![U字・V字のドライビング比較 U字・V字のドライビング比較](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/046/306/694/46306694/p1m.jpg?ct=4e65e20639c8)
アンダーパネルを装着してから前後バランスがリア寄りとなり,「フロントタイヤの限界で走っている」感の強い状況なのですが,このバランスだとTC1000で一番辛いのが最終の複合セクションです.
100km/hオーバーの左高速コーナーを抜けた後,S字状に左→右と切り返しながら洗濯板手前で80km/h前後まで減速し,20R~17R~94Rの3つのコーナーを一纏めにしてクリアする複合セクションなのですが,手前で減速しているため,ユルユルと惰性で抜けるか? 再加速→ブレーキングで抜けるか? 悩むポイントでもあります.
ブレーキを踏まず,惰性で抜ける場合のポイントは,
・洗濯板手前で減速し過ぎない.
・洗濯板通過後に姿勢を乱さない.
・20R~17Rコーナーの間のアウトクリップまで失速し過ぎないよう車速を維持する.
・アウトクリップから向き変える際はアクセルOFFを使う.
という感じで,ロガーデータで車速の推移を見るとV字状になります.
一方,洗濯板を抜けた後にアクセルを踏んで再加速~ブレーキングする場合は,
・洗濯板手前の減速はあまり気にしなくて良い.
・洗濯板通過後はアクセルを入れて姿勢を安定させられる.
・20Rでアクセルを踏む事で意図的にアンダーステアを引き起こせるため,アウトクリップにも自然と向かう.
・アウトクリップから向きを変える際はブレーキを使う.
という感じで,こちらの車速推移はW字状になります.
前者はタイヤのグリップと相談しながら走る「対話型」のドライビング,後者はドライバーが積極的にクルマに指示する「命令形」のドライビングとも言え,このどちらが速いか?はクルマによりけりなのですが,私がここ1~2年試した感じでは「対話型(ブレーキを踏まない)」の方が良い結果が出ていました.ただ,現状のEF8はあまりにアンダーステアが強く,万策尽きた感もあったので,久方振りに「命令形(ブレーキを踏む)」のドライビングを試してみる事にしました.
今回は,なるべく正確に比較したいので,ドライビングの切替えは同じ走行枠で行い,1周のクーリングラップを挟んで交互に試す事で精度を上げてみました.また,比較する区間もインフィールドを立ち上がって2→3速にシフトアップした地点を「スタートライン」とし,ホームストレートを立ち上がって同じく2→3速にシフトアップする地点を「ゴールライン」として,なるべく外乱を減らしてみました.
まずは,この区間のロガーデータの比較です(赤:ブレーキを踏まない 青:ブレーキを踏む).
区間タイムで見ると,
ブレーキを踏まない ・・・ 11.595
ブレーキを踏む ・・・ 11.654 (+0.059)
やはり「ブレーキを踏まない」方が僅かながら速かったようです.
洗濯板を下りた地点での両者のタイム差は0.002秒とほぼ同じなので,ここから細かく見ていきます.
ブレーキを踏むために再加速を始めるポイントで見てみると(↓),
前方の林との位置関係からドライビングの微妙なバラつきで,「ブレーキを踏む(下)」の方が僅かに内側に寄っているようです.ここからアクセルを開けて意図的にアンダーステアを起こしてアウトクリップへ向かい,アウトクリップに到達したらブレーキを踏んで向きを変える事になります.この一連の流れをライン取りで見てみると(↓),
アクセルを開け始めた地点では,「赤(ブレーキを踏まない)」よりも内側にいた「青(ブレーキを踏む)」が徐々に外側へ膨らみ始め,途中で「赤」と入れ替わり,アウトクリップの地点では,「赤」よりも「青」の方が外側に位置している事が分かります.そこから「青」は急激に曲がり始め,再び「赤」と交差.立ち上がりでは反対に「青」の方が「赤」よりも内側にいるようなライン取りとなっています.「赤(ブレーキを踏まない)」を定常円旋回(U字のコーナリング)と見なすなら,「青(ブレーキを踏む)」は,より凸型のV字のコーナリングとも言えそうです.
ポイントポイントでのタイム差を見てみると,アクセルを踏んで加速している分,アウトクリップ地点では「V字(青)」の方が0.1秒速い結果となっていますが,そこからブレーキを踏んで失速するため,最終コーナーを抜けた地点では,逆に「U字(赤)」の方が0.06秒前にいる結果となっていました.
ただ,「V字(下)」は「U字(上)」に比べて,最終コーナーの立ち上がりで明らかに舵角が少なく(↓),
「V字(赤)」は,最終コーナーの外側で操舵抵抗によって失速もしているので(↓),
「V字」の立ち上がりの方がホームストレートでより車速が伸びるかなぁ~?と思っていたのですが,意外と両者の加速力に違いはなく,差は広がりもしなければ縮まりもしない,0.6秒差をキープしたままゴールラインを通過する結果となりました.
乗っていた時の印象としては,ブレーキを踏む「V字」方が最終コーナーの手前で慌ただしく,ステアリング・アクセル・ブレーキの3つの操作精度がどうしても落ちてしまいました.ただ,ブレーキを踏んで向きを変えて以降は一転して操作が楽になり,ステアリングも早く戻せますし,アクセルも早く開けられるので,「トータルで見たら,こっちの方が速いかなぁ~?」とまで思っていたのですが,その後の加速の伸びが思った程ではなかったですね.ちょっと意外な結果でした.
ブレーキを踏まない「U字」の方は,フロントタイヤのグリップと相談しながら向きを変えるので,横のグリップが出てくるまでの待ちの時間が長く,その分ロスしているのかな?と内心思っていたのですが,常にタイヤのグリップの限界を引き出しながら走った方が,トータルでは速いみたいですね.
以上,最終コーナーにおけるU字・V字のドライビング比較でした.
「ドライビングで何とかなるなら,それも良し」と思ってトライしてみたのですが結果的にはダメでしたね.明確な結果が出た以上,やはりクルマ側で何とかするしかないので,ブレーキを踏まず,アクセルOFFだけでV字の時のようなコーナリング姿勢を実現出来るセッティングを探りたいと思います.
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ドライビング研究 | 日記
Posted at
2022/08/10 17:52:54