• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2023年03月11日

コイルのお勉強(考察編)

コイルのお勉強(考察編) 先日の「富士モータースポーツミュージアム」の話で,「右側のサイドミラーがないですね~」って話を書いたら,EF8の先輩から「何言ってんだ.CR-Xだって右側はミラーないだろ?」と画像が送られてきました(タイトル画像参照).ザッと調べたところ1980年代までは確かに海外では片側にミラーがなくても許されていたようで,勉強不足を思い知らされたOXです.

さて,そんな年代のクルマは当然「ダイレクトイグニッション」ではありませんが,前回に続き「コイル」のお勉強です.

「点火を強くする」というのは,もう少し正確に言うと「イグニッションコイルの2次コイルの電圧を高くする」という事を前回学びました(「スパークプラグ」は変えない前提の話です).

「2次コイル」の電圧は以下の関係性(↓)を持っていますので,

  [2次コイルの電圧] = [1次コイルの電圧] × [2次コイルの巻き数] / [1次コイルの巻き数]

「点火を強くする」ための方法としては以下の3つが考えられます.

  ①「1次コイルの電圧」を上げる
  ②「2次コイルの巻き数」を増やす
  ③「1次コイルの巻き数」を減らす


①「1次コイルの電圧」を上げる
「1次コイル」の元電源はバッテリー(or オルタネータ)であり,これらの定格出力は決まっているので,電圧の絶対値を上げる事は出来ません.



となると,前回お話した「コイルの天邪鬼な特性」を用いて「1次コイル」を昇圧するしかありませんので,「1次コイル」への通電時間を制御している「ドエルタイム」を延ばす事によって,この昇圧を強める方法が考えられます.

ならば,「ドエルタイム」をどんどん延ばしていけばいいじゃないか!というと,そんな事はなく,「1次コイル」の電圧を上げていくと「イグニッションコイル」上部に付いている「イグナイタ(↓)」が音を上げます.



音の上げ方の詳細までは専門家ではないので分かりませんが,ご覧の通り電子機器ですので,恐らく「熱」的な要因でしょう.従って,延ばせる「ドエルタイム」にも限界がある事が分かります.


②「2次コイルの巻き数」を増やす
これが一番単純で分かり易い方法だと思います.一例を挙げると以下のような感じ(↓).



K20A用の「イグニッションコイル」に比べて,F20C用の方が「2次コイル」部分の長さが長いのが分かると思います.この両者の「イグナイタ」と「1次コイル」が同じ仕様であるかどうかは,ホンダの人間ではないので分かりませんが,このDENSO製「イグニッションコイル」の相当品として出ているNGK製は,K20A用とF20C用が同一部番になっているので,恐らく一緒でしょうね.



という事で純正品(DENSO製)を使うなら,K20A用よりもF20C用を使った方が点火が強いという事になるのですが(所謂,純正チューンってヤツですね),ここで1点引っ掛かっています.

K20Aが初搭載されたのは2000年に発売されたストリームです.ハイチューン仕様の所謂R-Specが出たのはその翌年の2001年のインテグラ(DC5).一方,F20Cが搭載されたのは1999年に発売されたS2000(AP1)です.そう,性能の良いF20C用の方がK20A用よりも先に市場に出ているんですよね・・・.

確かにK型エンジンはTYPE-R以外にも使われていますし,それらと共用する事でコストダウンが図れるのも事実です.同じエンジンで「イグニッションコイル」如きに仕様を分けたくないというのもあるでしょう.でも,ホンダじゃないですか? TYPE-Rじゃないですか? 手近により性能が出せる部品があるなら,それを使いそうなもんじゃないですか? なのにそれを使わない.なんか引っ掛かるなーと思いました.


最初に思いついたのが,「これだけ見た目が違っても,実はイグニッションコイルの性能としては大差がない」という説.実際「K20A用→F20C用に替えてみても体感は出来なかった」という話を聞いた事はありますし,NGKが部番を統合している点(仕様を一緒にしても保証出来る点)からも「大差ない」の可能性は高い気がします.

ただ,それじゃ面白くないので(笑),もうちょっと捻り出してみたいと思います.


まずは昔懐かし,オームの法則.


