。
つまりオーテック車は、量産の制約に縛られないので、ちょっと凝ったものをそこそこリーズナブルな値段で提供できるのです。 そのかわり、完検証がつかないから登録に少し時間がかかったり、類別が取得できていないからJAF戦のモータースポーツに出られなかったりするんです(涙) 当初はエコカー減税も受けられなかったしね(これについては昨年の8月に解決して今ではちゃんとエコカー減税も受けられるようになりました)。
なお、オーテック扱いでも日産のラインで完成している車もあり、それらは持ち込み登録ではなく書類登録されています。 逆に日産自動車(株)の扱いの車でも、社会貢献性の高い車や公共の益に供されるような車は、型式を取得せずに持ち込み登録が行われているものもあります(パトカーとかFCEVとかね)。
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この話、このブログを書き始めた頃にも書いたんですが、ちょくちょく聞かれるので、再び取り上げさせてもらいました。
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Posted at
2010/01/22 17:19:53