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OX3832のブログ一覧

2020年03月31日 イイね!

セットアップの問題? タイヤの問題?

セットアップの問題? タイヤの問題?色々と盛りだくさんだった先日のTC1000ですが,本来の目的は筑波サーキットのライセンスを取得してから初めて走るオレさまFD2の弟子 Kさんのサポートでした.

ただ,私が自分の事にかかりっ切りになって,ちゃんとアドバイスが出来なかったので,遅ればせながら後追いでロガーデータを分析して,今後の伸び代がどこにあるのか?を探ってみたいと思います.

まず,当日のベストは1本目に走った41.9秒なのですが,ちょっとしたトラブルもあって参考にすべきではないので,当日最もコンディションが良かった4本目のデータから分析してみたいと思います.

この4本目のベストラップは以下(↓)で,42.391でした(タイヤはZⅢ).



最後のシフトミスはご愛敬だとして,車載から見る限り全体的に「立ち上がりでアクセルを開けるのを抑えている」ような雰囲気を感じます.


では,Kさんの実力的にどれくらいのタイムが出るのか?を試算してみると,2月のTC2000の時のタイムが 1'06.396 なので,

 1'06.396 ÷ 1.6 = 41.497

TC1000であれば,同門のTさんと同じくらいのタイムは出せそうです.まぁ,それもそのはず,2月のTC2000では,真っ向勝負でTさんを降しているのですから,遜色ない実力を持っているはずですね.


では,その2月のTさんのTC1000のデータ(41.390)と,今回のKさんのデータを比較してみます.
(緑:Tさん 青:Kさん)



ホームストレートエンド(1つ目の赤丸)
Kさん(青)の方が最高速が3.4km/h低いですね.全く同じ条件ではないのでコンディションの問題かもしれませんが,車載の映像を見るとアタックラインを使い切れていない(車速をのせるタイミングが少し遅い)ので,その差かもしれません.アタックラインをきっちり使えるか使えないかで3km/hの差が生まれる事は,この日の私が証明しています.


1コーナー進入(2つ目の赤丸)
トップスピードの違いはありますが,ブレーキング開始のポイントは両者で変わりません.違いはブレーキを完全にリリースするまでの過程(ブレーキコントロール)で,Tさん(緑)が途中で緩めている(勾配が緩くなっている)のに対し,Kさん(青)は同じ同じ勾配が続いています.



この部分のライン取りを見ると,Kさん(青)は1コーナーでクリップにつけておらず,更には立ち上がりでアウト側に膨らんでいる様子が窺えます.

この2点から「Kさんが思っているようにクルマが止まらない」という事が読み取れます.自分が思っている通りにクルマが止まらないからブレーキを途中で緩める事が出来ず,クルマが止まらないからクリップにもつけられず,オーバーシュートもしているという事かと思われます.

「それって突っ込み過ぎって事じゃないの?」という意見もあるかもしれませんが,先程述べた通り,ブレーキングの開始タイミングはTさんと同じですので,Tさんが使っている「ATR-K SPORTの方がZⅢよりもグリップが良い」という事でない限り,それはないと思われます.


2コーナー(3つ目の赤丸)
上記で示した通り,Kさん(青)の方が2コーナーに対して外側からアプローチしているので,ラインが緩くなって操舵抵抗が減っているはずですが,Tさん(緑)よりも失速している様子が窺えます.最終的には1ヘアの進入(4つ目の赤丸)で車速は逆転しているので,Kさん(青)の走らせ方が間違っているとは思えず,問題は2コーナー旋回中のグリップ不足(クルマが前に進まない)に思えます.

・・・と,ここでハッと気づきました.「これってZⅢの限界点を超えてるからじゃね?」と.そう思って1.2Gのラインを重ねてみると,



ああ,やっぱりそうだ.2コーナーの立ち上がり(3つ目の赤丸),1ヘアの立ち上がり(6つ目の赤丸),インフィールドの立ち上がり(8つ目の赤丸),最終コーナーの立ち上がり(最後の赤丸)と,1.2Gを超えるタイミングでクルマが横に滑っている(前に進んでいない)事が確認出来ました.

