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OX3832のブログ一覧

2025年05月14日 イイね!

EF8 vs EF8 2025 第1戦 筑波

EF8 vs EF8 2025 第1戦 筑波EF8の先輩に挑むEF8vsEF8,2023年は先輩がアメリカに行ってしまい,2024年は先輩の仕事が忙し過ぎて1戦のみで終了.そして,2025年は3月にようやく開幕戦か!?と思ったら,先輩がトラブルでリタイヤと,ずっと戦えず仕舞いでした・・・.

そんな消化不良がずっと続いていましたが,先輩のEF8の修理も終わり,満を持しての第1戦となりました.


当日は雲が日射しを遮ってくれたおかげで,気温は朝から20℃オーバーと高いですが汗をかくほどではなく,逆に気圧が1020hPa超えとなかなかのGoodコンディションでした.今回は某SNSでよく見かける若手のホンダ車乗り達が多数参加していて,かつてないほど車種がバラエティに富んでいて,パドックを歩くだけでも賑やかな雰囲気です.

そんな雰囲気を楽しみつつ,1年振りの対戦となるので「ハンデはどうしますか?」と先輩に聞いたところ,



フロントのカナードなし,タイヤは3年落ちの中古品を使ってやるから,ハンデなしにしろとの事.「ええ~っ,ハンデなしですかぁ~」と嫌な顔したら,「じゃあ,おまけでアンテナも出したままにしてやる」と言われました・・・(↓).




即座に隣のAT使いのBB6のトコへ行って,「ハンデなしって酷いんですけど~」と泣きつこうとしたら(↓),



フロントタイヤ外して,新設したブレーキダクトを覗き込むフリをしてスルーされました(↓).



(ノД`) シクシク…


そんな仕打ちを受けつつ,早速1本目(9:00~).

路面温度は既に30℃を超えており,リアタイヤのウォームアップは不要.となると1本目の計測1が勝負になるので,極力ペースを落としてブレーキだけ温める感じでウォームアップ.



出走7台なので十分にスペースをとった後,いざ勝負!



結果は 41.806 でこの瞬間ではトップタイム.ただ,リアスプリング交換後,初の走行だったので少し1コーナーのブレーキングで日和ってしまいました・・・.

(*ノω<*) アチャー

この後,気温は上昇する一方なので,タイムを出せるとしたら次の計測2がラストチャンス.気合を入れ直して,いざ勝負!



結果は 41.716 とコンディションを考えればマズマズのタイムとなりました.

続く計測3はタイヤがタレて42秒台までガクッと落ちました.これでもう私は41秒台を出せないので,あとは先輩のタイム次第.タイムボードをジッと眺めつつ周回を続けると,どうやらトップ3にはいない模様(私はクラス4位).「おっ! 何とか抑え込めたか!?」とバックミラーを見たら,なんと背後に先輩がいる!



「えっ!? まさか1本目からやるんですかー??」とタレたタイヤをなだめつつ必死に逃げたのですが,「ああ,なんだ.1年経ってもそんなもんか」と余裕を見せつけられてしまいました・・・.そんな1本目の結果は,

  私   ・・・ 41.716
  先輩 ・・・ 41.795 (+0.079)

辛くも私のリード.しかし,先輩のあの余裕っぷりからすると2本目以降で超えてきそう・・・.


続く2本目(10:00~).

何もせず,ただ走っても勝ち目はないので,ブレーキバランスを0.5だけリアに寄せてオーバーステアを誘発する狙いにしてみましたが,



ハンドリングが悪化するだけでタイムには繋がらず・・・(42.162).
「こりゃダメだ」という事で,タイムを出しにくいように先輩にプレッシャーを掛けてみます(↓).



インフィールドの立ち上がりで挙動を乱させる等,一応プレッシャーは掛ける事には成功したようですが,こちらのフロントタイヤが全く喰わないので接近する事は叶いませんでした・・・.

「あとやれる事は~」と考えて,ピットに戻りブレーキバランスを再調整(↓).



現状のバランスだと1コーナーとヘアピンでリアが出過ぎるので,この位置に再調整(↓).



