先日のヤマトにやられたあのコンポのお話です(笑)
※長いです。興味のある方だけご覧ください。

ソニーのミニコンポ、Pixy MHC-J770。
約30年前、初めてバイトして貯めたお金で買った思い出の(?)一台。
当時、上位機種にMHC-J970EXがあり、グレード的には2番手だったかと思います。
センタースピーカーとリアスピーカーを搭載し、DOLBY PROLOGICが再生できることがウリでした。
当時はこれにパイオニアの50連奏CDチェンジャー、PDF-51を接続してエンドレスにCDを再生していました。
今でこそストリーミングやMP3ファイルでひたすら音楽を聴き続けられるし、選曲も簡単ですが、当時はCDやカセットテープが主流。
いちいちCDを入れ替えること無く連続で音楽が聴けて重宝してました。
ちなみにCDチェンジャーは実家を出るタイミングで売り払ってしまったので手元にはもうありません。

MDデッキは3年後に追加した同じくソニーのMDS-S37。
MDLPが登場する以前の機種なので機能的には古いものです。
この頃になると小型で持ち運びが便利、かつ高音質なMDがカセットに変わって主流になってましたね。
余談ですが、この機種の後継機はデザインが劣化してダサくなったので、これを買ってよかったと思った記憶があります(笑)
学生時代はほぼ毎日のように何かしら音楽を奏でていましたが、就職後は時々聞く程度。
結婚時も婿入り道具として持参してきたものの、使う頻度はさらに激減。
現在の家に引っ越してからはリビングを追われて寝室のタンスの上に置いてあったので、ほぼ使うことは無くなってました。
久しぶりに使ってみたら
昨年、なんとなく音を聞きたくなり、久しぶりに電源を投入してみたのですが・・・
・音が出たり出なかったり ←たぶんアンプがおかしい
・MDが音飛び&再生途中で動かなくなる。ガラガラと異音もある。 ←たぶんピックアップの動きがおかしい
・カセットデッキが空回りして不動 ←たぶん駆動ベルトが千切れてる
・FMラジオが受信しない ←アンテナ不良?
要するに壊れていた訳ですよ。
30年ものなので仕方ないですが、音が出ないというのは致命的。
しかしですよ。MHC-J770の奏でる音が意外と良くて捨てるには惜しいんですよ。
ちっこいスピーカーでは再生できない迫力ある音質はやはりこの機種ならではだと思うんです。
かと言って、新しいコンポを買いたい程の欲求はないんですよね。
せめて大量にあるMDディスクは再生できるように新しくMDプレーヤーを買おうかな・・・と探してみると、なんとびっくり、MDプレーヤー
は全世界で生産が終了していました(´Д`)
頼みの綱(?)の中華でも作っておらず、もはや新品を手に入れることは不可能という事実。
そうこうしているうちに肝心のMDディスクも最近生産終了してしまいましたね。
もしMDデッキをお持ちだったら捨てない方がいいですよ!将来高値で売れるかも(爆)
そんな事実も知ってしまったので、なんとかコンポを修理したいという気持ちが芽生えました。
しかしこんな古いコンポを直してくれる処があるのだろうか。メーカーは絶対拒否するだろうし・・・
修理業者が見つかる
ネットを徘徊して、古いオーディオ機器修理を行っている業者さんをみつけました。
「HTS北総テクニカルサービス」さん。(以下、HTSとします)
こちらはかなり古いオーディオ機器も修理しているようですし、機種のジャンルも問わないようです。
早速問い合わせると「修理見込みあり」とのことだったので、修理をお願いすることにしました。
個人経営に近い業態のためかなり柔軟に対応をしてくれそうです。
問い合わせのやりとりでも、かなり詳しい&技術者魂のようなものを感じました。
故障箇所が判明
HTSからの正確な故障診断結果は以下のようなものでした。
・アンプユニット: ハンダクラック程度で特に壊れているところは無い。
・カセットユニット: 駆動ベルトが溶解して千切れている。溶解した残骸が悪さをしてメカ部分に損傷あり。
・EQユニット: アンプ同様、ハンダクラック程度で特に壊れているところは無い。
・CD・ラジオユニット: コンデンサが液漏れを起こして基盤が腐食している。これが原因でノイズや音飛びの発生、チューナーのショートを引き起こしている。また、電源部に劣化があり瞬間停電するため、音飛びもしている。
・MDデッキ: ピックアップの駆動ギアにクラックがあり、これが異音の原因。クラック部が引っかかると音飛び・再生不良を引き起こしている。ただし、輸送事故で内部メカユニットが歪んでいるのでこのまま修理は不可。
意外なことに音が出ない犯人はアンプでは無かったようです。
じゃあなんで音が出たり出なかったりしたのかを聞いてみると、
・おそらくCDユニットの劣化で発生したノイズをアンプ側のフェイルセーフでカットしているせいで音が出ないのはないか。
・ノイズはCD再生に関係無くユニットに通電していれば発生しているので、他のソースを再生していてもフェイルセーフで音が出ないのではないか。
とのこと。
それ以上に驚いたのが、
・CDユニットに過去に
適当に修理された痕跡がある。その際に交換すべきコンデンサが見落とされたため、後になって液漏れを引き起こし、FMチューナーがショートしている。
言われてみれば、確かに15年以上前にメーカーに修理に出した記憶があります。
まさかメーカーがそんな適当な修理をしていたとはビックリです。
この時点でHTSさんの技術力の高さ、真摯な対応がよく伝わってきました。
また、このMHC-J770はミニコンポとしては高級な部類に入り、いい部品を使用している機種だということも教えて貰えました。
結論としてFMチューナーは代替え品がないので直せないが、それ以外は直せるということになったので、全てお願いしました。
古いものだし、直せる内に全て直してこの先も長いこと大事に使おうと思い直しました。
新しいモノはいくらでも手に入りますが、古いモノはそうはいきませんからね。
生き返ったMHC-J770 & MDS-S37