つまり,最初に車載を見て感じた「アクセルを開けるのを抑えている」というのは,ドライバーがタイヤの限界を引き出せていないのではなく,逆にタイヤの限界を正確に見切って,正しくコントロールしているという事のようです.

だとすると,先程否定した「ATR-K SPORTの方がZⅢよりもグリップが良い」というのは,実は合っているのかもしれません.


1ヘア進入(5つ目の赤丸)
話を戻して,1ヘアの進入のブレーキングでもTさん(緑)の方が途中でブレーキを緩められている事が確認出来ます.やはりKさん(青)のFD2は止まらないのでしょうか・・・?


インフィールド進入(7つ目の赤丸)
Kさん(青)はレブに当てるくらい攻めていますが,僅かに車速は届かず.そして,またもブレーキングで緩められるTさん(緑)に対して,緩められないKさん(青)の構図です.



そして,ライン取りで確認しても,Kさん(青)の方が進入で止まらず,大回りになり,加えてインフィールド立ち上がりの縁石も踏めない(向きが変わらない)事が分かります.やっぱり,「ATR-K SPORTの方がZⅢよりもグリップが良い」のか・・・?


洗濯板(9つ目の赤丸)
ここでも同様で,Kさん(青)の方がクルマが止まらないので,ほんの少しだけブレーキングの開始が早く,加えて途中でブレーキを緩める事が出来ていません(10個目の赤丸).


以上の分析結果を纏めると,Kさんが今回Tさんのタイムに届かなかった要因としては,以下の2点が考えられます.

 ①フルブレーキングするようなシーンでクルマが止まらない.
 ②ZⅢよりATR-K SPORTの方がグリップ性能が高い.

①は足回りorブレーキのセットアップが,Kさんの好みに合っていない可能性があるので,見直した方が良いかもしれません.手っ取り早く確認する方法としては,Tさんの時にやったようにフロントの減衰調整ですかね.外から見ていた時にもブレーキロックが散見されたので,それが改善するかどうか試してみる事をオススメします.

そして,個人的に気にしているのは②の方.KさんがTさんに離されるポイントは,ことごとくコーナーの立ち上がり(1つのコーナーを抜ける度に0.2秒引き離されるイメージ)なので,こんな話や,こんな話(↓),


十勝スピードウェイより)

他にもREPSOL杯での扱いなんかを踏まえると,「ATR-K SPORTは,AR-1と同じ位置付けのSタイヤなんじゃないか?」と思えてきました.ようは何が言いたいのか?というと,Sタイヤ相手だったら負けたって仕方ないので,どこぞの人が40秒台出したとしても「Kさん,今回の結果を気にする必要はないですよー」って事です(笑).
Posted at 2020/04/01 00:58:28 | コメント(0) | トラックバック(0) | 他者・他車分析 | 日記
2020年03月30日 イイね!

雨降って,戦い始まる

雨降って,戦い始まる数週間前からこの日筑波へ行く予定は立てていたのですが,COVID-19の事態が急速に悪化し,外出自粛が叫ばれ始めた事で「筑波に行っている間にロックダウンが発令されたら,エライ事になるなぁ~」とサーキット自粛へ傾きかけていた頃,オレさまFD2の弟子であるTさんが「今週末,筑波に行く」というので,否応なくTC1000へ向かう事になりました(先週の走行会で車載映像を保存したSDカードを預かっているので,私がそれを返しに行かないとこの日の車載が取れない).

道中小まめにニュースをチェックしつつ,最悪はSDカードを渡してトンボ返りしようと思っていると,なんとTさんは遅刻.Tさんと一緒に走る約束をして来ていたKさんを独りぼっちにして帰るのは可哀そうだったので,結局,残って走る事にしました.

その後,9時過ぎにTさんが到着.遅刻に一通りのクレームをつけた後,10時枠の走行で41.5秒出している様子を外から見て,「今日のコンディションならこの辺りが順当なところだよなぁ~」と思っていました.

