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OX3832のブログ一覧

2022年01月25日 イイね!

冬支度 ~カイロ編~

冬支度 ~カイロ編~間が空きましたが,冬支度の第6弾.

1月に入り,12月よりも確実に体感温度が低くなってきました.リアタイヤを新調する事もあり,そろそろ以前作ったタイヤカバーにウォーマーの機能を持たせたいところなのですが,アレコレ考えてみた結果,費用対効果のバランスから,まずは誰もが思いつく「カイロ」をテストしてみる事にしました.


消耗品なので現場でテストしてみるのも良いかと思いましたが,それなりに労力が掛かる事もあり,やってみて効果がないと悲しいので,まずは自宅で狙い通りの機能が得られるか試してみる事にします.

やり方は,カバーにタイヤをセットして,



カバーの裏面にカイロを貼り付け,



包んで,ひたすら待つだけです.




今回使ったカイロは,アイリスオーヤマの「ぽかぽか家族 貼るミニ」.



平均温度:50℃の製品ですが,サーキット到着~準備~走行開始までの時間が概ね1~2時間と考えると,長時間の持続性は要らず,昇温時間が短い方が良いため,コチラのサイトを参考にして各社の製品を比較し,アイリスオーヤマの製品をチョイスしました.また,実際にタイヤに貼り付けて使う場合,外周を覆うのに20個程度は必要になるので,個数が多く・価格が安いのもこの製品でした.


それではテスト開始.

カイロ温度が20℃,タイヤの温度が16℃の状態からスタートし,10分経過した時点で温度を測ってみると,

 10分経過 ・・・ カイロ温度:27℃  タイヤ温度:21℃

カイロの発熱が始まり,早くもタイヤ表面に熱が入り始めました.「おおっ,イイ感じ!」と思いつつ,30分が経過.

 30分経過 ・・・ カイロ温度:27℃  タイヤ温度:25℃

カイロの温度が思ったほど上がりませんが,タイヤの温度は着実に上がってきているようです.更に待つこと30分.

 1時間経過 ・・・ カイロ温度:28℃  タイヤ温度:26℃

アレ? 全然上がらなくなりました.そこから更に待つこと1時間.

 2時間経過 ・・・ カイロ温度:30℃  タイヤ温度:26℃

いや,全然温度上がんないんですけど!
(_ _|||)



「なんだ? この製品がダメなのか!?」と思い,もう一個取り出して部屋の中で使ってみると,ちゃんと40℃まで上がります・・・.「使い方を間違えたのか?」と思い,説明書きを読んでみますが,「袋を開ける」「貼る」としか書いていないので問題なさそう.ネットで調べてみると「カイロは酸化熱で発熱するので,通気性が悪いと化学反応が起きない」という文言を見つけ,カバーを外してタイヤ表面に直接カイロを貼り付けて,外気に触れるようにして同じ事をやってみたところ,

 30分経過 ・・・ カイロ温度:28℃  タイヤ温度:17℃

やっぱりダメじゃん! ヾ(- -;)オイオイ


更にネットで調べてみると,「カイロが外気にふれた状態や外気温が極端に低い場合等は,カイロの熱が放出され,体感温度が低くなることがあります」という文言を見つけたので,一度カイロを40℃まで昇温させた後にタイヤに貼り付け,10分待ってみると,

 スタート  ・・・ カイロ温度:37℃  タイヤ温度:16℃
   ↓
 10分経過 ・・・ カイロ温度:28℃  タイヤ温度:20℃

ああ,やっぱりそうだ.カイロの発熱量より放熱量の方が上回ってしまい,熱平衡状態になって20℃台から上がらなくなっていたんですね.


・・・という事で,少なくとも購入したカイロではウォーマーの熱源として機能不足である事が分かりました.これよりも発熱量の大きいカイロは存在すると思いますが,そちらの方だと価格が高く,タイヤに数十個貼り付けて使うのはコスト的に辛そうです(ベスト狙いの1回限定ならいいですが).また,25℃前後くらいだとカイロを外して1分も経たないうちに温度低下が始まるので,これだとコースインまでの待ち時間の間に元の状態に戻ってしまいそうです.やっぱりカイロだと根本的に熱量不足なのかなぁ~?と思いました.

