スーパー耐久(S耐)の第2戦からST-Q/ST-4/ST-5クラスで急追使用される事になったBRIDGESTONE(BS)のラジアルタイヤですが,今シーズンいっぱいはこのままラジアルを使用する事が
決まったそうです(当初は「スリックタイヤが用意出来るまで」となっていた).
「スリック前提のS耐車両がラジアルタイヤを履いて走る」という事で,スリック⇔市販ラジアルでどれくらい違いがあるのか興味深く見ていました.
第2戦(富士スピードウェイ)の予選タイムを見てみると,RE-71RSを履いたST-5クラスのタイムは(↓),
クラスレコードの約3秒落ちといったところで,さすがに差があったようですね.ただ,ドライバーのコメントとしては「RE-71RSはタイムの落ち方がフラットで,フィーリングがとても良く,発熱も良いのでスリックタイヤと比べると扱い易い」そうで,ライフも2スティント(80周≒360km)もたせたクルマもあったそうですから,巷で聞いていた「RE-71RSは半分使うと崖がある(タイムが途中からガクンと落ちる)」という印象とは大分違ったようです.
一方,RE-12Dを履いたST-4クラスの方は,
Hankookのスリックタイヤとほぼ同じタイムが出ていて,ドライバーのコメントも「予め言われてないと気づかないくらい,フィーリングに大きな違いはなかった」そうです.厳密には「溝がある分,"支え"が少し足りない感触がある」「温度が上がった時にタイヤが動く」といった声もあり,スプリングレートを落としたクルマもあるそうですが(↓),

(REV SPEED 2023年9月号 付録DVDより)
トーやキャンバーのセットは最終的にスリック時と変わらない値に落ち着いたそうなので,本当に差は小さいんでしょうね.
スプリントレース(86/BRZ Race)用とも言えるRE-12Dを耐久レースで使うという事で,気になる摩耗に関しては,1スティント(40周≒180km)もったそうです.ドライバーのコメントとしても「冷えているところから熱が入った辺りで多少のグリップダウンはあるが,そこから先はタイムは一定でドロップしない」のだそうで,個人的にはこれがかなり意外な情報でした.
この要因に関して調べてみたところ,どうやら86/BRZ RaceとS耐のレギュレーションの違いが影響を及ぼしているとの事でした.
違いの1つ目が「車両重量」.
86/BRZ Race(ZN6) ・・・ 1240kg
S耐 ST-4 (ZN8) ・・・ 1150kg
その差90kgと,タイヤへの負担という意味では無視出来ない差ですね.
2つ目が「タイヤサイズ」.
86/BRZ Race(ZN6) ・・・ 205/55R16 (外径:630mm 幅:212mm)
S耐 ST-4 (ZN8) ・・・ 235/40R17 (外径:622mm 幅:243mm)
幅で約30mm,S耐車両の方が太く,車重の軽さも相まってタイヤへの負担軽減に繋がっていそうです.
以上,POTENZAを履くS耐車両の続報でした.
スプリントレースと耐久レースという違いがあるので,勿論ドライバーも走らせ方を変えているとは思いますが,10周もてば良いとして作られたRE-12Dであっても,30mm太くして・90kg軽くすれば,40周走れるというのは面白いデータですね.また,スリックと比較して違和感がないくらいグリップすると言われると,改めてRE-12Dが驚異的な性能を持っている事を実感させられます.
それに対しRE-71RSの方は,さすがにスリックと比べると1~2ランク落ちるようで,特に剛性面でその差が顕著だったようです.例えば,同じNDロードスターで比較してみると,235/40R17のRE-12Dを履いたST-4仕様(車重:980kg)が温間:2.1キロで済むのに対し,195/50R15のRE-71RSを履いたST-5仕様(車重:1010kg)は温間:2.3キロと少し高めにする必要があったそうで,この辺りのデータも非常に興味深かった点ですね.
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セッティング検討(タイヤ) | 日記
Posted at
2023/07/31 18:08:00