その後,時間は流れ,午後の枠が始まり次第に空が暗くなって肌寒くなると,私がZC32Sと競り合っている最中はエンジンの吹け上がりも良くなってきました.そして,こもりん.さんの雨ごいが通じたのか,遂には雨が降り始め,「これで路面温度も下がるから,更にタイムが縮まるなぁ~」とコース上に目を向けると,なんと走行中のTさんが,



ATR-K SPORTで,まさかまさかの 41秒切り

これは凄い!と祝福しに行こうとしたら,

 FD2乗り :40秒台入ったよ.
 私     :凄いじゃないですか.良かったですねぇ~.
 FD2乗り :40.9秒だよ? そんなにのんびりしてて良いの?
 私     :は?
 FD2乗り :筑千職人GPにエントリーしてるよ.
 私     :えっ!? エントリーしたの?
 FD2乗り :してるよ~.OXさん,何秒だっけ?
 私     :40.8秒ですけど.
 FD2乗り :あと0.1秒だねぇ~.あとちょっと.
 私     :なんだと・・・.

・・・と煽られました(笑).こうなると私もスイッチ入ります.

空を見上げると,雨は上がっている.
路面を見下ろすと,濡れてはいない.
次の枠は,誰も走らない.

今後の事を考えると,今日Tさんに差をつけられたまま終わるのは得策ではない.
ただ,ZC32Sとの競り合いで,タイヤもドライバーも消耗しており,タイムが出る可能性は低い.
どうする? それでもカバーに行くべきか否か・・・?

いや,行くしかないだろ!

ここで意地を見せておかないと,後々の勝負所で響く可能性がある.
タイムが出るかどうかじゃなく,ここは出しに行くしかない!と覚悟を決めてチケット売り場へ.


一方,それを見たFD2陣営は,私の心を折りにくる作戦を立てたようで,Tさんに代わって,過去の筑千職人GPで入賞経験のある,このドライバー(↓)をコース上に送り込んで来ました.


(86/BRZレース参戦中のボンバー赤8選手)


ここで心が折れたら完全に負け.「絶対に諦めない」と覚悟を決めつつ,それでは勝負開始!

アタック1回目 ・・・ 41.400
アタック2回目 ・・・ 41.333

これで一先ず,朝一(↓)と同等のレベルまでは来ました.




さぁ,ここから先はドライバーの腕の見せ所.
まずはZC32Sから学んだインフィールド攻略法をトライ(アタック3回目).



しかし,ヨーの立ち上げ方が急過ぎたようで,あえなくスピン!(青線の方です)
「くっ,やっぱり難しいか・・・」と,こもりん.さんもスピンした話を思い出します.

続けてアタック4回目.先程と同様にインフィールドでヨーを立ち上げつつ,少し繊細にコントロールした結果,0.03秒削りとって 41.303.「さて,向こうの様子はどうだ?」とタイム表示を見ると,



「41.15」の文字が!
借り物のクルマなのに,ここまでタイムを出してくるのか!?




「今日初めて乗った人間に負ける訳にはいかない!」とアタック5回目.

ストレートスピードを128.1→129.6km/hまで伸ばし,1ヘアのブレーキングをより繊細にコントロールして,0.035秒削りとって 41.268


「まだ足りない.もうあと一歩!」とアタック6回目.

更にストレートスピードを129.6→129.8km/hと僅かに伸ばし,1ヘアのブレーキングを先程と同様にコントロールした上で,今度はアクセルONのタイミングをほんの少しだけ早くして,更に0.101秒削り取り 41.167


「ぐあっ! あと0.01秒足りない.くっそぉー,諦めるかぁ!!」とアタック7回目.

ストレートスピードを更に伸ばして遂に130km/h台へ(130.7km/h).この高い車速を活かしてブレーキング時のフロント荷重を増やし,ボトムスピードを2.3km/h引き上げ.これで0.049秒削り取り 41.118


「おっしゃー! これで一先ず,この枠は制した」「残るは41秒切り!」とアタック8回目.

更にストレートスピードを伸ばして,131.3km/hをマーク(同じヒート中に何と3km/hアップ!).1ヘアの進入で更に繊細にブレーキングを行ってフロント荷重を引き出しつつ,アクセルONを更にワンテンポ早めてボトムスピードを1.8km/hアップ! それによって得た加速力を活かしてインフィールドの進入速度を1km/h高め,またそれを活かしてブレーキングでフロント荷重を増やし,旋回速度を2.7km/hアップ! 連鎖反応的に,ここで得た加速力を活かしてバックストレッチのスピードを伸ばし,洗濯板の進入速度を1.1km/hアップ! 最後の複合は繊細にアクセルをコントロールしてボトムを1.5km/h引き上げつつ,半ば強引に向きを変える! こうして出たタイムは・・・,



41.020!

