三河っこ さんからモーターランド三河におけるEP91の走行データを頂きましたので,LAP+を使って比較してみました.
クラス最速のこのクルマと比較する機会を貰えるなんて,本当に有難いです.では早速,タイムの確認から行きましょう.
公式 LAP+
EP91 ・・・ 48.321 48.301
EF8 ・・・ 49.134 49.167 (+0.866)
続けて,カタログスペック上の性能比較は以下の通り.
出力 トルク 車重
EP91 ・・・ 135PS/6400rpm 16.0kgm/4800rpm 950kg
EF8 ・・・ 160PS/7600rpm 15.5kgm/7000rpm 1010kg
パワーウエイトレシオ的には,EP91が7.03であるのに対し,EF8は6.31で上回っていますが,トルクウエイトレシオで見ると逆転し,最大トルクの発生回転数が2000rpmもEP91の方が低い分,低速・低回転の領域ではEP91の方が速いと思われます.
また,車格的には同じクラスと言えますが,EP91はEF8よりも車幅が50mm狭く,全高が130mm高いため,やや重心が高い印象であるものの,ホイールベースは両者とも2300mmで同じため,足のセッティングが決まっていれば,旋回性能は互角と言えるでしょう.
さて,それでは比較に入りたいと思いますが,EP91のデータは最高速が高い,こちらのデータで行わせて頂きます.
VIDEO
では,比較結果です(緑:EP91 青:EF8).
ホームストレートエンド(1つ目の赤丸)
早速,EP91(緑)がその加速性能を見せつけられます.7km/h近く高い速度でホームストレートを駆け抜けて1コーナーに向かっていきますが,最大トルク発生点(107km/h・4800rpm)を過ぎて,上り坂となった辺り(118km/h・5300rpm)で加速が急激に鈍ります.一方のEF8(青)は,ストレートの加速こそ鈍いものの高回転型NAの特性を発揮して車速を伸ばし続けます.この結果,両者の終端速度は共に119km/hで全くの互角です.
1コーナーのブレーキング
EP91(緑)は車速が伸びないため,進入で頑張る必要がないのでしょうか? 早めにブレーキングを開始しています.この結果,ブレーキング開始までは0.2秒程度EP91(緑)の方がリードしていたのですが,EF8(青)がブレーキングで詰めた分0.1秒差が詰まり,トータル0.1秒EP91がリードして1コーナーへターンインしていきます.
ちなみに,ブレーキングポイントを映像で見ると,こんな感じ.
[EP91]
[EF8]
カメラの角度が違うので分かりづらいですが,上り坂に乗り始めた辺り(EP91)と上り坂に乗った後(EF8)という感じでしょうか.
1コーナーの立ち上がり(2つ目の赤丸)
EP91(緑)の方がきっちり止めて,クルマの向きが変わったら即アクセル全開!という感じできれいなV字を描いています.一方,EF8(青)の方は,ブレーキをリリースするポイントはEP91(緑)と同じ位置であるものの,減速Gが大きいため,タイヤが横に滑って前に進みません.この結果,EF8(青)が加速体勢に移るのがワンテンポ遅れ,EP91にどんどん置いていかれます.
偶然にも3速にシフトアップする車速は,EP91・EF8共に92km/hなのですが,この時点で比較すると,実にEP91は0.4秒までリードを拡大しています.
高速の左コーナー(3つ目の赤丸)
3速にシフトアップしてからは,EF8(青)も少し抵抗するのですが,それでもジリジリと引き離され続け,差は0.5秒まで更に拡大.ここからブラインドの右コーナーへと向かう訳ですが,ここで走り込みの差が出ています.
EP91(緑)の方は,恐らく左コーナーからブレーキングまでアクセルを踏みっ放しで123km/hまで車速を伸ばします.対してEF8(青)の方は,119km/h付近でアクセルコントロールして姿勢変化が少なくなるように抑えて走っています.ようはビビってるという事ですね(笑).映像で見ると,こんな感じです.
[EP91]
[EF8]
アクセルを戻すポイントが全然違うのが良く分かります.
続けてブレーキングとなりますが,車速が高い分EP91(緑)の方が早く減速を始めるものの,遅れてブレーキングしたEF8(青)とほぼ同じ減速ラインとなっていますので,完璧にタイミングと量を見切っているのが分かります.これで0.3秒差が更に広がり,トータル0.7秒 EP91がリードとなります.
ブラインドの右コーナー(4つ目の赤丸)
EF8(青)の方が車速を落とし過ぎですが,この波形はGPSをロストした可能性もあるため,参考扱いです.
ログハウス前の右コーナー
ここは,加速も旋回速度もイーブンなので差は変わらず,0.7秒のままです.