これでリアがロックして滑る感触がなくなり,バランスは取れた気がしますが結果には繋がらず(42.242).この感触だと「SC6.5」でもまだフロントが足りないかもしれませんね.初期制動の強い「SC6」か? 絶対値の高い「SC7」か? 悩ましいところですが,再検討が必要そうです.

一方,そんな情報収集を私がしている間に先輩は,



41.543 をマークし,私を逆転! これで今回の勝敗は決しました・・・.

  私   ・・・ 41.716
  先輩 ・・・ 41.543 (-0.173)

(T⌓T) ウゥゥ…


先輩はこの後,次戦に備えて(?)ホンダ車系の走行会なのに,なんとフェラーリドライバーを招聘し(↓),



コーチングを受けていました(↓).



そして,ちゃっかりサイン(↓)もゲット(笑).




最後の3本目(11:00~).

勝敗は決してしまったので,3本目はセッティングの検討に頭を切替えます.ブレーキバランスは先程の調整で不満はなくなったので,残るは前後バランス.リアはヘルパースプリングを抜いた事で再びインリフトするようになり,ヘアピンやインフィールドでは小回りが利くようになりましたが,1コーナーの進入がやや不安定.



今回でHAL springの低反発を継続するか否か判断しようと考えていたので,具体的にどこかが乗りにくいのか?を確認したところ(↓),



やはり1コーナーでした.130km/h台の車速からフルブレーキングして,ブレーキをリリースしつつステアリングを切り込んでいくポイントで,フロントがフワフワとした感触で落ち着きがない.落ち着きがないので姿勢がなかなか定まらず,姿勢が定まらないのでアクセルも開けられない・・・.これは恐らく14キロのハイレートに対応させるために減衰力を下げた事が原因で,ならば減衰を上げれば感触が良くなるか?とピットに飛び込み,調整(↓).



これが正解でした.減衰を2段階上げた事で姿勢がビシッ!と決まり,思い切ってアクセルを開けられる~♪ 残念ながらお昼近くで路面温度がかなり上がっているため,タイム自体は伸びませんでしたがフィーリングとしては明らかにこちらの方が良い.



「低反発ならこれだな~」と思いつつ,走りながら・・・,

「でも,減衰を上げられたのは今日の気温が高いからだよなぁ~(ダンパーの粘度が下がっている)」
  ↓
「恐らく冬場でこの減衰設定だと,ツッパリ感が出てフロントが入らないよなぁ~」
  ↓
「そうなるとツッパリ感解消のために,レートを下げるべきだよなぁ~」
  ↓
「レートを下げるなら,そもそも低反発にする必要がないよなぁ~(14キロの反発力が強過ぎるから低反発にした)」
  ↓
「元の12キロ・中反発に戻すか・・・」

という結論に至りました.


これでセッティングの検討も終了.走行枠も残り10分を切り「さて,少し早いけど戻るか・・・」と思っていたら,目の前にこちらのFD2が(↓).



「なんで,お前がこの枠走っとんねん!」と突っ込みを入れつつ,「あ~,同乗走行か?」「ん? 同乗走行?? という事は今走らせているドライバーは先程の・・・」



( ✧Д✧) キラーン

という事で追撃開始!



ふむ,クルマの速さ的には私のEF8と同等くらいかな? ただ,ドライビングが滅茶苦茶スムース! さすがはフェラーリドライバーだなぁ~と思っていると,今度は後方から先輩が接近.

「最後にコーチングの成果を見せてもらおうか!(←負けた癖にエラそう)」と追いかけてみますが(↓),



「フッ,手の内は見せんよ・・・」と避けられてしまいました.

(ー ー;) グヌヌヌ…


という事で,2025年の開幕戦の結果は0.17秒差で先輩の勝利となりました.先輩はフェラーリドライバーからのコーチングで収穫が得られたようですが,私の方もセッティングの材料を集められたので,互いにアップデートを施して次戦に臨みたいと思います.

なお,走行会終了後は「まだ筑波のモツ定を食べた事がない」というFD2乗りを誘って,EF8の先輩,AT使いのBB6と4人でサロンへ.