残念ながら40秒台には入りませんでしたが,Tさんに「最終コーナーでオーラを感じた」と言わせるくらいの走りは出来たようなので,こちらの意地は十分見せられたかな,と思います.


Tさんに対して負けは負けなので悔しい事は悔しいのですが,直前にZC32Sのデータを見て「ほんの僅か」な差が大きな違いを生み出す事を学び,20分という短い時間の中で頭をフル回転させて工夫し,最終的にドライバーの腕だけで0.3秒削り取れた事は,今後に向けて大きな自信となりました.

今回の結果から,40秒台を出した時は今回よりもはるかに楽なドライビングだった点を踏まえると,まだまだ伸び代が残っているという事が分かりました.夏の間にこういった限界に挑むトレーニングを積極的に続けて,来シーズンの更なる自己ベスト更新に繋げていきたいと思います.
Posted at 2020/03/30 02:21:48 | コメント(0) | トラックバック(0) | XXX vs EF8 | 日記
2020年03月29日 イイね!

ZC32S vs EF8

ZC32S vs EF8では,後編です(前編はコチラ).

GPSロガーでの計測を終え,フォーミュラが退去して空いたピットにクルマを移動させたところ,(大)@みやう軍団さんが「今度は車載をとろう」と仰られました.どうやら同じ枠で走って頂けるようです.

こちらは午前の枠でタイヤを大分使ってしまったため,慌てて左右を入替え作業を行い,少しでもマシな方を左側(アウト側)に持ってきます.本当は午前中の走行の反省をやってから臨みたかったのですが,「20分後に走る」そうなのでデータのチェックも途中で切り上げて,出走まで残り5分の段階で慌ててチケットを買いにいきました.

息を切らせながらドタバタと準備しつつ,何とかコースインすると,(大)さんは大分前方を走っています.
タイヤを入替えたばかりなので2周ほど慣らしてからアタックすると,かろうじて42秒を切れるくらいでした.

「このタイヤだと前を走るのも,後ろからついていくのもキツイかなぁ~?」と思いつつ,ギャップを調整して,まずは先行で逃げ.



どれくらいの速度差なのか分からなかったので,最初は大きめにギャップをとりましたが,ほぼ等間隔な感じ.
「うわっ,やっぱり速えぇ!」と思いつつ,ミスしないように丁寧な操作を心がけてタイムは以下でした.


(111が私,110が(大)さん)


その差は何と 0.05秒!

一応,私の方がリードしてますが,それは(大)さんが近づいても大丈夫かどうか様子を窺っているため.
大丈夫そうだと思った辺りから次第にギャップは詰まり,遂にはこんな状態へ.


(排気音の静かなスイフトがヒタヒタと迫ってくるので,物凄いプレッシャーです・・・)

サイドミラーで(大)さんの位置を確認すると,ミラーから姿が消えない(笑).今まで色んな人に追われましたが,多分TC1000の2コーナーで引き離せなかったのはこれが初めてかも.ハイパワー車は1コーナーの進入で私に詰まって,2コーナーで踏めず,その間に私はスルスルと逃げる事が多かったのですが,今回は向こうの方がローパワーなので,適度な間隔でぴったりついて来られました.

数周そんな感じで追われた後,今度は前後を入替えて,私が追走.



「いや,何でそんな角度でインフィールドを曲がれんの・・・?」と思うくらいコーナーが速い!
続けて,2本目.



1コーナーの進入で若干ミスしたようですが,それでも2コーナーまで迫る事が出来ない.限界領域でコントロールしつつ,それでもクルマを確実に前に進ませているかのようでした.そして,またインフィールドの脱出が速い! バックストレッチでアッという間にZC32Sが小さくなっていきました・・・.

一応,追走2本目のこのラップが私のセッションベスト(41.564)でしたが,(大)さんのセッションベストはこれを0.05秒上回る 41.514 で負けました.


