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2022年08月22日 イイね!

マシンパフォーマンスの可視化手法

マシンパフォーマンスの可視化手法最近,海外のデータ分析の記事に目を通しているのですが,その中でクルマの性能(マシンパフォーマンス)を可視化・比較する方法として,「加減速Gを車速毎に整理する」という手法がある事を知りました.

この手法を使うと,そのクルマが高速・中速・低速のどこが優れていて,どこが劣っているのか?がパッと見で分かるようです.折角,今回リアウイングの有無によるテストを行ったので,モノは試しですし,この手法を使った分析もしてみる事にしました.

では,早速ですが整理した結果です(赤:ウイングあり 青:ウイングなし).



ちなみに加減速Gは,上方向が加速・下方向が減速となります.ここから読み解いてみます.


まず,図の右側(高速域)を見てみると,



「赤(ウイングあり)」よりも「青(ウイングなし)」の方が右側に来ており,「青(ウイングなし)」の方が最高速が伸びるという事が分かります.ウイングを外してドラッグ(空気抵抗)が減っているのですから,まぁ,当然の結果ですね.


次に,図の左側(低速域).



「赤(ウイングあり)」の方が「青(ウイングなし)」よりも左側に来ており,低速コーナーは「青(ウイングなし)」の方がボトムを上げられるという事が分かります.低速コーナーと言えど,ウイングが付いている方が多少は速くなりそうなイメージがあったので少々意外な結果です.空力の効かない低速域での一瞬の旋回性能(ヘアピンみたいなところ)であれば,ウイングなしの方がテールスライドして向きを変え易い,という事なのでしょうか.


続けて,今度は上側(加速性能).



高速域(右側)・低速域(左側)では,さほど違いがないのですが,70~100km/h辺りの中速域では「赤(ウイングあり)」の方が速いという事が読み取れます.これはコース上の一体どこなのかな?とロガーデータと照らし合わせてみると(↓),



いずれもアクセル全閉の状態から開けていくポイントでした(3つ目の緑丸は2速→3速へのシフトチェンジ).つまり,減速→加速へ転じる一瞬の加速力は「赤(ウイングあり)」の方が優れているという事になるのですが,これは一体どういうメカニズムなんでしょう??

このデータからは読み取れませんが,クルマの動きを頭の中でイメージしてみると,減速中は前傾姿勢となり,フロントが沈み込んでリアが浮き上がるはずです(↓).



これが加速に転ずると,今度は反対に後傾姿勢となり,リアが沈み込んでフロントが浮き上がります(↓).



リア側のサスペンションの動きで考えると,上に伸びた状態→下へ縮む状態へと転じる動きとなり,当然の事ながら,最もタイヤに力を掛けられるサスペンションが一番下まで沈み込んだ状態(これ以上下がらない状態)まである程度の時間が掛かる(タイムラグがある)はずです.

減速→加速へ転じる一瞬の加速力が「ウイングあり」の方が高いという事は,このリアサスペンションが伸びる→縮むまでのタイムラグが少ない(加速に移ってすぐに力を掛けられる)という事なんでしょうか?



例えば,リアウイングによってリアの浮き上がりが抑えられていれば,ブレーキング時にフロントだけが沈み込み,リアのサスペンションは伸びていないため,タイヤに力が掛かるまでのタイムラグも減り,結果,加速力が瞬間的に増すという可能性はありそうにも思えますが,それを確認出来る根拠(データ)はないので,単なる妄想かもしれません(笑).

ならば,目線を変えて,「なぜ高速域と低速域ではそこまでの加速力が得られないのか?」を考えてみると,高速域(110km/hオーバー)に関しては,TC1000ではこの速度域でアクセルをOFF→ONするシチュエーションがないためでしょうし,低速域(70km/h未満)に関しては,速度が低過ぎてダウンフォースが得られないためとも考えられます.

言い替えると,私のEF8が付けているGTウイングは「70km/h辺りからダウンフォースを発生している」というのが,このデータから読み取れる事実なのかもしれません.


最後に下側(減速性能).



速度域を問わず,「赤(ウイングあり)」の方が「青(ウイングなし)」よりも下側に来ており,「赤(ウイングあり)」の方がブレーキングは優秀という事が分かります.そして,これがウイングの有無の最大の違いですね.この辺りは前回のブログで分析した見解と一致しますし,恐らくリアのスタビリティが高くなった事で強い制動力を発揮出来るようになった(ブレーキを強く踏めるようになった),という事なんでしょうね.


以上,パフォーマンスの可視化手法のお話でした.

確かにこの手法だと,どこが優れていて・どこが劣っているかがパッと見で分かりますね.また通常の分析では気づけない点にも気づく事が出来ました.短時間で良いところ・悪いところを見つけ出すには良い手法な気がしますし,速度域毎に特長が分かるので,高速域だったら空力で直す,低速域だったら足回りで直す,といった判断も迅速に出来そうです.その一方で,なぜそうなるのか?といった理屈やメカニズムみたいな部分は全く分からないので,ロガーの性能が良くないと数字に騙される事もありそうです.

なかなか面白い結果となりましたが,加速性能の部分はロガーの計測誤差にダマされている可能性もあるので,このやり方を主にするには計測精度の高い「DigSpiceⅣ」を買ってからの方が良いかなぁ~と思いました.
(あと,データ整理が微妙に面倒.「DigSpiceⅤ」とかでこの分析機能を実装してくれないかな?・・・笑)
Posted at 2022/08/23 02:46:55 | コメント(1) | トラックバック(0) | セッティング(空力) | 日記

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