ROUSSILLONのブログ一覧

一時期、山岳文学にハマって、
いろんなドキュメント映像も見た。
メスナーのドキュメントとか。









映画「アルピニスト」は、
職業としての登山家でもなく、無謀を繰り返す冒険家とも違う、
山を愛した自由人としてのマーク・アンドレ・ルクレールの生き様を、
2年間に渡って追ったドキュメントだ。

彼が挑もうとする山々の凄まじさもさることながら、　
その様子を撮影する映画のクルーさえ拒否をして単独登頂にこだわるなど、
すべてが常識を超えている。

アカデミー長編ドキュメント「フリーソロ」の主役アレックス・オノルドですら
マークの異質さを話すシーンが出てくる。


少なくとも、マークは命と代償の生を表現しているわけではなく、
ただ登ること、挑むことを楽しんでいるだけなのだ。
そこに有名になりたいとか自己承認のようなものが一切感じられない。
とにかく自然と山の中で自己を解き放ち、常に自由に生きている。
テクニカル登坂シーンだけでなく、
彼の発する言葉の１つ１つが生のエネルギーに満ちている。
それを目の当たりにするだけでもこの映画を見る価値がある。










上映館は決して多くないけれど、今年いちばん見逃してはいけない映画。
こういう映画に出会うために映画を見ているとさえ思える作品だった。


「アルピニスト」