2007年01月31日
第一話?『出生について』
私の名は通称レガシィB4。戸籍上の姓は『スバル』、名は『BLE』と云う名前らしい。
2004年も終わろうとする頃に群馬の工場で生まれて、東京の外れに住んでいる主人の許へとやってきた。
主人は当時、相当ムリをして私を迎え入れたらしく、私が来た時はヨメと随分険悪な雰囲気になっていたようだ。
「ウチはこれからどうやって暮らしていくのよ」
なんて冷静に呟いていたのが印象に残っている。しかし、未だココに私が居るという事は何とかなっているのだろう。
そうそう、私と入替わりに出て行った同じ姓の『BE5』とか云うヤツが言っていた。
「ココの主人は飽きっぽいからすぐに他へ出されるぞ!」
と。彼は2年足らずで主人の許を去っていった。
幸い?と言って良いのか、私は『BE5』なる者よりも長い期間主人の許にいる。
確かに主人は目移りが激しそうだ。主人は休みの度にディーラーへと行き、私は幾度と無く査定士にアチコチ覗かれて値段を付けられている。しかし、主人は私に付けられた値段にガッカリしている様だ。私もガッカリしている。節操の無い主人にも査定評価にも。
どうやら世間は私を欲しがる人はそんなに居ない様で、主人が言うには同じ生まれの『スバル』でも『BP5』『BL5』とか云う連中、しかもある条件を満たしている者が優遇されているらしい。
それでも私を手放さずにいるという事は「金が無い」か「私以上の魅力を持つクルマに出会えていない」のだろう。まあ前者がその主たる理由だろうが...
どうも私は「変わり者」として生まれてきたようだ。
成る程。確かに生まれた工場では私の様に4枚のドアと独立した荷室を持っているものよりも、4枚のドアとハッチドアを持ち、居住空間と荷室が一緒になっている連中の方が多かった気がする。しかも昨今、他所さまの工場で生み出される「ミニバン」とか云う箱の様な出で立ちの連中が巷間では便利で人気者らしい。
あと、工場では容量2Lで4つの燃焼室を持つエンジンを積んでいる連中が多い中、何故か私には容量3Lで6つの燃焼室を持つエンジンが積み込まれた。世間的には「4つ」の方が税金上のメリット、それに「4つの燃焼室に強制的に空気を送り込む」事によって私の「6つ」よりも力が出るので人気があるらしい。ただ、私の積んでいる「6つ」は好きな人には堪らなく「何か」が良いそうだ。
更に考えれば、生まれた工場でも多かったが、全国津々浦々で生まれてくる私の仲間達の9割以上が「自動変速機方式」であるのに対し、私には「手動変速機」が付けられて生み出された。
私の生まれた工場では兄弟である「BL~/BP~」が沢山生み出されているが、私と同じ身体を持った者はわずか1%にも満たないそうだ。どおりで滅多に瓜二つの兄弟を見ない筈だ。道で会う兄弟は大体が微妙に姿形・息遣いが違うからな。
どうしてこんな「変わり者」である私を主人は「ムリして」迎え入れたのだろうか?
簡単な事だ。
主人もきっと「変わり者」なのだ。
(続くか?)
-解説-
久々に雑文を書いてみました。「レガシィの視点からみたワタシ及び家族」を通して我が家とBLEの状況を書いてみようかなぁという「思いつき」であります。
果たして続編は書けるのか?