まぁ,こうなるんじゃないかと心の片隅で思っていたので,ズルズルと先送りしてこんな時期に試す事になったのですが,今回テストしてきちんと数字が押さえられたので,スッパリ諦めて別の策を練ろうと思います.
Posted at 2022/01/26 12:07:31 | コメント(4) | トラックバック(0) | セッティング(ツール) | 日記
2022年01月24日 イイね!

気圧の効果・気温の効果

気圧の効果・気温の効果ここ最近,サーキットで走る際に気圧に対して特に注意を払うようになってきたのですが,意識すればするほど「気温よりも気圧の方が影響が大きいのでは・・・?」と何となく思うようになりました.ただ,感覚的なものなので,これが合っているかどうか分からず,調べるのに良い方法がないかなぁ~?と思っていました.

最初は,過去の走行データを総ざらいして,気圧と気温と最高速を統計処理しようかと思ったのですが,大量のデータ処理をするのはシンドく,なかなかやる気が出なくて先延ばしにしていました(笑).

何か計算で求める良い方法がないかなぁ~?と調べてみたところ,自動車技術総合機構(旧 交通安全環境研究所)が作成している「TRIAS(Test Requirements and Instructions for Automobile Standards:自動車用試験規程)」の中に「原動機車載出力試験」というものがあり,この試験規程の中に,エンジンの出力に対して気圧と気温をどう補正するか?といった指標が書かれていたので,今回はこれを流用して気圧・気温の感度を調べてみる事にします.
(ここから数式ばっかり出てくるので,拒絶反応が出る人は太字の辺りまで読み飛ばして下さい)


この規程では,出力計測時の気圧・気温が標準値(990hPa・25℃)からズレていたとしても,そのズレを補正して同じ尺度で比較出来るようになっています.その補正に用いるのが「修正係数」と呼ばれるもので,次式の関係性となっています.

 [標準大気状態の出力]  = [修正係数] × [計測時の出力]


そして,この[修正係数]は次式で求められます.

 [修正係数] = (99 / [乾燥大気圧])^1.2 + ([吸気温度] / 298)^0.6


この中の[乾燥大気圧]というのは,湿度の影響を除いた気圧で次式で求められます.

 [乾燥大気圧] = [大気圧] - [水蒸気分圧] [kPa]


同様に[水蒸気分圧]というのは,気圧中の湿度影響分で次式で求められます.

 [水蒸気分圧] = [飽和水蒸気圧] - 0.5 × ([乾球温度] - [湿球温度]) × [大気圧] / 755 [kPa]


[飽和水蒸気圧]というのは,大気中に含める水蒸気の最大量で,[湿球温度]を使って表から求めます.また,ここでは[乾球温度]=[気温]と見なし,[湿球温度]は[乾球温度]と[湿度]を使って表から求めます.


これらを全て計算する事で[修正係数]が求められる訳なのですが,今回は各パラメータの感度がどうなっているか?を知りたいので,規程内で定義されている以下の標準状態において,各パラメータを振った場合を一気に求めます.

 標準気圧 ・・・ 990hPa
 標準気温 ・・・ 25℃
 標準湿度 ・・・ 0%

【標準状態から気圧が変化した場合の修正係数】


【標準状態から気温が変化した場合の修正係数】


【標準状態から湿度が変化した場合の修正係数】


これで各パラメータが出力に与える影響が大体分かりましたが,このままだと使いにくいので,これを筑波用に改良します.


筑波の過去30年間の気圧・気温・湿度の平均値を求めると,概ね以下だそうです.

 年間平均気圧 ・・・ 1010hPa
 年間平均気温 ・・・ 15℃
 年間平均湿度 ・・・ 80%

この状態の時の[修正係数]を1(基準点)として,気圧・気温・湿度が変化した際,出力がどう変化するか?を纏め直した結果が以下です.

【筑波における気圧の相関値】


大体,気圧が10hPa変化すると出力が1%変化する ようです(厳密な数字は,図中の近似式の「x」に知りたい気圧の値[hPa]を入れて求めてみて下さい).


