今から半年前(今年3月),「リアの不安定さ(スピン挙動)」に悩まされて足回りを色々変更するも問題が解消せず,筑波サーキットのアドバイザーでお馴染み
蘇武喜和さんに相談させて頂きました .
私のEF8に乗って頂き,原因を探って頂いたところ,「前後のブレーキバランスが合っていない(リア側が先にロックしている)」事を突き止めて頂き,その対策として「リア側の効きを弱めるのではなく,フロント側を強めるべき」とアドバイスを頂きました.
その理由としては「ブレーキペダルのタッチが結構カッチリしているが,カッチリしていてストロークが短い割には,その先でフロントの制動が滑る.もう少しフロントの制動があれば,タッチが硬くなって止まった時に,その先を踏もうとしなくなる(カッチリした部分から先でリアのブレーキがロックしていた)」というもの(↓).
頂いたこのアドバイスから必要なブレーキパッドの特性を整理し(↓),
当時使っていたブレーキパッドの特性に近い製品群の中から(↓),
IDIのゼロクロスシリーズの「
SC6.5 」をチョイスしました(↓).
そこから,パッドを交換してテストに臨んでみたのですが(↓),
確かにリアのロックは解消されたものの,タイム的には0.3秒くらい遅くなってしまいました・・・.そこから
遅くなった原因を分析してみた ところ,私のブレーキの好みとパッドの特性が合っていない事が見えてきました(↓).
①制動初期(一番上の緑丸) ・・・ 効き始めは弱くても良いが,その分だけペダルストロークを稼ぎたい
②制動中期(真ん中の緑丸) ・・・ ペダルの奥の効きが一定で,速度が落ちても制動力が変えたくない
③制動後期(一番下の緑丸) ・・・ 速度の低下に合わせて効きも低下し,コントロールを容易にしたい
そこから再度ブレーキパッドの特性と睨めっこし(↓),
①制動初期 ・・・ 低温域の摩擦係数を上げて,探り探りペダルを踏まなくて済むようにする
②制動中期 ・・・ 初期からの温度上昇に対して摩擦係数を一定にし,制動力の変化を抑制する
③制動後期 ・・・ 踏んでる時間が長い時(≒高温域)の摩擦係数の下がり方を好み(SC5)に近づける
私の好みとしては「
SC6 」の方が良いと判断して,再度交換(↓).
走行会で再び蘇武さんに乗って頂くチャンスを得られたので,乗って頂く直前の枠でパッドの慣らしを済ませて(↓),
ギリギリでしたが,何とか準備を整えられました.
という事で前振りが大分長くなってしまいましたが,蘇武さんに乗って頂いた感想です.
VIDEO
蘇武さん :凄い乗り易くなりましたね.滅茶苦茶イイと思います.
私 :実は今日,(パッドを)入れたばっかりなんですよ.
蘇武さん :あ,そうなんですか.
私 :先程走った時の感触としてはイイんじゃないかな?と自分でも思ったのですが,問題なしですかね?
蘇武さん :バッチリだと思います.
私 :有難う御座います!
蘇武さん :この先,欲しいもので言うと・・・,
私 :はい.
蘇武さん :フロント荷重で曲がっている時間帯の限界をもうちょっと上げられると良いかと.
私 :それは入口側ですか? 出口側ですか?
蘇武さん :ボトムのところ.
私 :ミドル(中間)ですね.
蘇武さん :そう.例えば最終の複合だったら,アウトクリップに寄って行くところ(↓).
蘇武さん :一番舵を深く当てるところのフロント荷重の時間帯.
蘇武さん :最後の最大舵角のところの限界をもう少し上げられれば,軽さがもっと活きてくる.
蘇武さん :そこの手前の領域は,軽さがあるから(クルマを)凄い放り込めるんですよ.
蘇武さん :そこは「行けるよ~」って感じがあるんだけど,
蘇武さん :ボトムのところでフロント(のグリップ)を使おうとすると,逃げちゃうんで.
私 :それって,フロントタイヤがヨレてたりしませんか?
私 :私は,そこの領域で微妙に抵抗を感じるのですよ.
蘇武さん :あ~,抵抗を感じる時も確かにあります.
蘇武さん :曲がり切っていない状態でアクセルONした時にそれを感じ易い.
蘇武さん :クリップから先の領域,最終の出口辺りですかね・・・.
蘇武さん :それを感じる時って,上手くリアの荷重が作れてないんですよ.
