先日のテスト結果の詳細分析です.
今回はホイールを変更しているのでイコールコンディションとは呼べませんが,タイヤの鮮度的には,かなり近い状況だったので,後学のために情報を残しておきます.
まずはスペックのおさらい.
205/45R16 ・・・ 外径:592mm 幅:206mm
205/50R15 ・・・ 外径:587mm 幅:210mm
16インチの方が外径・幅共に不利ですが,45扁平が有利です.
では,早速LAP+で比較してみましょう(青:16インチ 緑:15インチ).
1コーナー(1つ目の赤丸)
ボトムスピードが上がっているのが一目瞭然です.これが15インチ(緑)のトレッド拡大効果でしょう.よく曲がるのでブレーキを残して向きが変わるのを辛抱する必要がなく,4.5km/hも高い速度で旋回出来ています(0.1秒短縮).
2コーナー
1コーナーの高いボトムスピードを活かして,そのまま車速が伸ばせています.ボトムが高いという事は,それだけタイヤの負担が大きいという事なのですが,失速する事なく車速を伸ばせているのはトレッド拡大の効果なのか? 50扁平でタイヤが粘るからなのか? 判断が難しいところです(更に0.1秒短縮).
1ヘア進入(2つ目の赤丸)
2コーナーを失速せずに抜けられた事で,1ヘアの進入時点での車速は+1.3km/h.ほんの少しの差ですが確実にタイムに効く差です.また,ブレーキング開始のタイミング,車速低下の過程,アクセルONのタイミング等は両者で全く違いがありません.すなわち,50扁平の剛性不足をリム幅拡大(+0.5J)で少しタイヤを引っ張る事で補えた証拠だと思われます.
2ヘア立ち上がり
1ヘアと同様,一見違いがないように見えるのですが,実は2ヘアの立ち上がり~2→3速へシフトチェンジするまでの間に0.2秒稼いでいます.この原因はライン取りの差なので,次項で述べます.
最終複合コーナー(3つ目の赤丸)
ここもボトムスピードを上げられています.ただ,最後の最後,最終コーナーでアクセルONのタイミングがワンテンポ遅いです.これがなければ,あと0.1秒は稼げていたでしょう.
続けて,ライン取りです(青:16インチ 赤:15インチ).
各コーナーの立ち上がりに注目して頂きたいのですが,いずれも15インチ(赤)の方がイン側に切り込めているのが分かります(言い換えると,16インチの方がアウト側に流れてしまっている).これが「よく曲がる!アクセルが踏める!」と感じた理由でしょうね.
車速を維持したまま,距離を短くする事が出来るのですから,タイムが縮まるのも当然の結果です.ただ,最終コーナーのように,逆に曲がり過ぎてしまう事でインに寄り過ぎ,クルマの向きが苦しくなってアクセルをなかなか踏めない・・・という弊害も出ています.この部分に関しては洗濯板通過後のライン取りを見直す(ドライビングの方で修正する)必要があると思われます.
最後にロール角の考察ですが,映像で比較しても今一つ違い分からなかったので,ここは左リアタイヤの温度で確認しました.
16インチ ・・・ OUT > IN
15インチ ・・・ OUT = IN
上記の通り,16インチはOUT側の温度が高く,タイヤが倒れこんでいるのが分かります.一方,15インチはIN⇔OUTで同一値でキレイに接地しており,ロール量が低減している事が分かります.
サイドシルの剛性にもよりますが,クルマの構造上,リアのロール量はフロントのロール量に引きずられますので,リアタイヤが倒れこんでいない=フロントのロール量が低減した,と見なす事が出来ます.
以上,比較結果でした.
やはり15インチの方がコーナリング性能が高く,それがタイムに直結している事が確認出来ました.たった0.5J分の引っ張りと,5mm×2のトレッド拡大に過ぎないのですが,バネ下の2kg増を帳消しにして余りがあるくらいの絶大な効果でした.
また,16インチよりも15インチでタイムが出せた事で,ランニングコスト(タイヤ代)を低減する事ができ,低減した分をグリップに回す(より高額のタイヤへの変更)作戦が選べるようになりますので,その意味でも嬉しい結果でした.
Posted at 2019/03/01 00:56:52 | |
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セッティング(タイヤ) | 日記