グランマ・モーゼスが
本格的に絵画を始めたのは
75歳のときから。
それまでやっていた刺繍絵づくりがリューマチでやりづらくなり、
絵画を勧められたのが筆を持ってカンバスに向かった理由。
50の手習いという言葉はあるけれど、
グランマ・モーゼスが本格的に絵画を始めたのは70歳代。
グランマ・モーゼス展の作品は、
80歳から100歳の間に描かれたものばかりで、
その瑞々し完成とエネルギッシュさに驚くばかり。
技術的にうまい!わけではないけれど、
作為的なものが一切なくイノセントワールドそのもの。
自然とともに暮らす大家族主義といった
どこかノスタルジックなところもあり、
世界や世代を超えて愛されている。
なによりも彼女によって切り取られた風景は、
人も動物も家も自然も、すべてが生き生きしている。

個人的に印象的だったのが絵の中に描かれる食卓。

絵のタイトルは「キルティング・ビー」。
右上の鮮やかなキルティング作りがメインなのだろうけれど、
それと対比するように描かれた白い食卓と料理。
料理自体マンガのようなタッチではあるけれど、
作っている家族の姿やそこにいる人たちの会話まで想像できそうな空気感があり、
グランマ・モーゼスが暮らした幸せな生活時間を垣間見ることができる。
今回のメインポスターにも使われている「アップル・バター作り」もそう。

真ん中に描かれた大きな鍋でりんごを煮込む。
そのためにりんごを運んだり、皮を向いたり、薪を作ったり…。
関わる人たちの姿がすべて描かれている。
グランマ・モーゼスは料理が得意で、
アップルバターは人にふるまうだけでなく、
お店に卸して売っても人気だったらしい。
奉公を繰り返しながら得た家事の知恵を持つ
グランマ・モーゼスの作るものならきっと美味しいに決まってる。
その中でもアップル・バターの誘惑にかられる。
グランマ・モーゼスのアップル・バターは食べられないけれど、
美術館のスーベニアショップ会場でアップル・バターが売っていたのだ。
小さな瓶の割に1300円もしたのでそのときは買うのを躊躇してしまったけれど、
売っていたのは「ジェニーさんのりんご畑のアップルバター」。
ジェニーさんは長野のりんご園に嫁いたアメリカ人。
「ジェニーさんのりんご畑のアップルバター」の説明をよくよく読んでみると…。

やはりマストバイだった…。
静岡の展覧会はまだまだ続くので(その後
東京、
広島へ)、
「ジェニーさんのりんご畑のアップルバター」を買いに行ってこよう。

Posted at 2021/09/21 08:26:53 | |
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