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2022年01月24日

気圧の効果・気温の効果

気圧の効果・気温の効果 ここ最近,サーキットで走る際に気圧に対して特に注意を払うようになってきたのですが,意識すればするほど「気温よりも気圧の方が影響が大きいのでは・・・?」と何となく思うようになりました.ただ,感覚的なものなので,これが合っているかどうか分からず,調べるのに良い方法がないかなぁ~?と思っていました.

最初は,過去の走行データを総ざらいして,気圧と気温と最高速を統計処理しようかと思ったのですが,大量のデータ処理をするのはシンドく,なかなかやる気が出なくて先延ばしにしていました(笑).

何か計算で求める良い方法がないかなぁ~?と調べてみたところ,自動車技術総合機構(旧 交通安全環境研究所)が作成している「TRIAS(Test Requirements and Instructions for Automobile Standards:自動車用試験規程)」の中に「原動機車載出力試験」というものがあり,この試験規程の中に,エンジンの出力に対して気圧と気温をどう補正するか?といった指標が書かれていたので,今回はこれを流用して気圧・気温の感度を調べてみる事にします.
(ここから数式ばっかり出てくるので,拒絶反応が出る人は太字の辺りまで読み飛ばして下さい)


この規程では,出力計測時の気圧・気温が標準値(990hPa・25℃)からズレていたとしても,そのズレを補正して同じ尺度で比較出来るようになっています.その補正に用いるのが「修正係数」と呼ばれるもので,次式の関係性となっています.

 [標準大気状態の出力]  = [修正係数] × [計測時の出力]


そして,この[修正係数]は次式で求められます.

 [修正係数] = (99 / [乾燥大気圧])^1.2 + ([吸気温度] / 298)^0.6


この中の[乾燥大気圧]というのは,湿度の影響を除いた気圧で次式で求められます.

 [乾燥大気圧] = [大気圧] - [水蒸気分圧] [kPa]


同様に[水蒸気分圧]というのは,気圧中の湿度影響分で次式で求められます.

 [水蒸気分圧] = [飽和水蒸気圧] - 0.5 × ([乾球温度] - [湿球温度]) × [大気圧] / 755 [kPa]


[飽和水蒸気圧]というのは,大気中に含める水蒸気の最大量で,[湿球温度]を使って表から求めます.また,ここでは[乾球温度]=[気温]と見なし,[湿球温度]は[乾球温度]と[湿度]を使って表から求めます.


これらを全て計算する事で[修正係数]が求められる訳なのですが,今回は各パラメータの感度がどうなっているか?を知りたいので,規程内で定義されている以下の標準状態において,各パラメータを振った場合を一気に求めます.

 標準気圧 ・・・ 990hPa
 標準気温 ・・・ 25℃
 標準湿度 ・・・ 0%

【標準状態から気圧が変化した場合の修正係数】


【標準状態から気温が変化した場合の修正係数】


【標準状態から湿度が変化した場合の修正係数】


これで各パラメータが出力に与える影響が大体分かりましたが,このままだと使いにくいので,これを筑波用に改良します.


筑波の過去30年間の気圧・気温・湿度の平均値を求めると,概ね以下だそうです.

 年間平均気圧 ・・・ 1010hPa
 年間平均気温 ・・・ 15℃
 年間平均湿度 ・・・ 80%

この状態の時の[修正係数]を1(基準点)として,気圧・気温・湿度が変化した際,出力がどう変化するか?を纏め直した結果が以下です.

【筑波における気圧の相関値】


大体,気圧が10hPa変化すると出力が1%変化する ようです(厳密な数字は,図中の近似式の「x」に知りたい気圧の値[hPa]を入れて求めてみて下さい).


【筑波における気温の相関値】


大体,気温が5℃変化すると出力が1%変化する ようです(厳密な数字は,図中の近似式の「x」に知りたい気温の値[℃]を入れて求めてみて下さい).


【筑波における湿度の相関値】


大体,湿度が25%変化すると出力が1%変化する ようです.湿度25%の変化って結構な値ですし,増える側だと湿度100%=雨って事なので,湿度は感度が低い(実質影響なし)と見なしても良さそうです.


さてさて,ここまで来たところで,過去のブログを引っ張り出してみます.



以前,「冬のB16Aは夏のB18Cを上回れるか?」というのを最高速の実計測値ベースで考察してみました.結果は20℃差があってもB18Cが上回れないという結論でした.

さて,今回の換算式で 20℃差=4%の出力向上 という事が分かりましたので,もう一度,私のB16A(181PS)を試算してみると,

 181 [PS] × 104 [%] = 188 [PS]

B18Cのカタログスペックは200PSですから,やっぱり及ばないんですね・・・.B18Cと同じ出力を出すには,約9%の出力向上が必要で,これには45℃の気温差が必要という計算.45℃って-10℃ vs 35℃とかの世界なので非現実的ですね.それだけ排気量の差は絶対という事なのでしょう.


最後に,最初の問に戻って「気圧と気温,どちらの方が出力に影響を及ぼすか?」ですが,同じ2%の性能向上を得るのに,気圧は約17hPa(1010→1027hPa)変化しなければならないのに対し,気温は10℃(15→5℃)の変化で済む事が分かりました.10℃の気温変化って,日の照り方1つで簡単に変わりそうですし,やっぱり 気圧より気温の方がエンジン出力に対して感度高い という事のようです(何となくの感覚って,やっぱりアテにならないですね・・・汗).

そう考えると,朝一のタイムアタック枠で走る事の重要性が改めて実感出来ますし,こういった(↓)吸気温を1℃でも下げる工夫は大切なんだなぁ~と改めて思いました.




以上,気圧の効果・気温の効果でした.
ブログ一覧 | セッティング(エンジン) | 日記
Posted at 2022/01/25 07:47:50

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この記事へのコメント

2022年1月29日 18:29
気圧、気温、面白いですね!
次回はボディーの表面状態について、、、(メ`□´)○()o×)/あべしっ!!

すみません。無茶振りでした😅
コメントへの返答
2022年1月29日 18:48
ボディーの表面状態は,takaさんの方が既に詳しいんじゃないですか?(笑)

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「原因はブレーキ? http://cvw.jp/b/1684331/48459659/
何シテル?   05/31 17:40
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