【筑波における気温の相関値】


大体,気温が5℃変化すると出力が1%変化する ようです(厳密な数字は,図中の近似式の「x」に知りたい気温の値[℃]を入れて求めてみて下さい).


【筑波における湿度の相関値】


大体,湿度が25%変化すると出力が1%変化する ようです.湿度25%の変化って結構な値ですし,増える側だと湿度100%=雨って事なので,湿度は感度が低い(実質影響なし)と見なしても良さそうです.


さてさて,ここまで来たところで,過去のブログを引っ張り出してみます.



以前,「冬のB16Aは夏のB18Cを上回れるか?」というのを最高速の実計測値ベースで考察してみました.結果は20℃差があってもB18Cが上回れないという結論でした.

さて,今回の換算式で 20℃差=4%の出力向上 という事が分かりましたので,もう一度,私のB16A(181PS)を試算してみると,

 181 [PS] × 104 [%] = 188 [PS]

B18Cのカタログスペックは200PSですから,やっぱり及ばないんですね・・・.B18Cと同じ出力を出すには,約9%の出力向上が必要で,これには45℃の気温差が必要という計算.45℃って-10℃ vs 35℃とかの世界なので非現実的ですね.それだけ排気量の差は絶対という事なのでしょう.


最後に,最初の問に戻って「気圧と気温,どちらの方が出力に影響を及ぼすか?」ですが,同じ2%の性能向上を得るのに,気圧は約17hPa(1010→1027hPa)変化しなければならないのに対し,気温は10℃(15→5℃)の変化で済む事が分かりました.10℃の気温変化って,日の照り方1つで簡単に変わりそうですし,やっぱり 気圧より気温の方がエンジン出力に対して感度高い という事のようです(何となくの感覚って,やっぱりアテにならないですね・・・汗).

そう考えると,朝一のタイムアタック枠で走る事の重要性が改めて実感出来ますし,こういった(↓)吸気温を1℃でも下げる工夫は大切なんだなぁ~と改めて思いました.




以上,気圧の効果・気温の効果でした.
2022年01月23日 イイね!

GK5 vs FD2

GK5 vs FD2ここのところGK5ネタが多いですが,これで最後だと思います(笑).

ZⅢでも驚異的なタイムだったtaka@黒インテ(元)さんのロガーデータ,これ実は私としても欲しいデータでした.なんで欲しいのか?というとA052のデータを見た時」に「1コーナーの進入速度がもはやNA2.0Lクラスじゃないの!?」と思ったからです.

同じZⅢを履いたNA2.0Lのデータと是非とも比較してみたいと思い,提供をお願いしました.

という事で,今回は2年前にオレさまFD2がZⅢを履いていた時のデータを引っ張り出し,比較してみたいと思います.

ではまず,いつもの通り素材集めから.オレさまのデータはコチラ(↓)を使います.



公式のタイムは以下の通り.S2は互角,S1で0.3秒,S3でF0.15秒FD2が遅い感じですね.

 GK5 ・・・ 40.550 (S1:9.383 S2:17.985 S3:13.182)
 FD2 ・・・ 40.986 (S1:9.688 S2:17.959 S3:13.339)

そして,LAP+の比較結果が以下の通り(緑:GK5 青:FD2).



上が車速,下がタイム差なのですが,概ね似たような波形ですが,ポイントポイントの加速域ではやはりFD2(青)の方が上.一方,減速域ではオレさま(青)が止め過ぎなのか,ここでGK5(緑)に負けているようですね・・・.

ブレーキングの差となると車重の影響もあると思いますので,関連するパラメータをカタログスペックから引っ張り出して,タイヤに掛かる負担率を算出してみます.