予想外に接戦となったので,枠が異なりますが(大)さんのデータと比較してみます.



緑が(大)さんの1枠目のデータ,青が私のセッションベスト時のデータです.

ホームストレート~2コーナー
さすがに最高速は私(青)の方が2.6km/h高いですが,それよりも(大)さん(緑)のブレーキの遅らせ方が凄いですね(1つ目の赤丸).車速が2.6km/h低いとはいえ,1車身分くらい奥でブレーキングしているのではないでしょうか? さすがにこれだけ遅らせるとボトムは落ちますが(2つ目の赤丸),1ヘアの進入速度(3つ目の赤丸)は同等(=車速はちゃんと伸びてる)ので問題ありませんね.

1ヘア
1ヘア(4つ目の赤丸)は,私(青)の方が早く止めて,早くアクセルを踏めていますが,波形で見るとちょっと波打ってますね.一方,(大)さん(緑)のブレーキングは開始が奥で,更にしっかり止めて,一発でアクセルを開けるきれいなV字を描いています.いやぁ~,やっぱり上手いですね.

インフィールド
両者の違いが最も表れるのがインフィールド(5つ目の赤丸)の処理.真っ直ぐ突っ込んで,1発で止めて,あとは向きが変わるまでひたすら待ち続ける私(青)に対し,手前から少しづつ曲げてヨーを発生させつつ,ブレーキングを奥まで我慢して,少しづつ,でも確実に曲げていく(大)さん(緑).ロールを活かした走らせ方とでも言うんでしょうか? これが本当の意味で「小さく曲げる」という事なんでしょうね.きれいなV字を描きつつ,アクセルONのタイミングも決して遅くない(6つ目の赤丸).技量の高さがここからも感じ取れます.

バックストレッチ
バックストレッチでは,インフィールドの立ち上がりが速い分,(大)さん(緑)の方が先行するのですが,高速の左コーナーで若干失速しています(7つ目の赤丸).タイヤの状態が良くなかったのでしょうか? 少し勿体ないですね.

洗濯板~最終複合
洗濯板の進入(8つ目の赤丸)でも,(大)さん(緑)の方がブレーキングが奥.進入速度に大きな違いはないですし,このブレーキングの詰め方は見習うべきですね.最終の複合は両者ともにアクセルコントロールで格闘しているような波形ですが,限界を見極めてちゃんと加速していく(大)さん(緑)に対し,私(青)の方は1回失速させて向きを変えてから踏み込んでいるような感じ.ライン取りをみると私の方はコース幅を使い切れていないので,ここも見習うべきポイントですね.


以上,ZC32S vs EF8でした.

本来パワーがある分だけ私の方が有利なはずなのですが,それをブレーキングとコーナリングで取り返されているような構図です.特に(大)さんの低~中速コーナーの処理は秀逸で,コーナー進入時の姿勢の作り方,ブレーキとステアリングの連動によるタイヤのグリップの引き出し方,アクセルONのタイミングの絶妙な見極め等々,学ぶべきポイントが盛りだくさんです.

追う時も追われる時もかなり集中力を使ったので,正直私はヘトヘトになったのですが,それだけの価値がある時間でした.(大)@みやう軍団さん,今回は本当に有難う御座いました.またお会いした時は宜しくお願いします!
Posted at 2020/03/29 15:20:49 | コメント(3) | トラックバック(0) | XXX vs EF8 | 日記
2020年03月28日 イイね!

思いもしなかった依頼

思いもしなかった依頼サーキットでタイムアタックにチャレンジしていると,やっぱり自分の実力がどの辺りなのか確認したくなるものです.一番良いのは自分と全く同じ仕様のクルマと競う事ですが,CR-Xという30年も前のクルマとなると,そんな機会は早々ありません.

そうなると,CR-Xに近い条件(以下のようなもの)を満たすクルマが他にいないか?という方向に自然と目が行きます.

