最近、続けて数件また、「軽四は、、、」という
客観論拠の提示のない主張を聞くことがあったので。
二年弱前に某所にポストした記事に同じような批判があり、
それに対して当方の認識と論拠を示した記事を
自分で思い出すためも含めてみんカラにも再掲。
オリジナルの作成は2014年12月29日03:45で、
2016年10月31日20:30の時点で599 viewを戴いているが、
そこでは今のところ反意とその論拠を示すようなコメントは戴いていない。
重ねて予め言っておくが、
わたしは決して軽四が小型車以上の車格を持つ車と
全く同格の安全性を有するハードウェアだとは言っていない。
ただ、安全性はハードの有する静的性能だけが支配するものではなく、
それを操る人間の心理条件などを多々含んだ
ソフトウェアの影響を無視して、
主観にすぎない展開を押し付けられても
内心嘲笑ってしまうだけだということで(笑)。
この記事を書いた当時のわたしは軽四届出ではあるが
ハードは小型登録車とほぼ同一の初代smart coupeのオーナーだったので、
国内製軽四を擁護する必要性はなかったしね。
(アルトに乗り換えることを考え始めたのは年明けて2015年になってから)
しかも、登録は軽四だが
明らかに国産とは違う基準で企画されているsmartを
「軽四」と十把一絡げられて危険視されるのも、
これまた内心、ちゃんちゃら可笑しかったのも。
小型車登録でもシートベルトもないS600の方が
現行軽四規格のアルトより余程弱いだろうな、ってこともね(笑)。
では、前置きが長くなったが、以下にメインパートをコピペする。
---
新型スズキアルトのnews記事におけるつぶやきに
某マイミクさんより軽自動車の即死事故に関する指摘があったので
ちょっと調べてみた。
何か別の件で気にされているようなので
万が一これを読んで同一視されると困るので予め断っておくが
この記事を以って氏の考えを批判するとか言うものでもない。
重箱の隅つつきだという批判に該当するのかもしれないが
主観だけの主張展開や比喩表現では
事実や意図が適切に他人に伝わるものではないため
客観データを添えて理屈を展開するのは
コミュニケーションの上では本来最も重要なことである。
そのために数値データを引っ張ってきてみたのであって
これを重箱云々と言われると、何の意思疎通や相互理解も推進できなくなる。
さて、
下に示すスプレッドシートに整理した情報は
表中に記した2つの団体に依って公表されているデータを引用した表である。
(平成25年度、つまり今年平成26年3月末集計の事故統計データはまだ公表されていないので、
平成24年度を用いているが、1年で画期的に変わったとは考えられないため充分であろう)
まず、軽自動車は確かに普通自動車の1倍強の致死事故を起こしている。
軽/(普+小)の列を見ると、
単独事故のみ普通車(以降、小型車も含んで登録車の意味で用いる)の致死率が
軽自動車を上回っているが、それ以外は軽自動車の方が致死率が高い。
単独事故は総事故のうちそれぞれ1%強の件数しか無く、
事故自体が発生する確率は低い。
一旦事故が発生した場合の致死率は他の2区分よりも高いし、
死者数もそれなりの数が計上されてはいるが、
1台当たりの死亡事故率を見ると、他の2区分の約半分程度の発生率である。
このため、
「起こった事故」
の条件付き確率に於いては
軽自動車は普通車より幾分か危険な乗り物であると言える。
しかし、事故を起こす確率はそうではない。
特に人対車の事故を起こす確率は
普通車は世間に走行可能かたちで登録されている車の比率を
上回る確率で事故を起こしている。
勿論、反論の余地はいくつかはある。
この保有台数のデータは登録車のデータなので、
ナンバーを抹消してしまった車ではなく自動車税を払いながらも
路上に出ていない自動車までをも含んでいる。
つまり、軽自動車と普通車の「実働率」はどうなんだ?という指摘には正確に答えられない。
また、中古車販売店店頭で短期的に用から外れているデッドストック分の比率も
考慮できない。
そこについて軽自動車に比して普通車が明らかな差を持って
休止車輌になっているんだという客観的事実が示されたらそれに沿った解釈を行うべきだが
軽自動車と普通車の休眠車輌については
「比率的に同等である」
という仮定を採用するのが当面は妥当だと考える。
仮定の根拠は、最も件数の多い車対車の事故発生比に於いて
保有台数比にほぼ等しい事故発生比率を示しているところにもある。
因みに「第一当事者」というのは事故が起こった際に責任の重い側、