2度の修理を終えて約3ヶ月振りにMHC-J770とMDS-S37が帰ってきました。
2度の輸送事故が無ければ1ヶ月程度で帰ってきていたハズなんですけどね(苦笑)
早速音を奏でてみると、気のせいか修理前より全体的に音がクリアになった感じがします。
ストレス無く全てのソースが再生できることにも感動。
カセットテープなんて十数年ぶりに聞きました。懐かしすぎる。

各ディスプレイもクリーニングしてもらったお陰で綺麗な表示を取り戻しました。
内部の発光ユニットも当時のものは性能がよいらしく、まだまだ使えますよ、とのことでした。
やはり90年代初頭のジャパン製品の品質は素晴らしいんですね。
修理内容としては

●MHC-J770
・全体共通: ハンダクラックの処理、ディスプレイ&発光ユニットのクリーニング、全体的なクリーニング
・アンプユニット: ボリューム等コントローラーのクリーニング、回路内劣化部品交換、天板修正、折損ツメ修復
・カセットユニット: 駆動ベルト交換、駆動ベルト溶解付着物除去、クラックギア交換、キャプスタンローラー交換
・CD・ラジオユニット: 劣化コンデンサ交換、基板パターン修復、過去の適当修理の手直し、ピックアップレンズ交換、AMチューナー修復
唯一FMチューナーだけは代替え品がない為修理不可となってしまいましたが、その他の不具合は全て直りました。

CDのピックアップレンズはまだ新品が手に入るそうです。
30年も経っているのに驚きですよね。
HTS曰く、搭載されていた部品が高級グレード品なのでまだ修理需要がある為だそうです。
この先も手に入る保証はないのでこの機会に交換しておきました。

●MDS-S37
・内部メカユニット一式交換
・天板交換、折損ツメ修復
MDデッキは輸送事故で内部メカユニット全体が歪んでしまったので、同型機の代替えを探して貰っていましたが、どれもあまり状態が良くなかったそうです。
最終的に外装は汚いけど内部メカの状態が良い機種からメカを移植したそうです。
歪んだ天板は他の部品取りから移植、その他は整備して元の躯体を再使用したそうです。
現代化を試みる
復活を果たしたMHC-J770、これだけでも十分満足なんですが、折角なので現代化も果たすことにしました。
ずばりBluetoothレシーバーを接続してスマホ(あるいはPC)から音楽ファイルを再生できるようにしたいと思います。
用意したのがこちら。
AOSHIDA BLAD-S5
DAC(Digital Analog Converter)と呼ばれるモノで、Bluetooth 5.1に対応。
大型液晶ディスプレイも装備し、出力はRCA、同軸、光と多彩。
自分が購入した時は7130円でしたが、最近は倍の値段に跳ね上がってますね。
値段設定間違ってたのかな(笑)
数あるこの手のDACの中からこの機種を選んだ理由はFMチューナーを搭載している点。
FMラジオ、あきらめてませんよ(笑)
この手の中華製のチューナー搭載モデルはFM受信帯域が
88-108MHzで、日本の受信帯域(
76MHz~)は受信できないものがほとんどなんですが、この機種は
75MHz~108MHzまで受信可能。

埼玉県民一押しのFM NACK5もしっかり受信!(笑)
もちろんワイドFMも受信できます。
コンポ搭載の(壊れた)FMチューナーは旧式なのでワイドFMは受信出来なかったので大きな進歩です。
付属のロッドアンテナの感度がいまひとつなのががっかりポイント。

BLAD-S5はMDデッキの上に設置して、RCAでJ770へ外部入力接続。
問題無くスマホと接続、音楽も再生できました。
BLAD-S5のディスプレイにも曲名が表示されるし、再生や曲送りなどのコントロールもBLAD-S5側からできるので便利です。

外部入力とは言え、FMチューナーも無事復活して機能的には全てを取り戻せたMHC-J770。
最近のデジタル楽曲も再生できるようになり、30年前のコンポが大復活しました。
これを機に寝室から自室に移動させたので、これからは暇な時間に自室で音楽を聴けそうです。
おしまい