
TC1000で
プロに同乗頂いた結果,前後バランスが良い事は確認出来たのですが,プロの技量をもってしも相変わらず舵角が大きかったため,EF8の足回りのセッティングに根本的な問題があるの可能性が出てきました.
そこで,以前から提案を受けていたリアのヘルパースプリング潰し(無効化)を試してみる事にしました.向かった先は,ホームコースと言いつつ,まだ今年2回目の日光サーキット.
タイトル画像の通り,タイヤは既に終わっているのでタイムは気にせず,挙動の変化に焦点を当てました.なお,今回はTC1000で投入した新型ECUがトラブっているため,純正ECUでの確認です.
解析を始める前に,まずはTC1000での比較動画からご覧下さい(左:先輩のEF8 右:私のEF8).
同じEF8とは思えないくらい,舵角が違いますね・・・.
私のEF8が,これだけステアリングを切らなければならない理由として,リアが粘り過ぎてフロントの回頭を邪魔しているんじゃないか? 粘る理由はヘルパースプリングのせいなんじゃないか?というのが指摘事項です.
そこで,これ(↓)だけあるヘルパーを,
これ(↓)くらいまで潰してみました.
最初にヘルパーありの状態で走行し,その次にヘルパーを潰した状態で走行してみました.
まずは,単純なタイム比較です.
ヘルパーあり ・・・ 43.800 (S1:10.168 S2:18.892 S3:14.740)
ヘルパー潰し ・・・ 43.401 (S1:10.105 S2:18.674 S3:14.622)
単純な比較結果としては,全てのセクターでヘルパーを潰した方が速いです.
続けて,ライン取りの比較です(赤:ヘルパーあり 青:ヘルパー潰し).
1つ目の注目点は,2~3コーナーのライン取りです.やはりヘルパーを潰した方(青)が回頭性が良いようです.どうやら2コーナーで左リアがインリフトしているようで,2コーナーの出口辺りでリフトしたタイヤが着地するような軽いショックを感じました.3輪で走行している分,リアの限界が低いので失速(ギザギザが残っている)もしていますが,その分,車速も落ちているので曲がるようです.
3~4コーナーの切り返しに関しては,走行中はヘルパーを潰した方(青)が曲げにくい印象でしたが,この軌跡を見ると,そんな事はなさそうですね.5~6コーナーでアウトに膨らんでいるのは,ヘルパーを潰した方(青)が曲がるため,その分アクセルを踏めているという事なのかもしれません.
8~9コーナーは,ヘルパーを潰した方(青)が少し失速していますが,これもリアの限界が低いせいなのでしょうか? 走行中は不安定な印象は受けず,かといって曲がるという印象もなく,特に違いを感じませんでした.
2つ目の注目点が,バックストレートエンドのブレーキングです.ここはヘルパーを潰した方(青)が,とにかく止まらない印象でした.ブレーキングの開始点は,ほぼ変わらないのにヘルパーを潰した方(青)が10コーナーまでブレーキを残している事がそれを表していると思います.恐らく,ブレーキングで前傾姿勢になった際,これまでヘルパーが伸びてリアタイヤを押し付けていたのが,ヘルパーを潰す事によって,それがなくなりタイヤのグリップが失われ,ひいてはリアの制動力も得られなくなっているのではないかと思います.
11コーナーは,走行中は「少し舵角が減ったかな?」とも感じたのですが,軌跡で見るとあんまり変わってないですね・・・.ほんの少しだけ12コーナーを抜けた後,アウト側へ膨らむ量が減っているので,やはり曲げやすくなっているのかもしれません.
最後に,車速の比較結果です(緑:ヘルパーあり 青:ヘルパー潰し).
①2~3コーナー(1つ目の赤丸)
ほぼ同じポイントからブレーキングしているのに,ヘルパーを潰した方(青)がボトムは低いですね.これは先程述べた通り,3輪走行による不安定さでアクセルを踏めないせいだと思われます.ただ,アクセルを踏めない分,車速は落ちるので2コーナーを抜けた後は一気に全開まで持って行けています.
②4~5コーナー(2つ目の赤丸)
4コーナーの進入角度のせいもあるのでしょうが,ヘルパーありの方(緑)は一瞬アクセルを戻しています.これはやはり曲がらないと感じるからでしょうね.ヘルパーを潰した方(青)は,曲がるのでそのままアクセルを踏み続けていられるようです.これが0.15秒の差を生んでいます.
③6コーナー
5コーナーをアクセル全開で駆け抜ける分,ヘルパーを潰した方(青)がラインが外に膨らみワイドなアプローチとなります.この結果,ボトムを少しだけ引き上げる事ができていますが,タイムとしては全く変わりません.
④9コーナー出口(3つ目の赤丸)
ヘルパーを潰した事によって曲げやすくなり,舵角が少し減り,抵抗も減ってスピードが伸びるのか,ヘルパーを潰した方(青)が一直線に車速が伸びています.これがバックストレートエンドの終端速度で2km/hの差を生んでいるようです.これにより更に0.1秒タイムを稼いでいます.
⑤10コーナー(4つ目の赤丸)
ヘルパーを潰した方(青)は,やっぱり止まらないですね.85km/h以下の領域(恐らくバネが縮みきって,フロントに荷重が載ったタイミング)で車速の低下量が鈍っています.タイム的には損失はないのですが,フィーリング的には「止まらないー!」と感じるので,精神的にはあんまり良くないです・・・.
以上を纏めると,やはりヘルパーを潰した方がリアの粘りが減って,回頭性が良くなり,これがしっかりとタイムにも表れているようです.その一方で,タイトコーナーでの3輪走行やフルブレーキング時にフロントに荷重が掛かり過ぎる等,フィーリング的には好ましくない状況も起きるようです.
ただ,これらのデメリットに関しては,フロントのバネレートを上げて,ロールやピッチングの絶対量を減らす事でリアのリフトを抑制する事が出来るかもしれず,そうすればヘルパースプリングを抜いても安定性は損なわれないかもしれません.
当初,ヘルパースプリングを無効化する事によって,ピーキーな挙動も戻って来るんじゃないかと危惧していたのですが,タイヤが擦り減っているせいか,そういう危うさはほとんど感じませんでした.従って,テスト結果としては好材料が得られた事になるのですが,フルブレーキング時の制動力不足が個人的には結構気になっており,失った分をキャンバーを起こして挽回するなり,対策が必要にも思えます.
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セッティング(ダンパー) | 日記
Posted at
2017/06/23 23:35:29