2010年07月20日
真円ボア加工の真実
先週末、オーテック本社(茅ヶ崎)をちょっとだけ開放する・・・というイベントを開催し、40台70人ほどのオフ会を開催しました。 この夏の新車、エルグランドライダーとマーチボレロを展示しつつ、メインイベントは社員食堂での昼食会(爆)といういつもながらのゆるいイベント。 それでも遠くは兵庫からお越しいただき、すっげ楽しかったです。 その模様は、後日ご紹介するとして・・・。
さて・・・ 先日、真円ボア加工の話を書きましたね。
機械加工したシリンダーブロックにシリンダーヘッドを組み付けると、その締め付けた応力で変形してしまい、シリンダーとピストン(ピストンリング)との隙間が均一でなくなり、摩擦抵抗(フリクション)が増える。 これを回避するために日産の技術者が考えたのが、ハイパワーエンジンチューンをするときに使う『ダミーヘッド』を組んだ状態でシリンダーの加工をする手法。 それが真円ボア加工です。
それを、こんな手抜きイラストで説明をさせていただきました。
ぶっちゃけ、応力で変形するのよ、という説明だけのつもりだったんですが・・・
日産で、このエンジンやってる人からメールが来ちゃいました(爆)
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ご無沙汰してます。この間ブログを拝見したら、HRエンジンのボア加工のことに触れていただいていたのでちょっとうれしくなりました。
その中で、イメージされていた変形の絵が、担当していた者からすると少しイメージが異なっていたので、ちょこっと補足させてください。 絵描くのが面倒だったのなら、すいません。
実際のエンジンで起こるボア変形は、ヘッドボルトの軸力(締結力)で起こります。 したがって上から見ると一ボアあたり4本のボルトで締める場合は、4次の変形・・・4箇所の出っ張り、ヘッコミがある形状になります。 特にピストンリングはこの形に変形して追従するわけで、この形に変形するための高い張力(ボアに張り付くための初期荷重)が必要で、フリクション要因になってます。また縦方向にもひしゃげた形になってます。これも悪さをします。
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ということですので、多少きちんとした絵を書いてみました(パワポでイラストを描くってのが面倒だったというのもあるけど、それよりもあまり詳しくなくて自信が無かったのもあって・・・適当な絵で済ませたんです、すみません)。
まず、シリンダーブロックとシリンダーヘッドを組むってのは、こんな感じです。
この絵で言うと、8本の締結ボルトでブロックとヘッドをとめていることになります。
で、ギュッと締め付けると、本当は下図の右『理想』というような形が保持されて欲しいのに、左『現実』っていうような形に変形しちゃうのです(ま、これもイメージね、イメージ)。
横から見ると部分的に樽みたいな感じで、真上から見ても丸くなくて、4つの山と4つの谷がウネウネとつながったみたいな感じに変形する。 これが、メールで教えてくれた4次の変形ってやつです。
すごいですね~こんな風に変形するんですね。 そりゃあ抵抗も大きいですよねぇ。
そこで、彼らはどうしたかというと、こんな感じにダミーヘッド(ヘッドっぽい形の金属のカタマリ)を締結した状態で、シリンダーの穴加工をするってわけです。
そうすれば、シリンダーヘッドを組み立てた状態と同じような変形をあらかじめ再現できるので、組み付け後に『理想』の形状に近いシリンダーが出来上がるんですね~。
以上、真円ボア加工の真実でした~。
なんかさ・・・ こんなブログでも、いろんな人が見てるかと思うと緊張しますね(笑)
でも、メールもらっちゃったのって、すっごく嬉しかったです。
またいろいろ教えてもらおうと思います。
でもって、またご紹介させてもらいますね。
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Posted at
2010/07/20 19:51:22