AT使いは,走行会に参加していた黄色いBB6とプチオフ会をやれて喜んでました.
(BB6乗りに会える事自体が相当レアなので,かなり嬉しかったらしい・・・笑)


以上,開幕戦の模様でした.当日お会いした皆様,お疲れ様でした!


【おまけ】
メカニックのSさんから「最近,走行会終了後のじゃんけん大会の景品獲得率が低く,由々しき問題である.ドライビングだけでなく,レーシングドライバーのじゃんけんパターンも分析するように!」とよく分からない宿題を落っことされました(苦笑).



しょうがないので,今回からデータを収集していこうと思います.
記念すべき第1回は,K選手(↓).



最初はグー!の後,初回は連続でグーを出し,その後はグー→チョキ→パー→グー→チョキ→パー→…と必ず手を変えて繰り返すパターンでした.なお,このパターンはじゃんけんのセッションを跨いでも(勝者決定後の第2戦等)持ち越しされ,継続されるようです.

φ(´・ω・`)メモメモ

ちなみに,日本じゃんけん協会によると「グーには『強い』『握り拳』といった勝利に結びつきやすいイメージがあるため,不意にじゃんけんを仕掛けるとグーを最初に出す事が多い」のだそうです.さすがはレーシングドライバー,こういう場面でも"勝利"の二文字に拘るようですね!
Posted at 2025/05/16 00:49:49 | コメント(0) | トラックバック(0) | EF8 vs EF8 | 日記
2025年05月05日 イイね!

フリクションサークルの使い方(セッティング活用編)

フリクションサークルの使い方(セッティング活用編)「BICライブラリ」へ調べ物に行った際にもう1つ小ネタを仕入れられたので,こちらも纏めておきます(これでラストです).

内容は,フリクションサークルをセッティングに使う方法.「フリクションサークル」というのはタイトル画像のように加速度センサ等を用いて,走行中の前後・左右の加速度(G)を計測し,グラフで示したものです.私の場合はGPSロガーによる簡易計測なので精度的にはイマイチですが,傾向くらいは分かります.

過去フリクションサークルの使い方(分析の仕方)を纏めた事がありますが(加速領域編減速領域編),今回はセッティングを変えた際に,フリクションサークルのどこを見て,何を判断すれば良いのか?というお話になります.


まず,斜め上(ブレーキングしつつ旋回する領域)のエリアから,クルマ(or ドライバー)とタイヤのマッチングが見るとの事(↓).



例えば,仕様の異なるタイヤを比較する場合,この部分が膨らんでいればマッチングは良い(そのタイヤがクルマ or ドライバーに合っている)と判断でき,逆に凹むとマッチングが悪いと判断できるとの事.上のグラフはTC2000でA025(青)とCR-S(赤)を比較した時のものですが(↓),



右上の部分がCR-S(赤)の方が大きく膨らんでおり,当時の足回りだとCR-S(赤)の方がマッチングが良かった,という事になるようです.

また,同じタイヤを履いてセットアップを何も変更していないのに,このエリアが凹んでしまった場合は,路面コンディションが悪い(埃っぽい)といった事を読み取れたりもするそうです.滑り易くて限界が下がるからそうなるのでしょうね.



これを読んで1つ思ったのですが,「タイヤの減り(新品⇔5部山⇔終わりかけ)に対するグリップの低下具合」を,このエリアの凹み具合から導き出せないかなー? 同じタイヤでも減ればグリップが低下する訳で,摩耗が進むにつれて徐々にサークルが小さくなっていったら面白いなぁ~と思いました.


次に,左右の両端のエリア(加速も減速もせず,目一杯横Gが出ている状態)から,クルマのグリップ性能が判断出来るそうです.それも内側と外側で見る視点が異なるとの事.



例えば,車高を変えて比較する場合,車高を下げれば重心高も下がり,左右の荷重移動量が減って限界が上がるため(↓),


(VD講座:第4回 荷重移動 その3より)

内側が先程と同様に膨らむようになります.これが低速域でのメカニカルグリップに相当するとの事です.上の図だとフロントの車高が赤の方が8mm高いため,青と比べて凹んでおり,限界としては下がっている事が読み取れます.


