LSDの仕様変更後の初回走行が無事終わりました.「わざわざミッション開けてまでやったのに,失敗したらどうしよう・・・」という不安を抱えながらの走行でしたが,良い面しか出て来なかったのでまずは一安心という感じです.
とはいえ,結果には今一つ繋がっていない感があるので,いつもの通りロガーデータの分析をしてみたいと思うのですが,今回は比較材料が3ヵ月前と大分コンディションが異なるので,あくまで参考程度といった感じです.
まずはサンプルデータから.
【前回(42.068)】
【今回(41.811)】
今回のベストは1本目の 41.747 なのですが,セットが出ていないのと狙って出したタイムでもないので,比較は3本目の 41.811 の方で行いたいと思います.
続けてコンディションの比較.
前回 ・・・ 気圧:1006.4hPa 気温:33.3℃ 路面温度:45.9℃
今回 ・・・ 気圧:1019.2hPa 気温:26.0℃ 路面温度:31.1℃
当然ではあるのですが,気圧・気温・路面温度の全てで今回の方が有利です.これで両者の差が0.25秒となると,LSDの効果というよりコンディションの差の方が強く影響してそうですが,前回は新品の一撃を使っているので,実際の差はもう0.2秒上乗せ(0.45秒差)かな? それくらいだったらLSDの効果!と言えそうなのですが・・・.
では,本題のロガーデータ比較(前回:青 今回:緑).
上が車速,下がタイム差です.0.25秒の内訳をみると,ホームストレートで0.1秒,ヘアピン~インフィールド立ち上がりで0.15秒,それ以降はイーブンという感じですかね.今回(緑)の方はアタックラインの使い方をミスって,アンダーステア気味に最終コーナーを立ち上がってしまったので,そこでのロス分がなければ,あと0.5km/hくらいは車速が伸ばせた気もします.
細かく見ていきます.
1コーナー
ここは前回(青)の方が進入でリアが流れて瞬間的にカウンターを当てているので,その分だけ失速してボトムが低くなっています.今回(緑)の方もオーバーステアは若干出ているのですが,前回(青)よりも減衰力を下げたおかげで動きが緩やかとなり,カウンターは最小限で済んでいます.ただ,リアの動きに意識を割いてしまっている都合上,若干「置きに行っている」感じのドライビングになってしまっているため,もうちょっと攻めたいところですね.
(リアのリバウンドストロークがもっと欲しい・・・)
ヘアピン
ほぼ同じ進入速度・ブレーキングの開始ポイントでヘアピンに進入し,ほとんど違いはないのですが,80km/hを切った辺りから若干違いが出てきます.前回(青)の方はしっかりとフロント荷重を掛けないと曲がらないので55km/hを下回るくらいまで踏力を維持したまま減速させていますが,今回(緑)の方はLSDの抵抗が減って素直にノーズが入っていくので,そこまでブレーキを残す必要がなかったようです.
前回(青)はエイペックス付近で若干の待ち時間があるのに対し(U字状),今回(緑)はクリップに達したら即座に加速体勢に入っています(V字状).乗っている時も,ワンテンポ早めにアクセルを開けてもフロントが逃げてアンダーステアに転じるような事はなく,同じ旋回Gを維持したまま回れるので乗り易かったです.
顕著な差とまではいきませんが,今回(緑)の方がヘアピンの立ち上がり~インフィールド進入までの速度の伸びも良くなっているので,ワンテンポ早めに開ける効果は出ているんじゃないかと思います.
インフィールド
前回(青)より3km/h高い速度で進入しているにも関わらず(左側の赤丸),ボトムを1.7km/h上げ(右側の赤丸),尚且つ立ち上がりの加速も同等と,ほぼ全域で今回(緑)の方が速いです.乗っている時もクルマが良く曲がってくれる感があって素晴らしかったのですが,その分だけボディが捩じられている感触も強く(インリフト量が多くなる),「そりゃ,リアタイヤが冷えてたらスピンする(↓)よなぁ・・・」という感じでした.
左高速コーナー~洗濯板進入
洗濯板手前の進入速度が,今回(緑)の方が高いのは恐らくコンディションの差だと思うのですが,ポン!と車速が伸びるポイントがちょうど100km/hくらいの辺りで,このポイントを映像で確認すると(↓),
ちょうど舵を入れ始めた辺りでもありました.もしかしたらLSDのイニシャルトルクを下げた効果で,抵抗が減って車速が伸びている・・・という事もあるのかもしれません.
最終複合
今回のLSD変更で一番効果があったのが,この最終の複合です.ここは洗濯板でブレーキング→リリースした後,速度を落とし過ぎないように注意しつつ,アクセルOFFの状態のまま曲げていくのですが,ここが思い通り素直に曲がってくれて感動しました.今まではバネレートを上げようが,チョンブレを試そうが,前後バランスを変えようが,アクセルを開けたら即座にアンダーで,ノーズをIN側に向けたままキープするのに苦労させられたのですが,今回(緑)はアクセルOFFしたら素直にクルマがIN側に寄っていってくれるので,非常に楽でした♪
ただ,ロガーデータを見ると,IN側に寄っていってくれる分だけ最終コーナーの進入角度が浅くなり,小回りし過ぎてボトムを落とし過ぎている事も分かりました(今回の方が0.05秒遅い).ここはドライバーのフィードバック能力が足りていなかったと反省なのですが,これだけよく曲がってくれるのであれば,そこから逆算して,洗濯板通過後のボトムスピードをもっと上げ,よりワイドなライン取りで最終コーナーにアプローチ出来ればもっと速く走れそうです.アクセルを開けるポイントも今回(緑)の方が手前に来ていますし,ここは今後の伸び代ですね.
以上,LSDのフィーリングの違いがロガーデータに出るか?でした.
結論としては非常に微妙な差ではあるのですが,ロガーデータにも違いは出ていそうです.最終複合のように,これだけ素直にクルマが曲がってくれるのであれば,それを踏まえてボトムスピードをより上げる走り方をトライしてみたいところです.
その一方で,クルマがより曲がるようになったが故に,以前よりも姿勢変化が大きくなり,インリフト量が増えた感があります.リアのリバウンドストローク不足が顕著となってきたのでもっとストロークを稼ぎたいところですが.ダンパーのロアーブラケットは既に限界まで下げているので,ヘルパースプリングでの対策も出来ず,減衰調整で対応するしかない訳なのですが,こうなってくるとやはり
2wayダンパーが欲しくなってきますね・・・.ただ,こちらもおいそれと投入出来るアイテムでもないので,リアタイヤの限界を上げる方向で対策を考えてみようと思います.
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筑波サーキット・コース1000 | 日記
Posted at
2024/10/01 07:31:18