北海道で最初に訪れた土地は紋別市だった。
(空港は旭川だったけど)。
流氷砕氷船初代ガリンコ号が就航して間もない頃。
初代ガリンコ号はもともと観光船ではなく、油田開発のための実験船。
見た目はサンダーバードに出てきそうな船で、そもそも客室がない。
ふきっさらしのデッキの上で出港から帰港までずっと立ちっぱなし。
快晴ではあったけれど尋常じゃない寒さだったことは覚えている。
網走でおーろら号就航したばかりの豪華客船のようなおーろら号の写真を見て、
そりゃあっちの方が快適でしょとは思った。
快適な乗り心地とは無縁の初代ガリンコ号ではあったけれど、
氷の上をドリルでガリガリと進む体験は今となっては貴重。
初代ガリンコ号の体験から、厳しいオホーツクの環境下のクルーズは
天候によるリスク回避・安全管理の徹底・完璧な整備が当たり前という認識だ。
今回、知床の観光船で事故を起こした会社は、
もっとも厳しいはずのオホーツクの海と船のルールを守らないどころか、
あまりにずさんな運行管理をしていたことに驚きと怒りを感じる。
無責任な会社・経営者によって
ガリンコ号や
おーろら号を含め、
あのエリアの観光船が風評被害を受けてしまうのは残念すぎる。
知床半島が世界遺産になって以降、
オシンコシンの滝ぐらいまでは車で行ったけれど、
知床の全体像を見るには観光船が欠かせないのも事実。
まずは今回の遭難による行方不明者の一刻も早い救出とともに、
すみやかな補償対策はもちろん、
刑事罰も視野に入れた会社・経営者の厳重な処分が求められる。
その後に、二度とこうした事故が起きないようルール作りが必要だ。
今の知床観光は流氷ウォークや流氷ダイビングなども行われるほど、
あの時代とはまったく違うアトラクティブな魅力も広がっている。
今回の事故によって、
船会社だけでなく漁業関係・観光関係全体での安全情報共有システムの導入、
天候予測が発達した中でのAIなども活用した出港の規定作り、
万が一の事故による救出体制や船の運営会社に対する監査の仕組みなど、
安全に関するルールのアップデートが必要だ。
それによって北の海の魅力をより安全にしていくことを期待したい。
Posted at 2022/04/29 23:24:10 | |
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