2007年に発表されたLS600hに関して、少し意外だったのは、駆動方式をAWD(4WD)のみにしていたことです。
当時、既にFRベースのハイブリッドであるGS450hはあったので、当然、それをベースにして、FRにしても良かったはずですし、FFベースの4WDハイブリッドは、RXやエスティマなどに採用されている、e-Fourがありましたね。
ここで、何故、LSのハイブリッド車を、
FRベースのAWDにしたのかは、よく分かりませんでした。
まぁ、色々な雑誌で開発者は色々な後付的な事を言ってましたが、当時、ベンチマークと考えたMBのS600や、BMの760iなど、フラッグシップの中のフラッグシップ車に対して、動力性能のみならず、A8の持っているAWD性能を加えてしまって、なんでもアリにしたかったというのもあったかも知れません・・(邪推です・・)
後、ハイブリッドシステム単体で考えると、FRベースだと回生ブレーキが効かせづらいので(後輪ブレーキになるので・・)、AWDの方がFFと同様に前輪回生優先という意味では、有利である訳で、ブレーキングパワーとしての回生を積極的に使えるのも、AWD化の良い面とは言えるそうです・・
一方で、その先進のハイブリッドシステムとは対照的に採用されていた、AWDのメカニズムもいまいち、不思議な印象を持ちました。
前後のトルク配分は、無段階ではなく、しかも、電子制御は一切、介在していない完全メカ仕様だそうで・・・・
普段は、前後比、40:60で、状況に応じて、30:70、50:50に切り替わる物で、要は3段階のトルク配分をメカ的に切り替えているだけとの事。
その配分切替のキッカケをつくっているのが、「トルセン」という左右輪の作動差制限(LSD)に使われている古式ゆかしいもの・・
トランスファー装置内にこの前後の配分を決めるトルセンLSDが入っており、前後の駆動力によるキックバックと、エンジントルクの差分で、先の3種の駆動配分に切り替えているだけという実にシンプルかつ、単純な物です。
因みに、ISやGSのAWDでは、各種センサーから得られた状況などを元に、走行状態に応じて、センターデフと電子制御多板クラッチを介して前後トルク配分を30:70~50:50に無断階切替を行うそうで、如何にも先進性のありそうな物です。
メーカーのHP上の説明
そんな中、何故に、LS600hは、前後配分に完全メカ式を使ったのか謎です。
当時の雑誌には、レスポンス重視だとか、色々と書いてある記事を見ましたが、別にスポーティーグレードではないし、今時、電子制御のレスポンスを良くする技術は各種デバイスにお金をかければ、難しくないはず・・
一方で、LS600hほどの大トルクに耐えられる電子制御多板クラッチの開発が大変だったのでは?という邪推も働いたりしますし、更に、ハイブリッドシステムという状況によって駆動トルクが激しく変わるシステム上、多板クラッチの制御がとても難しいというのも有るのかもしれません。
何れにしても、古式ゆかしいアナログ的なメカ・デバイスが入っているのは興味深いと言えば興味深いです。
因みに、LS460もこのAWDシステムと同じように完全メカ式の前後駆動配分用のトルセンLSDを基本に構成されているので、実は、ハイブリッドシステムとは全く無縁なのかもしれません・・
さて、という前提の中、私的には、前期→中期→後期と、トヨタ唯一のFRベースのAWDハイブリッドに乗ってきたインプレとしては、普段乗りでは、AWDと言うことは全く意識できない・・というのに付きます。
ただ、一度、雨の日など悪天候下での高速走行の安定性は、尋常では無いのは事実だったりします。
これは、実は、凄いことなんだとは思います。
因みに、FRのクルマの雨の高速走行ほど怖いものは有りません・・
特に、30系セルシオ時代は、大雨の高速では、何回か、手に汗を握ったのは事実です・・(笑)
それと、今回の
「関東の大雪」(雪国は笑われる表現でしょうけど・・)
さすがに、1月14日の成人の日には、外出はしませんでしたが、15日の早朝には会社出勤のため、LS600hを使いました。
ま、チェーンを巻かないのは、私自身がズボラなのも有るんですが(笑)、そこそこ雪も溶けて減っていたので、ノーマルタイヤ状態で出発しましたが、所々、アイスバーンだし、雪はまんま残っているところもそれなりにあるし、目的地の駐車場内も、かなり雪でひどい状態でした・・・・・
しかし、歴代?の、LS600hと同様、凍っている軽い坂も普通に登るし、アイスバーンでぐちゃぐちゃの道も、ガリガリとタイヤで氷をつぶしながら、蛇行する事もなく、真っ直ぐ行ってくれるのは頼もしい限りです。
この辺りは、普段は全く意識しない、LS600hのAWDの「底ぢから」を感じるところなんですね・・
もちろん、過信は禁物なのは当然ですし、予防策としてチェーンを履いて走行するのがある意味では、マナーでもあるというのは、重々承知ではありますが、意外とドンドンと行けちゃう事自体、感心することしきりです・・
以前、突然の大雪で、同じ駐車場でZ33が全く動けなくなってましたが、LS600hは普通に駐車場を後に出来ました・・
ということで、LS600hのAWDの実力で助かっていることがあるので、結構、気に入っている安全スペックの一つだったりします。
次期フルチェン後のLSは、ハイブリッドでAWD廃止みたいな記事を大分前に読みましたが、個人的には、激しく反対です・・
仮にLS450h(仮称)みたいな、廉価版がFRで出来るのは大いに結構ですが、やっぱり、LS600hクラスは、AWD仕様の存続を強く望みたいですね。
Posted at 2013/01/17 02:43:12 | |
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