【車重】
 GK5 ・・・ 1050kg
 FD2 ・・・ 1260kg

【前後重量配分】
 GK5 ・・・ 64:36
 FD2 ・・・ 63:37

【推定フロント軸重】
 GK5 ・・・ 672kg
 FD2 ・・・ 794kg

【フロントタイヤサイズ】
 GK5 ・・・ 225/45R16(タイヤ幅:225mm)
 FD2 ・・・ 265/35R18(タイヤ幅:271mm)

【タイヤ幅1mm当たりに掛かる重量】
 GK5 ・・・ 1.49kg/mm
 FD2 ・・・ 1.46kg/mm

静止状態でタイヤ幅1mm当たりに掛かる重量が0.03kg差なので,重量とタイヤ幅の相関で言えば,ほぼイーブンと見なせそうです.FD2の方が重いから~とか,FD2の方がタイヤが太い~とかそういった言い訳は通用しなそうです.という事で,ブレーキングで差が出ているのだとすれば,(リアのスタビリティによる影響を無視するとすれば)そのままドライバーの腕の差となりそうです.


では,加速領域と減速領域に分けて細かく見てみます.

まずは加速領域.



1コーナーの進入速度(1つ目の赤丸)はFD2(青)の方が0.9kmh上でした.互角かなぁ~?と思いましたが,厳密に比べるとやはり2.0Lの方が速かったようですね.6コーナーの進入(2つ目の赤丸)は絶対値的には差がないものの,そこまでの到達時間は圧倒的にFD2(青)の方が早いです.8コーナーの進入(3つ目の赤丸)は6コーナーのボトムがは高かった事も手伝ってFD2(青)の圧勝.一方,10コーナーの進入(4つ目の赤丸)は9コーナーでGK5(緑)に遅れを取っているのを何とか最後の最後でFD2(青)が逆転した感じ.最後のゴールライン(最後の赤丸)でもFD2(青)は11コーナーの立ち上がりで遅れているのですが,パワーにモノを言わせて取り返した感じですね.

全体的にGK5(緑)は速度の落ちが少なく,ブレーキング→再加速するポイントもFD2(青)より手前のようです.その立ち上がり初期の出遅れを,FD2(青)は排気量差で取り返している構図で,有利・不利は直線の長さに依存しそうですね.ちなみに,唯一6コーナーのボトムだけはFD2の方が高い点は面白いですね.GK5はA052装着時と比べても,ここでは特に大きな差異が見られなかったのですが,もしかしたら,それは別な要因で頭打ちになっているだけで,A052を履いた時にもう一伸びする余地が残っているのかもしれません・・・.


続けて減速領域.



1~2コーナー間(1つ目の赤丸)はFD2(青)が止め過ぎですね.その止め過ぎを2コーナーでの再加速で補っているのかもしれませんが,それによってクルマの向きの変わりが悪く,2~3コーナーでアクセルを踏めない状況になっているようです(↓).



当時のコメントを読むと,FD2(青)は1コーナーのブレーキングでロックしていたようで,オレさまは「ZⅢのグリップが低い!」と文句言ってましたが,これはブレーキの踏み方が悪かったみたいですね.ZⅢは急激な操作を受けつけないタイヤなので,強く・短くではなく,長く・緩くブレーキングして2コーナーでしっかりと向きを変える走らせ方のがZⅢでは正解だったようです.

6コーナー(2つ目の赤丸)のボトムの高さは,先述の通りFD2(青)の方が5.4km/hも上な訳ですが,これはオレさまのコントロールがアッパレ!なんですかね? GK5(緑)と比較すると,FD2(青)はもっと突っ込めるんじゃないか?とも受け取れますし,GK5(緑)が突っ込み過ぎて遅れているとも受け取れます.ラインで見るとGK5(緑)はレブ対策でインにかなり寄せているので,このラインだとボトムを上げるのは難しいのかなぁ~?と思いました.



10コーナー(3つ目の赤丸)は,1~2コーナーと同様にFD2(青)が止め過ぎですね.ブレーキング時のスキール音が大きいです.その止め過ぎも影響しているのだと思いますが,FD2(青)は11コーナー(最後の赤丸)で向きを変えるのに苦労している様子が窺えます(↓).



まぁ,オレさまはこういった低速コーナーの処理が苦手なようですので,ここで遅れるのは止む無しなのかなぁ~?とも思います.


以上,GK5 vs FD2でした.