あるいは軽傷の側であって、
この表で欠損しているのは
人の飛び出しなどが原因で事故が起こったが、
人との接触よりも搭乗者が急ブレーキや他の設備への接触などで
より重い負傷を得たような場合であるが、
そういう特殊な結果の事故は極めて少数であろう。
これがこの分析結果が無効であるというだけの相当数あるという事実が示されたら
これまたそれに沿った別の解釈が必要にはなろうけど。
単独ではない2ケースは、死者がどちら側かが特定されておらず、
(単独は「単独」なので、その当事者の車輌搭乗者の死亡事故であることは自明)
特に車対車の場合の死亡事故の場合は
第二当事者を殺した事故なのか、
第一当事者の過失が支配的だが第一当事者が死んだ事故なのか、
第一/第二両当事者が共に死んだ事故なのかは判らない。
最初に単独事故は総数に比しては充分少なく、
軽自動車の致死率を引き下げるほどの効果はないことを示したが、
逆に単独事故が起こった場合の普通車は最大の致死率を示しており、
普通車なら乗員の安全性が保たれる等と言うことは出来ない。
つまり、単独事故は確実に普通車の箱のなかで死んでいる人の割合が多く、
他の2条件より箱と致死との関連が確実である。
普通車には軽自動車に比して高いハードウェア自体の頑健性があっても
後述するドライバの慢心を誘い得る等の環境効果も含まれるし、
そもそも軽自動車では180km/hではなく140km/hでリミッターがかかるなどの
事故に至る原因のための歯止め位置も異なる。
逆に普通車の方が危険な面があるという定性的事実があることも認識すべきだろう。
考察するに、普通自動車は確かに強度もより高く
ハードウェア的には安全であるとは言えるだろう。
だから、単純な致死率比率を見ると軽自動車は普通車の1倍強の致死事故に絡んでいる。
しかし、普通車のドライバはその安定感から
危険な運転に対して寛大になりかねないのではなかろうか。
普通車を度を越して振り回し、いざ事故に至った場合には致死率は軽より高い、と。
軽自動車のホットモデルを危険視する以前に、
それは特に対人事故において事故発生比率が保有台数比率を上回っていることからも
一種の慢心というか、気が大きくなるというか、自己過信というか、
より小さい交通手段を見下す心理状況になりやすいのではないかと思う。
この部分は論理的根拠データが無いので確定的には言えないが
一般的に言われるドライバの心理状況(闘争的になる傾向など)を併せ考えると
可能性としてはない話ではないと思うのだが。
わたしはこの結果を見て
軽自動車が差別的にボロい危険だと叩かれている根拠までは
示し得ないのではないかと思う。
繰り返すが、軽自動車そのもののハードウエアの強度制限などからも
致死率は幾分か高いことは事実として認識すべきだが
それ以上に、使う側がその道具に対して
依存心を持ったり過信したりする心がけのほうが
もっと「安全」を語る上では支配できなのではないかと思うわけだ。
軽自動車を擁護するつもりはないし、
別に軽自動車をお勧めもしないし、
特に肩入れをしている立場ではない。
ニュートラルな目で見て、一方を叩く必要まではないだろうとの立場である。
しかし、軽はボロい、軽は危険、と主張する場合は
(それに限らす何かの事象を他人に対して断定的に主張する場合は全てそうだが)
実情としてどう危険でどのような結果を示しているか
ちゃんとデータを添えて語ってもらえると有り難い、ということだ。
そうでなけければ、
単に個人の好みを相手に押し付けようとしている行為に留まるだろう。
---更に続けて自己フォローをつけた部分を---
見やすいように表に色付けしたものを追加。
3種類のオレンジ系の枠と黄色の枠を比較すると、
普通車と軽自動車の保有比率に対して
人対車と単独の発生件数(致死事故とは限らない)に
傾斜があることが判る。
また緑系の着色枠を見ると、
事故の9割が「車対車」であることも判る。
ここでは中濃のオレンジ枠対黄色枠の比較から
事故発生比と保有台数比率がほぼ同一であることより、
一旦事故が起こってしまうと
1.23倍の致死率だけ軽自動車のほうが安全性に難点があることも判る。
しかし、赤枠が最悪データ枠だが、
致死率自体の最高は普通車の単独事故であることや、
濃いオレンジと黄色の対比から人を轢く事故は普通車のほうが起こしやすいことから、
普通車にもこの傾斜に見合うだけ運転者の意識、安全装置の在り方など
交通事故の深刻化における何らかの要因を抱え込んでいることが見て取れる、、、
ということで。