一方,同じ端でも外側はタイヤのグリップに空力が加わるため,エアログリップが判断出来るとの事(↓).



例えば,ウイングの角度を変えて比較した場合等ですね.上の図の場合では,ウイングの角度が同一なので差がない事が読み取れます.


こんな風に,現場でセットを変更して良い方向に進んだのか? 悪い方向に進んだのか?をパッと判断するのに,フリクションサークルは有用なのだそうです.ただ,ドライバーが体感で分からない微妙な差であればあるほど,今度はセンサの精度がモノを言う事になるので,GPSロガーのような簡易計測だと,どこまで分かるのか怪しくなってしまいますが・・・.

最新のクルマだと車体制御用に加速度センサを当たり前のように搭載しているでしょうから,OBDコネクタ経由で情報を吸い出して見れると良いんですけどね.ま,ABSも付いていないEF8でそういった事を考えるのは論外ですが(苦笑).


以上,フリクションサークルをセッティングに活用する方法でした.
Posted at 2025/05/05 02:19:58 | コメント(0) | トラックバック(0) | セッティング(ツール) | 日記
2025年05月04日 イイね!

インリフト時の荷重変化のお勉強

インリフト時の荷重変化のお勉強先日,「BICライブラリ」へ行って一番知りたかった「アップスイープ」のお勉強をした訳なのですが,その過程でインリフトの効果に関して新しい知見が得られたので,こちらに関しても纏めておこうと思います.

「インリフト」というのは,タイトル画像の通りコーナリング中に内側(イン側)のタイヤが浮く(リフトする)現象の事です.FF車だとリアタイヤで起こる事が多いですね.


見た目が派手なのでよく注目されますが,FF車は基本アンダーステア傾向なので,多少リアが浮いたところでどうという事もなく,「無視すればいい」なんて言う人もいるくらいです.実際,私のEF8みたいにリアのブレーキがロックし易いと,リフトする/しないで動きがかなり変わるので手を焼きますが,ロックしなれば気になりませんでした.



「インリフト」で良く言われるデメリットは,「タイヤ2個で支えている荷重が,リフトするとタイヤ1個に減る訳なのだから,トータルのグリップとしては落ちる(=遅い)」という説ですね.これはその通りだと思うので,私も出来る事ならインリフトはさせたくないです(特に高速コーナーでは).

その一方で,積極的にインリフトさせたい時もあります.例えば,ジムカーナでの180°ターンのように短時間で一気に向きを変えたい時(↓).



その場でクルッとクルマを回したいので,意図的にインリフトさせてリアを破綻させ,スピンモードに持ち込む事でこれを実現したりもします.こんな風に「リアの限界を下げるため」にインリフトを用いるのだと私は理解していたのですが,今回調べて知ったのは,インリフトさせる事で「フロントの限界を上げる」というお話.

どういうメカニズムか?というと,まずインリフトしていない場合,タイヤに掛かっている力(≒後軸の車重)は路面が支えており,ダンパーにも下方向に力が加わっています(↓).



ここからクルマがロールしてタイヤを持ち上げる力が働いた時,インリフトしなければ,タイヤに掛かっている力は変わらず路面が支えてくれるので,ダンパーだけが引っ張られるような形で上方向に力が生じます(↓).



この状態から更にロールして,タイヤが完全に路面から離れて宙に浮くと,タイヤ(≒後軸の車重)を支えていてくれた力がなくなるので,ダンパーに掛かる力は反転し,下方向に力が生じる事になります(↓).



そうするとどうなるか?というと,



リアのイン側はロールして伸びようとしていたものが途中で止められて,逆にロールを元に戻そうとする力が生じる事になります.すると,対角となるフロントのアウト側に掛かっている荷重が減る事になるのだそうです.つまり,コーナリング中にインリフトさせる事で,フロントの荷重が減って限界が上がる訳です.

言われてみればなるほどなぁ~と思いますが,今までインリフトは「リアの引っ掛かりをなくすもの」という認識だったので,「(テールスライドしない限り)フロントには影響しない」と思い込んでいたので目から鱗でした.
(プロが「インリフトさせてフロントの負担を減らす」と言っていた意味はこういう意味だったのか・・・)

なるほど,この理屈であれば,以前日光の6コーナーで経験した左フロントのバウンシングもそりゃ起きるよなぁ~と納得しました(↓).