こうやって同じタイヤで比較してみると,やっぱり2.0Lの方が加速力は上だったので,takaさんのL15Bがインチキしてるなんて事はないんでしょうね(笑).L15Bの素の性能がやはり高いという事なんでしょう.また,ZⅢというタイヤはやっぱり急激な操作を許容しないタイヤである事が今回の結果から再確認出来ました.オレさまがZⅢの特性を無視して,ロックしかかる程にハードなブレーキングをしたポイントでことごとく遅れていますし.ZⅢの事を「運転の矯正用タイヤ」とは良く言ったものですね.なるほど,よく理解出来ました.
Posted at 2022/01/24 01:22:47 | コメント(1) | トラックバック(0) | 他者・他車分析 | 日記
2022年01月22日 イイね!

タイヤ構造のお勉強

タイヤ構造のお勉強前回,A052とZⅢの違いは何か?みたいなテーマでブログを書いた訳なのですが,何分感覚的な話なので,もう少し物理的な話がしたいなぁ~と思いタイヤの構造の違いに着目してアレコレ調べていました.

私はタイヤ工学は学んだ事がないですし,材料系の話が中心なので軽く目を通したくらいでは全く理解が出来なかったのですが,それでもこういう違いなのかなぁ~? こういう点に着目すればいいのかなぁ~?くらいは窺い知れたので,今回はそれを纏めておこうと思います.

まずは基本的な用語からおさらい.タイヤの用語はあまり聞き慣れないので,なかなか頭に入らず,何度も見返してました(笑).


(横浜ゴム:タイヤの構造より)


では,A052の構造の方から行ってみましょう.コチラの方のブログを参考にさせて頂きました.

コチラの方はA050との対比でA052の話をされているのですが,その中で「カーカスの角度」というキーワードが出てきます.上の図に戻って「カーカス」がタイヤの内側で骨格をなしている部品である事は分かるのですが,その角度がどうこう言われると「???」です.「この角度が違うと何なんだ・・・?」と調べてみると,「バイアスタイヤとラジアルタイヤの違い」という話になりました.


(MOTOR ACE BLOG:ラジアルタイヤとバイアスタイヤの違いを分かりやすく解説!より)


タイヤを正面から見た時に,カーカスが真横を向いているのが「ラジアル」,カーカスが斜めに向いているのが「バイアス」だそうです.そういえば昔そんな勉強をしたなぁ~と思い出しつつ,「で? この向きが違うと何なの??」と読み進めると,

【ラジアル(カーカスの向きが真横)の特徴】
 ・タイヤが転がる際,折れ曲がる力が働いてもカーカスが真横を向いているので,カーカス同士が接触しない
 ・カーカス同士が接触しないので,変形時の抵抗が少ない(転がり抵抗が小さい=燃費が良い)
 ・反面,カーカス同士が接触する事によるタイヤ形状の維持が期待出来ない
 ・形状を維持出来ないので,高回転/高負荷が苦手
 ・これを補うために,カーカスとトレッド表面の間にベルトが入っている
 ・トレッド面にベルトが入る都合上,トレッド面はサイドウォールに比べて厚くなっている
 ・言いかえると,サイドウォールはトレッド面に比べて薄く,変形し易い(ヨレ易い)
 ・また,トレッド面はベルトによって変形しにくいため,タイヤが温まりにくい

【バイアス(カーカスの向きが斜め)の特徴】
 ・タイヤが転がる際,カーカス同士が接触するので,転がり抵抗が大きい
 ・反面,カーカス同士の接触によってタイヤ形状を維持し易い
 ・形状を維持し易いので,高回転/高負荷に耐えられる
 ・高回転/高負荷に耐えられるのでベルトが要らない
 ・ベルトがないので,トレッド面とサイドウォールの厚みが同じ
 ・ベルトがないので,タイヤの剛性を上げるためにカーカスは2層が当たり前
 ・結果,サイドウォールもカーカスが2層になって変形しにくい(ヨレにくい)
 ・タイヤがヨレる時は,トレッド面/サイドウォール一緒に変形するので,タイヤが温まり易い

これだけ読むと「サーキットで使うには,バイアスの方が良くね?」と思っちゃいますよね.バイアス(斜め)の方が高回転/高負荷に強いですし,サイドウォールの剛性高いですし,温まりも早いですし・・・.