蘇武さん :フロント荷重のまま立ち上がっているから,転がりが悪くて抵抗になっちゃってる.
蘇武さん :その手前で上手くリア荷重を作ってあげて,それで立ち上がれるとエンジンが吹ける.
蘇武さん :(例えば)アタックラップに入る時,最終は飛び込まないでサーッとゆっくり入って行くじゃないですか?
蘇武さん :(その姿勢から)加速していくと,エンジンが吹ける.
蘇武さん :あの姿勢をアタックしている時にも作りたい.
私 :なるほど・・・.
蘇武さん :それをやるためにどうしたら良いのか?というと,
蘇武さん :ボトムのところで,フロントがもう少し入ってくれれば.
蘇武さん :(フロントが)入ればリアが動くので,ステアリングを戻せるじゃないですか?
私 :はい.
蘇武さん :そうすれば,フロントの荷重が抜けるんで(荷重がリアに移動するから).
蘇武さん :ようは,ステアリングを戻して立ち上がれるようなクルマづくりをしたい.
私 :はいはい.
私 :では,入口側でもう少しリアが動く方向にするのはどうですか?
蘇武さん :あ~,それが早い段階で来ちゃうと,(発生させた)ヨーを一度切らないといけなくなる.
蘇武さん :早く来過ぎちゃうと,それを戻して,もう1回曲げる事になる.
蘇武さん :そうすると,2回目はリアが来ないんですよ.
私 :(FFだもんなぁ~)
蘇武さん :だから,1発で決めたい.
蘇武さん :切ってすぐのところではなく,最大舵角で入った奥でもう少し曲がって欲しい.
私 :(それは難しい・・・)
蘇武さん :そこでなら「リアが動いて」でも良いんですけどね.
私 :とにかく,最大舵角のところ(ミッド領域)でもう少し曲がって欲しいという事ですね.
蘇武さん :それはキャンバーなのか・・・? ダンパーなのか・・・?
私 :あ~,ダンパーくさいかもしれないですね.
私 :今,減衰MAXなので.
蘇武さん :あぁ,もしかしたら,一番入ったところでパンパンに張っちゃってるのかもしれないですね.
蘇武さん :その手前,ダンパーをまだ使い切っていない領域って,凄く限界を高く感じるんですよ.
蘇武さん :放り込めちゃう,放り込めちゃう・・・で入って行くと,ズルッとフロントが逃げちゃう.
私 :あ~.
蘇武さん :フロントが逃げると,リアに荷重を戻せないから,立ち上がりも遅い.
私 :そうか・・・なるほど.
私 :そこの限界を上げるにはどうすれば良いんだろう? 難しいなぁ~.
私 :分かりました.考えてみます.有難う御座いました!
蘇武さん :僕も少し考えてみますよ.放課後の宿題という事で(笑).
その後,走行会が終わった後(放課後)に蘇武さんと再び会話させて頂いたのですが,「キャンバー変化の抑制」という話の流れになり,そこからアームブッシュの話題となりました.
私のEF8は,アッパーアーム側のブッシュはピロ化してあるのですが,ロアーアーム側はブッシュのままです.こんな中途半端なハーフピロ状態にしたのには
それなりの理由 があるのですが,議論した結果,問題を引き起こしている原因はコレではないか?と.
蘇武さん曰く「シフトチェンジ時などで車体の振れが大きい」とも感じられたそうです.今回ブレーキのバランス確認という事で,なるべく姿勢変化を抑えて走って頂いたそうなのですが,それにも関わらず「(古いクルマなので仕方がない部分もあるが)車体の振れは明らかに大きい」との事.これだけ走り回っているので当然ボディのヤレは私も感じているのですが,最近,街乗りレベルでも直進安定性を欠いているような気がしていて「ボディのどこかにクラックでも入ったかなぁ~?」とすら思っていたのですが・・・.
原因不明のタイムダウンは,ボディ剛性の低下(≒アーム取付部の剛性低下)が原因だったりする話はよく聞きますし,一度そこら辺を疑ってみようと思います.
以上,プロの感想でした.
前回の宿題(ブレーキバランス)を解決して,合格点を頂けたのは良かったです.その上で,更に難しい宿題(最大舵角時にクルマを曲げる)を頂いてしまいましたが,ここからまたアレコレ対策を考えてみようと思います.
蘇武さん,今回も確認&アドバイス,有難う御座いました.<(_ _)>
対策が成った暁には是非ともまた乗って下さい!