  ①右のリアタイヤが浮くまでは左フロントは沈み込む
  ↓
  ②右リアが浮いた瞬間,右リアを下げる力が生じて左フロントが持ち上げられる
  ↓
  ③左フロントが持ち上げられたため,右リアが再び接地する
  ↓
  ④右リアが接地したため,再び左フロントが沈み込もうとする
  ↓
  以下繰り返し・・・

当時は左フロントが持ち上げられるのは,スプリングの反発力が強いせいだと思っていたのですが,コース形状のせいでもなく,物理的に起こるべくして起きていた現象だったのですね・・・.


話を戻して,インリフトする事で「フロントの限界が上がる」のだとすると,リバウンドストロークを増やしてインリフトを抑制すると,逆にフロントの限界が下がる事になります.このため,狙ったポイントでリフトするようにテザーを使ってリバウンドストロークを規制するクルマもあったそうです.テザーで規制するなんて聞いた事がなかったので,どういう代物なんだ?と写真を探してみたのですが,海外のレーシングカーという事もあり,残念ながら見つけられませんでした・・・.

いずれにせよ,やはりインリフトするギリギリのところを上手くコントロールして使う事が,速いコーナリングを実現する上で大事なんだなぁ~と改めて思った訳なのですが,



先述の「フロントの限界を上げる」要素として出てくる「バネ下の重さ」を見て,コレ,リアホイールの重さを変えて調整出来たりしないかな~?とも思いました.



しかし,以前調べた「非駆動輪を軽くしても無意味?」のブログを見返して,即座に「意味ないな・・・」と撤回しました(笑).ダンパーを自重で引っ張るためには数kg単位で重くしないとダメで,仮に重くする事でジャイロ効果が得られるとしても,キロ単位となるとデメリットの方が大きくなりそうです・・・.


以上,インリフト時の荷重変化のお勉強でした.
2025年05月03日 イイね!

アップスイープのお勉強

アップスイープのお勉強先月末,食事会のついでに「BICライブラリ」へ行って調べ物をしたのですが,一番知りたかった情報を得られなかったので,今度は国分寺市にある「東京マガジンバンク」へ行って来ました.

「東京マガジンバンク」への訪問は,昨年に続いてこれで2回目.前回訪問時のブログに丁寧に本の借り方を残しておいたおかげで,今回はスムースに借りる事が出来ました(1年前の自分に感謝・・・笑).


という事で,その一番知りたかった情報である,フロントアンダーパネルの「アップスイープ」に関して今回調べた結果を纏めておこうと思います.

まず,事の発端は先月「日産ヘリテージコレクション」に行った時に見学したBTCC仕様の「プリメーラGT」(↓).



このクルマの特徴の1つが「アップスイープ」で,「アップスイープ」とはフロントバンパー下面に設けられたアンダーパネルの後端の部分の形状の事を指しており,バンパー下までフラットだったものが,フロントタイヤの直前でリアのディフューザーのように角度を付けて持ち上げているのが特徴です(↓).



この「アップスイープ」の最適な角度は8~10°だそうで,それ以上角度を付けると加速時の水平姿勢の時はダウンフォース量が大きくなるが,減速時に前傾姿勢となった際,角度がつき過ぎて気流がストールし,ダウンフォースを失うのだそうです.そういった特性は前回訪問時の調査で理解したのですが,では,この「アップスイープ」でダウンフォースを得るためには,アンダーパネルをどれくらい地面に近づければ良いのか?という点が気になっていました.


以前調べた文献では(↓),


(Aerodynamic Effects of Indy Car Componentsより)

「車高を10mm以下に下げないと,アンダーパネルでダウンフォースは得られない」というデータが示されており,これを見て「車検対応の90mm車高では全くダウンフォースが得られない」という事を知りました.このため,EF8にアンダーパネルを装着した後,リアの安定感が増したように感じたのは,



アンダーパネルによってダウンフォースが出ていたためではなく,単に重量物がボディ下面に付いて重心が下がったためなんだろうなぁ~と思っていました.