そんな事を思いながら先述のブログに戻ると,「だから,A050もA052もカーカスの角度が真横じゃない」って事のようです.ラジアルの定義はカーカスの角度が真横(90°)な訳ですが,実際には,

 A050 ・・・ 79°
 A052 ・・・ 85°

であると.バイアスタイヤのカーカス角度は「60°」だそうなので,そこまでの角度はついてないから,「A052はラジアルタイヤである」と言っているようです(先述のブログの方は,完全なラジアルではないので「ハーフラジアル」なんて言い方をされています).いずれにせよ,A052はA050ほどカーカスの角度がついていないので,A050に比べれば高負荷に耐えられないと言えるようです.

あと,このブログの中で触れられてるのが,ビードワイヤーで折り返した後のカーカスの高さ(↓).



A050はカーカスの2層ともサイドの高い位置まで巻かれているそうですが,A052は2層中1層はビードフィラー部分で止まっているそうです.つまり,この分A052の方がショルダー部の剛性が低いという事になりそうです.

また,この方は,A052のカーカス素材が「ナイロン(NYLON)」である事にも触れられています.



ラジアルタイヤは一般的に「ポリエステル」が使われており,バイアスタイヤでは「ナイロン」が用いられる事が多いそうです.この点からもA052は「バイアス寄りの特性を持ったタイヤ」と言えそうです.


では,これに対してZⅢはどうなの?と気になるところですが,先述のブログの方は残念ながらZⅢが入手出来なかったようで,そちらの構造分析はなかったのですが,代わりにZⅡStarSpecで行われたようです.

ZⅢとZⅡStarSpecが同じ構造なのかは分かりませんが,参考までに見てみると,カーカスの角度は完全な真横(90°)のようです(これを「フルラジアル」と表現されています).カーカスの素材も「ポリエステル」だそうですし,正真正銘スタンダードなラジアルタイヤのようですね.だとすると,トレッド面のベルト補強は強そうです.


(ショップ行って,転がっているZⅢの写真を撮らせてもらったら「ポリエステル(POLYESTER)」でした)

「ベルト部分が強い≒トレッド面が固い」で思い出したのですが,私は過去に一度だけZⅡ(無印)を使った事があるのですが,その時はAD07からの履き替えだったせいか,トレッド面が異様に固く,乗っていて「なんだ!? このタイヤは・・・」と思う程でした.その一方で,サーキットでコーナリング時に荷重を掛けていくと,途中ですっぽ抜けるかのように急にグリップが失われる癖があり,非常に扱いにくいタイヤでした(後にRE-11Aにスイッチした).今思うとあれは,正真正銘のラジアルタイヤだったのでトレッド面に比べてサイドウォールの剛性が低い事に由来していたのかもしれませんね・・・.変なところで納得出来ました(笑).

話を戻して,もしZⅢも純然たるラジアルタイヤの特性を持っているのだとしたら,バイアスタイヤ寄りの特性を持つA052と比べて,ショルダー部分の剛性が低くて斜めのグリップを使いにくく,ヨレ易い割にはA052に比べて温まりが悪いという特徴が出てくるのも理解出来ますね.


以上,タイヤ構造のお勉強でした.

こういった構造の詳細はメーカーは社外秘にするでしょうし,素人が手で触って分かるものでもないので,窺い知る事は難しいと思われます.唯一ヒントになりそうなのは,タイヤのサイドに刻印されているカーカスの素材で,そこに「ナイロン(NYLON)」の文字があれば,「このタイヤはバイアス寄りの特性を持ったタイヤなんだなぁ~」と判断出来るかもしれません.ただ,BRIDGESTONEのように,カーカスに角度を付けていても「ポリエステル(POLYESTER)」を使用しているケースもありますし,一概には言えず,やっぱり素人には難しい世界だなぁ~と実感しました.
Posted at 2022/01/23 02:25:49 | コメント(2) | トラックバック(0) | セッティング(タイヤ) | 日記
2022年01月21日 イイね!

