
スーパーボーナスステージだったTC2000を走らなかったら,ショップで「なんで来なかったんですかぁ~.サボっちゃダメですよ!」と周囲から煽られたOXです(みんな自己ベストを0.3秒以上更新していて,やっぱり走れなかったのは悔しい・・・).
さて,
失火の原因分析が一段落したので,対策案を色々練っているのですが,今回はその中からインジェクタに関して情報を纏めておこうと思います.
インジェクタはその名の通り,燃料をインジェクション(噴射)するための機器です(タイトル画像参照).燃料(液体)はそれ単体では燃えず,空気(気体)と混ざりあって初めて燃えるので,燃料の後ろから圧力を掛けて穴から噴き,液体を霧状の微粒子にする事で,表面積を増やして気化を促進し,空気と混ざり易くなるようにしています.
霧状にする(=霧化を促進する)ためには,粒子の大きさが小さくなる方が良いので,穴の数は多ければ多いほど良い訳なのですが,
私のEF8で使っているB16B用のインジェクタは,穴が1個のようです・・・.
これをマルチホールにする手段はないのかな?と思い調べてみると,なぜかSARDにB16A用の設定がありました.

(SARD:
INJECTOR/SUB PARTSより)
B18C用でもなく,B16B用でもなく,B16A用というのがなぜ・・・?という感じですが,B16A用でも使えるのかなぁ~?と思い調べてみると,FRSという会社がアダプターを販売しているようでした(↓).

(FRS:
ホンダB型用インジェクターアダプターより)
こちらの製品はSARDの汎用インジェクタ「63567」に対応しているそうです(↓).

(SARD:
INJECTOR/SUB PARTSより)
先程のB16A用インジェクタ「63806」のスペックは以下なので(↓),

(SARD:
INJECTOR/SUB PARTSより)
専用品のホール数が4個であるのに対し,汎用品のホール数は12個なので(↓),汎用品の方が良さそうですね.

(SARD:
INJECTOR/SUB PARTSより)
ちなみに,スペック表にはスプレーパターンというのも書かれていたのですが,こういうイメージのようです(↓).

(SARD:
INJECTOR/SUB PARTSより)
スプレー角がポート形状に合うか?というのはありますが,シングルホールよりマルチホールの方が噴霧形成は確実に良くなるでしょうから,気にするところではありませんかね・・・.
更にここには「無効噴射時間」のスペックも記載されていたので,そちらも確認してみるとこんな感じでした(↓).

(SARD:
INJECTOR/SUB PARTSより)
ちなみに,「無効噴射時間」というのは,インジェクタ内部のソレノイドコイルに電流が流れ始めてから実際に噴射弁が開くまでのタイムラグの事で,この時間中は燃料を噴いてるつもりでも実際にはインジェクタは噴いていないので,噴射量を制御する場合には,この時間を噴射時間から差し引いてやる必要があります.
さてさて,ここまで分かったところで,そもそも純正のインジェクタはどういう仕様なんだっけ?という事で調べてみると,情報があんまり出てこない・・・(苦笑).
まずインジェクタの流量を調べてみると,B16は240cc,B18は260ccと書かれているのを見つけましたが,
海外のサイトではこう掲載されていました(↓).
D16A6 ・・・ 1988-1991 Honda Civic Si,CRX Si SOHC 16V I4 235cc
B16A3 ・・・ 1994-1995 Honda Del Sol Si VTEC DOHC 16V I4 VTEC 235cc
B16A3 ・・・ 1996-1997 Honda Del Sol Si VTEC DOHC 16V I4 VTEC 240cc
B18C1 ・・・ 1994-1995 Acura Integra GSR DOHC 16V I4 VTEC 235cc
B18C1 ・・・ 1996-1997 Acura Integra GSR DOHC 16V I4 VTEC 235cc
B20B4 ・・・ 1997 Honda CR-V DOHC 16V I4 240cc
H22A4 ・・・ 1997-2001 Honda Prelude DOHC 16V I4 VTEC 275cc
これを見ると,どうやらB型の1.6~2.0Lのレンジは全て240ccでカバーしているようですね.同じB16A3でも前期型(~1995年)は235cc,後期型(1996年~)は240ccと異なる点がホンダらしいですが,恐らくこの辺りを境に240ccに統一し,それ以前の1.6Lクラスが235ccだったという事なのでしょうね(なお,SOHCの1.6Lクラスは180ccのようです).
ちなみに,B16A3というのは北米向けの160HP仕様で,国内向けの第2世代B16Aが170HP仕様ですから(EF8のB16Aは第1世代で150HP),触媒その他諸々違うんでしょうけれどインジェクタまで別設定するかなぁ~? その一方で,B18C1は北米向けの170PS仕様で,国内向けのB18Cが197HP仕様である点を踏まえると,こちらに関しては「インジェクタ流量が260ccの専用品」と言われても納得はするかも・・・.
これらの情報から「B16B用のインジェクタは流量240cc」で間違いなさそうですが,SARDのインジェクタは360ccなので,そのまま使うと流量が1.5倍(3/2倍)になってしまう事から,何かしらの方法で流量を2/3に下げてやる必要がありそうですね.
ついでに,この純正インジェクタの「無効噴射時間」も
同じサイトで調べてみたところ,以下のような感じでした.
Honda Civic,CRX,Prelude,Integra(1986-1991) :240cc(3Ω)
10V ・・・ 0.70ms
11V ・・・ 0.52ms
12V ・・・ 0.42ms
13V ・・・ 0.33ms
14V ・・・ 0.27ms
15V ・・・ 0.20ms
Civic Ex/Si(1992-2000) :240cc(12Ω)
10V ・・・ 1.27ms
11V ・・・ 1.05ms
12V ・・・ 0.92ms
13V ・・・ 0.80ms
14V ・・・ 0.66ms
15V ・・・ 0.50ms
これを見ると,同じ240ccインジェクタでも低抵抗型(3Ω)と高抵抗型(12Ω)の2種類が存在するようで,年代を見る限りB16Bの世代だと高抵抗型なのかな?
ここで言っている低抵抗・高抵抗というのは,インジェクタ内部のソレノイドコイルの事を指していて(↓),
コイルが太く・短ければ抵抗が小さくなり,電流の立ち上がりが良いので「無効噴射時間」は縮まり,噴射量が少ない時の精度が高くなります.その反面,大電流を流されると過熱しやすくなるので噴射量が多い時は苦手です.高抵抗の場合はその逆・・・という点を踏まえると,やっぱり高出力エンジン(=噴射量が多い)の場合は高抵抗なんでしょうかね?
以上,インジェクタのお勉強でした.