しかし,実際にこの「アップスイープ」を備えたフロントバンパーの実物を見てみると(↓),



低い事は低いですが,さすがに10mmという事はなさそうだなぁ~と思いました.

じゃあ,一体,このクルマの最低地上高はいくつなんだ?と調べてみたところ,45mm である事が分かりました.実際は車速が上がれば上がるほどダウンフォースが掛かって車高が下がるため,走行中の実車高はもっと低いそうなのですが,それでも「車高45mm以下であればアンダーパネルでダウンフォースが発生する」という情報を得る事が出来ました.10mmに比べれば45mmというのは大分現実的な数字なので,少し期待感が増してきたのですが,ここで1つ気になる事が.

「車高45mmでダウンフォースを発生させるために必要な車速はいくつなのか?」

2L NAとはいえ,この世代のツーリングカーの出力は300PSを超えています.それなりにかなり高い車速なんじゃないか?と思い,JTCCのツーリングカーの最高速がどれくらいだったのか?を調べてみたところ,こんなデータが(↓).



富士スピードウェイのホームストレートが約1.5kmですから,最高速で240km/hレベルという事ですね・・・.やっぱりレーシングカーだなぁ~と思いつつ,中間加速が知りたいな~と更に調べてみると,こんなデータを見つけました(↓).



TC2000の計測点で196km/hだそうです(ちなみにタイムは57.08).やっぱり化物だな・・・と思いつつ,これくらいの車速であれば,車高45mmでもダウンフォースは出るという事のようです.ちなみに,私のEF8は150km/h台ですから,45mmでは到底足りず,もっと車高を下げないと効果は得られないのでしょうね.


なお,先述の「プリメーラGT」で車高が45mmなのはフロントバンパーの部分だけで,サイド~リア部分はもっと高いです(↓).



これはレギュレーション上の制約から落とせないという事もあるのですが,フロントバンパーで圧縮した空気を素早く抜くためには,むしろサイドの車高が高い方が好都合だったそうです.


そんな感じで定量的なデータが得られたので,「アップスイープ」に興味が湧いてきたのですが,先日,首都高で緑甲羅をぶつけられてアンダーパネルを破損したので(↓),



いっそ,アップスイープ付きのアンダーパネルに変更するか?とか考えていたのですが,調べてみたら汎用品でも結構良い金額でした・・・.となるとワンオフで作ってもらうしかないか?と更に調べてみたところ,こんな製品を見つけました(↓).


(CF Lab:アップスイープ Type1 STD FRP製より)

  A:320mm  B1:295mm  B2:185mm  C:115mm  D:50mm

こんな感じで後付け出来る「アップスイープ」のようです(↓).


(CF Lab:アップスイープ Type1 STD FRP製より)

価格もそこまで高くなさそうなので面白そうだなぁ~と思ったのですが,果たして私のEF8に取り付けられるスペースがあるのか??





ちょっと厳しいかな・・・.ちなみに「アップスイープ」を付ける場合はストレーキ(↓)は撤去となりますね.




最後に,JTCC車両だと「アップスイープ」ではなく,こういった排出口をバンパー横に設けているケースもありますが(↓),



コレ,ダウンフォースを稼ぐという意味合いではなく,あくまでクーリングのために設けていたそうです.

バンパー横というのは負圧域なのだそうで,ここに開口部を設けると空気がよく抜けるのだそうです.その反面,ドラッグは増えるそうで,「前面投影面積を増やすようなもの」と表現されていました.冷却性能を取る場合は開口部を開け,最高速を延ばしたい場合は開口部を塞ぐ,といった切替をレースでは行っていたそうです.なので出来れば,ここはシャッター式が望ましいそうですが,実際のレースでは簡単なのでテーピングで済ませていたようですね.

こういうのを知ると,「日産ヘリテージコレクション」で観たGT-RのR33にはあって(↓),



R34にはなかった(↓),



・・・のは,そういう理由だったからかぁ~と理解が深まりました.


