ブレーキテストも終わり,「さて,今週末のメンテは・・・」と考えていたら,こもりん.さんから「今週末の六連星に,はやぶさんが来ますよ!」と連絡が来ました.
数年前からNAテンロクのEF8で,驚愕のタイムを出している事で注目していたのですが,遡る事
10ヵ月前に,これまた,こもりん.さんの紹介でお会いする事ができ,色々と刺激を受けたのですが,その時はEF8で来られていなかったので,残念ながらその走りまで見る事が出来ませんでした.今シーズンも40秒台を目指す上で,これは1回じっくり見ておくべきだと思い,意を決して2日振り(苦笑)に筑波へ.
TC1000に到着してこもりん.さんに挨拶をすると,本日の目標タイムは「42.8秒」との事.
理由はタイトル画像の通りだそうで(笑),結果はご覧の通り(↓).
お見事でした!
さて,それでは本題.こもりん.さんと一通り会話した後,「はやぶさんはどこだ?」とキョロキョロ探していると,
「いたっ!」
さすが! 一番上のクラスの更に先頭でコースインされるようです.「ヤバイ,これは見損ねる~」と,そこからダッシュで1コーナー先の土手へ.六連星も最初に先導走行があるそうで,おかげで何とか間に合いましたが,コース幅を目一杯に使ってウィービングしながらウォームアップしている,はやぶさんを見て「ああ,やっぱり,ウォームアップの考え方は
アレで間違ってなかったんだな・・・」と再確認しました.
そこからアタック開始!かと思いきや,後続のクルマを2~3台抜かせています.「ん? まだタイヤに熱が入ってないのか?」と思って見ていたのですが,後でお聞きしたところ,「どうも路面がホコリっぽかったので,何台か露払いをお願いした」との事.さすがは抜かりがない・・・.
そして,いよいよアタック開始!
(スマホのカメラをズームで撮っているので,手ブレが酷いですがご容赦を・・・)
見てすぐ思ったのが,
「2コーナー出口の向きの変わり方が早い!」
以前ご本人から頂いたデータを分析した際,コーナリング中の旋回速度に大きな違いがなかったのですが,コーナーの出口から次のコーナーのブレーキングまでの区間(コーナーとコーナーの間,所謂ストレートとは言えないストレート)で大きく引き離されていたんですよねぇ.この理由がさっぱり分からず,最初は「ホントにテンロクか?」と疑ったりもしたのですが,今回,自分の目で見て分かりました.クリップから先,最大ロール角になって以降の領域で,クルマをしっかりと前に進めているんですね!
ようは,
「コーナーの出口が速い!」
・・・って事です.本来FFが苦手なはずのこの領域で,これだけクルマを前に進められたら,「そりゃ,各コーナーの進入速度で数km/hの差がつくよなぁ・・・」と,いきなり思い知らされました.
じゃあ,一体どうやってクルマを前に進めているのか? それを解き明かすべく,偵察を続けたのですが,コーナーの進入でテールスライドさせて向きを変えている訳でもなく,姿勢は終始安定していて,ジムカーナ兼用のEF8とは思えない動き.「う~む・・・さっぱり分からん」と困ったので,2本目は場所を変更.
土手から降りて,今度は1コーナー付近の信号機の辺りで進入時のリアの動きを見てみます.
数周見て思ったのが,
「リアの足の動きが素晴らしい!」
EF8くらいの世代だと派手にインリフトするのが当たり前ですが,全くそんな素振りがありません.右リアの接地圧が抜けるか抜けないかギリギリの(最小限の)リフト量で,尚且つ,接地圧を抜いてターンが始まった直後に,スッ・・・と右リアが下りてきて,これまた白煙が出るか出ないかギリギリの速度で優しく接地する.
夏頃から色々なクルマを見て頭の中で描いていた理想の姿が,そこに再現されていました.これなら向きがしっかり変わるし,変わった後の姿勢も乱れない訳です.
「クルマの仕上げ方のレベルが違う・・・」
と愕然とさせられました.
(後で聞いたところ,リアの足は,かの有名な店に仕上げてもらったとの事でした)
最後,3本目はピットの上に登って,最終の複合セクションでライン取りをチェック.そんなに特徴的なライン取りはされていないのですが,相変わらずコーナー出口での向きの変わり方・加速態勢へ移る早さが桁違い.「この小回りと加速力はorangeEPさんのEP82を彷彿とさせるものがあるなぁ~」と思いながら,ホームストレートを駆け抜ける姿を見送っていて気づきました.
「あれっ? ホームストレートのライン取りが一人だけ違う?? これは・・・ 」
「アドバイザーが言ってた最短ライン!!」
アドバイザーが言っていたラインというのは,コレ(↓)です.
通常,我々がよく使うラインは,コレ(↓)です.
「コースなりきに(下段のように)走らず,最短距離を(上段のように)走りましょう」というのが,TC1000のサーキットアドバイザーが仰っていたホームストレートのライン取りです.「その際,目標となるのが1コーナー手前の信号機です.最終コーナーを立ち上がったら,これ目がけて真っ直ぐ駆け抜けましょう」と仰っていたのですが,まさしくそのライン取りでした.
TC1000をそんなに走り込んでいる訳でもなく,勿論,サーキットアドバイザーの話なんて知らないはずなのに,自らの力で最適解を導き出しているとは・・・恐るべし.
確かにストレートスピードを1km/hでも伸ばすためには,抵抗を最小限にする必要があり,そのためには可能な限り真っ直ぐクルマを走らせる事が重要なのですが,前述のコーナー出口の加速態勢の話を含めて,はやぶさんはこれを徹頭徹尾やられているという事なんでしょう.やはり,足だけでなく,ドライバーの腕も格の違いをまざまざと見せつけられました・・・.
もうこれだけでお腹一杯なのですが,その後は,ご本人に色々とインタビューさせて頂き,
足回りの話,それと組み合わせるタイヤの話等,実物を見ながら色々説明して頂き,大変勉強になりました.
その後は,家に帰って今日現地で得られた情報を,以前頂いたロガーデータに照らし合わせてチェック.
(赤:はやぶさん 青:私)
【ホームストレートエンド】

(私:青よりも,はやぶさん:赤の方が信号手前ではイン側・・・)
【2コーナー出口】

(コーナー出口でラインがクロスし,はやぶさん:赤の方がイン側に来る・・・)
【1ヘア出口】

(ここでもラインがクロス・・・)
【インフィールド出口】

(ここも,はやぶさん:赤の方がイン側・・・)
【高速左コーナー】

(はやぶさん:赤は,イン側の縁石にしっかりと乗せている・・・)
【洗濯板】

(はやぶさん:赤は,手前の高速左から真っ直ぐ洗濯板へ・・・)
【最終コーナー】

(やっぱり,はやぶさん:赤の方が向きの変わりが早い・・・)
以上,テンロク39秒台の偵察でした.
もう考え直さないといけない事が盛沢山で,「ひぇ~ (TОT)」って感じですが(笑),目指すべき姿をこの目にしっかりと焼き付けられたのは価値がありました.はやぶさん,準備でお忙しい中,色々と相手をして下さって有難う御座いました(トラックリミットの裏話も面白かったです~♪).ここから先の1秒をどうやって詰めていくか,色々考えてチャレンジしていきます!
また,こもりん.さんも声を掛けて頂いて有難う御座いました.正直これだけ色々情報が得られるとは思ってもいなかったのですが,遠征費用は十分回収出来ました(笑).今後とも色々宜しくお願いします!