ZⅢの面白さを示せ!

ZⅢの面白さを示せ!(この記事は,一人「本当の姿」選手権(日光サーキット 19回目@FIT)について書いています)

先日,日光で39秒台に入れたGK5乗りのtakaさんの走行データの分析を行ったのですが,ZⅢで走行した際のデータが再び送られてきて「A052よりZⅢの方が面白いのはなぜか?を示して欲しい」と言われました."面白さ"を示せとはなかなか難しいお題ですが,やれるだけやってみたいと思います.

では,毎度お馴染み分析の素材集めから.ZⅢの走行サンプルはコレ(↓)です.



公式タイムは以下の通りで,各セクター満遍なくZⅢの方が0.2秒遅い感じです.

 A052 ・・・ 39.746 (S1:9.140 S2:17.644 S3:12.962)
 ZⅢ  ・・・ 40.550 (S1:9.383 S2:17.985 S3:13.182)

そして,両者の比較結果が以下の通り(緑:A052 青:ZⅢ).



今回は「速い」「遅い」ではなく,「面白さ」を解くという事なので,両者のデータの違いとその時の操作に着目して見ていきたいと思います.


さて,分析を始める前にまずは「面白さ」とは何か?を定義する必要がありますが,真面目にやると学術的な小難しい話になるので,一般論から引っ張り出してきた4つのケースに対して,今回の場合がそのどれに当てはまるか?だけ考えます.

 ①嫌な事を忘れて熱中出来た時に面白いと感じる
  ⇒ 何か嫌な事があって日光に向かった訳ではないでしょうから,これは違いますね.

 ②気分が高揚した時に面白いと感じる
  ⇒ 今回は空き時間にフラっと日光に来たのでしょうから,これも違いますね.

 ③達成感を得られた時に面白いと感じる
  ⇒ A052で39秒に入れた後ですから,ないとは言いませんがそれほどでもないはず.これも違う.

 ④知的好奇心が満たされた時に面白いと感じる
  ⇒ とすると,消去法でいけばこれですかね?

では,何の知的好奇心が満たされたのか?というと,「A052より言う事を聞かないZⅢというタイヤを,どうやったら上手く手懐けられるか?」を試して成功した時でしょうか.だとすると,「A052だったら簡単だけど,ZⅢだと難しい」ポイントがそれに該当しそうです.

このポイントを見つけ出すためには,A052とZⅢ,それぞれのタイヤの特徴を把握しておく必要がありますが,残念ながら私はZⅢを履いた事がないので感覚的な話しか出来ません.それだとあんまりだなーと思い,何か特徴がないか調べてみると,某SNSでこんなコメントを見つけました(↓).


(「パキ切りとはなんぞや?」という方はコチラをお読み下さい)

この方が仰っているダンロップというのは,ハイグリップラジアルではなく,Sタイヤレベルの事を指しているのだと思われますが,私のダンロップの印象がまさしく「急激な操作を許容しないタイヤ」だったので,「そう!そう!」と思わず頷いてしまいました.このダンロップに対し,ヨコハマ(というかA052)は「急激な操作を許容するタイヤ」と言えなくもないので,今回は,

「ZⅢの許容のしなさが面白さである(=許容範囲の狭い中でどうやってロスを最小限に出来るか?が面白い)」

と定義して分析してみたいと思います.


では,その許容範囲ですが最近takaさんと私の走らせ方を比較した際,1~2コーナーと10~11コーナーで明確な差が生まれる事が分かったので,今回はこの2つに絞って分析してみたいと思います.

1~2コーナー



まず1コーナーの進入速度を見てみると(上の赤丸),ZⅢ(青)の方がA052(緑)よりも3.1km/hも低いです.スタートラインを過ぎた地点だとA052(緑)よりZⅢ(青)の方が速度が高いですから,これはタイヤの縦のグリップの差ではなく,ブレーキング開始地点の差だと思われます.車載で位置を確認してみると,こんな感じです(↓).

