もう過去何年もタイヤの性能チェックやら、車体の挙動チェックをするには、冬に赤城山をトライすれば結論が出ると思い込んでおりますw
いや、盛った話でもなく、冷静に考えてみると
・様々なRのカーブがある
・舗装路であっても荒れている個所も多数ある
・標高差が1500m以上あるため、乾燥路から氷上、積雪路、シャーベット、一式存在している
等など・・どのシチュエーションでどのような挙動をするのかなどが一式確認ができる最高のテストコースだと思います( ´∀`)
ということで、まだ雪があるこのシーズンにせめて1度も使ったことがないX-MODEを体感してみることにしました。
まず、BT5型アウトバックの
X-MODEは2パターン存在します。※2024年3月現在のBT5-D型グレード
・Limited、Active x Black : 1種類
・X-BREAK : 2種類(SNOW/DIRT、DEEP SNOW/MUD)
調べた情報によると、Limited系のX-MODE ON の状態は X-BREAKでいうところのSNOW/DIRTに相当、
また、Limited系の
X-MODE ON状態で、VDC OFFを組み合わせた状態が、
DEEP SNOW/MUDになるようです。
X-BREAKの場合、X-MODEのON/OFFとVDCのスイッチの併用は許可されておらず、X-MODEの
2モード切替に並行してVDC-OFF・ONが自動的に決まります※変更不可
どちらが良いか悪いかの話はさておき、自分の場合は少し若者向け化されていて、よりタフに使えてアウトドア寄りのX-BREAKのほうが、こういう電子デバイスの設定自体も楽にセッティングできるのでお勧めできますね。
さてさて、そんな"テストコース"での走行でいくつか判明したことを紹介します。
■ DEEP SNOW/MUDモードが有効なケースについて
路面状態云々はさておき、とにかく掻き出せ!滑ろうが何しようが、4輪で足掻いて突き進め!アクセルガン踏みして飛び出せ!という
超ワイルドモードというイメージです。副変速機はありませんがX-MODE時はローギヤーモードになりますが、まぁ、タイヤが4輪滑りに滑りながら車両が暴れまくりますw
赤城小沼までの凍結路+上り坂では正直使わないほうが身のためですw 滑る=当たり前。そしてまっすぐに進まない、こんな普段大人しいクルマなのに、雪面で虎のように豹変するので、自分の中ではスバルの自制心解除モード と呼んでおりますww
機構上、ジムニーのようにセンターデフ無しの4輪直結にはできないが、せめてもの4輪直結に近いようなトラクションコントロールもカットしたものをユーザーに提供したいという意思を感じますw
■ SNOW/DIRTモードが有効なケースについて
一定の凍結路状態、圧雪状態で発進加速が必要な場合は、SNOW/DIRTモードが一番適していると思います。
SNOW/DIRTは前述の通りVDCがONの状態となりますので、空転制御を検知しながらできる限りリアのトラクションも強くかけられるように制御しているようです。
感触としては、グリップをなるべくさせるように、そして的確に(滑らないように)路面を掴んでいこうというケースを想定している模様です。
なので、X-MODEを使おう と思ったらまずは SNOW/DIRTでことが足りると思います。
■ X-MODEについているヒルディセントコントロールについて
X-MODEのヒルディセントコントロール、トヨタでいうところの”ダウンヒルアシストコントロールシステム (DAC)”などなど
もっと言えばスズキのハスラーにもついている機能ですが、メーカーにより考え方が異なります。
基本的に、ブレーキやアクセル操作なしに”一定速(低速)で下る”を目的とした機能となります。
トヨタ系では機能をONにして、スイッチで速度調整する。スズキでは7km/hで固定にするなど様々です。
スバルの場合は、X-MODEが何かしらでONの状態であれば強制的に併用状態となり、20km/h以下の車速状態に合わせてアクセルオフすると
一定速で下ることができます。
例えば、0km/hからX-MODEがONの状態だと、ブレーキを離して5km/hで下り始めます。5km/h~20km/hの適切な速度で下りたいときは、
ターゲットの速度までアクセル操作で微調整します。
これはほんと、直感で操作できるので非常に楽でした。
ただ、20km/hを超えると制御されませんので20Km/h付近に抑え込むのが一苦労かなと思いました。