 ・FF
 ・NA
 ・排気量1.6L以下
 ・全長4m以下

サーキット走行を本格的に始めた当時,この条件を満たすクルマは「スイフトスポーツ」でした(EG6やEK9は全長が4mを超える).ただ,VTECがついていない普通のNAエンジンなので,ZC32SのM16Aエンジンでも136PSと,EF8のB16A(160PS)よりは非力.「これじゃタイムは大した事ないだろ~」と思っていたら,とんでもタイムを出すZC32S乗りがいました.それが(大)@みやう軍団さんです.

ブログに書かれるタイムを見る度に,そこには信じられない数字が並んでいて,「凄い!」の一言で尽きてしまいます.その後,TC1000のファミリー走行でご本人にお会いする機会があり,筑千職人GPを何度も制している様を目の当たりにして,「自分も何とかあのレベルにまで到達したいなぁ~」と思い,TC1000で走り込みを始めるきっかけの一つとなりました.


さて,外出自粛の要請が出る中,とある用事でTC1000に向かうと,その(大)@みやう軍団さんから突然「GPSロガーを貸してくんない?」と頼まれました.願ってもない機会なので用事そっちのけで(笑),ZC32Sにロガーを付けさせて頂き,データを取らせてもらいました.合わせて計測データの分析もご希望のようだったので,僭越ながら今回やれる範囲で分析させて頂きたいと思います.

まず1本目(B15枠).



GPSデータなので多少の誤差があるかもしれませんが,10周目にセッションベストの41.5秒をマークされています.ただ,LAP+(解析ソフト)オリジナルのセクター設定で見ると,SCT.1とSCT.2が「白(このセッションで最速ではない)」,SCT.3が「濃い赤(このセッションで最速)」,SCT.4が「やや薄い赤(このセッションで2番目に最速)」なので,まだ伸び代がありそうです.

・・・という事で細かく見ていきます.まずはLAP+オリジナルのセクター分けの確認です.



 SCT.1 ・・・ スタートライン~1ヘアの手前
 SCT.2 ・・・ 1ヘア
 SCT.3 ・・・ インフィールド
 SCT.4 ・・・ バックストレッチ明けの高速左~ゴールライン


次に,車速の波形です(青:ベストラップ 緑:セクターベストを繋いだもの).



SCT.1(スタートライン~1ヘアの手前)
ベストラップ(青)は127.4km/hの最高速をマークしています(1つ目の赤丸).それに対し,セクターベスト(緑)は,ほんの少しだけ進入を抑えた時のようで1km/h低い126.4km/hでした.そして,この「ほんの少し」の差が大きいようで,ボトムスピードはセクターベスト(緑)の方が1.6km/h高く,アクセルも早く踏めているようです(2つ目の赤丸).この「アクセルを早く踏む」の効果はやはり絶大で,1ヘアの進入までに0.2秒稼ぎだしています(2コーナーが速い).

この「ほんの少し」の要因は何なのか? 今度はライン取りから分析してみます.





色がコロコロ変わって申し訳ありませんが,赤がベストラップ,青がセクターベストです.上段が1コーナー進入の位置取り,下段が1コーナー通過後の位置取り(どれくらい外に膨らんだか?)を示しているのですが,上段を見るとセクターベスト(青)の方がコース幅いっぱいまで外側から進入している事が分かります.そして,外から進入すれば,その分ライン取りが楽になるので,1コーナーの出口では外に膨らまず,セクターベスト(青)の方が小さくコーナリング出来ている様子が下段から分かります.

当たり前と言えば当たり前の話なのですが,やはりコース幅を目一杯使って,如何にスピードを落とし過ぎないか?(ボトムを上げられるか?)が軽量級のFFには重要なようです.

ちなみに,どんなに早くアクセルを踏めても,2コーナーでタイヤのグリップを使い切って失速するのでは意味がないのですが,(大)さんのZC32Sは苦も無く加速していきますね・・・.確か1本目はRE-12Dを履いていたと記憶していますが,さすがのグリップ力といったところでしょうか.あと,2コーナーのコーナリング中,104~106km/h付近で僅かに車速が伸びが鈍る瞬間があるのですが,もしやコーナリング中にシフトアップしているのでしょうか? このZC32Sのギヤ比は存じ上げていないのですが,横Gが1Gかかっている状態でシフトアップするのは,なかなか勇気が要りそうです・・・.