【A052】


【ZⅢ】


左側のタイムボードを見るとよく分かりますが,距離にして大体10mくらいZⅢの方が手前からブレーキングを開始しているようです.ZⅢではこの先で曲がらない事が分かっているから,手前から抑えて進入しているって事ですね.「おいおい! 本当にそんなにZⅢって曲がらないか? ビビって抑えてるだけじゃないのー?」というヒネくれた人のために(笑),旋回Gのグラフも確認してみましょう.



ご覧の通り,1~2コーナー全域で0.1~0.2GくらいはZⅢ(青)の方が小さく,タイヤを横に使える量が少ないのがよく分かります.

・・・で,これの「どこが面白いのか?」ですが,それはライン取りを見てみると分かります(赤:A052 青:ZⅢ).



1コーナー進入時点(上の緑丸)ではZⅢ(青)の方が3km/h進入速度が低い事もあり,よりコンパクトなラインで進入しています.このA052(赤)との差は2コーナーまでそのまま続く訳なのですが,2コーナーのエイペックスを過ぎた後(下の緑丸)では両者のラインが合流し,その後の3コーナー・4コーナーで両者が別れるような事はありません.

つまり,ZⅢはA052に比べてタイヤの横の許容範囲が狭いので,その許容範囲を超えないように進入のブレーキングからコントロールし,3コーナーまでに上手く帳尻を合わせられるか?(許容範囲に収まる3コーナー以降では差を生じさせないように出来たか?)をトライし,それが出来たり・出来なかったりする事をtakaさんは「面白い」と感じているのではないでしょうか.

ちなみに,2コーナーのボトムスピード(下の赤丸)で見てみると,5km/hほど低くなっていますので,速度差が5km/hあっても同じラインに乗せられるようにコントロールするというのはなかなかに難易度が高く,成功すれば達成感の方の「面白さ」も得られそうです.


10~11コーナー



10コーナーの進入(上の赤丸)は,1~2コーナーと同様,ZⅢのグリップだとA052と同じような飛び込みは出来ないため,若干抑えているようです.ただ,そこからの減速過程は意外やほとんど差はなく,言いかえると上手くコントロールしてZⅢの許容範囲内に収めているのが分かります.ただ,11コーナーの立ち上がり(下の赤丸)に関しては,僅かに失敗しているようで,一度アクセルを開けた後,タイヤが横に逃げて前に進んでいないのが分かります(これで0.15秒ロスしています).

ライン取りを見てみると(赤:A052 青:ZⅢ),



ZⅢ(青)の方は,11コーナーの進入からノーズが入らずラインが外側に膨らみ,右フロントが縁石に乗る付近でタイヤが横に逃げて失速(点線になっている)しているのが分かります.車載で見てもA052の時に感じた,リアがポン!と吹っ飛ぶかのような素早い向きの変わりは見られず,リアがベタッと張り付いて動かないのを我慢して耐えているかのように見えます.

【A052】


【ZⅢ】

(僅かにZⅢの方が舵が深い・・・?)


ロガーデータを見る限り,アクセルを入れ始めているにも関わらず向きが変わらない状況のようですから,ZⅢでは,LSDとフロントタイヤのグリップを併用して強引に引っ張って旋回するような事が出来ないのでしょうね.先日の分析で「takaさんは私よりも斜めのグリップを使うのが上手い」と評しましたが,ZⅢではその斜めのグリップを封じられた形となり,同じ走らせ方ではダメなんだと思います.

この「同じ走らせ方ではダメ」というのを,「面白い」と感じるか,「面白くない」と感じるかは人それぞれだと思いますが,きっとtakaさんは「面白い」と感じられているんでしょうね.


以上,「ZⅢの面白さを示せ!」でした.

「面白さ」というのは個人の主観ですし,私の見解が合っているかどうか分かりませんが,ZⅢがA052より扱い難しいタイヤであるのは間違いなく,難しいからこそZⅢでは挑戦が求められ,そこからtakaさんは「挑戦出来るって,いいもんだ」と面白さを感じられているんじゃないか?と思いました.

Posted at 2022/01/22 14:13:08 | コメント(2) | トラックバック(0) | 他者・他車分析 | 日記

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