(この辺はEyeSightのSET/RESレバーとかで調整できたほうが嬉しい気がします)
ちなみに、感覚的な話となり実際には異なると思いますが、フロントブレーキ主に右前(運転席側)のブレーキ制御が先にかかる気がします。
電子制御でまずABSを効かせて先にわざと滑らせます。そのうえで、路面状態を確認しながらリアブレーキの油圧を高めているようです。
アクセルペダルをON → OFFした瞬間に”ギュイーンゴゴゴゴゴ・・・”という感じでフロント右前でブレーキが効き始め、リアブレーキで的確なグリップを掴んでいく感じです。
なので、フロント側で限界値を超えるようなダウンヒルを検知した場合は、リアブレーキ側で結構な制動力が効いてくるのかと思います。
※この辺の路面状態を把握する という制御はスバル側でどう考えているのかは知りません。
→ 割と、傾斜角 x 速度 x Fタイヤのグリップ状態 という計算方式で限界値を見ている気がしました。
画像のような場所で完全ではないが凍結路の下り坂という場面では、一定の効果がありますが、必ずドライバー自身が限界値を認識したうえで使うことをお勧めします。
※この状態でブレーキを踏むと4輪ロックで滑り落ちましたww
■ 究極の話、X-MODEどころかVDCの無いBP5(2.0i Advantage-Line)とどっちがいいか。
極論書かせていただきますが、
圧倒的にBP5(2.0i Advantage-Line)が良いに決まっています!
現行のアウトバックを乗っていながらこんなことを書くのは業界に失礼かもしれませんが、雪上で走ってみて感じるのはまぁ、とにかくあのBP5はレガシィ史上最高のクルマでした。以降様々なスバル車を雪上で乗ってきましたがBP5が素晴らしかった理由は下記の通り。
・ 4輪の制御に雑味がない
→ 電子制御が無いから、アクティブトルクスプリットAWDのトルク配分だけでグリップ状態が体感できる
・ 4輪駆動車であっても限界値がわかる
→ VDCがないことで、トラクションが抜ける瞬間、4輪のどれが"今"滑っているかが瞬間でわかるので、今自分がこれから走ろう。0.5秒後に踏むであろうターゲットとしている走行路面が瞬時にわかる。
・ 路面状態がステアリングから読める
→ 凍っているかどうか、ブラックか乾燥路かが路面の凹凸をステアリングから掴める。これは油圧パワステならではのお話。
・ 車体の動きとタイヤの限界値が即座にわかる
→ 路面・タイヤ・ホイール・ばね・ショック・車両の距離がBT5から比べると相対距離が近いので体に入ってきやすい。
・ サイドブレーキで立て直しができる
→ これは言わずもがな、やはり電子パーキングの弊害でございまして、特に菅平高原やら、聖高原などを走っているときにアンダーが出たときには瞬間にサイド引いてケツだしてフロントを潜らせて・・・・という立て直しができることですね。
正直、BP5と同じくBT5で山を走ってくれと言われても、同じ速度で同じ走りができるかと言われても、たぶん無理ですね・・・
なので、今シーズンは青木峠すらチャレンジする気ありませんでした。
ちなみに、和田峠(旧道)の真冬-10度はあろうかというシチュエーションの中、機械式サイドブレーキを搭載していたXV-HV(GPE)で雪上面でサイドブレーキを駆使してみましたが、あのトルクの無いハイブリッド(e-boxer)では立て直しができない、重量バランスがおかしいことに加算して、完全解除できないVDCが災いして全く遊べませんでした。
適度なホイールベース、適度な重量配分、必要最低限の電子装備、これに限るなと感じた次第です。
結局、X-MODEは必要か?
答え:あったら良いが
無くても困らない
結論はこれに限ると思います。
だって、AWD自体は数十年変わってないし完成しているもの。
ただ、電子制御を入れなくてはならないご時世だし、致し方なくメーカーも取り入れている中で残された選択肢としては、電子制御を殺さずに良い方向に生かすためには、現在のような手段しかないのでは?と感じています。
電子制御自体無くてよいものではあるが、無いことが許されないために、電子制御が在る状態を保ちつつ如何に従来通りの動きを再現させるか、またはそれ以上の対価をユーザーに提供できるか?を加味した結果、"X-MDOE"という電子制御技術を表に出すことにした。
というのが現在のスバルの結論なんだと思います。