写真1
オールシーズンタイヤと言うとどうしても中途半端なタイヤという印象が最初に来るらしい。
実際今まで使ったオールシーズンタイヤでそんなに雑なタイヤってのは無かったんだけどな。
ミシュラン・クロスクライメート2もスタンダードタイヤとして非常に優れた性能を持つタイヤと言えます。
言い訳の無い良いタイヤ。
若干スポーティ寄りな性格で、素直で快適。
タイヤの性能表記としては転がり抵抗A、ウェットグリップbといったちょっとスポーティなタイヤみたいな数値。
そしてスリーピーク・マウンテン・スノーフレーク付き。
サイズはシビック純正の215/55R16。
ロードインデックスは97(ETRTOエクストラロード)
速度記号はW(270Km/h)
トレッドウェアは驚異の580。
今回はそんなタイヤのインプレッション。
オールシーズンタイヤとは言うけれど新潟の冬には無力。
そもそもオールシーズンタイヤに氷上性能は無い。
一番気を付けるのはここで、まともな雪国の民であれば冬にスタッドレスタイヤ以外と言うのは考えません。
オールシーズンタイヤというのはあくまで突然の雪にも慌てないってのがコンセプトだから、氷上性能は最初からない。
私はきちんとスタッドレスタイヤを用意している。
ミシュラン・エックスアイススノーを選んだのはドライ路面を重視した結果だけど、おかげで冬になってもミシュランの安心感を感じながら走れる。
という事でオールシーズンだから、とかミシュランだから、とかそう言った先入観一切無しで書いてみましょう。
写真2

タイヤを履き替えてまず感じるのはタイヤが軽いという事。
直前まで転がり抵抗Aのタイヤ履いていたのに、それより明らかに軽い。
ラベリング同じなのに全然違う。
タイヤが軽い。
転がり抵抗が低い。
グリップがある。
アクセルを踏んだ時にタイヤのたわみが明らかに少ないので、その分余計なサスペンションの動きが起きない。
そして駆動タイヤがしっかりと車体を引っ張るからアクセルを踏んだ通りに前に出る。
アクセルを踏むとクルマが前に出る。
ハンドルを切るとクルマが向きを変える。
ブレーキを踏むとクルマが減速する。
そんな当たり前の動きをする。
ドライでも、ウェットでも、低速でも、高速でも同じ動きをする。
何気ない、これだけのことがどれだけ凄い事か。
まずこのタイヤはまっすぐ走る。
まっすぐ走るタイヤと言うのはハンドリングレスポンスに優れているタイヤでもあって、ハンドルを1mm動かしただけできちんと車体が動く。
ちょっとラインがブレたら、ほんの少しハンドルに力を入れるだけでクルマがまっすぐ走る。
応答性が悪いと大きな修正の繰り返しでドライバーも同乗者も疲れるもの。
タイヤ自体もまっすぐ走ろうとするけれど、修正もきちんと受け入れるので長距離でも全然疲れない。
また深い轍でもハンドルをほとんど取られずに走る。
グルービングの上でもほとんどハンドルが取られない、異次元の直進安定性を持つ。
リアタイヤも極めて高い応答性を示し、シビックらしい軽快で俊敏なハンドリングを楽しめる。
元々俊敏さが売りのシビックが、どこまでも曲がろうとするのにきちんとコントロールが効く。
旋回挙動は極めて自然で、力のいらない旋回ができる。
思い通りに。
何も考えず、思った通りにクルマが動く。
おかげでカーブの続く道でさえリラックスして走れる。
雨の中でもハンドリングは変わらず、走行感覚はほとんどドライ路面。
視覚では雨が降っている事は分かるけれど、クロスクライメート2はいつもと同じく路面状況を教えてくれるので雨が降っている事を忘れそうになる。
ほんの少しハンドルに力を入れる程度の微小なハンドリングにもきちんと応答してくれる。
雨なのにむしろアクセル踏めるような気分で、シビックを信じてどこまでも踏んで行ける。
ウェット路面でさえ限界に近付くとタイヤがスキールを上げ始め、限界を超えると緩やかに流れ始める。
コントロールも容易で、何事も無かったかのように復帰する。
しっかりと分かる路面。
限界を超えても緩やかな挙動。
雨が降っても、絶大な安心感がそこにある。
もちろん川のようになっている高速道路でも絶大な接地感はそのままなので、リラックスして走る事ができる。
ほんの少しハンドルに抵抗を感じるけれど、大胆なVパターンの影響かな。
Vパターンのタイヤは左右に水を弾き飛ばすのでどうしても水の上を走ると前輪に少し抵抗が発生してしまう。
そのかわり後輪が分担する水の量が減る事で絶対的なハイドロ性能を確保できる形状。
後輪のグリップが大事な前輪駆動には丁度良いんじゃないかな。
また静かなのも良い。
見た目はブロックタイヤなのになぜかとっても静か。
絶対的なロードノイズで言うとプライマシー4とかeプライマシーには敵わないけれど、直前に履いていた別メーカーのエコロジータイヤと同じくらい静か。
さらにミシュランの場合は人間の声の周波数と少しずれている音がする。
つまり会話を邪魔しない。
一人で乗っている時は気にならないけれど、人と乗っている時は会話できるかどうかがとても大事。
その辺はミシュランというメーカーを選ぶ理由の一つになっていると感じる場面。
プレミアムコンフォートタイヤのプライマシーシリーズと違ってロードノイズそのものは聞こえる。
ただしノイズレベルはミニマム。
プライマシー4のように高速道路でさえロードノイズが消える事もあるような静けさではないけれど、例えるならプライマシーなら「サーッ」と聞こえていたノイズは「ゴォーッ」と小さく響く事になる。
これはクロスクライメートを構成する巨大なトレッドのブロックを見れば仕方のない事で、これほど巨大なブロックを持っているのですから多少ノイズが発生するのは仕方ない。
乗り心地に関してはちょっと固めかな。
路面の小さなうねりは何事もないかのように吸収するので真っ平らな路面を走っているみたい。
タイヤのサイドウォールですべての衝撃を吸収しているかのように、小さな段差でも平坦に感じる。
旧世代のタイヤだからなのか段差の乗り超えはボムンっとゴムらしい跳ね方をする。
大きな段差で衝撃を感じる事は無いけれど、一般道を走っていると少し硬いと思う人がいるかもしれない。
高速道路でも乗り心地は変わらず、常に車体がフラットに収まり続ける。
元々ボディ剛性が高くてサスペンション性能の高いシビックだけど、高速道路を延々と走りたくなる乗り心地。
写真3

結局、タイヤとして非常に高性能な銘柄と言えるかな。
シビックの運動性能についてくる上に、高速道路も快適に走れる。
運転を楽しみながら快適に走れる、どんな人にもお勧めできる銘柄と言えます。
ミシュラン同士で比較するなら、快適性はエナジーセイバー4=パイロットスポーツ4<クロクラ2<eプライマシー<プライマシー4という感じかな。
運動性能はエナジーセイバー4<プライマシー4<eプライマシー<クロクラ2<パイロットスポーツ4という感じ。
快適性よりも運動性能寄りの性格と言えるね。
それで、モデルチェンジしたクロスクライメート3はさらに高性能と謳っていますね。
どこがどう高性能になっているのか想像できない。
クロスクライメート2で良いんじゃないの?