SCT.2(1ヘア)
ベストラップ(青)とセクターベスト(緑)でほとんど差がないのですが,またも「ほんの僅か」だけ,セクターベストの方が1ヘア進入のブレーキングで抑えているようです(3つ目の赤丸).そして,これまたグラフに表れないくらい,ほんの僅かな差なのですが,アクセルONのタイミングがセクターベスト(緑)の方が早いようです.そして,その「ほんの僅か」な差がインフィールド進入までに0.1秒を稼ぎ出しています.また,ライン取りを確認してみましょう.



赤がベストラップ,青がセクターベストです.セクターベスト(青)の方がイン側に寄っている(縁石に乗っている?)のが分かると思います.チョット進入を抑えた結果,チョット小回りが利いて,チョット早くアクセルが踏める,という構図です.でもこの「チョット」で0.1秒の差が生まれるのですから,タイムアタックのドライビングって,やはりシビアですね・・・.


SCT.3(インフィールド)
ここはベストラップ=セクターベストなので,ベストラップ時のドライビングのどこが優れていたのか?を見てみます.ちなみにベストラップの時は他のラップに比べて0.2秒速いです.



赤がセクター最速(ベストラップ),青が2番目に速いラップです.ライン取りはほぼ一緒なので,ベストラップ時はタイヤのグリップを上手く引き出してアンダーを上手く殺しているようです.細かく見てみると,ベストラップ時(赤)の方がブレーキング開始のタイミングが奥で,かつブレーキリリースのタイミングも早く,それでいて小さく回れている事から,強く・短く止めて,急峻な荷重移動により一瞬でタイヤを潰し,それによって引き出したグリップを使って小回りしているようです.2番目のラップも決して失敗と言えるようなラップではないのですが,この絶妙なブレーキングコントロールが0.2秒を生み出しているようです.見習いたいですね.


SCT.4(バックストレッチ明けの高速左~ゴールライン)
ベストラップ時は,ここのセクターは最速ではありませんでしたが,その差は0.04秒.計測誤差レベルだと思います.



一応,ベストラップ(赤)とセクターベスト(青)のライン取りを比較してみると,セクターベスト時(青)の方が最終コーナーの縁石をカットするようなライン取りが出来ているので,よりクルマの向きを変えられた,という事なのかもしれません.

これらの差により,セクターベストを繋いだタラレバベストでは,41.183 でした.最高速が120km/h台半ばのパワーで41秒前半なのですから,やっぱり(大)さんは凄いです!


次に2本目(D枠).



このセッションではタイヤをA052に変えられたようですが,タイムはほぼ同等の41.5秒でした(1本目の方が1/100秒の世界で速い程度).路面温度が上昇したにも関わらず,ほぼ同等のタイムが出ているという事は実質的にはこちらの方が速かったのかな?とも思えます.

ちなみに,セクター毎に細かく比較をしてみると,唯一SCT.2(1ヘア)だけ2本目の方が速かったのですが,



これまた「ほんの少し」だけ,立ち上がりの加速で上手くスピードを乗せられたという事のようです(青線の方).ブレーキリリースのタイミングと量,ステアリングの戻しとアクセルを開く加減,それらの妙なので,恐らく乗っている本人でなければ分からない世界の話だと思います.


以上,分析結果でした.

このあと,3本目にもう一つイベントがあるのですが,大分長くなってしまったので,ここで一旦切ります.

ご本人曰く「データを取られるので色々やった」と仰っていましたが,本当に微妙な違いで様々な工夫をされているのがデータから見て取れました.そういった微妙な差を感じ取る感覚と,その差を作り出せるコントロール能力,(大)@みやう軍団さんの高い技量を知る事が出来た貴重なデータでした.

(大)@みやう軍団さん,大変勉強になりました.有難う御座います!


後編に続く.
Posted at 2020/03/29 11:33:44 | コメント(2) | トラックバック(0) | 他者・他車分析 | 日記
2020年03月26日 イイね!

大量生産されたツーリングカー

大量生産されたツーリングカー先日,orangeEPさんに教えて頂いたレース動画.興味が湧いたので,その後色々と調べてみた結果,走っているクルマがなかなか魅力的である事が分かりました.

