205幅→195幅にしても0.05秒しかタイムが変わらない事が分かった
先日のTC1000ですが,どうしても225幅を使わせたい(?)taka@黒インテ(元)さんから,225/45R16のZⅢを履いた時の車載が送られてきました(ロガーデータの方は本人と会話するまでもなく,なぜか既に私の手元にあります・・・苦笑).
当初,車載が送られてきた意図を測りかねていたのですが,そういえば,このタイヤいくらするんだろう?と値段を調べてみたところ,205/50R15のA052とほぼほぼ同じ値段でした.
あ~,これは「値段が同じなんだから,これ履いて練習せい!」って意味なんですかね? ならば,練習にたる代物なのか? じっくりとデータで吟味してみますか.
まず,サンプルに使うのはコチラ(↓).
【GK5:41.057】
気圧:1023.9hPa 気温:5.2℃ 路面温度:9.5℃
【EF8:40.980】
気圧:1021.8hPa 気温:7.9℃ 路面温度:14.3℃
takaさんご自身のドラビングで「ZⅢ = A052 + 0.7秒」である事を既に立証されているので,今回は細かなコンディションの違いを踏まえても仕方ないですね.
続けて,ロガーデータ(赤:GK5 青:EF8).
タイム的には0.1秒も違わないのですが,クルマが違う事もあってか,結構アチコチ違いますね.面白そうなので少し細かく見ていきます.
1コーナー
1コーナーの進入速度自体はEF8(青)の方が3km/h高く,必然的にボトムスピードもその分だけ落ちると思っていたのですが,100km/h辺りまで減速したところでEF8(青)の方はブレーキを緩めている事が分かりました(↓).
対してGK5(赤)の方が同じ減速度を維持して,短く止めて・早くアクセルを踏む流れになっているのに対し,EF8(青)の方はわざわざブレーキを緩めて,ボトムの位置を奥にとって,アクセルを踏み始めるポイントを遅らせる形となっています.これを見て「なんて勿体ない事してんだ!」と思いましたが,まぁ,その後2コーナーではEF8(青)の方がグングン加速して,ヘアピンの進入時点では速度で上回っているので,まぁ,これでも良いのかなぁ~?とも思いました.
逆に言うと,如何に11mmタイヤが太いといっても,絶対的なグリップの劣るZⅢなので,2コーナーのような縦も横も使うようなシーンではクルマが前に進まないという事もあるんだろうなぁ~とGK5(赤)のデータを見ながら思いました.その証拠に,GK5(赤)の方は2コーナーを抜けた後,ヘアピンまでの短いストレート区間(=ステアリングを戻せる区間)で,ポン!と車速が伸びているので(↓),
縦も横も使うようなシーンは,やっぱりZⅢは苦手なんだなぁ~と思いました.
話を戻して,1コーナーの進入でEF8(青)の方が早めにブレーキを緩めているという事は,ドライバーが「その速度でも曲がれる!」と判断している訳で,必然的にEF8(青)の方が早めにINに寄るんだろうと思ったら,
むしろ,GK5(赤)の方が早めにINに寄ってました・・・.
う~ん,やっぱりEF8(青)のステアリングレスポンスは悪いみたいですねぇ.
ヘアピン
今回はヘアピンの立ち上がりはしくじっていないのですが,クリップにもちゃんとつけているか?というと,EF8(青)の方は大分遠回りをしていました(↓).
このラインの差が,車速のグラフのボトムの位置の違いとなって表れているのだと思われます(↓).
前回ブレーキバランスの良いところを探り当てたので,今回,止める位置のコントロール精度は割と高かったのですが,ターンイン時にやっぱり例の縁石が気になって(↓),
縁石に向かって切り込む際に,ほんの少しだけ躊躇してしまうんですよねぇ・・・.今回のサーキットウォークでも,ここにアームを当てて曲げた車両が既に出ていると仰っていましたし,筑波側もそれを踏まえて改善策を考えているそうなのですが,それはともかく,この大回りで0.03秒くらいは損をしているので,もっとコントロールの精度を上げていかないとダメですね.
インフィールド
ここもGK5(赤)の方が小回りしているのが分かります(↓).
2コーナーのようにタイヤの縦と横を併用するとZⅢはツラいようですが,インフィールドみたいに完全に横にしか使わないコーナーであれば,A052に対してひけをとる事はないようですね(無論,225幅だから~というのもあると思いますが).ヘアピンと同様にEF8(青)が立ち上がりの縁石に寄せ切れていない点は残念ですが,ここは「我慢コーナー」とも呼ばれるくらい距離と速度のせめぎ合いなので,4km/h近く高い速度で進入しているにも関わらず,脱出時はGK5(赤)と同じラインにのせられているので,まぁ,これはこれで良いんじゃないでしょうか?
左高速コーナー
足回りのセットを何も変えていないので,ここは前回の症状そのままですが,やっぱりEF8(青)のステアリングレスポンスは悪いようですねぇ.
インフィールドを同じ角度で立ち上がり,似たようなアプローチで左高速のIN側の縁石に向かっているにも関わらず,EF8(青)の方は縁石に寄れていません・・・.縁石を抜けた辺りでGK5(赤)のラインと交差する事から,クルマの絶対的な性能として曲がらない訳ではなく,単純に応答が遅い結果というのも読み取れます.やはりここはタイヤのグリップじゃないんですね.足回りの問題が表れる部分のようです.
最終複合
ここはキレイにEF8(青)が大外回りをしていました(↓).
こんだけ遠回りをしたら,さぞ遅いんだろう・・・と思いきや,実はそうでもないんです.
遠回りをしている分だけ旋回速度を上げられるので(↓),
実はここだけ(洗濯板を下りてから最終コーナーを立ち上がるまで)で,なんと0.27秒もEF8(青)の方が速いんです.これのおかげで1周のトータルタイムでZⅢに負けませんでした.ZⅢの苦手なタイヤの縦も横も使う領域で,ひたすら稼いで逃げ切った!って感じですね(笑).
以上,太いZⅢと細いA052の同価格帯比較でした.
takaさん達はよく「ZⅢは練習に良い」とオススメされているのですが,確かに縦と横の使い分けを練習するには向いている様子が窺えるものの,やっぱりA052とは特性が違い過ぎてどうなんだろう?と思いました.使い分けが求められるタイヤ→求められないタイヤにすれば,確かにその分だけタイヤの扱い方が上手くなるとも思うのですが,あんまり特性が違い過ぎちゃうと私の場合は瞬時に合わせられず,スランプに陥る気もしました.
個人的には1度くらいZⅢを履いて走ってみたいとも思うのですが,DUNLOPはZⅡの時に1度履いて懲りたので,何となく二の足を踏んじゃうんですよねぇ・・・.スプリングの問題はあるとはいえ,私の場合,やっぱり練習するならA052のままタイヤを細くした方が効果的なんじゃないのかなぁ~?なんて思いました.