え~、最後にお詫びです。
・「変わり者」扱いされてしまった「6発x6速セダンレガシィオーナー」の皆様
・「連中」呼ばわりしてしまった「4発xATワゴン&セダンレガシィオーナー」の皆様
・やはり「連中」呼ばわりしてしまった「ミニバンオーナー」の皆様
ハナシ上の流れであれ、失礼な表記申し訳ありませんでした。
Posted at 2007/01/31 17:10:38 | |
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雑文 | クルマ
2006年02月22日
吸入が終わると、嘘の様に長男の発作が治まった。
気分的にぐったりしてしまったワタシは
「そうだ。綺麗な空気のトコロへ行こう!」と自分に喝を入れるように言った。
困惑する妻を尻目に、子供たちをそそくさと車へ乗せた。
何となく八王子料金所から長野方面へ車を走らせていた。
滑走路の様な高速道路を西へと進んでいた。子供たちは暫く眠っていたが、途中で目を覚まして一緒に歌を歌いながら進んでいく。
やや大きめのロードノイズと子供たちの歌を聴きながら、さて長野方面へ向かったもののどこへ行こうか今更考えてみる。
答えが見つからぬまま、車は山梨と長野の県境を過ぎて更に西を目指す。
「どこへ行こうか?」
妻に問いかけても、「どうするの?」と呆れ顔で答えてはくれない。
いい加減疲れが出てきたところで私は高速を降りた。料金所のブースには「塩尻北」と書かれている。コンビニのレジの音の様な電子音と共にゲートを通過する。
松本の市街地へ入る前に好物のアンバターどら焼きを買い込み、市街地とうすぼんやりとした陽光の差す城を横目に細い路地へ入り坂道を駆け上がる。
坂道の頂上付近には公園の駐車場があり、そこに車を停めた。平日の為なのか車は私の他に2・3台しか停まっていない。
疲れを労う様にエンジンを止め、歩きたがらない長男を追い立てながら更にその頂を目指す。
やがて展望台と思しき場所へと辿り着いた。
眼下には安曇野の盆地が広がっている。冬の光を受けて冷たい中にもほのかな暖かみを持った空気、その光を優しく反射する梓川と犀川の流れ、そして凛々しくそびえる白馬の山々、しばし時を忘れて眺めていたかったのだが、長男のテンションは上がりっ放しで、広場へと駆けていってしまったので慌てて追いかける。
アンバターどら焼きを妻とかじりながら、広場でバタバタと駆け回る長男を眺める。物凄く嬉々とした顔だ。
「やっぱり空気が綺麗な処に住みたいよな...」
「そうだね...」
そんな会話を交わしながら暫くすると、興奮しすぎて過呼吸になった長男がまたしても「ゼェゼェ」と息をして戻ってくるではないか!
大慌てで相棒の待つ駐車場へと続く坂道を走り、子供をチャイルドシートに乗せるのであった。
~(家族バージョン)おしまい~
-言い訳-
一人身バージョンに「家族」「現実的な日常」「オチ」の要素を加えて、言い回しを若干いじって書き換えてみました。やはり中途半端な仕上がりですね。
実際、家族での遠出は長男の体調に左右される事が多々あるのでこのようなドタバタ劇になりがちです。
今度はもっと鑑賞に堪えうる書きモノが出来るように頑張ります。いつになるやら...
駄文に付き合って下さいまして有難うございました。
Posted at 2006/02/22 19:22:54 | |
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雑文 | その他
2006年02月21日
思うままに車を走らせていた。
気付けば滑走路の様な高速道路を西へと進んでいた。6速で緩やかに流してみたり、時折ギアを落としてエンジンを歌わせながら進んでいく。
やや大きめのロードノイズとエンジンの歌を聴きながら、自分は一体何を探しているのか考えてみる。
答えが見つからぬまま、車は山梨と長野の県境を過ぎて更に西を目指す。
「一体オレは何を探しているのだろう?」
車に問いかけても、自分の仕事を淡々とこなすだけで答えてはくれない。
いい加減疲れが出てきたところで私は高速を降りた。料金所のブースには「松本」と書かれている。コンビニのレジの音の様な電子音と共にゲートを通過する。
松本の市街地を抜け、うすぼんやりとした陽光の差す城を横目に細い路地へ入り坂道を駆け上がる。
坂道の頂上付近には公園の駐車場があり、そこに車を停めた。平日の為なのか車は私の他に2・3台しか停まっていない。
疲れを労う様にエンジンを止め、歩いて更にその頂を目指す。
やがて展望台と思しき場所へと辿り着いた。
眼下には安曇野の盆地が広がっている。冬の光を受けて冷たい中にもほのかな暖かみを持った空気、その光を優しく反射する梓川と犀川の流れ、そして凛々しくそびえる白馬の山々、しばし時を忘れて呆然と立ち尽くしていた...