右コーナー~1ヘア進入(5つ目の赤丸)
EF8(青)の方が早くアクセルを入れて加速しますが,フロントが逃げて踏み切れず,失速します.一方のEP91(緑)は右コーナー~1ヘアの間を1つのコーナーと見なしたかのようなライン取りで,きれいに向きを変えながらアプローチしていきます.これによって差は更に0.3秒突き放され,EP91のリードは遂に1秒となります.LAP+はCコース部分が未対応なのでコース図がなくて分かりづらいですが,ラインで見ると,こんな感じです(赤:EP91 青:EF8).
1ヘア(6つ目の赤丸)
EP91(緑)は,きれいなRを描いて1ヘアに進入しているように思えたのですが,少しラインがきつかったのでしょうか? 10km/h近くEF8(青)よりもボトムを下げて旋回しています.同じ49.3秒をマークした,こちらの動画のラップと比較すると・・・.
VIDEO
アウトに寄せ切れていなかったのが分かります.以下の画像の赤丸で見て頂くと分かり易いです.
(左:その1 右:その2)
この唯一のミスを突く形でEF8(青)はEP91(緑)との差を縮めて,差を0.65秒となります.
2ヘア(7つ目の赤丸)
1ヘアの旋回速度こそ低かったものの,EP91(緑)は持てる加速性能を遺憾なく発揮して,1ヘア~2ヘアのほんの僅かなストレートでEF8(青)を上回る速度で2ヘアに進入していきます.しかし,加速が良い分ブレーキングが早く・強くなるせいか,旋回半径を大きくとってボトムスピードを引き上げたEF8(青)に若干詰め寄られ,差は0.5秒となります.
Cコース最後の上り坂(8つ目の赤丸)
ここでも,EP91(緑)がその加速性能を発揮して,僅かな直線で差を広げに掛かります.しかし,反対にその加速力が仇となってフロントが入りづらいのか,上り始めの右コーナーでアクセルを戻しています.一方のEF8(青)は構わず,アクセル全開で上っていくため,A/Bコース合流部の左コーナー時点では,その差が0.3秒まで縮まります.
最終コーナー(9つ目の赤丸)
40km/h以下のフル加速勝負では,V-TECの外れたEF8(青)では全く歯が立たず,完全にEP91(緑)にブッちぎられます・・・.何とこの区間だけで0.5秒もEP91(緑)の方が速く,0.8秒リードで最後のストレート区間に入ります.
ホームストレート
最終コーナーのブレーキングから,きれいに立ち上がるEP91(緑)に対し,1コーナー同様,やや横滑りしながら立ち上がるEF8(青).ワイドラインでボトムスピードを引き上げ,瞬間的にはEF8(青)が0.7秒台まで差を詰めるのですが,ワンテンポ遅れて立ち上がったため,ジリジリと差が広がり,3速区間(最後の赤丸)に入ると,EP91(緑)の加速力に完全に引き離されて,結局0.8秒の差でゴールとなります.
以上を纏めると,EP91はその特長を活かした低速・低回転からの加速性能が素晴らしく,アクセルを踏まれている間はEF8は追いつく事は出来ません.しかし,ターボとはいえ小排気量であるが故か,上り坂の区間が苦手なようで,1コーナーの前半やCコース最後のセクション等のV-TECが入る領域ではEF8の方が有利なようです.
また,低速・低回転が得意なEP91にとっては,コーナーをクルッと小さく回って,ドカンとアクセルを開けるような走らせ方でタイムが出るのに対し,EF8は多少旋回半径が大きくなろうが,V-TECが外れないようにボトムスピードを維持しながら走るしかないようです.
Cコースの各セクションでは,パワーの出方によって,EP91が有利な部分,EF8が有利な部分がありますが,総じて見ると互角で,勝負は左の高速コーナーまででついているように思えます.そして,その高速コーナー部分でドライバーの腕の差がはっきりと表れており,ここを何とかしないと勝負にならないと痛感しました.
また,三河っこさんは,加速~ブレーキング~再加速の一連の操作が非常にスムースで,車に一切の無駄な動きをさせておらず,この点でも技量の差を感じます.私自身の車両挙動を捉えるセンサーが,まだまだ感度が低いという事だと思いますので,もっと修練を積みたいと思います.
最後にクルマ側の話ですが,これだけ加速性能に差があると,先輩のようにB18Cでも搭載しない限り,ちょっと不利ですね.今回,加速性能を調べる過程で,EP91が履いているR-S4(195/50R15)のタイヤ幅が,EF8のRE-71R(215/45R16)と,ほぼ同じである事に気付きました(R-S4:215mm 71R:214mm).幅が同じであるならば,外径が小さい方(R-S4:572mm 71R:600mm)が加速面では有利な訳ですから,ちょっと興味が沸いてきました.
それでは,これで本当に最後.EP91(赤)とEF8(青)の走行をLAP+上で比較した動画で閉めさせて頂きます.
VIDEO
三河っこさん,データ本当に有難う御座いました!