「勝てる試合だったのに落としてしまった」
パリ五輪男子バスケットボール
フランス戦の敗戦を受けて、
ポイントガードを務めた河村選手はそう語りました。
チームとして戦った以上、彼の責任ではないけれど、
ポイントガードというポジションの責務からすれば
そう答えて当然です。
第4Q、八村選手サンスポ2つめで退場となり、
他の選手もほぼフルに近い出場で体力的にも厳しい。
そこからは河村選手が自らシュートを放つ選択をすることに。
その選択は決して間違ってはいません。
本来であれば渡邊雄太選手がそれに代わる得点を担うのですが、
この試合に限っては5得点とボールを託すには厳しい内容。
ホーキンソン選手のマークはサイズ的に厳しく、
八村選手の代役を務めた渡邉飛勇、
ディフェンス面でMVP的活躍を見せた吉井選手に
パスを出すよりも、自ら決める選択をしたのです。
ポイントガードがシュートを打つというのは、
決してチームがいい状態ではないのです。
佐古、田臥、富樫、そして河村選手…、
こうした選手はスーパーなガードは、
1試合取ろうと思えば30点ぐらいは取れます。
しかし、バスケの1試合はせいぜい取れて80点前後。
パスを配分する選手がそれをやり続けてしまったら、
他の選手がストレスを起こしチームは機能しません。
少しでも多くの選手がボールを触ることでそれを緩和し、
チームを機能させることがポイントガードの役割です。
河村選手がとにかく自分で決めるという選択をした背景には
八村選手の退場でインサイドの得点力が弱まった点。
そして、2番ポジションで得点力のある選手がいなかったこと。
本来ならそこに比江島選手、富永選手が出ているべきでしたが、
ディフェンス面での吉井選手の存在は欠かすことができない上、
富永選手もほとんどプレータイムがない状態。
そこに日本の選手層の薄さを見てしまいます。
OTでは吉井選手もファウルアウト。
最後に比江島選手が素晴らしい3Pを決めましたが、
最終的な選手層の薄さゆえの敗戦。そう考えています。
4Q残り10秒でストラゼル選手のプレーについては
4ポイントになってしまったのは痛すぎます。
84-80の時点で正直勝ったとは思いましたが
もっともやってはいけないプレーが出てしまいました。
河村選手はあそこまでコンテストに行く必要はなかったのですが、
彼もそれを意識して理解し、それにふさわしいプレーをしただけに、
バスケットカウントを取られてしまったのはもったいなかった!
でも、バスケではたまにあることではあります(笑)
あの場面で安易に笛を鳴らすのはどうかという思いもありますが、
もともとファウルをすることが前提の競技で、
その判断はレフリーに委ねられており、
試合ごとにいい笛も悪い笛もありますから。
Bリーグ以前からレフリーの笛については
基準があってないようなもので、
それもバスケの試合の内と思っています(笑)
ちなみに1つめはともかく、2つめの八村選手のアンスポは
今のFIBAルールなら確実に取られます。
レフリーの件は置いておいて、
今回、フランスに負けはしたものの、
日本がチームとして世界レベルで力を
発揮しているのを見られるのはとても嬉しいです。
そして、ポイントガードとして河村選手の成長の速さ。
「勝てる試合だったのに落としてしまった」といい切れるところに、
まだまだ彼が成長していけるだろうという期待が湧いてきます。
今まで日本にはたくさんの素晴らしいポイントガードがいました。
佐古や長谷川、後藤、節政、沖田といった世代、
田臥や柏倉、五十嵐圭、渡邉拓馬、志村、
そして現在のBリーガーたち。
そうした歴代のポイントガードの中にあっても、
河村選手の成長力は卓越していると感じます。
また、河村選手や富樫選手の活躍は、
日本人の子どもたちだけでなく、アジア全体はもちろん、
世界中の身長のない子どもたちにも大きな影響を与えるでしょう。
それがまた10年後にプレーを見ることができるのです。
オリンピックのレガシーを継承するのは、
ハコではなく人でしかありません。
ところで、レフリーに怒りは一切感じませんでしたが、
試合後にマイクを向けた記者が、
「通用した部分はどんなところでしょう?」
そんな質問をしていました。
こちらには本気で怒りを感じました。
どこが通用して、どこがダメだったか、
自分で考えて質問しろと。
そもそも通用するかしないかと訊く時点で、
日本人選手が通用しない前提なわけです。
これまで、世界で通用するかもしれない才能はあっても、
その後の強化だったり環境だったりのせいで
成長を阻害する日本のスポーツの現場をさんざん見てきました。
それがいまやMLBでベーブ・ルースの名を継ぐような
選手が日本から出たり、
フィギュアスケートで金メダルを取ったり、
ヨーロッパの貴族階級のスポーツである馬術やフェンシングでも
活躍する選手が出たり…
X GAMES系でも日本人が大活躍です。
素晴らしい選手をしたばかりの選手に向かって、
通用したか?などと失礼な愚問をすること自体、
いまどきのスポーツを理解できない老害としか思いません。
終わった試合のことをとやかく言う人たちが多いのですが、
試合後、姉からLINEが送られてきました。
会場で出会ったホーキンソン選手や富永選手、
渡邉飛勇選手ら日本代表選手の家族たちとの2ショット写真。
悔しい試合であっても現地はやっぱり楽しそうだなと(笑)。
LA2028はぜひ会場で見たいと改めて思いました。
Posted at 2024/07/31 20:01:00 | |
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