手にした缶コーヒーがだいぶ冷めてしまった事で「ハッ」と我に帰った。そして一気に飲み干すと何かが解かった様な気がした。
「そうか、探し物ってコレだったんだな...」
満足気に相棒の待つ駐車場へと続く坂道を歩き出した。
~(一人身バージョン)おしまい~
-解説-(言い訳とも云うか)
前回の道中編以来暫くぶりに書いてみましたが、何とも訳の解からん事になってますね。なんとなくドライブをテーマに「愛車」と「お疲れモードのワタシ」を描いてみたかったのですが、中途半端なモノになってしまいました。
並行していた家族バージョンも、どうやって終わらせようか迷っています。一人身は正統派、家族はお笑いありの対照でやってみようと思いつきでやってはみたものの...文章は難しいっす。
まあ、独り善がりなんで見過ごして下さい。
ちなみに今回出てくる場所は松本市内の「アルプス公園」という実在の場所で、5884一家のお気に入りの場所です。春は桜がとても綺麗で素晴しい処ですよ。東京に比べて開花も遅いのでトクした気分にもなれます。
Posted at 2006/02/21 15:26:56 | |
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雑文 | その他
2005年11月22日
五日市街道を西へと進む。
「ゴホッゴホッ...」
うっ!イカン長男の喘息発作が始まった。
「立川市」と「福生市」の境界線を過ぎた交差点を左折すると右手に日帰り温泉施設が見えてくる。
なんとなく車をスルーさせ、青梅線のガードをくぐる。さらに左折すると「○○こども病院」の看板が見えてきた。
「なんでこんな時に発作が起きちゃうんだよ~」
快調という言葉には程遠い顔の長男を見て呟いた。
「吸入と点滴してみるか?」
後部座席の長男に声を掛けると、まるで「うん」の返事を嫌がるかのように小さな体いっぱいに大きく咳込む。
病院横の駐車場にクルマを停め、子供たちを下ろして院内へと向かう。待合室のエアコンのルーバーからは妙に暑すぎる風が吹き出している。
診察室へ入り、大きく口を開け、聴診器を当てられながら長男は深呼吸をする。
「いっちょう吸ってみるか!」
薬品の入ったガラス吸入器を長男の口元にエスコートして、他の患者を横目に吸入器のスイッチを入れた。
シューッという軽い音を立てて、長男は処置室の片隅で吸引を始めた。
(どう続ける?)
いかん。ドライブからかけ離れだした。
Posted at 2005/11/22 17:02:55 | |
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雑文 | 趣味
2005年11月22日
五日市街道を西へと進む。
「立川市」と「福生市」の境界線を過ぎた交差点を右折すると左手に横田基地の滑走路が見えてくる。
なんとなく路肩に車を寄せ、立入禁止の説明であろう英語の看板が貼られた金網越しに滑走路を眺める。ようやく朝もやの晴れた滑走路はせわしなく誘導灯を点滅させており、その向こうにずんぐりとした輸送機が羽を休めている。
「あんなものでも空を飛べるのか...」
軽快という言葉には程遠い形の輸送機を見て呟いた。
「俺らも飛んでみるか?」
傍らの愛車に声を掛けると、まるで返事をするかのようにファンベルトを駆動するリレーの接点が「カチッ」と音を立てて回り出した。
基地横の冷たい空気を大きく吸い込み、車に乗り込む。エアコンのルーバーからは程よい温もりが優しく吹き出している。
再びポジションを整え、シートベルトのバックルを差し込み深呼吸をする。
「いっちょう飛んでみるか!」
暖まった1速にシフトをエスコートして、滑走路を横目に僕らは飛び立った。
シュィーンという軽い音を残し、落葉を舞い上げながら僕らは滑走路の横を消えて行った。
(続け...てみたい)
これは家族バージョンが大変だ。
Posted at 2005/11/22 14:16:29 | |
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雑文 | 趣味