熱い走りを見せるJordan Cox選手のEG6を筆頭に,AE86,SA22,EP91,S13等がMotorz(↓)の記事で紹介されています.

フルチューンの日本車が争う海外のレースって知ってる!?その魅力を動画でお届けします!

私の知識ではなかなか車種の判別が難しいのですが,他にもDC2,DC5が走ってましたし,別のレースではAT(ワンダーシビック)やEF(グランドシビック),R32,エボ,インプ,ミラージュ,KP61スターレット,ブルーバード,RX-3なんかまでも走っているようです.感覚的には,現在の「スーパー耐久」の前身である「N1耐久」時代のクルマがスプリントで争っているような印象です.

そう思ってレギュレーションを見てみると,やはり仕様は,ほぼグループA相当.正確にはグループ3J(Improved Production Cars)という,まだFIAがカテゴリーを数字で表していた時代のレギュレーションを引き継いでいるようです.
(以下,Wikipediaより)

【グループ3J(Improved Production Cars)】
このカテゴリは,CAMS(Confederation of Australian Motor Sport)によって,「登録済みの生産用自動車から派生したレース用車両」として定義されており,変更は性能と信頼性を向上させるための一部のものに限られている.車は大量生産されたツーリングカーでなければならず,以下のような条件となっている.

 ・FIA公認のグループA車両,または,オーストラリアで正規に市販された車両
 ・エンジン,ブレーキ,サスペンションの改造は可能.
 ・ボディシェルと同じメーカーの,別のエンジンを利用する事も可能.
 ・ホイールアーチフレア,フロントエアダム,リアデッキスポイラーを取付け可能
 ・クラスは排気量毎に以下の4つ(0~1.6L,1.6~2.0L,2.0~3.0L,3.0~6.0L)に分かれる.


また,このレースはCAMSによって任命された「IPRA(Improved Production Racing Association)」という団体が統括しており,以下の7つの州選手権が開かれているようです.




さて,予備知識を仕入れたところで,やっぱり実物を見てみないと分からない!って事で,2017年にアデレードストリートサーキットで行われた Race 2の模様をご覧下さい.



2017年のご時世にEG6 vs AE86でトップ争いが繰り広げられるとは・・・.実況の英語が全く分かんないですけど(笑),そんなの関係ないくらい熱いです! 7周目の周回遅れのヤリス(ヴィッツ)をAE86とEG6が両側から抜いていく様は,F1すら彷彿とさせますね.

F1と言えば,このアデレードストリートサーキットも懐かしい.1995年にF1の開催が終了してから,ここでのレースなんて見た事ありませんでしたが,チェッカーおじさんとか印象深い事柄が多々あるコースです.昔,F1のゲームでこのコースを走った事はありますけど,コースレイアウトは変わらないのかなぁ~?と思って調べてみたら,このImproved Production Car Championshipはショートコースで争われているみたいですね(F1はロングコース).




話を戻して,このEG6 vs AE86の車載映像も見つけたので,こちらもご覧下さい.



バトルが始まる8:20辺りからが見ものです.抜く時はアクセルを緩めず,躊躇なく抜きにいくのがレーシングドライバーって感じですね.その一方でツーリングカードライバーにありがちな「相手にぶつけてもいい!」という感じはなく,引く時は引いてますし,ギリギリの競り合いでありながら非常にクリーンな戦いに思えます(1か所AE86のリアを小突いているようにも見えますが).

それにしても,足元カメラを見ると序盤は左足ブレーキを多用していますねぇ.TC1000でも1コーナーやインフィールドで有効そうな気がしているので,そろそろ身に付けないとなぁ~と思う今日この頃です(バトルが始まった途端,一切使わなくなるので,やはりメリット/デメリットがあるのでしょうけれど).


以上,懐古趣味的なお話でした.

日本でも去年から「スーパー耐久クラシックチャレンジ」が始まりましたし(コロナ騒動で今年は中止となりましたが),Racing OnがJTCCの特集すればみんな高くても買うし(笑),やっぱりこの年代のクルマに魅力を感じる人は多いんだなぁ~と思いました.
Posted at 2020/04/05 10:16:18 | コメント(3) | トラックバック(0) | その他 | 日記

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