以上,アップスイープのお勉強でした.
Posted at 2025/05/03 00:57:17 | コメント(2) | トラックバック(0) | セッティング(空力) | 日記
2025年05月02日 イイね!

Heritage Collection ~GT-R SUPER GT仕様編~

Heritage Collection ~GT-R SUPER GT仕様編~「日産ヘリテージコレクション」見学のラスト.GT500仕様のスカイラインGT-RフェアレディZと来て,再びGT-Rに戻ります.

こちらも同様に詳しく観たいところなのですが,タイトル画像の車両達は一番近い位置に置かれた2008年仕様以外は仮置き(展示準備中?)といった感じで,車両の概要を示すプレートもなく,詳細が分かりませんでした.また,2010年代の車両は形状が複雑過ぎて素人には識別も難しいため,今回はサクサク進めようと思います.

まずは,2008年の「XANAVI NISMO GT-R」.



GT-R復帰初年度のモデルですが,正面から観るとボンネットが本当に低く,ヘッドライトの外側も少し盛り上がった形状をしているのが分かります(↓).



ミラーも空力を意識しつつ比較的前後方向に大きな形状(↓).



リアフェンダー周りも比較的シンプルな印象を受けました(↓).




お次は,別の場所に置かれていた2013年の「NISMO MOTUL AUTECH GT-R」.



先程の最初期のGT-Rから5年が経過しているのですが,正面から観るとそれほど違いはない・・・かと思ったのですが,実はボンネット中央部の膨らみがなくなっているとの事(↓).

【2008年仕様】


【2013年仕様】


2008年仕様で膨らんでいたのは,エンジンのエアボックスが巨大でエンジンルームの中に収め切られなかったためだそうで(↓).



翌2009年仕様で何とか収めて,ボンネット中央部の盛り上がりがなくなったそうです.
フロントのフェンダー周りは空力の進歩によって,さすがに複雑度が増しており(↓),



ミラーもより前後方向に大型化した印象(↓).



リアフェンダーも細かな工夫が見て取れます(↓).



リアウインドウ周辺は,ここまで観て来たGT-RやZと比べると大幅にシンプルですね(↓).



フロントはR35なので独特ですが,リア周りはここまで観て来た歴代のスカイラインGT-RとフェアレディZを混ぜたような感じ(↓).



リアタイヤ後方に大きな開口部があるのは歴代と変わりませんが,フェンスが貼ってあるのはこれが初なような?(↓)



また,トランク上部のこの黒い部分(↓)はスリットでした.



なお,レーシングカーで時折見るパイプ(?)もありました(↓).




再び場所を戻って,次は恐らく2015年仕様の「MOTUL AUTECH GT-R」.



DTMとのレギュレーション統合を推し進めた年代なので,共通部品の導入等でアチコチ微妙に異なっています.



フロントフェンダー周りを先述の2008年仕様と見比べると,これだけ違います(↓).



これは,空力の可能開発エリアというのが定められたためでしょうね(↓).


(HONDA:ダウンフォースにこだわった空力開発 SUPER GT 2014年〜2019年より)

ミラーも凄くシンプルですね(↓).



リアフェンダー周りにギザギザが付いており,近代のエアロだなぁ~という感じです(↓).






最後は,こちらも恐らくですが2018年仕様の「CALSONIC IMPUL GT-R」.



フロントウインドウの全面に黒いフィルムが貼られているので,もしかしたらショーカー(モックアップ)かもしれません.ちなみにその奥に置かれているのは,同じ2018年仕様の「MOTUL AUTECH GT-R」に見えますが,こちらはウインドウにフィルムが貼られていないので本物のようですね.


以上,Heritage CollectionのGT-R SUPER GT仕様編でした.

まだこれ以外にも多数のクルマを写真に収めたのですが,キリがないので今回のシリーズとしてはここで終わりにします.とにかく「日産ヘリテージコレクション」は展示の台数が多く,時間制限こそありますが見学の満足度としては非常に高いです.市販車/レーシングカーを問わず,日産車に興味のある方は,何とか予約を成功させて1度訪れてみては如何でしょうか.
Posted at 2025/05/01 18:57:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | 博物館見学 | 日記

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