(atenai:オームの法則ってどんな法則?より)

いや,私は普通に「ブイ,イコール,アイ・アール」と覚えましたが,最近はこういう覚え方をするんですかね・・・?
ま,それはともかく,「電圧」を上げるためには「電流を増やす」or 「抵抗を増やす」という法則です.

先述のF20C用コイルの場合,K20A用に比べて「2次コイルの巻き数」が多いので「電圧」が高くなるはずですが,「巻き数」が多い分「抵抗」は増えるので「電流」は減ります.どれくらい増えたり・減ったりするのかな?と思い調べてみたところ,


(Pepper License:電気回路 その4より)

「抵抗」は巻き数の2乗で増え,「電流」は巻き数に反比例して減るのだそうです.「抵抗」はコイルの物理的なモノなので良いとして,「電流」がこんなに減ったら,点火という観点では弱くなんないの?と思い調べてみましたが,そこはよく分かりませんでした(点火エネルギーという意味では変わらないかなぁ~?とも思いましたが).

ただ,2乗で「抵抗」値が増えたら,過渡特性は確実に変わりますよね?
例えば,通電開始時の立ち上がりは遅くなり,レスポンスが悪化する気がします・・・.

(・_・)… ン?

アレッ? おかしいですね?? K20Aのレブリミットは大体8600rpm,F20Cのレブリミットは9000rpmくらいですから,F20Cの方が高回転型で点火の時間が短く,レスポンスが必要になりそうですよね.でもF20Cの方がレスポンス面では不利になりそうな高抵抗型のコイル.F20Cは過渡よりも絶対値を優先したとも解釈出来そうですが,他に要因がありそう・・・.


他の要因として「熱」というのを考えてみました.

電気が流れると熱を持ちますので,「電流」が大きいほど発熱量も大きくなります.先述の通り,「2次コイルの巻き数」を増やすと「抵抗」が増えますので,オームの法則から「電流」が減ります.つまり,F20C用の方がレスポンスは悪いが発熱量は小さい,という説が思い浮かびます.なるほど,高回転型の方が「熱」の条件は厳しいですので,これだと納得出来ますね.

という事で纏めると,

  F20C用のイグニッションコイル ・・・ 点火のレスポンスは悪いが,耐熱性が高い
  K20A用のイグニッションコイル ・・・ 点火のレスポンスは良いが,耐熱性が低い

そして,点火の力自体は両者に大差はない,なんて特性だったりすると面白いんだけどなぁ~と思った「コイル」のお勉強でした(あ,③の話をし忘れたので,次回おまけ編として書きます).
ブログ一覧 | セッティング(エンジン) | 日記
Posted at 2023/03/16 12:35:31

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

関連記事

11万キロ走行したので
ぱわーたっぷさん

強化ダイレクトIGコイルの落とし穴
Dr. KINTAROさん

(SR) 点火パワー
TECHNITUNED βさん

ジェネレーターの沼
静oomerさん

この記事へのコメント

コメントはありません。

プロフィール

「フリクションサークルの使い方(セッティング活用編) http://cvw.jp/b/1684331/48411287/
何シテル?   05/05 02:19
GPSロガーを使ってクルマとドライビングを改善しながら,B18C搭載のCR-XにB16AのCR-Xで挑んでいます. TC2000 1'07.4/TC1000 ...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/5 >>

     1 2 3
4 5678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

リンク・クリップ

[ホンダ シビックタイプR]SPOON ツインブロックキャリパー 
カテゴリ:参考
2025/04/28 00:41:13
練習会のお供に 
カテゴリ:参考
2023/08/05 17:04:28
運動不足? 
カテゴリ:参考
2022/03/08 22:53:47

愛車一覧

ホンダ CR-X ホンダ CR-X
中古で入手し,コツコツ直し続けて20年. 一通りのメンテナンスが終了し,2014年よりサ ...
プジョー 208 プジョー 208
実家でお買い物カーとして活躍していた208が廃車となってしまったため,代替えとして新しく ...
プジョー 208 プジョー 208
20年走ってくれたティグラに代わって実家にやってきた新車(なんと21世紀を迎えてから初め ...
オペル ティグラ オペル ティグラ
アンドロストロフィーのティグラの活躍に一目惚れし,母が乗り換えを検討した際に猛プッシュし ...

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2024年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2023年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2015年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2013年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2012年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2010年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2009年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2008年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2007年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2006年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2005年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2004年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2003年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2002年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2001年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation